ヴィーガンをもっと身近に感じてほしくて。喫茶ひるねこ【福岡・博多】

更新日:2022/01/17 公開日:2018/07/07

*こちらの店舗は閉店しました。

ヴィーガンには、動物性のものをいっさい口にしないということで、厳格なイメージを持っていました。

ヴィーガンでもベジタリアンでもない私が行っても大丈夫なんだろうかと、少しの不安を抱えて訪れたのは、完全ヴィーガンのお店「喫茶ひるねこ」。

私の予想は良い意味で裏切られることになります。

喫茶ひるねこの場所や詳細な情報はこちら

ゆる~い猫のイラストが迎えてくれる完全ヴィーガンのお店

福岡市城南区友泉亭(ゆうせんてい)。城南区には私が通った大学があるので、親しみのある地域です。

ここに「喫茶ひるねこ」というお店があるのを知ってはいましたが、お邪魔するのは今回が初めて。博多駅からバスに乗り、「友泉中学校前」で降ります。

「喫茶ひるねこ」はヤマダ電機の近くにあるというので、すぐに見つかりました。


この辺りには、小さくて穴場的なお店があるという印象なのですが、「喫茶ひるねこ」も、まさにそんなお店です。学生時代にあったら、足繁く通ったことでしょう。


オールヴィーガン!頼もしいですね。

お邪魔しますよ。


「ひるねこ」といっても、店内に本物の猫はいませんでした。その代わり、イラストや小物の猫がいたるところにいます。

メニューにも、この通り。ゆるりとした雰囲気がいいですね。


「ひるねこ」は「昼寝」と「猫」の造語だそうです。ゆっくりしたお店のイメージにぴったり。

ボリュームにもお値段にも大満足。「今日のごはん」と手作りケーキ

おすすめは「今日のごはん」。この日は玄米ごはんとおかずの「ひるねこプレート」でした。

ボリュームたっぷりです。


ヴィーガンのお店だから当然といえば当然なのですが、野菜ばかりです。それなのに、全然物足りなさがありません。

食べ盛りの若い人でも、これなら満足できるのではないでしょうか。


ほら、おいしそうでしょう?コロッケの中身は、カボチャ・うずら豆・オートミール・おからだそうです。


豆乳のスープには、ビーツがかわいらしく浮かんでいます。ちょっと飲むと、野菜がいっぱい顔を出してきました。

同じ野菜がたっぷりなのではなく、種類が多いのです。だから満足できるのかもしれません。

「動物性の食材を一切使わないヴィーガンスタイル、できるだけオーガニックという無理のない前提のもと、化学調味料無添加、手作りを信条としています」

と、オーナーの勝部(かつべ)さん。

だんだんお客様が増えてきました。こちらは取材の身。席をあけなきゃと思って立ち去ろうとすると、勝部さんから「ケーキはいかがですか?」と、声をかけられました。

もちろん、断るわけがありません。

「いただきます!」


オーガニックハーブとあんずのケーキ。

グルテンフリーで、ずっしりしています。豆乳とココナッツオイルのクリームは、軽い口当たり。

何のハーブが入っているのかと思ったら、ヨギティーを使っているのだとか。複雑で、癖になりそうな香りです。

さっきおなかいっぱいと言っていたのに、これならもうひとつ入りそう。ケーキは、ランチを注文した場合には、プラス200円で食べられます。

動物好きな二人がコツコツと築き上げたお店


こちらが勝部さんご夫妻です。「自然体」という言葉がお似合いのお二人。穏やかで控えめな接客が心地良く、落ち着いて食事を楽しむことができます。

「喫茶ひるねこ」は、どのような経緯で開業したのですか?

「学生のころアルバイトしていた天神の老舗喫茶店『風街』で今の相方(奥様)と知り合い、いずれ一緒に喫茶店をしようということになりました。

雑貨や家具などを少しずつ買い集めていって、カフェやレストランなど何件かのお店で働いたのちに、動物愛護の観念から菜食のお店をするという方向性に変わってきました。

平尾の『マナキッチン』(現在は閉店)という穀物菜食の店で経験を積みながら店舗探しを始めて、ここの場所を見つけてからは、内装などをほとんど自分たちで施してのオープンに至ります」

ヴィーガンになったきっかけについて教えてください。

「お店の方向性同様、現代社会における動物の犠牲を少しでも減らすことに繋がれば…という理由でしょうか」

「おとなしい子なら、犬や猫連れでもOK」というのも、動物好きな勝部さんのお店ならでは。ただし、雰囲気づくりのため、お子様連れでガヤガヤするのはご遠慮いただいています。

完全ヴィーガンというのは、オープン当初は珍しかったのではないですか?

「オープンは2007年7月1日です。その頃、福岡ではマクロビオティックが全盛期だったので、ヴィーガンというよりはマクロビのお店ということで認識されたようでした。

健康志向のお客さまがわざわざお越しくださっていました」

旅先の居心地よさを再現

店内にあるタイルの装飾はすべて、ご親族が作られたもの。華やかなテーブルが印象的です。

趣のある壁。ギリシャを旅したときの居心地のよかったイメージを内装に取り入れたのだそうです。


ほの暗い店内を、ところどころにあるランプが優しく灯しています。


心地良いジャズが流れ、こだわりのある雑貨や絵が飾られています。


猫、スピリチュアル…本のセレクトがマニアックでおもしろい。好きな人ならはまりそうです。

さまざまな問題を解決する糸口としての「ヴィーガン」


「珈琲Chiba」さんが焙煎した「喫茶ひるねこ」オリジナルブレンドの珈琲豆。そのツヤに惹かれて、衝動買いしてしまいました。深煎り好きの方にはお勧めですよ。

チョコとバナナのマフィンもビスコッティも、甘さをおさえた大人の味。


ロリポップは、30円の募金をしたらもらえます。

ここで集まったお金は全額、唐津で動物保護ボランティア活動をしている「福岡・動物たちの幸せを呼びかける会 faha」さんに寄付されるとのこと。

「今は過食、飽食の時代。動物の犠牲なくしても満足な食生活は十分にできます。

当店の存在が、ヴィーガンという環境問題や健康志向にも通じるライフスタイルをもっと身近に感じてもらうきっかけになればと思います。

健康のことなど個人が抱える肉体的や精神的な諸問題、地球規模での環境問題、言葉ではうまく表現できませんがすべては繋がっていることを切に感じます。

その解決への糸口としてもヴィーガンというライフスタイルがとても理にかなっていて、このヴィーガンへの意識の変化が持続可能な社会づくりにおいて重要な要素であると信じています」

最後に、勝部さんから次のメッセージと動画を紹介していただきました。

”屠殺場がなくならない限り、戦場もなくならない。” レオ・トルストイ(1828~1910)
「世界で一番重要なスピーチ」
https://youtu.be/zC0ZBv7CH1U

ヴィーガンという生き方を強く勧められたわけではありません。でもそのさりげなさが、かえって食生活を考え直してみようかなと思わせてくれるのでした。

※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。

店舗情報

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このみ あんこ

このみ あんこ

福岡在住のものかき屋。
素朴でほっとするものを探しながら散歩するのが好き。
IBS(過敏性腸症候群)を薬に頼らず自分で治すべく、腸の健康について勉強中。