2022年冬季オリンピック出場に向けて!ヴィーガンアイスダンサー小松原美里(こまつばらみさと)選手インタビュー
東京オリンピック・パラリンピックまで1年を切り、日に日に関心が高まっています。
そこで気になるのがトップアスリートの食事。
一般的に、アスリートは「お肉を食べないと強くなれない」「疲れをとるにはお肉を食べないとダメ」「野菜だけでは力はでないのでは?」等のイメージが先行しています。
しかし、「あまり知られていないビーガンアスリートとその食事」や「【プチマクロ的アスリート食】いつまでもチャレンジできる体を手にいれよう!」シリーズでご紹介したように、海外ではヴィーガン食を選択するアスリートは少なくはありません。
今回は、昨年全日本選手権で優勝、2019年世界選手権代表のアイスダンス選手、小松原美里(こまつばらみさと)さんにインタビュー。
ヴィーガンになった経緯や普段の食事等について伺いました。
目次/Contents
ヴィーガンになったきっかけを教えてください
スケート留学でイタリアに行った時、子宮筋腫関連の病気になり手術を受けました。
食事が直接の原因で病気になったとは思っていないのですが、手術後初めて食事の大切さを考えるようになりました。
自分の体に入るものが、自分の体を作ります。ちゃんと考えてきれいなものを食べないといけないと感じ、その時流行していたヴィーガン食を摂り始めました。
アイススケートは、体重管理をしなければいけないスポーツ。その視点では食事について考えていたのですが、タンパク質の重要性等、栄養学の知識がないなかヴィーガンに。
体重管理は問題なくできたものの、3か月たった時にトレーニング・練習中にフラフラしてしまい、今まで食べていた食事に戻しました。
その時、ヴィーガン食と普通食の違いを実感。あくまでも個人的な感想ですが、ヴィーガン食を摂っていた時は髪の毛のツヤ・お肌の調子が良かったと思いました。
そして、排泄も。アスリートにとって適切な排泄ができることは大切です。排泄が苦手だったのですが、ヴィーガン食の時はお腹が重くなくなっていたことに気づきました。
そして、一番印象的だったのが、リカバリーのスピード。疲れの回復が早くなっていたこと、怪我が少なくなっていたことに気が付きました。
その結果、ヴィーガン食を選択することが自分の個性の1つだと思えるようになり、ヴィーガンになることを決めました。
それからは、今までモヤモヤしていたものがなくなり、前向きに考えられるようになりました。最近は、動物愛護についても考えるようにもなりました。
普段の食事について教えてください
シーズン中とオフシーズンとで少しは異なるのですが、カレーやラーメンは好きでよく食べます。
カレーは、菜食の方から作り方を教えてもらったレシピでよく作ります。ラーメンは、マイレシピで作っています。
オフシーズンは、時間に余裕があるので手の込んだものを作ったりします。ヴィーガンパンケーキ等はよく作りますね。
シーズン中やハードな練習をする時期は、回数を増やして、お腹がすきすぎない、お腹がいっぱいになりすぎないように工夫しています。例えば、
- 朝食:オートミールにバナナとピーナッツバターをトッピングしたもの(お水で食べます)とコーヒー。
- 補食:フルーツ。
- 昼:野菜スティックにディップ。
- 補食:ナッツ。
- 夕食:カレーライスと野菜サラダ
のような食事です。
ヴィーガンで困ったことを教えてください
今、日本とカナダを行ったり来たりしていますが、カナダではヴィーガン食の選択肢が沢山あります。
しかし、日本を含めて、ヴィーガン食の選択が困難な国・地域はまだまだ多く、特に遠征に行くときは困ります。
そのようなときは、食べるものを自分で持っていくようにしています。
友達や家族と食事をするときには、「お肉・魚が食べられないのはかわいそう」「目の前でお肉食べて大丈夫?」と気を使わせてしまっています。もっと気軽にヴィーガン食が選択肢の1つと認識されると良いと思います。
ヴィーガンに興味をもっているアスリートへのメッセージをお願いします
私は、食事とは、自分の体を作る大切なものと考えています。そして、ヴィーガン食を選択しているのも、個性の一つとして考えています。
ヴィーガン食は決して特別な食事ではないので、もっと多くの方に知ってもらいたいと考えています。
カナダでは、「動物に優しい日(animal friendly day)」といって、週1回ヴィーガン食を食べるという人もいます。
体調や気分に応じてヴィーガン食を気軽に選択する人が増えるとよいと思います。
ヴィーガンで適切な栄養が摂れないのでは?と不安に感じているアスリートの方がいたら、是非情報交換ができたらと思っています。そして、ヴィーガンアスリートの輪が広がるとうれしいです。
取材を終えて
ライターも試合の遠征先や海外出張でコンディショニングを整えるための食事に困ることは少なくないと感じています。
ヴィーガン食のみならず、何等かの理由で食事制限のある人が増えています。
同じ食卓でそれぞれが食べたい食事を選択できる、「食のバリアフリー」は、少しづつですが浸透してきていますが、課題もまだ沢山あります。
自らヴィーガン食を選択した小松原選手。2022年冬季オリンピック出場に向けての挑戦は始まっています。これからも、小松原選手の活躍を見守っていきたいと思います。
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