ヴィーガンやマクロビオティックを超える~平田優シェフのカフェスイーツ講座レポート
昨日は、久留米の「古民家レストランHaze(はぜ)」の、マクロビオティックベースのビーガン料理をご紹介しました。
久留米の古民家でいただく発酵食ベースのマクロビオティックフレンチ。古民家レストランHaze(はぜ)
久留米までなかなか出向くことができない方も、シェフの平田優(ひらたあつし)さんから料理を学ぶチャンスが。
Simple Modern Nature Professional course
「上級プロフェッショナル講座」
カフェスイーツ&アシェットスイーツ提案
シェフが東京・茗荷谷で定期的に開催されている講座にお邪魔させていただきました。
目次/Contents
シンプルでモダン、そしてナチュラル
平田シェフは、マクロビオティックの玄米菜食が「茶色くて質素なごはん」と言われていた頃、その世界観を覆すおしゃれで美しいナチュラルフードとして、マクロビオティックの新境地を切り拓いたシェフのお一人です。
私もマクロビオティックに出会う10年以上前に、自由が丘にあった「シンプルモダンマクロビオティック」というおしゃれなレストランで、アフタヌーンティーを楽しんだ時の感動は今も忘れません。
また、初めて平田シェフの料理教室に参加させていただいた時、そのおしゃれで美味しいお料理と、穏やかで優しいシェフに惚れこみ、サインをいただいたテキストは今も大切に保管しています。
Simple Modern Nature Professional course(シンプル・モダン・ナチュレ・プロフェッショナルコース)は、少人数制の実地で生かせる講座。
この上級プロフェッショナル講座は初級・中級の16講座を終え、これからカフェなどのお店を立ち上げたい人、講座を始めたい人に向け、座学のメニュープランニングやコスト計算なども織り込んだ濃い講座です。
フードコーディネーター資格講座が実地とともに凝縮された、実践的かつ合理的な構成。
もともとフレンチシェフからマクロビオティックの世界に入り、ご自身も飲食店を経営されている平田優シェフだからこその、現場目線の実用性ある内容もさながら、シェフのお料理のおいしさと美しさ、お人柄に惚れ込んだ人々が全国から訪れています。
この日も遠くは青森から通う生徒さんがいらっしゃいました。
平田シェフがオーナーシェフを務める古民家レストランHaze(はぜ)にも、勉強のために全国から集まる泊まり込みの研修生があとをたちません。
このシンプルモダンナチュレの講座は、10年前に自由が丘にお店と教室を構えていた頃からスタートし、東京・名古屋・福岡で開催。
平田シェフは他にもリマ・クッキングスクールの師範科のゲスト講師として、また青山のビオクラスタイルクッキングスクールでも不定期でクッキングクラスもされています。
アシスタントをされている岡田さん曰く、「平田シェフはどんなに忙しくてもキリキリしたりぴりぴりすることはない」のだそう。
これぞマクロビオティックでいう”中庸”でバランスのとれた状態だということですね。
春を感じるカフェスイーツたちにわくわく
この日のカフェスイーツは、4品。
・豆乳葛プリン
豆乳と玄米甘酒を使ったシンプルなプリン。バニラビーンズと甜菜糖でつくる絶妙なカラメルソースのおいしさ
・さつまいもの飴がけ オレンジと豆乳クリームを添えて
さつまいもそのままでありながら高級スイーツの美味しさ。甘味・旨味を引き出した洋風大学芋のようなカラメリゼしたさつまいもと、自家製ヨーグルトで作るレアチーズケーキのようなクリームがとても合う
・グルテンフリーショコラといちごのアンサンブル
米粉のチョコレートケーキと苺のコンフィチュールとフレッシュ苺のアンサンブル。型抜きしたケーキの端は低温オーブンでカリカリに焼き、フードプロセッサーで細かくして上から振りかけることで、さまざまな食感と味のマリアージュが楽しめる
・ベリーとチアシードのマチェドニア
春らしい軽やかなベリーを使ったチアシード入りのスープデザートのマチェドニア
フレンチの技法を動物性不使用で
講座では、フランス料理のフォンやソース、スイーツに使う様々なクリーム類をマクロビオティック流にアレンジしたものを教えていただけます。
それらはとびきりに美味しく、動物性不使用なだけでなく、陰陽バランスも考え健康にも配慮したものです。
レクチャーの中には些細で素朴なコツや技が満載です。
シンプルな行程でありながら、コツを心得えてポイントを押さえれば、ワンランク上のプロの味に、、、
平田シェフのお話には、レシピだけではなく、料理を作る上で大切にしてほしいことが沢山散りばめられています。
たとえば、ブラマンジェは滑らかに空気を混ぜ合わせることで軽くふんわりと軽くなり、葛を使ったプリンは葛のコシを残すために濾すとよいそうです。
オレンジの種は実を崩さないように、竹串2本を箸のように使って取るのがよいといったちょっとしたプロの手間暇や、”なるほど”と言うことが端々に伝授いただけます。
甘味は、穀物由来の米飴、甘酒などは陽性。植物由来のアガペシロップやメイプルシロップは陰性と、マクロビオティックの原理で用途によって使い分けるそうです。
平田シェフのレシピは無限大、同じコースでも毎回違うメニューやスイーツを学べます。
料理は楽しくなければ続けられない
完成したスイーツたちを頂きつつ生徒さんとの会話のやりとりの中からお聞きした、シェフの料理の世界観に教えを得ました。
「プロの料理人はお客様にお金を頂いて料理を提供する意識があるから、家庭の主婦の料理とは違ってくる。
そして1人分から50人分と、様々なケースに対応するという”場数”を踏んでいる。
料理は真似から入るので構わない、しかし、真似やレシピ通りの同じものを作り続けていたらつまらなくなって飽きてしまう。
だから習ったものをベースに、自分なりのスタイルを築き上げることが大切になる。
そこには、自分の”感性”を盛り付けていくこと。
感性は磨かないと光らない。もともとみんな個性あるいいものを持っている。
いい音楽を聴いたり、美しい絵をみたり、美味しいものを食べたりして感性を磨けば、きっと自由でその人なりの素敵なセンスがきらりと光るお料理に生かされるはず。
毎日入ってくる食材を見ながら、今日は何を作ろう?と新しいことをしていく。
料理はやったもの勝ち。」
平田シェフは、食べてもらうことも学びと、味付け前の味と後の味もとても大切にし、生徒さんや研修生にも伝えているそうです。
そしてハゼの研修生のまかないも、お店の味を覚えるのも研修と、シェフご自身が作られることもしばしばあるそうです。
味を身体と五感で覚えることこそ、真の食育なのですね。
講座では、これからオープンするお店の動線や使い勝手を考えたレイアウトや、厨房機器のことなど細かな個人的相談にも乗っていらっしゃいました。
平田シェフのお料理から、そしてお人柄からも沢山のファンがいることに改めて納得の時間となりました。
シンプルモダンナチュレ流・唯一無二の世界観を持つ平田シェフの講座や、Hazeでの研修制度についてはホームページにてご確認ください。
【平田 優(ひらた あつし)シェフプロフィール】
1961年生まれ。
東京のフランス料理店で20年に渡り料理長を務めた後、マクロビオティックと出会い、故久司道夫氏認定のマクロビオティックレストラン「クシ・ガーデン」総料理長に就任。
パトリシオ・ガルシア・デ・パレデス氏よりマクロビオティックの基礎を習い日々研究を重ねる。日本の伝統食がベースのマクロビオティク料理にフランス料理の技術とエスプリを融合させたシンプルモダンマクロビオティックを創作する。
2006年、スパイラルLLCを設立。シンプルモダンナチュレクッキングスクールを立ち上げる。
2012年、福岡県久留米市に拠点を移し、古民家レストランHaze(はぜ)のオーナーシェフ、料理教室の運営などを中心に活動している。
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