「本質」を見て「シンプル」なものを。私達も「選ぶ目」を養うことが大切。ピープルツリー【自由が丘】≪後編≫

更新日:2019/02/01 公開日:2017/06/12

日本を代表するフェアトレード専門ブランド「People Tree(ピープルツリー)」。

広報担当の鈴木さんに様々なお話を伺っているインタビューも、今回がついに最終回。

だいぶフェアトレードのことをイメージしてもらえるようになったでしょうか??後編は、ピープルツリー誕生の経緯や、ピープルツリーが行っている活動、フェアトレードに対する想いを紹介していきます!

≪前編≫ どこかで見たパッケージ?おしゃれなフェアトレードチョコレートからベジ仕様が登場!ピープルツリー

≪中編≫ヘルシーな仕組み、それが「フェアトレード」!ピープルツリー

フェアトレードから始まったピープルツリー。


ピープルツリーの創設者は、イギリス人のサフィア・ミニーさん。現社長、ジェームズ・ミニーさんのパートナーです。二人は、バブル時代に日本での生活を始めました。

「バブル時代の日本は、新しいものに価値を見いだす時代でした。異様なまでの大量生産に、大量消費。対してサフィアとジェームズは、シンプルな生活の質を重んじるベジタリアン。また、良いものを、必要なだけ供給する、フェアトレードや、古いものに価値を見いだすリサイクル活動にも積極的だったため、日本での価値観に疑問を感じていました。」

サフィアさんは、日本でフェアトレードやリサイクルの活動を行なっている企業や団体を探し、少しでも世の中に知ってもらうために、その情報を英語で発信していくNGOグローバル・ヴィレッジを立ち上げます。

「どこで自然製法の製品が手に入る、どこでリサイクルができるなど、情報発信を続けていると、その考えに共感し、『紹介されている商品をを購入したい』と言ってくれる人が出てきました。それで始めたのが、通信販売です。1983年のことでした。これがピープルツリーの始まりです。」

サフィアさんは、情報発信のNGOだった通販部門を事業化。「アースカタログ」という手作りのカタログを作って商品販売を開始します。

自分達が食べたい、使いたいと思えるようなフェアトレード製品だけを載せたカタログ。人の手を介し、仕事が多く発生する衣料品を主力商品とし、オーガニック、自然製法の食品も取り扱っていました。


しばらく通信販売の会社として経営を続けていたピープルツリーですが、あることをきっかけに自由が丘に旗艦店を持つこととなります。

「フェアトレード・チョコレートが新聞で紹介されたんですが、かなりの反響で。問い合わせ先として掲載されていた自由が丘の自宅兼オフィスに、お客様が押し寄せてしまったんです(笑)。」

これは大変!でも、こんなに反響があり、直接販売できるのであれば、お店を持ってやってみよう。そうして、自由が丘店に、ピープルツリー第一号店が誕生します。

現在、直営店は、自由が丘店と池袋東武店の二店舗。それ以外に、前編でも紹介したような雑貨屋さん、アパレルショップなど、多くの店舗でピープルツリーの商品が取り扱われています。

「食品だけ扱っていただいているところもありますし、セレクトショップで衣料品など多くの商品を扱っていただいてるところもあります。現在、3,000店以上(企業数ではなく、店舗数)の店舗さんとお付き合いさせていただいています。」

その想いに共感した店舗が増え、現在では様々なところで手に取ることができるようになったピープルツリーのフェアトレード製品。通販から始まったピープルツリーは、今や日本を代表するフェアトレード専門ブランドに成長をとげています。

ピープルツリーのファンだった鈴木さん。


鈴木さんは、もともとピープルツリーが好きで、ドライフルーツを良く食べていたそう。

「ピープルツリーは、自由が丘店ができた頃から知っていました。書店でカタログが販売されており、友人とみんなで共同購入したり。そんな中、たまたまピープルツリーで広報を募集しているのを知って、すぐ応募しました(鈴木さんは前職でも広報を担当されていました)。入社面接の時に、『ドライフルーツ・マンゴーをキロ単位で食べているので、誰よりも魅力を語れます!』とアピールしました(笑)。」

入社してから2年半が経ったところですが、お客さん歴はかなり長く、商品情報を熟知している鈴木さん。お話を伺っていても、ピープルツリーの商品への愛情をひしひしと感じます。しかもお客様目線からのお話も伺えるので、とても説得力があるお話ばかり。

そんな鈴木さんに、食生活で気をつけていることを伺ったところ、こんな答えが。

「できる限り自炊をしています。また、余計なものが入っていない、シンプルな食材にこだわっています。時間に余裕がある時は、お肉屋さんや八百屋さんなど、専門店でお店の方と会話しながら買い物をするようにしています。これはピープルツリーに入社する前から心掛けていたことです。」

できるだけムダがなく、シンプルに。直接良いものを選択し、それを継続する。鈴木さんの食生活に対する意識、これもフェアトレードに繋がるものですよね。

ピープルツリーは鈴木さんにとって、入るべくして入った会社と言えるかもしれません。

フェアトレードを当たり前のものに。ピープルツリーの活動。


「ピープルツリーでは、2016年9月から『フェアトレードの学校』という活動を始めています。フェアトレードとは何か?その歴史は?ピープルツリーがやっていることなどを、セミナーでお話する活動です。生産者さんに実際にお話していただくこともあります。」

鈴木さんは広報担当として、実際にセミナーでお話をする立場。高校など、学生に向かって話す機会も多いそう。

「フェアトレードを知ってもらい、早いうちから商品の選び方、賢い消費の仕方を学ぶのは、とても大切なことだと思います。今はファストファッションが台頭しています。学生さんでも安く気軽に新しい服が買える時代。それはそれで良い側面もありますが、賢い消費の仕方を知らないと、必要ないものまで購入してしまう傾向があります。今は中学生でも、持っている服の3割は、タンスの肥やしになっているんだそうです。商品に愛着や想いがなく、気軽に買いすぎている結果です。」

今は、学校の家庭科の時間で、フェアトレードを学ぶ機会があるんだそう。

昔と比べ物が溢れている時代、消費者教育はますます重要になってきています。私達も、自分なりの「物を選ぶ目」を養わなければなりません。


ピープルツリーでの、今後のさらなる活動について伺ったところ、鈴木さんは。

「洋服のリサイクルをやっていないんですか?というお問い合わせはよくあります。確かに弊社のポリシーにマッチする事業ではありますが、我々が全てを手がけていろいろなことが手薄になるより、すでにそのノウハウがある企業さんにお任せしても良いのでは?と考えています。」

手広くやりすぎて、本来の業務に手が回らなくならないようにしています、と鈴木さん。個人的にも、1人だけが100点満点にがんばるより、多くの人が自分の得意分野でちょっとずつ担うほうが、より大きな成果が出ると考えているそう。

新しい事業を始めるとしても、今の事業の質が落ちないように、丁寧に。そして、ピープルツリーの原点は、あくまで「フェアトレード」。このぶれないポリシーが、ピープルツリーが長くお客様に支持されている所以です。

ちなみに、フェアトレードの認知度は、20代前半が一番高く、40~50代男性が一番少ないそう。これを、老若男女満遍なく認知していくのも、ピープルツリーの目標です。

できることから少しずつ。持続可能なフェアトレードを。


「フェアトレードは自分にやれる範囲で細く長く続けていくことが大切です。ストイックになりすぎず、使命感を持って苦しくならずに、その食品が美味しかったら、その製品が気に入ったら、続けていけば良いものだと思います。」

まずは「可愛い!」「美味しい!」「欲しい!」から。買ってみてパッケージを見たらフェアトレード製品だった。そこでフェアトレードを知り、続けていく。そんな流れが理想だと鈴木さんは話します。

中でも食品は、単価も安く、フェアトレード初心者には入っていきやすい商品です。

「フェアトレードって、つきつめると『まっとうなこと』だと思うんです。良いもの=本物を選び、企業努力で無駄なものを減らし、それを消費者に納得して買ってもらう。日本でも『三方良し』という言葉がありますよね?売り手良し、買い手良し、世間良し。これってまさにフェアトレードです。日本人が昔大切にしていたことを取り戻すという意味でも、国内のフェアトレードの認知をあげるのは大切なことだと思っています!」

知ることでがんじがらめになるのではなく、知ることで選択肢を広げ、楽しむことが大切。

フェアトレードを知り、自分の選択の幅を広げることは、グローバルな視点であると同時に、日本人が本来持っていたシンプルな気質を取り戻すことにもなるのかもしれません。

※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。

≪前編≫ どこかで見たパッケージ?おしゃれなフェアトレードチョコレートからベジ仕様が登場!ピープルツリー

≪中編≫ヘルシーな仕組み、それが「フェアトレード」!ピープルツリー

店舗情報

ピープルツリー 自由が丘店
東京都目黒区自由が丘3-7-2
03-5701-3361
営業時間:11:00~20:00(年末年始を除き、年中無休)

ピープルツリー池袋東武店
東京都豊島区西池袋1-1-25 東武百貨店池袋店3F 10番地
03-6912-5311
営業時間(東武百貨店 池袋店に準拠) 月~土:10:00~21:00 日:10:00~20:00 (月曜日が祝日の場合は、21:00まで)

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AYA OKUDA

AYA OKUDA

フードコーディネーター
食育インストラクター
食空間コーディネーター
フードライター
食の美味しさ、楽しさ、大切さを発信すべく、地道に活動、勉強中。
得意分野は、日本の伝統行事食、食の日本史・世界史、テーブルコーディネート。
好きな分野は、カレー、ビール。