マクロビオティックにみる季節の食べ方や過ごし方「夏」編 〜しあわせこよみごはん〜

更新日:2019/08/08 公開日:2018/06/14

あっという間に今年も6月となり、半年が過ぎていこうとしています。

積雪も多く寒かった冬から一転、春の季節は短くて、急に真夏のような暑さに見舞われることも。草花の生育も早く、梅は例年より一ヶ月ほど前に実り、梅雨の季節がやってきました。

毎年ニュースでも目にするように、冷夏や猛暑、暖冬など四季の変化が著しく、身体のコントロールも難しいなと感じている方が増えているかもしれませんね。

そんな中でも暦に意識を向けることで、生活のリズムを整えていけたらいいなと思います。

「夏」は太陽の季節です。大地に降り注ぐ強い日差しもあれば、台風や雷雲が発生し夕立なども多く、エネルギーの循環を強烈に感じる時です。

高温多湿のこの時期は、熱が内側にこもりやすい方も多く、過ごし辛さを訴える声をよく聞きます。

元々、クーラーや冷蔵庫などが無い時代の日本家屋は、暑くてジメジメした夏を、いかに快適に過ごすかということに焦点を当ててデザインされています。

それほど日本人は、「夏」を意識した暮らしに重点を置いてきました。

夏野菜や果物を水に入れて冷やし、家の周りに打ち水をして「涼」を取ることを楽しんできたのです。


暦の上では6月6日に「仲夏」に入り、7月7日より「晩夏」となり、8月7日の「立秋」前までを「夏」と呼んでいます。(ちなみに5月5日から6月6日までを「初夏」といいます。)

2018年の二十四節気「夏」

  • 芒種 6月6日〜:稲や麦などの種。種播きの時期。
  • 夏至 6月21日〜:梅雨と重なり実感しづらいですが、一年で一番昼の時間が長い時期。
  • 小暑 7月7日〜:梅雨明けが近く、本格的な暑さが到来する時期。
  • 大暑 7月23日〜:最も暑い時期とされるが、立秋の後の方が暑いことも多い。また夏の土用もこの頃。
  • 立秋 8月7日〜:秋の始まりだが、実際には一年で最も暑い時期。この日を境に「秋」となる。

こうした暦の意識を何となく頭に入れておくことも、自然の流れを感じつつ体調を整える上で大切です。

湿気が多く暑い日本の夏を快適に過ごすために、今回も「しあわせこよみごはん」のメンバーから、暮らしの知恵をお届けしていきます。

「夏」を快適に過ごすために 〜夏の食べ方


夏は陰陽五行では「火」のエネルギーであり、心臓・小腸・循環器系の働きと密に関係しています。まさに暑く照りつける太陽のエネルギー「火」ですから、よく運動し汗をかくことで循環を促し、体温調節をする季節でもあります。

農作業では最も忙しい時期ですから、農家の人々は体をよく動かし汗もたくさん流すので、体内の循環も良く特に大きな問題がないかもしれません。

現代社会では、外では灼熱の日差しを浴びても、会社に戻ると仕事場は凍えるほど冷えた空調の効いた部屋、その中で一日中座りっぱなしの生活という方も少なくありません。汗もかけず、屋内外の気温差で体の巡りも滞ってしまいます。

身体にこもった熱を逃がすためには、クーラーの温度を下げるのではなく、さっと火を通した夏野菜や生野菜を食べて身体を冷やすのが良いでしょう。

また、お豆腐などはタンパク質も豊富。冷えたものはより身体を冷やしてくれますので、暑い日の冷奴はオススメです。

スイカやキュウリなどのカリウムの多い食材も、ナトリウムを外に排泄してくれるので、夏にはオススメの食材です。

身体を冷やすばかりの食材ではなく、汗を沢山かいたら梅干しやレモンなどを採って、効率的に塩分とクエン酸を補充する。そうすることで疲れも溜まらずスッキリ過ごせます。野菜のピクルスなどを常備しておくのもオススメです。

暑いからといって、冷たいアイスやジュースなどの過剰な摂取は、胃腸を弱め消化力を下げてしまいます。また夏が終わってから内臓への負担を増加させてしまう恐れがあるので、ほどほどに楽しむことが大切です。

夏の時期は体温を上げなくて良いので、高脂肪のものや高カロリーなものは多く必要ではありません。冬の時期と比べると、運動量が同じであるならば、食事の量を減らすことも良いでしょう。

また塩分過多や塩分不足にも気をつけましょう。摂取する塩分の質にはこだわり、天然塩と呼ばれるものをお使いください。

体調によって個人差はありますが、この時期に経験を積んだ指導者がいる場所で、ノーソルトの生活やローフードで数日過ごしてみると、身体が軽くなるという方もいらっしゃいます。


夏に起こりやすいトラブル、ダメージを受けやすい臓器

心臓系の病(心筋梗塞・動悸・不整脈・高血圧・低血圧・動脈硬化など)、循環器系のトラブル(血液循環の悪化または停滞など)、高コレステロール、赤ら顔、のぼせ、熱中症、舌のトラブル(舌を噛む、呂律が回らないなど)、不眠症などの睡眠障害、意識障害、小腸に関連した消化系の病気

夏にオススメの食材

夏野菜(胡瓜・茄子・冬瓜・ピーマン・オクラ・トマト・ゴーヤなど)、苦味のある食材(豆腐・天然塩・三年番茶・緑茶・セロリ・パセリ・春菊・クレソン・大根葉・ごま塩など)、赤米、とうもろこし、高きび、八丁味噌、キヌア、アマランサス、梅干し、クコの実、人参、海苔、寒天、空豆、金時豆、白いんげん豆、ゆかり、紫蘇、ハーブ類、柑橘系の皮、香辛料

夏に控えた方がいい食材

よく焼いた動物性食品(焼肉・焼鳥・焼魚・ハンバーグ・ベーコン・卵焼き)、動物性加工品(ハム・ソーセージなど)、脂肪の多い動物性食品(牛乳・チーズ・乳製品など)、化学調味料、魚卵、卵など

夏にオススメの調理法

生野菜のサラダ、プレスサラダ、短時間での調理(高温/強火でさっと揚げるもしくは炒める)、炒る、さっと湯がく、色や材料の多い料理、野菜のマリネ


※これから定期的に以下のメニューとコラムをお届けいたします。

◎「梅雨を快適に過ごす工夫/梅干し・梅酢で爽やかに」〜Yuki
【メニュー】
切り干し大根とふのりの梅酢和え、かぼちゃの梅サラダ
玉ねぎとトマトの梅酢マリネ

◎「身体にこもる熱と心臓。トマトで熱の循環・発散を」~Rika
【メニュー】
トマトを使ったお料理

◎「血液さらさら・食事で動脈硬化を防ぐ!夏の時期の上手な穀物の摂り方」~Miyumi
【メニュー】
とうもろこしとキヌアのご飯・コーンプリン
ごまピリ辛そうめんと・コーンと豆腐の塩麹レモンサラダ

◎「猛暑続きの夏、クーラーは控えめでも大丈夫! 体温調節には熱を逃がす苦味のある食材で」~Hiroko
【メニュー】
苦味青菜の胡麻白和え、ゴーヤのスパイス炒め
季節のフルーツのソイヨーグルトムース

しあわせこよみごはんがお伝えしたいこと


こよみにあわせた食材(旬のもの)には力強い生命力があり、美しく、何より美味しいです。

“まごころ”を込めて調理するあたたかな気持ちは、食材にも食べる人にも伝わります。

こよみに寄り添い、人に寄り添い、自分の心にも寄り添って。

いのちをつくる日々のごはんが、皆様の穏やかさと健やかさとなりますように。

そして楽しく幸せな日々をおくれますように。

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大槻広子

大槻広子

KIJ(クシマクロビオティック)公認インストラクター
リマクッキングスクール師範科修了
JAMHA認定 ハーバルセラピスト

都内や横浜のマクロビオティックレストランやオーガニックカフェで経験を積み、現在は自宅サロン「Tsukinoki」で料理教室やイベントの開催したり、個人でパーソナルシェフとして活動中。地域に根づいた自然に寄り添う暮らしを目指しながら、日本の文化を見直すきっかけを「食」を通じて紹介している。