ヘルシーな仕組み、それが「フェアトレード」!ピープルツリー【自由が丘】≪中編≫

更新日:2019/02/01 公開日:2017/06/11

昨年25周年を迎えた、「ピープルツリー」は、日本有数のフェアトレード専門ブランド。

生産者と公平な取引を行い、生産者やその技術、製品、環境を守っていくその仕組みは、伝統技術や、生産量の少ない手作りの製品を途絶えさせないためにもとても大切なものです。

フェアトレードカンパニー株式会社の広報担当、鈴木さんに様々なお話を伺っている今回のインタビュー。中編では、「フェアトレード」について、さらに詳しく紹介していきます!

≪前編≫ どこかで見たパッケージ?おしゃれなフェアトレードチョコレートからベジ仕様が登場!ピープルツリー

フェアトレードは、「作り手を守る」。


「ピープルツリーでは、バイヤーさん向けの展示会を1年前に行っています。通常は半年前など、もう少し遅いタイミングで行うことが多いのですが、弊社で取り扱うフェアトレード製品は、手織り、手編みなど、作るのに時間がかかります。納期に間に合うように、生産者さんのスケジュールに合わせた日程組みをしています。」

生産者に急がせるのではなく、そこに合わせてこちら側がスケジュールを調整することにより、製品の品質が保たれ、生産者さんも安心して仕事に集中できる。

作り手に合わせ、作り手を守るのが、フェアトレードの仕組みです。


「定期的に弊社のスタッフが現地に赴き、商品開発や技術指導などに加えて、生産者さんの残業状況、安全面のチェックも行っています。これにより、品質の確保、また表面上だけではなく、生産者さんに負担がかかりすぎていないかを確認することができています。」

取引する生産者の数を増やせば、製品供給も増えますが、ピープルツリーではそのようなことは行いません。

それは、生産者さんのコミュニケーションを通じて生産環境を正しく把握するため。日本のスタッフが現地に定期的に顔を出せる範囲内までしか、取引数は増やさないのがポリシーです。

「文化の違いもあり、お互いの『当たり前』が通じません。生産者さんの文化を理解するために、丁寧にコミュニケーションを取ることを心掛けています。」

フェアトレードは、「人と環境を守る」。


フェアトレードは、「持続可能」なことも大切です。

原料を作ってくれる生産者にお金を払うことができないと、その製品は作ることができなくなります。

「生産者さんに適正な報酬をお渡しすることが大切です。またその支払いについても、必要な場合は先に生産者さんにお渡しする方法を取っています。現金が入る確信のもと作る方が安心して作業に取り組めますよね。生産者さんにとって、報酬はそのまま生活費に直結していくもの。そのあたりは、発注者さんにもご理解いただき、早い段階での予約発注をいただくなどのご協力をお願いしています。」

生産者に適正な報酬を渡すためには、商品価格も適正な設定にする必要があります。

ピープルツリーでは、「いくらで売りたいから、仕入れ値はこれだけしか払いません」と、一方的に買い叩くのではなく、現地できちんと生活していけるだけの賃金を確保しながら、日本という市場で売れる価格帯とのバランスを、現地と話し合いながら決めています。


グローバル経済のもと、日本に限らず世界中で、あらゆる方法を使って、少しでも価格を安くするという意識が当たり前になっています。

しかも、生産者が発注者側にできるだけ合わせる、生産者が苦しくなりがちな上下関係がまだまだ主流。しかし、作ってくれる人がいなければ、その製品は手に入れられなくなります。

本来は、より対等な関係であるべきです。また、対等な関係の方が、安定した生産供給ができ、発注者側も安心、それにより長く関係を継続でき、お互いハッピー。全て良いサイクルで回っていくはずですよね。

「きれいごとではなく、意識が高いわけでもありません。自分がその製品を欲しいと思うのであれば、その製品を作ってくれる人や環境を「買い手である“自分”が守る」という意識も大切です。自国で作ることができないものの恩恵を受けているわけですから。それに適正な対価を支払うのはまっとうなことです。」

作る側だけではなく、発注する側や購入する側も、その製品を守る気持ちを持つこと。それは、できるだけ安く買う、有利に手に入れる、という気持ちを捨て、製品に対して適正な価格を支払う、ということにつながります。

「現社長(ジェームズ・ミニー)は、幼少期にアフリカで生活をしていたことがあります。先進国に有利な、不均衡な貿易の仕組みに疑問を感じていました。上下関係があることにより、発展途上国の一般の人が暮らしていけなくなる現実があるのです。」

フェアトレードを知ることは、世界の問題を知ることにもつながります。

フェアトレードは、「作り手の顔が見える」。


ピープルツリーでは、どのように生産者と出会い、取引をしているのでしょうか?

「世界フェアトレード機構(WFTO)が生産者さんとのマッチングの場を設けているんです。展示会のような感じですね。そこで生産者さんを探しています。」

現在は、15か国、約140の団体とお付き合いがあるというピープルツリー。継続できることを重視し、いたずらにお付き合いを増やすことはせず、サポートができる範囲で取引を行っています。

「誰が作ってくれたのかがわかるのも、フェアトレード製品の価値の一つです。食べる方にも生産者さんがどんな方なのか伝えることができるように努力をしています。」


写真の方は、ウガンダでパイナップル畑を切り盛りしているリタさん。有機栽培のベテランであり、地域のとりまとめ役としても活躍している方なんだとか。

こんな風に生産者さんがわかる製品は、安心感があると同時に有難さも増し、大切に食べられる気がしませんか?

「『買うことで、作ってくれた人を応援している』という実感も得やすいと思います。」

フェアトレードは、「製品の流れが見える」。


普段何気なく購入する製品。どんな人達が関わって、どういうルートで自分のところに来ているか、知っていますか?

「フェアトレードでは、製品の生産工程の透明性が大切だと考えています。作り手の顔が見え、それがどのように収穫され、日本に届くのか。日本でどのように製品化されているのか。」

作る側が生産工程を見せることができるということは、無駄なものを入れず、シンプルなものを作ることができている、ということ。

隠すところが何もない、クリーンな生産工程である、ということです。製品を購入する側にとって、何より安心できますよね。

日本ではフェアトレードに対する認知はまだまだ低いですが、欧米では一般的な考え方。このような意識を持ち、生産者や製品を知る、守ることは、「グローバルな視点を持つ」ということにもつながります。

つまり、フェアトレードは、「ヘルシーな仕組み」!


フェアトレードは、生産者や環境を守り、持続可能な物づくりを支える仕組みです。そして、関わっている人が見える、シンプルな流れ。無駄なものをできるだけ取り除き、購入する人達が安心して手に取れるもの…。

これって、何かと似ていませんか?

そう、Vegewel Styleでも数多く紹介している、ビーガン食やベジタリアン食と、考え方が同じなのです!

大量生産ではない、厳選した質の良い原材料を使い、その味が生きるような調理をする。添加物などはできるだけ使用せず、シンプルに、安心して食べられるものを提供する…。

言うならば、フェアトレードとは、とっても「ヘルシーな仕組み」!

自分の身体にヘルシーなものを。そして、これからは、世界にあふれる製品たちも、少しずつヘルシーに。一人一人が「知る」ことで、そんな理想に近づいていくことができるのです。

≪後編≫へ続く…
次回は、ピープルツリー誕生の経緯や、ピープルツリーの活動、想いについて。お楽しみに!

≪前編≫ どこかで見たパッケージ?おしゃれなフェアトレードチョコレートからベジ仕様が登場!ピープルツリー

※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。

店舗情報

ピープルツリー 自由が丘店
東京都目黒区自由が丘3-7-2
03-5701-3361
営業時間:11:00~20:00(年末年始を除き、年中無休)

ピープルツリー池袋東武店
東京都豊島区西池袋1-1-25 東武百貨店池袋店3F 10番地
03-6912-5311
営業時間(東武百貨店 池袋店に準拠) 月~土:10:00~21:00 日:10:00~20:00 (月曜日が祝日の場合は、21:00まで)

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AYA OKUDA

AYA OKUDA

フードコーディネーター
食育インストラクター
食空間コーディネーター
フードライター
食の美味しさ、楽しさ、大切さを発信すべく、地道に活動、勉強中。
得意分野は、日本の伝統行事食、食の日本史・世界史、テーブルコーディネート。
好きな分野は、カレー、ビール。