始まりは自転車1台。今では日本最大級の品揃え。固定種・自然栽培の野菜といえば!「サン・スマイル」【埼玉・ふじみ野】

更新日:2019/02/01 公開日:2017/10/08

無肥料・無農薬で育て、栽培が難しいと言われる自然栽培の農作物。それらを一同に集めたお店が埼玉県・ふじみ野市にあるサン・スマイルです。

自然食品・健康に関するアイテムを含めると、なんと約2,500種類という圧倒的な品揃えで、全国から人が集まってきます。

今年で20周年を迎えたサン・スマイルの社長・松浦智紀(まつうらとものり)さんに、お店ができるまでの経緯を伺い、その熱意に一瞬でファンになってしまいました。

ここでしか出会えない自然栽培の品がたくさん!帰りはついつい荷物が重くなる?


東京から東武東上線急行で24分。決して都心から近いといえない「ふじみ野駅」にサン・スマイルはあります。取材日は、20周年記念セールで特に大賑わい!

みなさんのお目当ては、無肥料・自然栽培の野菜や加工品です。


所狭しと並ぶ野菜。スーパーだと当たり前の光景かもしれませんが、これらのほとんどが無肥料・自然栽培と聞くとびっくりする光景です。

一般的に自然栽培が難しいと言われる果物も豊富で、この日はプラムや梨、デラウェアなどがありました。


こちらは自然栽培のフレッシュほおずき。中の実は甘く、みずみずしい果汁を堪能できます。


野菜だけではなく、自然栽培の品を使った加工品・調味料・お菓子などが棚にいっぱいです!

見ているといつのまにか買い物カゴが重くなっていきます。いいと思ったらついつい買ってしまうライターみたいな方も安心してください。配送もできますよ!


サン・スマイルオリジナル商品も品揃え豊富です。こちらは米粉 のカレー粉・デミグラス粉・シチュー粉。

一般的に売られているスパイスの中には、遺伝子組み替えのものもありますが、もちろんそういったものは使わずに作っています。自然食品店で見かけたことがある方も多いのでは?


サン・スマイルのオリジナル商品の始まりは、ある自然栽培の農家さんが抱えて困っていた、何トンもの売れ残りの豆を買ったことです。

松浦さんは煮たり、粉にしてみたり、いろいろ試行錯誤しながら、なんとか売れないかと工夫したそうです。

先日は、新商品「チェチ(ひよこ豆)の水煮」を発売しました。自然栽培の農家さんの収入が安定するよう、この20年常に努力をしています。

サン・スマイルのこだわり、「自然栽培」「固定種」をおさらいしよう!時代が求める安心・安全。


サン・スマイルのこだわりは「固定種で、加工品の原料も遺伝子組換をしていない」こと、そして「無肥料・自然栽培」です。一部の減農薬の商品もありますが、サン・スマイルが栽培方法に納得したものしか置いてません。

固定種とは…

固定した形質が子に伝わって行く種です。撒いて育った野菜の種を収穫して、またそれを撒いてと繰り返されるいわゆる”普通の種”です。

”普通の種”といっても、市場に出回る数がかなり少なく、絶滅寸前の危機にあります。固定種は栽培が難しかったり、形や味が揃わず収穫量が減ってしまうからです。

さらに、「F1種」という子供1代目にとてもいい形質が現れる種ができたのも、固定種が少なくなっている理由の1つです。

自然栽培とは…

農薬はもちろん、化学肥料・有機肥料(動物性・植物性)も使用せず、土地や作物が本来持つ力で育てる栽培法です。

多種多様な微生物が共生できる土壌環境を作り、作物が自然本来の姿で育つ環境で栽培します。

有機野菜は化学肥料・合成農薬の代わりに、天然由来の肥料を使って作物を育てます。

しかし、作物によっては有機JAS法で認められている農薬を使用している場合があったり、肥料が動物性の場合は、その動物が食べた餌が遺伝子組換のこともあります。

不明瞭な情報の問題が飛び交い、何を選んでいいかわからない中、無肥料・自然栽培というより質の高い「安心」を選びたい人がサン・スマイルを訪れています。

原点は自転車一台。ツテもなく、それでも諦めずに自然栽培の野菜を載せて歩いた日。


こちらがサン・スマイルの社長、松浦智紀さんです。とっても気さくな方で、インタビュー中もお客様が次々、「松浦さーん!」と声をかけてお話に来ていました。

サン・スマイルの始まりは、松浦さんが自転車に乗って、無農薬のミカンを売って歩き回ったことです。売るあてもなく、お客さんに追い返されても根気よく続けた日々。

それでも続けてこられたのは、1つの感動があったからでした。


松浦さんのお母様は、化学物質過敏症です。唯一食べられたものは無農薬野菜でした。それ以外の野菜は全く身体がうけつけなかったそう。

松浦さんが高校2年生の時、人生を変える転機となる日が訪れました。

「学校から帰ったら、郵送前のハガキが置いてあって。母親が書いたものだったんですけど。それはお礼状で、無農薬野菜の生産者さんに宛てて書いたものだったんですね。

『いつも安心で美味しいお野菜をありがとうございます、家族みんな元気で過ごすことができています』って感謝の言葉が並んでいて。

それ見てすごい衝撃で、感動しちゃったんですよ。それは母親に感動したわけじゃなくて、世の中にこんなに感謝される仕事があるんだって。」

その感動から、自分も無農薬栽培をしたいと思った松浦さんは、すぐ学校の先生に相談に行きます。

すると、先生から「農業をやりたいという人は学校でも初めてで、先生もどうしたらいいかわからない。自分で考えてみなさい」と言われたそうです。

松浦さんは自然農法の研究をしている教授がいる大学の農学部に進学し、農業そのものだけでなく、日本の野菜の流通の仕組みも学びました。

そこで、無農薬野菜を作る人は増えてきてる一方で、売る人がいない現実や流通の難しさを感じた松浦さん。

現状を変えるために、大学卒業後、流通業者勤務を経た後、自ら自転車で無農薬野菜の販売を始め、今のサン・スマイルができました。

ご自身で自然栽培の生産者を探し、今では北は北海道から南は与那国島まで、なんと約120件と契約しています。


松浦さんの似顔絵を発見!お人柄を表すようで、見ていて微笑ましくなりますね。

相当な覚悟で農業の世界に飛び込んだ松浦さんの話に、思わず「追い返されても、それでも続けるって、どんな思いだったんですか?辛くなかったですか?」と、当たり前の質問しかできなくなるライターに、松浦さんは当時を振り返ってこう話してくれました。

「もう使命感ですね。日本の農業はどうなってるんだ!?何とかしなくては、という。

食べ物がなかったら何にもできないし、食べ物は全ての根幹で命に関わってるものですよ。サン・スマイルを運営することで、自然栽培の野菜や自然の豊かさを伝えていきたいんです。」


駐車場の看板にもある、サン・スマイルのコンセプト、「おいしいはしあわせ」。

サン・スマイルの目の前には畑があり、お客様と作物を植える体験をしています。次はダイコンを植える予定。芽がでるのが楽しみです。

2020年のオリンピック開催に向けて日本の野菜の安全性に注目が集まる中、サン・スマイルは今後どう進んでいくのか気になります。

「考えなきゃいけないのはオリンピックの”後”ですね。その後でどういう流通の仕組みを作るか。自然栽培の野菜が 企業やホテル、飲食店にもどんどん広まってほしいですよね!」

松浦さんは新たなステージとして、農業と福祉の連携を始めています。

自然栽培パーティの理事として、現在約80団体の福祉施設、1,000人以上の障害を持った方に、自然栽培の農業・流通・販売のアドバイス・サポートをしています。

生産者が減り続ける日本の農業が盛り上がるために、障害を持った方の力を借りられないかと、松浦さんは試行錯誤しながら連携を進めているそうです。

最後に松浦さんから、これから自然栽培の農業を始めたいという方に一言!

「慢心しないこと。コツコツと畑に向きあうこと。何か始める時はプライドを捨てないとできない。やるなら全力でやらないと!面白くないでしょ?!」

Vegewel特典

ここでサン・スマイルからVegewel読者の皆様に特典をいただきました!

自然栽培フェア2017にサン・スマイルが出店します!「Vegewelを見た」と言うと、サン・スマイルブース限定で書籍が10%オフになります。全国の自然栽培の生産者が一堂に集まる年一回のイベントです。ぜひ足を運んでくださいね。

自然栽培フェア
開催日:10月28(土)、29日(日)
10:00〜16:00
中野セントラルパーク
https://www.organic-jk.org

サン・スマイル
営業時間:10:00~19:00
定休日:日曜日(祝日は営業)
埼玉県ふじみ野市苗間1-15-27
TEL 049-264-1903
専用駐車場有
東武東上線ふじみ野駅下車西口から徒歩約7分
http://www.sunsmile.org/index.php

※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。

Vegewelでレストラン検索


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食の制限に関係なく、みんなで楽しく食事を囲める環境を日本に創るために、サービスを運営しています。

日本語と英語に対応、ヘルシーなレストランが1000店以上掲載されていますので、ぜひご利用ください!

岩田 絵弥曄 / Emika Iwata

岩田 絵弥曄 / Emika Iwata

ヴィーガンフードアナリスト®︎
ベジタリアン・ビーガン・グルテンフリーなどヘルシーな食のフードライターとして活動。 保育士経験から子供たちの未来を守るため、オーガニックや自然栽培など食の安全にも取り組む。インバウンド対策やアレルギー・環境問題から、ヴィーガンに関するセミナー等も開催。自身も10年以上のヴィーガン。 メディア出演:The Japan Times、日テレ「人生が変わる1分間の深イイ話」、チバテレビ「ジャルっと爆ハリ」等。