プロの料理人達が掲げた、新しい野菜料理の形!「ワンテーブル料理」で、みんなが笑顔のお弁当を作ろう!若手料理人が食の未来を作る初イベント。VEGETABLE BENTOベジ弁(ベジタブルベントー)
11月19日に渋谷ミクシィ本社で、野菜だらけのベジ弁イベント「VEGETABLE BENTOベジ弁(ベジタブルベントー)」が行われました。
初の試みにも関わらず、定員を超える170名が集まり、キャンセル待ちにまでなったビッグイベント。
有名店のシェフや人気料理家といったプロの料理人が集う勉強会、フードコミュニティMii(ミー)で出会ったメンバーが腕を振るい、ビーガンで7大アレルゲン・アルコールフリーの料理に挑戦。
それをかわいいランチボックスに詰めて、多くの人が分け隔てなく楽しい食事の時間を過ごすという、今までにないイベントです。
盛況となったイベントの模様と参加者の方の声をお送りします。
目次/Contents
どんな人でも同じものを食べられて、それが最高に美味しければ楽しい!
会場となった株式会社mixiの本社ビルは満席!こちらで行われたのはベジのイベントでも前例のない企画、「VEGETABLE BENTOベジ弁」です!
このイベントは有名店シェフや料理家の作った野菜料理をお弁当箱につめて、みんなで美味しく楽しく食べようというものです。
一言で野菜料理といっても、
- ビーガン
- 7大アレルゲン(小麦・卵・乳製品・そば・落花生・えび・かに)フリー
- アルコール(料理酒・みりん含む)フリー
というこだわりの内容。このイベントではこの野菜料理を「One Table(ワンテーブル)料理」と呼んでいます。
ワンテーブルという言葉には、野菜をたくさん食べたい人を始め、アレルギーや宗教上の理由がある人も分け隔てなく、みんなで同じ料理を同じテーブルで楽しく食べたいという想いが込められています。
料理を作る側の視点の「〇〇対応」という形ではなく、純粋に料理を楽しんでほしいという気持ちが伝わってきますね。
さらに、このイベントで注目すべきところは有名料理家のレシピがそれぞれプレゼントされることです。その数なんと12メニュー!
このイベントで食べて終わりではなく、暮らしの中に取り入れてほしいという、持続的な内容です。お弁当箱に入れるというアイディアも、ゴミを出さないという持続可能な環境を作るという意味が含まれています。
環境省アンバサダーも務める、LUNNY’S VEGGIE(ラニーズベジー)の菜園料理家・藤田承紀(ふじたよしき)さん(写真右)、お弁当箱をデザインしたキャラクターデザイナーのTAROUT(タロアウト)さん(写真左)が主催しました。
※ラニーズベジーの活動についてはこちらからどうぞ。
https://vegewel.com/ja/style/lunnysveggie/
メニューに使用する野菜のほとんどはナチュラルハーモニーの自然栽培・オーガニック野菜。当日はプチマルシェコーナーも開かれました。
他にも秋庭農園のハーブティーや、ベジ情報が満載の有名雑誌veggy(ベジー)も並び、マルシェコーナーは賑わいを見せていました。
注目の若手シェフ・料理家が一同に勢ぞろい。この方達の料理が食べられるなんて!
なんて華やかなんでしょう。これらが全部野菜だなんて!
一言で野菜と言いますが、その種類は膨大!ここまでズラッと野菜の料理が並ぶと、改めてそのことを感じさせられます。
今回、素晴らしい技術を惜しげもなく披露してくださったのは、フードコミュニティMii(ミー)で知り合った若手料理人・料理家の皆さんです。
Miiは食に関するプロの方々が次世代の日本の食のあり方を考え、互いの知識・技術を共有し、高めあおうというスキルシェア勉強会です。
その中でも、今回参加された豪華メンバーを一挙ご紹介します。
「数種のハーブと葉物野菜サラダ、サルモレッホソース」
美食の王様・来栖けい氏主宰のレストラン、「Bon.nu(ボニュ)」料理長・河島英明(かわしまひであき)シェフ。
「根野菜の西京焼きグリル」
テレビでもおなじみ、渋谷の人気イタリアンレストラン「goo italiano(グーイタリアーノ)」料理長・大崎秀明(おおさきひであき)シェフ。
170個もの柚子を、一つ一つ丁寧に結び細工をするその姿勢に、大崎シェフの優しいお人柄が現れるようです。
「人参とかぼちゃのスパイスロースト」
ニューヨークでミシュラン三つ星「Jean-George(ジャンジョルジュ)」で、日本人で初めてスーシェフとなり、その日本進出に伴いシェフ・ド・キュイジーヌに抜擢された米澤シェフもOne Table料理を披露!
「畑の恵み 黒酢あん」
料理本「作ってあげたい彼ごはん」シリーズが大ヒット、今年ビーガンファラフェル専門店Ballon(バロン)をオープンした料理家SHIORI(しおり)先生。
「3色味噌だんご」
女優、そして発酵研究家、一級断食師としてイベント・ワークショップでも多才に活躍する菜月(なつき)さん。ディルを使うといったバリエーションに富んだ味噌玉をご紹介してくださいました。
「高野豆腐のベトナム風揚げ春巻き」
そして、Vegewelでおなじみのお顔も!
中目黒の人気ビーガンカフェ「Alaska zwei(アラスカツヴァイ)」店主、TOKYO VEGANも連載中、大皿彩子(おおさらさいこ)さん(写真右)。
※アラスカツヴァイの取材記事はこちら
https://vegewel.com/ja/style/alaskazwei/
「カシューナッツサワークリームの畑のチーズディップ&グルテンフリー3色マーブルミニ食パン」
参考記事
グルテンフリーの意味や健康効果について
世界各地で料理を学び、ビーガンチーズや料理、グルテンフリーパスタ・パンといえばこの先生!ビーガン・グルテンフリーマルチフードクリエイターの姫野理南子(ひめのりなこ)先生。
※姫野先生の取材記事はこちら
https://vegewel.com/ja/style/himenorinako/
Vegewel Clubで「姫野理南子Happy ベジレシピ〜Seasonal flavor」を連載中です!
「林檎のロースト」
伝説の名店・東麻布「カメレオン」で勤務後、現在は子育てしながら料理家として活躍中の青井夕美(あおいゆみ)さん。
「柿とビーツのサラダ」
イタリア料理研究家の板倉布左子(いたくらふさこ)さんはイタリア・トリノの老舗カフェ「BARATTI&MILANO」で勤務し、現地の料理学校の開校にも携わり講師をしていました。
料理家だけではありません。お野菜を実際育てる方も含め、料理に関わるあらゆる方が集まっているのがMiiの面白いところです。
秋庭農園は農家で料理人・食育先生の秋庭覚(あきばさとる)さんと、ハーブティーブレンダーのアキバヒロコさんご夫婦が営む農園です。ハーブティーはとても香り高く癒されました。
藤田さんも菜園料理家として、「蓮根のロースト 大葉とゴマのペーストマリネ」を披露!
参加者のほとんどがノンベジ、その意外?!な反応とは。
イベントが始まると、お弁当箱を持ってみなさんズラッと並びます。
「味付けに何を使ってるんですか?」と、作った料理人に直接聞けてしまうのが、このイベントのいいところ。
中には、「お会いしたかったです!お話できるなんてー!」と、憧れの先生にお会いできた喜びでいっぱいの方も。
みんなで一斉に「いただきまーす!」
ゴミを出さないということで、お弁当箱の他にオリジナル手ぬぐいも配られました。可愛くてテーブルも賑やかでエコだなんて、小さなことから地球に優しくできて嬉しいですね。
この日はご家族連れも多く、みんな嬉しそう。「アレルギーのお子さんとご家族がいらして、『今日の料理は全部食べられました』と声をかけていただいた時は一番嬉しかったです。」と話す藤田さん。
こうした野菜料理のイベントは、ビーガンの方の比率が高い場合が多いですが、今回のイベントは普通の食生活を送っている方がほとんどで、参加の理由は様々。
ご自身で野菜を育てている方、ヘルシーな料理を知りたかった方、中には料理家さんのファンの方もいらっしゃいました。
気になるお客様の反応。野菜だけの料理でよく言われることは、「味が薄い、美味しくない、物足りない」ということ。
ドキドキしながらも感想をお伺いすると、
「こんなに美味しいなら、野菜がメインの料理がもっと増えたらいいのに!」
「色がたくさん!肉だと肉の部位とか種類で選ぶ楽しみくらいだけど、野菜だと種類もたくさんある。野菜の爽やかな香りがいいです。」
「自分はアレルギーじゃないけど、無農薬の野菜はそういう方達に力を与えてくれると思うのでとてもいい企画だと思います。」
などなど、大満足のご様子!それと同時にベジに対するイメージも皆さん変わられたようです。
飲食店の現場で活躍する一流シェフたちが思う、ワンテーブル料理の可能性
Miiの勉強会では、ワンテーブル料理だけではなく、ありとあらゆる料理の腕を磨いています。
おじゃました日はちょうどビーガン料理の勉強の日でしたが、皆さん初めてみた食材でも事前準備なく、あっという間にたくさんの美味しいお料理を作っていきます!その光景を見て、目がまん丸になってしまいました。
野菜だけのワンテーブル料理のイベントをやりたい!その話をMiiで出会った主催の藤田さんから聞いた時、実際に今現場で肉・魚などを扱って活躍されているシェフの方々はどう思ったのでしょうか?
今回参加された、ジャンジョルジュ米澤シェフ、ボニュ河島シェフお伺いしましした。
河島シェフ「うちのお店bon.nuはお肉のロースト、ステーキが有名と言っても良い位、お肉のお店です。なので、「野菜だけ」と聞いた時は、アウェイ感がはんぱないな…と笑。」
米澤シェフ「『野菜だけ』ならかなり幅があると思いましたが、それに加えビーガン・グルテンフリーとなると、かなりハードルは高いと思いました。」
材料の制限にかなり大変さを感じたものの、それでも参加を決めた皆さん。
国籍・宗教・体質に関係なく「全員で囲むテーブル」ということに対して、シェフとしてのさらなる高みを追求した河島シェフ。
そして、米澤シェフはMiiで普段から職種や料理のカテゴリーを越えてみんなで料理を楽しむ時間があったからこそ参加しました。
米澤シェフ「この仲間たちから得るアイディアやエネルギーは個人的にとても好きです。料理人と料理家は違う職種だと思いますが、だからこそ良い刺激がありますし、学びも沢山あります。」
実際に野菜だけで作ってみて、一流シェフはどう感じたのでしょうか。
河島シェフ「僕の料理は、”素材1つを使ってその素材の良さをどれだけ極限まで引き出せるか”がテーマです。
例えばニンジンなら、ローストしたニンジンでニョッキを作ってニンジンで取ったダシでソースを作り、ニンジン葉っぱでアクセント!という感じです。
なので、野菜の料理ということを特に意識することなく、bon.nuで出せる料理として取り組むことができました。」
米澤シェフ「1品という事だったので、ハードルはそんなに高くなかったと思いますがコースを作って下さい。となるとかなりハードル上がりますね。笑」
イベント後、みなさんが野菜だけの料理に対して感じたのはその「可能性」でした。
これからの飲食業界と、野菜だけの料理の関係性について、現場で活躍する立場からシェフのお気持ちをお伺いしました。
河島シェフ「肉料理を野菜で似せるような、何かを模す料理は苦手ですが、野菜で美味しい料理は確実に可能だなと実感しました。
全世界で見ればベジ・ビーガンのお店は増えているらしいので、そういうお店もあって、そうじゃないお店もあってと、なんでもそうですが、ある程度のバランスが一番大事だと思います。」
米澤シェフ「Jean-Georgeでは普段からベジ対応をしています。インバウンドもそうですが、レストランなどではもっと野菜のメニューを提供して行くべきだと、個人的には感じています。」
「みんなでいただきます」を続けて、未来に笑顔をつなげていきたい。
今回会場となったミクシィはDeNA・サイバーエージェント・東急電鉄など、渋谷の企業と協力しながら「健康経営」に取り組んでいます。
「健康経営」とは、赤字にならない健全な経営をするという意味ではありません。
体を酷使するのではなく、社員が健康であれば生産性も上がり、売り上げも上がる。こうした「健康な会社」になっていこうというものです。
社員が健康になるということは、病気だけではなく、肩こりや気分の落ち込みという、病気につながる状態も改善していくいうことです。
週に1度でも健康的な食事を取り、体が変わっていくことも健康経営につながるということで、今回の会場提供の運びになりました。
こうした健康を大事にする会社の協力もあり、みなさんからの笑顔をいっぱいもらった一日。振り返ってタロアウトさんはこう語ります。
「地域・社会を巻き込んで未来に笑顔をシェアしていきたいです。何かを楽しむことがゴミ問題だったり、健康だったりみなさんの未来につながっていくと思います。
これからもワンテーブル料理で「みんなでいただきます」がしたいですね。」
そして、藤田さんは、
「改めて、料理の知識と技術は、動物性にも植物性にも共通してアプローチできるという事がわかりました。
また、今回参加してくれた料理人の皆さんは、動物性の料理を続けてきて、最高に美味しい物を追求してきた経験があるからこそ、それを生かした今回のような素晴しい野菜料理ができたのだと思います。
1か100ではなくチョイスの一つとして提案することで、こうした食事を取り入れる人も増えてくると思います。
現状、飲食店ではやはり肉・魚・卵・乳製品のバリエーションがメインで、野菜のバリエーションとチョイスが少ない印象を受けます。
それは同時に未開拓のジャンルであり、チャンスや伸びしろがあるということだとも思います。
一気に「野菜だけ」に目を向けるのではなく、自分たちの今までの得意ジャンルもキープしつつ、未開拓の知識とお客様にも目を向けていく。
そのことで飲食業会がより盛り上がり、お客様の喜びに繋がるのではないかと思います。」
思った以上の反響に、次回開催も予定しているそうです。月並みな言葉になってしまいますが、今から楽しみですね!素直にそれしか言えません!
【vegetable BENTO project】
https://vegetablebento.jimdo.com/
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