味噌ドクターが語る、発酵食と健康の美味しい話。「腸と胃を整える食べるくすり やさい麹」出版イベント

内科医・味噌ソムリエ・野菜ソムリエ・料理研究家などなど、たくさんの顔を持つ、関由佳(せきゆか)先生の新刊「腸と胃を整える食べるくすり やさい麹」の出版イベントに参加してきました。

医師として、さまざまな角度から検証し、実践してきた食のこと、健康のことについて、専門的な解説も交えた内容。美味しく、楽しい話がぎっしりつまった、出版イベントの様子をレポートします!

普通の食事で病気になる!?栄養が偏りやすい現代人の食生活


イベントの冒頭部分は、少々難しい話からスタート。現代人に多い慢性疾患の一因として考えられる食生活について、解説してくれました。

内科医として、病気の患者さんの食生活を調査したところ、驚くことに食事の約80%が精製された炭水化物で占められており、タンパク質は約9%ほどだったそう。

これではミネラルやたんぱく質が不足し、栄養バランスが崩れ、腸内環境も悪化します。

患者さんの多くは、特に食べ過ぎている訳ではなく、手軽に取れる外食中心の食事をした結果、糖尿病や肥満などの病気になっていたということでした。意外と働き盛りの若い人にも多いということです。

また、食材は、加工することでどんどん栄養価が下がってしまうので、外食や手軽に取れる食事では、摂取できる栄養素の量や質も変わってしまうそうです。

また、そもそも土地の栄養が昔に比べて少なくなっている結果、その土で育つ野菜から取れる栄養も減っています。

本来、江戸時代の頃の、排泄物や生ゴミを堆肥として利用したりする循環型の暮らしが、栄養豊かな土のためには自然なこと。

対する現代では、人がサプリメントで栄養を補うように、痩せた土に肥料や農薬などの手を加える、ある意味不自然なことが起きているそうです。

その他、日本人の食生活の特徴である魚をたくさん食べる習慣が、図らずも、生物濃縮された海洋汚染物質を取り込むことにもなり、より栄養のバランスを崩しやすくなっているというお話もされていました。


と、ここで、「固い話ばかりでごめんなさいね!後半、じゃあどうすればいいか、という解決もお話しますのでご安心ください!」という先生の言葉に、会場は安堵した和やかな空気となり、貴重な食と健康についての「特別授業」は、腸内環境のお話に続きます。

「病気の元は消化不良から」腸内環境のための美味しい話


関先生は、ご自身の持病を治すために訪れた、インドのアーユルヴェーダの治療先で、そのメソッドを学びます。

そこで出会った「病気とは消化力が落ちること。毒素が体に溜まることで病気になる。」という考え方に、医療の専門家としても、ご自身の体験としても、深く納得されたそう。

ストレスにより胃酸が出にくくなり、食べたものが未消化(大きい分子)のまま腸に送られ、免疫細胞が過剰に反応する(アレルギー)ことが、ストレス社会と言われる現代で、アレルギーや慢性疾患が増えた一因だそうです。

また、腸と脳は繋がっているので、腸内環境の乱れは思考にも影響するとのこと。


「腸内環境の乱れには、日本古来からの伝統食、発酵食品が効く。」

先生が発酵食の価値を再認識したのは、意外にもニューヨークでの味噌作り体験。ヴィーガン料理を学ぶ学校で、栄養についても学んでいた頃でした。

初めて作る手前味噌は、思ったよりも簡単で美味しく、体の調子を整えてくれている実感もあったことから、麹への探求を深めていきます。

日本古来からの食文化、発酵食品ですが、残念ながら市販されている味噌など、発酵食品の多くは、熟成を早めたり、添加物を加えたりしているため、腸内環境を整える本来の発酵食品としての効果を期待しにくいものが多いそうです。

もはや発明!簡単便利な「やさい麹」の試食会


そして、満を辞して登場した先生の発明、食べるくすり「やさい麹」。自宅でも簡単に発酵食品が作れます。

会場では、実際に作り方のデモンストレーションがありました。といっても、難しい手順はなく、材料(無塩のトマトジュース・塩麹・塩・水)を混ぜて放っておくだけなので、超簡単。

清潔な保存容器に入れて、1日に1回かき混ぜて、とろみが出てきたら完成です。


こちらが先生お手製の「トマト麹」。冷蔵庫で1週間ほどの保存が可能です。


みんなで試食会。手前が混ぜて発酵させただけのもので、奥がミキサーで滑らかにしたものです。

食べてみると、スイーツかと思うくらい甘く、優しい麹の風味と塩味が絶妙で、とにかく美味しい。参加していたお子様も「これもっと食べられる!」と大喜びで、おかわりをしていました。

美味しいだけでなく、トマトの抗酸化力に加え、食物繊維と米麹の働きで、腸内環境も整えてくれます。お料理への使い方としては、和えてサラダにしたり、肉じゃなどの和食のだし代わりにと、マルチに活躍してくれます。

その他、盛りだくさんな「やさい麹」の作り方や健康効果・レシピは、「腸と胃を整える食べるくすり やさい麹」に詳しく掲載されています。

参加者からあった「やさい麹は加熱してもいいんですか?(酵素の効果がなくなる?)」という質問については、「大丈夫。熱を加えることで生きた麹菌は摂れないけれど、発酵食品をとる目的は生きた麹菌だけではありません。」とのこと。

発酵食品は、発酵の段階で微生物が作る代謝生産物や、素材に含まれる栄養素も摂取出来るから、加熱しても体内では有益に働く、ということです。

日本人と麹のいい関係


「麹ってすごく日本人ぽいんですよ。」

麹の働きと日本人の気質が似ている、という独自の考え方も興味深い先生の話。

例えば、味噌作りでは、初期の段階で麹菌が活躍します。材料を発酵させ、空気中の他の菌が生息しやすい環境を作ることで、乳酸菌などの有用な菌が、空気中から味噌に入ることができます。

そして、味噌作りの最終的な段階では、様々な菌により熟成が進んでいきますが、その段階では麹菌はほとんどいないそうです。

他の菌たちが活躍しやすい場を作る。そういう麹菌の性質と、日本人の、空気を読んだり、人と人とを繋ぐ場づくりが得意な感じが似ている、とのこと。

また、発酵食品は、発酵の段階で「見えない何か」が働き美味しくなっていくもの。

「目に見えない何かの働きを、目に見える形で体験出来る。発酵食品ってすごいって思いません?」と、発酵食品をリスペクトしている先生。

これからは、病気の人を治すのではなく、病気にならないことを目指す活動を、食べるくすり「やさい麹」や味噌などの発酵食品と共にスタートします。

そこに至るまでには、長年ご自身を苦しめた慢性疾患の体験がありました。

しかし、「医師なのに(自身を)治せない」という医師としての葛藤を乗り越えた時、世間の思い込み(=医者が患者を治す)が外れ、「自分の体は自分で治すもの。」として、先生の気持ちが大きく方向転換します。

完治した今では、病気が自分の本当にやりたい道へ導いてくれた、という感謝の気持ちが大きいそう。

また、「やりたいことやるには健康でないと出来ませんから。」と、医師としての枠に囚われず、やりたいことへ一歩踏み出す人たちの健康を、応援していきたいそうです。


写真右は、今回のイベント会場を提供している、医師石黒伸(いしぐろしん)先生。

関先生とは、健康のために食生活の大切さを提案する医師仲間として、交流されているそう。石黒先生は、コールドプレスジュース専門店「HARU JUiCE」のプロデュースもしています。


イベント後には、サイン待ちの行列が出来たくらい、大盛況のうちに終了しました。先生の今後の活動が楽しみです。

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Yasmin

Yasmin

育児ときどき音楽家。元オーガニック食品店店長。アレルギーの娘と自分への優しい暮らしを研究中。
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