社食も健康新時代。世界で活躍するシェフが手がけるヴィーガンメニュー。株式会社LEOC(レオック)・杉浦仁志シェフ

更新日:2024/10/31 公開日:2019/12/11

オフィスワーカーの毎日の健康を支える社食にもヴィーガンの波が!

社食運営大手のLEOC(レオック)が、自社が運営する大手企業の社食にヴィーガンメニューを導入しました。まず、東京・田町の事業所で約10種類のヴィーガンメニューを展開。順に別事業所でも行い、今後全国でヴィーガンメニューを展開を考えているそうです。

メニューの監修は世界のベジタリアンコンテストでTOP8に入賞した杉浦仁志(すぎうらひとし)シェフです。

今回は記念すべき導入1回目にお邪魔して、インタビュー!杉浦シェフと、食堂を運営するLEOC・FMD(Flagship Model Development)本部長・木村吉孝さんにお話を伺いました。

会社も「健康経営」時代の幕開けです。

色鮮やかな野菜たちが待っていた!


LEOCは1983年から、大手企業をはじめ約700社の社食・社員寮の食堂を運営しています。

LEOCは1983年に北海道で創業しました。1995年には首都圏へ事業拡大し、現在では北海道から沖縄まで全国のオフィス・工場の社員食堂、寮、学校、スポーツ施設、老人ホーム、病院など、2,400か所以上でフードサービスを提供しています。

記念すべきLEOCでのヴィーガンメニュー導入第一回目では、卓上にイベントのPOPが置かれていました。

そこにはこんなメッセージが。

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LEOCでは国際社会に対応し、地球環境に配慮したフードサービス事業を展開しています。国際社会では、健康・美容志向に加え、サスティナビリティや環境配慮の観点からもヴィーガンを取り入れる傾向があります。

近年ますます多様化・国際化する「食のニーズ」に応えるために、LEOCではヴィーガンをはじめとする新たなメニュー開発に力を入れています。

“あなたの幸せを作る幸せを”「食」に込めて、私たちはお客様に喜びと感動をお届けします。
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「食から個人の健康、そして会社の健康、地球の健康を考えた社食なんだ」と感じるメッセージ。

一人一人の幸せを支えてくれているLEOCの社食にメニューをいただく前から感動です!


当日は15種類の色鮮やかなヴィーガンメニューがずらっと並びました。その一部をご紹介すると、


「ヤングコーンのロースト オニオンサルサ」

ヤングコーンとパクチーを和えたオリエンタルなフレーバー。醤油で軽く味付けして火を通したヤングコーンの食べごたえのある食感と、玉ねぎ・パクチー・タバスコ・オリーブオイルで和えたオニオンサルサは相性抜群です。


「ヴィーガンシチュー」

カカオや八丁味噌で味付けしたブラウンシチューは物足りなさが一切ありません。むしろ動物性を使ったお料理よりコクがあるのでは?と思ってしまうほど。ヴィーガンミートもお肉のようで、ボリュームたっぷりです。


「ヴィーガンナゲット」もあります!

揚げ物でありながら、食後の胃の軽さが違います。ヴィーガンメニューが初めての人でも、こうしたメニューは取り入れやすいですね。


それぞれのメニューと共に、食材の持つ健康効果が記載されています。自分の体調・コンディションにもあわせたカスタマイズができるのも魅力的です。


一般メニューは1g1.6円。それに対してヴィーガンメニューは1g2.5円。野菜だけで1.8倍の値段です。

初めての試みに、価格設定も含め、どういう反応か緊張した部分もあったそうですが、結果は行列!約150食が出て大人気に。その光景に関係者全員がびっくりしたそうです。

国内外で活躍する杉浦シェフにインタビュー


今回メニューを監修した杉浦仁志シェフは、初めて社食メニューに携わりました。

以前のインタビュー記事はこちらから。

自分の手で直接調理するのと違って事業として取り組むことができ、全国に広がるため、とてもやりがいを感じたそうです。

その一方で、大量調理特有の、味に対しての調整が必要だったのだとか。


「野菜は水分が多いので、レストランでの10人分の調理と100人分では調理法が違いますね。

水分が多く出たり、水気を絞るのも違うし、フライパンと大量調理のスチームコンベクションでは火の通り方も違う。

LEOCでは個々の素材が加熱して美味しくなる温度・湿度帯を、科学的エビデンスをもとに調整しています。

例えば、人参であれば145°で加熱すれば、煮崩れせず、野菜のポテンシャルを最大限に上げて、素材の味を引き出せます。

それぞれの野菜に対して基準があるので、別々に加熱しています。これは他社には真似できないところですね。」(杉浦シェフ)


杉浦シェフは石垣島で行われた、国連・政府・4つの島国・優良企業が集い、未来の地球について考えるアイランダー・サミット 石垣でも腕をふるい、SDGs・地球温暖化・環境保全に考慮したヴィーガン料理を披露。


日本経済新聞社主催・農林水産省後援の農業の未来を目指す国際的サミット「AG/SUM」(アグサム/アグリテック・サミット)では、パネラーとして登壇。

「世界で広がるヴィーガンムーブメントの衝撃」をテーマに、衆議院議員松原仁(まつばらじん)氏・自由が丘T’sレストラン下川万貴子(しもかわまきこ)氏、Vegewelライター岩田絵弥曄(いわたえみか)と共に、ヴィーガン料理の可能性について語りました。

地球規模で考えた上での、他国の食文化に対する理解や環境にやさしい食事・ヴィーガンを発信している杉浦シェフ。

今回の社食監修に対しても、どうしたらお客様にこうした食事が伝わるのかを考えたそうです。


「ヴィーガンに対しては、みなさん理解はしていますが、関心が薄い部分もあるので、どうやってそうした方々に響くアプローチするのかをすごく考えました。

現在、アンチエイジングの名医である白澤卓二先生と、食で病気を治すプロジェクトを続けていて、先日もコラボの本が出ました。

そうした自身の活動から、まずは健康効能に基づく美味しいヴィーガン料理として皆さんに食べて頂き、『美味しい!』と、納得して食べてもらう。

そこから、ヴィーガンの食文化に対する理解や認知度を上げるきっかけになればいいと考えました。」と、杉浦シェフは言います。

唯一無二の食堂を目指して


LEOCが運営する社食のコンセプトは「脱食堂・メンバーシップレストラン」です。

「社員食堂は会員制レストランと一緒で、そこの会社にいないと入ることができません。利用者の方には特別感を感じてもらい、毎日の食事を楽しんでもらいたいと思っています。

食の最高のサービスというのは、一人一人の要望に応えることだと思います。セントラルキッチンを持たず、一つ一つの食堂で現地調理を行うことで、唯一無二のメンバーシップレストランを目指しています。」(LEOC木村さん)

その会社にあわせて、ここでしか出せないものを出しているんですね。

優秀な料理人を集め、その得意分野を生かしてもらう中、杉浦シェフとの出会いがあり、今盛んであるヴィーガンムーブメントにも注目し、今回のヴィーガンメニュー導入を決めたそうです。


この取材の後別の社員食堂で行われた、第二回目のヴィーガンメニューイベントではアンケートも実施し、回答者の80%以上が「満足した」という高評価だったそうです。

また、興味深いことに、ヴィーガンに対しての意識調査では、約36%の人がヴィーガンに興味があると回答しました。

「日本のヴィーガンの人口は1.5%と言われていますが、潜在的に求めているお客様は多いのでは?

少しでもこうしたメニューを取り入れることで、健康や美容も意識する方が増えてくればいいなと思います。」と、木村さんは言います。

フレンバシーのベジタリアン人口に関する調査はこちらから。

従来のヴィーガンのイメージを変える取り組みに


LEOC木村さん(写真左)と杉浦シェフ

大好評で幕開けした、ヴィーガンメニュー。今後について杉浦シェフにお伺いすると、

「『ヴィーガン=かっこいい』みたいなイメージになりたいですね!海外だと、ホールフーズのブッフェでヴィーガンメニューが150種類くらい並んでいます。

自身もこうしたところから、色のバリエーションやフレーバーのセンスを学んでいます。

常に自身の中でのヴィーガン料理をアップデートすることと、そこにスーパーフードを加えて、健康効果を高めたメニューに取り組みたいです。」(杉浦シェフ)

インバウンド対策や環境保護の面から、内閣府食堂や東京都庁は週1、2回ヴィーガンメニューを提供しています。毎日過ごす会社だからこそ、従業員が健康で快適で過ごせるのが理想ですよね。

これからも、ヴィーガンメニューに取り組む会社がもっと増えて欲しいです!

東京都庁の取材記事はこちらから。

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