【プチマクロ的アスリート食】いつまでもチャレンジできる体を手にいれよう!Part1 意外と身近にある植物性食(Plant Based Food)≪前編≫

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、食の多様性が求められている日本。

会社でも、社員の国際化とともに社員食堂の食の多様化が求められており、その流れから、べジタリアン食やビーガン食を提供するレストラン・社員食堂が増え始めています。

また、海外で出版されている植物性食にまつわる本が翻訳され出版されるなど、菜食への関心も増えています。

海外では様々な理由からベジタリアン食やビーガン食を摂る人は多く、スーパー・レストラン・会社のカフェテリア等でも、ベジタリアン食やビーガン食を気軽に選択することができるのです。

後編はこちら
【プチマクロ的アスリート食】いつまでもチャレンジできる体を手にいれよう!Part1 意外と身近にある植物性食(Plant Based Food)≪後編≫

■「Part2 チベーションとやる気を出して元気に1日を過ごすための朝食」はこちら:前編後編
■「Part3 ちゃんとした食べ物でエネルギー補給」はこちら:前編

西邨マユミさんと一緒にお伝えしたい「植物性食とその魅力」


植物性食は国境・宗教等に関係なく、みなが一緒に食べられる食事ですが、「健康」という視点からも、アメリカでは早くから医療費問題の解決策として、予防や根本的な治療を目指す医療(主に予防医学・自然療法・機能性医学)分野で注目されています。

その特徴は、「発症原因を改善するには適切な食事を摂る」という考えで、最近では地中海式食事法・植物性食が科学的にも効果的とわかってきています。

そして、健康の為に、「パーソナルトレーナー」だけでなく、適切な食事とエクササイズを通じて心身のバランスを整え、元気でチャレンジできる自分になる為に、「ヘルスコーチ」をつける人も増えており、健康寿命を延ばすことが注目されています。

そこで、長年マドンナのパーソナルシェフを務めた西邨マユミさん(注1)(著者と同じIIN™(注2)出身のヘルスコーチ)と一緒に、私たちヘルスコーチが推奨する「自分らしくチャレンジし続けられる体を手にするためのヒント」を、4回シリーズでご紹介します。

シリーズの概要


このシリーズでは、海外で注目されている植物性食と、アスリートやコーポレートアスリート(注3)と呼ばれるビジネスエグゼクティブが実践している食事・食べ方を参考に、

(1)常に結果を出すことを求められているアスリートやビジネスエグゼクティブ(起業家・社長・役員等会社経営幹部)の方々
(2)スポーツを通じていつまでも元気で自分らしく健康でいたい方々

に意識してほしい、「疲労回復」・「体内炎症」をテーマに、食に関する考え方・食材・レシピをご紹介します。

また、このシリーズでご紹介するレシピは、西邨マユミさんが提唱する「プチマクロ」(特別な調理法・特定の食材のみを食べるといったものではなく、「調味料を良質のものに替える・旬の食材を選ぶ」とう考え方)(注4)をベースにしたプチマクロ的アスリート食です。

Part1では、私たちヘルスコーチが推奨する「自分らしくチャレンジし続けられる体を手にするためのヒント」の基本となる考え方・食材・レシピを、そしてPart2~Part4では、より具体的な考え方・食材・レシピをご紹介します。

なぜアスリートとビジネスエグゼクティブが植物性食に注目しているのか?


アスリートは、試合で結果を出す為に日々ハードな練習・トレーニングをして、競技のパフォーマンスの向上を目指します。

そこで大切なのが、コンディショニング作り・怪我予防です。「あまり知られていないビーガンアスリートとその食事」でご紹介しましたが、海外では、動物愛護・環境保護という考え方だけでなく、「疲労回復」「パフォーマンス向上の為の抗炎症食事」という視点で、ローフードやビーガンフードを摂るアスリートが増えています。

ビジネスエグゼクティブは、ビジネスで常に結果を出すことが求められ、その為に努力を惜しまず、高い仕事倫理を持ち業務を行っていることから、海外では「コーポレートアスリート」と呼ばれることがあります。

コーポレートアスリートもトップアスリート同様に、肉体的・メンタル的なストレスを適切に管理する目的で、「良いものを食べてよいプレーをしよう」という考えのもと、ローフードやビーガンフード等、植物性食を積極的に摂っています。

このように、コンディショニングの一環で、アスリートやビジネスエグゼクティブには、サプリメントだけではなく食事で炎症のコントロールをする人が増えているのです。

炎症とその原因*


発熱したり、運動時に捻挫をして足が腫れたりする症状を経験したことがあるかと思います。これは、体が危険を察知して、傷ついた細胞を治そうとする結果現れる「防御反応」です。

つまり、炎症とは、外傷・細菌の侵入・薬物等の作用に対して、生体に起こる防御的反応を指します。

捻挫のように急性的な炎症の場合、炎症の期間は怪我をした時から怪我が治る時までです。しかし、問題なのは、炎症の期間に終わりがないような場合、つまり炎症が不要な状況なのに長期にわたり継続する状態です。これを慢性的炎症といいます。

炎症が慢性的になるとあらゆる症状が現れます。典型的なものとして、関節痛・消化器の不調(注5)・高血圧・高血糖・肥満等が挙げられます。

もうひとつ注目されているのが腸の炎症。腸が慢性炎症を起こすと、腸そのものを破壊しながら、主要臓器・脳・筋肉・骨など、身体中へ飛び火します。そして、全身が慢性炎症となって負の相互作用が始まることで、体調不良が発生すると言われています。

炎症が慢性的になる原因は様々ですが、原因の1つとして「生活環境」が挙げられます。例えば、

  • 食生活(加工食品・添加物・白砂糖を過剰摂取したり、肉製品・卵・肉製品を摂取し、野菜等抗酸化作用のある食材をあまり食べない食生活)
  • ストレス
  • 運動不足
  • 過度な運動(オーバートレーニング、適切なリカバリーが無い)
  • 不眠・睡眠不足

などは、慢性的な炎症の原因になると考えられます。

植物性食には炎症をコントロールする栄養素が含まれている


食事で炎症をコントロールするには、抗酸化作用の豊富な栄養素(ビタミンA・C・E・セレニウム・ルチン・リコピン・βカロチン・ファイトケミカル(フラボノイド・アントシアニン・カロテノイド))を含む食材を摂ることが大切です。

欧米では、慢性的炎症予防法として、これらの栄養素を含む食材が摂れる地中海式食事法(注6)や腸内環境を整える食事(注7)が注目されています。

腸内環境を整えるために有効なのが、食物繊維を摂ることだというのは、皆さんご存知かもしれません。食物繊維には強力な抗炎症作用があるため、どのような野菜にも炎症を抑える効果が期待できるようです(注8)。

腸内環境を整えると免疫やホルモンバランス等が整い、各臓器の不調が改善されます。他に、精神安定に重要なセロトニンも、大半が腸で生成されることから、腸内環境のケアはより注目されています。

また、急激な血糖値の上昇を抑える食材や食べ方も、炎症を抑えるのには効果的です。

アスリートとビジネスエグゼクティブが考える「健康な体」


アスリートとビジネスエグゼクティブは、どのような状況でもベストなパフォーマンスをするために「疲労回復食」「パフォーマンス向上の為の抗炎症食」を好んで食べ、そして瞑想・休息(睡眠を含む)等、ストレス解消法に積極的に取り組んでいます。

意識の高いアスリートとビジネスエグゼクティブは、「常に全ての人にとってこれが適切、という決まった食事ではなく、十人十色の個体差を考慮したアプローチ」が適切であることを理解しています。

また、自分の体調やライフステージに合わせて適切なものをバランスよく食べており、その為に、パーソナルトレーナー・ヘルスコーチ・パーソナルシェフ等を活用しています。

また、トップアスリートは、時期によっても必要なものが異なっていることを理解しています。(例えば、オフシーズンとシーズン中や試合前後では、競技内容とトレーニングメニューによって積極的に摂る栄養素は異なりますし、年齢によっても異なります)

パフォーマンスの向上や結果を出すという目標を達成する為の絶対条件が、「健康な体」。

それには、「抗炎症・腸内環境」を意識することが大切だということが、科学的にもわかってきており、海外のトップアスリート・コーポレートアスリートは、健康な体を得るために、日ごろから「抗炎症・腸内環境」に良いとされる食事を摂っています。

海外生活が長い西邨マユミさんは、「日本的なマクロビオティックに限らず、良質な調味料を使い、全粒穀物を基本に季節の野菜を豊富に取り入れ、タンパク質・脂質もできるだけ植物性で補う『和食』は、地中海食と同様に優れている」と考えています。

後編では、「疲労回復」「パフォーマンス向上の為の抗炎症」が期待できる身近な食材と、家庭で簡単にできる西邨マユミさん監修の「プチマクロ的アスリート食」のレシピをご紹介いたします。

注釈:

  1. 西邨マユミさんのプロフィール マクロビオティック・ヘルス・コーチ/パーソナル・シェフ 日本パーソナルシェフ協会顧問/一般社団法人オーガニックヴィレッジジャパン(OVJ)アドバイザー 1982年に単身渡米、マクロビオティックの世界的権威である久司道夫氏に師事。その後マサチューセッツ州のクシ・インスティテュート・ベケット校の設立に参加し、同校の料理主任および料理講師に就任。同時に、がん患者や子どものために食事を作る経験を通して、また働く女性でも無理なく続けられるよう、時代のニーズに合ったマクロビオティックのあり方を提唱・実践しています。2001年より通算10年間にわたり歌手マドンナ一家のパーソナル・シェフをつとめ、ワールドツアーにも参加。その他にもブラッド・ピット、ミランダ・カー、スティング、ガイ・リッチー、ゴア元副大統領など多くのセレブリティに食事を提供してきました。現在は国内外で精力的に活動中です。
  2. IIN™はヘルスコーチ養成専門学校です。この学校の特長は、ホリスティック統合栄養学をベースに、生物学的個性を考慮し、食事・ライススタイル・エクササイズ・スピリチュアルを包括的にみて、その人にあったコーチングを行う技術を学ぶことができる点です。食事のバランスのみならず、人を取り巻く様々な環境のバランスをとることで、人間が本来もっている心身の軸と治癒力を整えるコーチングを学びます。IIN™卒業のヘルスコーチは、クライアントが自分らしく心身ともに健康になり、目標達成できるためのオーダーメードコーチングを行い、その結果人生の質を高め、持続可能な健康と幸福を得ることができるようにコーチングを行います。また、医療従事者と連携して、病気を治す為の食事や生活習慣の改善等のコーチング、トレーナーや理学療法士と共にアスリートやスポーツ愛好家が目標達成する為の食事・生活習慣・モチベーション改善コーチング、会社社員教育・地域の住民のウエルネス教育を行ったり、料理教室を開催したり、パーソナルシェフをしたりと、幅広い分野で活躍しています。
  3. 「コーポレートアスリート」とは、ジム・レーヤー博士(メンタルトレナー)が開発したコンセプトで、高い仕事倫理・集中力・知性・自信を兼ね備え、常に結果を追求するプロフェッショナルや会社経営幹部らのことを意味します。
  4. 「プチマクロ」については、西邨マユミさんの公式ホームページを参照してください。また、実践方法をわかりやすく紹介した書籍は、「西邨マユミ/ハッピー・プチマクロ 上手にデトックスして美しいからだをつくる生き方」(講談社)」になります。
  5. 慢性的なストレスや不眠は腸を疲弊させると言われています。
  6. 地中海式食事法とは、イタリアやギリシャ・スペイン等、地中海沿岸諸国で食べられている伝統的な料理のこと。その特徴は、オリーブオイルやナッツ・豆類・粒粉など、未精製の穀物・季節の果物や野菜(特に色の濃い野菜)・魚介類・赤ワイン等の抗酸化作用のある食材を豊富に食べることです。
  7. 腸内環境に関連する記事:「菌活」で腸内環境のバランスを整えて、この冬を乗り切りませんか?
  8. Dietary Inflammatory Index and Colorectal Cancer Risk – A Meta-Analysis Nutrients 2017, 9(9), 1043 Nitin Shivappaら

*参考文献:Recognizing and Reducing Inflammation (Anti-Inflammatory Eating Made Easy by Michelle Babb, MS, RD, CD 2014 Sasquatch Books

合わせて読みたい!西邨マユミさんのインタビュー記事はこちら
「大切な命を作るのは、食事しかありません。」一生続けられる食事・マクロビオティックを世界で伝え続ける、西邨マユミ先生インタビュー≪前編≫
「マクロビオティックはユニバーサルな食事です。」体に良い食事から平和な世界を。西邨マユミ先生インタビュー≪後編≫

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Lottie

Lottie

IIN™公認ホリスティックヘルスコーチ 日本スーパーフード協会公認スーパーフードエキスパート ACCA公認スポーツ栄養スペシャリスト 料理研究家

ホリスティックヘルスコーチは、食事・ライフスタイル・エクササイズ・ストレスマネジメント等を包括的にみて、その人に自分の課題を気づかせ、自分らしく心身ともに健康になれるようにオーダーメードのコーチングを行います。1人でも多くの人が健康で幸せになれるように日々勉強中。