人気急上昇のナチュラルスイーツ「デーツ」。デーツの伝道師に奥深い魅力を教えて頂きました!

栄養価が高いのにカロリーは控えめ、美容や健康にも良い効果が期待出来ると近年注目が集まっているドライフルーツ「デーツ」

中近東や北アフリカの砂漠地帯原産の「ナツメヤシ」という木の実で、現地ではとてもポピュラーな食べ物です。しかし、日本ではまだどんなフルーツなのか、普段の食生活でどのように活用出来るかあまり知られていません。

そこでVegewel代表の播(はり)が、中東産デーツ輸入販売の第一人者である山田隆史さんにインタビュー。日本の消費者にデーツの魅力を発信し続けている”デーツの伝道師”である山田さんに、その基礎知識から便利な活用法までを詳しく教えて頂きました。


USOUQ(ユースーク)株式会社 山田隆史(やまだたかふみ)
前職時代にドバイでデーツに出会い、その美味しさと可能性に感動、日本人をデーツで美味しく健康にしたいという強い思いを抱く。個人事業主としてデーツ専門商社を創業し、2017年にUSOUQを設立。中東と日本を行き来しながら、デーツの美味しさを広める事業に努める。

今回ご紹介する商品

初対面ですっかりデーツのとりこになった


言葉の端々に”デーツ愛”があふれる熱いお話を聞かせてくれた山田隆史さん

播:本日はよろしくお願いします。山田さんが輸入し、サステナブルマートでも販売している「デーツクラウン」ブランドのデーツですが、実は個人的に大ファンなんです。


アラブ王室御用達の逸品でもある「デーツクラウン」のデーツ

播:「ちょっと甘いものが欲しいな」という時によく食べるんですが、濃厚な甘みがあって、たった数粒でとても満足感がありますし、それでいて後味はスッキリ。ミネラルを中心に、ビタミン、タンパク質、食物繊維などの栄養素もたっぷりと、天然の果物ならではのヘルシーさも気に入っています。

まずは、そんなデーツと山田さんの出会いからお話し頂けますか?

山田:いつもご愛用ありがとうございます(笑)。

デーツとは約8年前、前職のIT企業で働いていた時に初めて出会いました。アラブ首長国連邦(以下、UAE)のドバイを営業で訪れた際、現地の業者からデーツの猛烈な営業を受けまして。

播:そうなんですね。先方からはどんなアプローチがあったんですか?

山田:彼らが何千年間も食べ続けてきていて、毎日のおやつにもなっているデーツは健康にも大きなメリットが期待出来ます。また、彼らはどうやら日本人のスイーツ好きを良く知っていたようで「日本のスイーツのマーケットはすごくビッグだろうから、ヘルシースイーツのデーツは日本人にニーズがあるはずだ!」とぐいぐいプッシュされました(笑)。

それを聞いた当時の勤務先の社長が「試しにちょっと販売してみようか」となって、私が担当を任されることになったんです。私自身デーツを初めて食べた時、やさしい甘みの美味しさにすごく感動しました。調べてみると、栄養豊富で健康にも良いことが確信でき、デーツの魅力をもっと多くの方に知ってもらいたい、そう心の底から思いました。

播:実際に日本で販売をスタートしてみて、売れ行きはいかがでしたか?

山田:当時、日本ではデーツの知名度がほとんどなかったこともあって、会社が期待するほどは売れませんでした。そして、企業としては一旦販売をストップすることになったんです。

でも、私自身はデーツにすっかり夢中になっていました。「この素晴らしさを何とか日本の人に広めたい。デーツを食べる文化を日本に根付かせたい。ドライフルーツ以外にもシロップやペーストがあって、ケーキやパン、シチューやカレーの甘味や旨みの原料として使ってもらえば食品添加物も少なくて済む。これは、ビジネスとしても絶対に面白いはずだ」と強く思うようになっていたんです。

そこで、当時の社長にお願いをして余っていた在庫を安価に買い取らせてもらい、会社をやめて独立、デーツの輸入販売業を個人で始めることにしました。

当初苦戦続きだった、日本でのデーツの個人販売


食べ応えも十分のデーツは一粒約7.5〜8g。中の種も天然の証

播:会社員時代の勤務先との契約を山田さんが引き継ぐことになったわけですね。

山田:そうなんです。会社の事業とはいえ、私がメイン担当として現地企業ともやり取りをしていました。先方も私をいち会社員というより個人として見てくれていたようです。私のデーツへの想いも理解してくれていて、「改めて新しい自分の会社で売ることにしたよ」と言ったら「これまで以上の規模でやれるようになるね。我々も出来る限り応援するよ!」と約束してくれました。


中東現地での打合せの様子

播:それほど信頼関係を築かれたとはすごいですね!とはいえ、日本人にまだなじみのない段階でデーツの輸入販売を個人でスタートし、最初は苦労もあったのではないですか?

山田:そうですね。全国を車で回って行商するところから始め、当初の主なお客様は、日本に住んでいるイスラム教徒「ムスリム」の皆さんでした。一方で日本の方々にはなかなか買って頂けなくて。なにしろ食品業界の知識もコネもない中で始めたものですから。どうやったらスーパーの棚に商品を並べられるのか・・・何もかもわからず、手探り状態でずっと悩んでいました。

個人事業を株式会社にしたのが6年前のことです。それでも販路がうまく広がらず、ある方から「日本全国からバイヤーが集結する食品の展示会(見本市)に出展してみては?」とアドバイスを頂いたので、出展することにしました。

その展示会でいろいろなバイヤーの方に食べてもらったところ、「初めて食べるけどすごく美味しいね。砂糖も入ってないのに甘みも旨みもしっかりあっていいよ。お客さんに提案してみるね」と、とても高い評価を頂いたんです。これが突破口になって、徐々にですが、スーパーなどで取り扱って頂けるようになっていきました。

クレオパトラも好物だった!?デーツの奥深い魅力


25mにもなる高木・ナツメヤシにどっさりと実るデーツは、まさに自然の豊かな恵み

播:そんな苦労があっての、今なんですね。デーツを扱っている現地の企業やブランドは数多くあると思いますが、山田さんが「デーツクラウン」を選ばれた理由はどんなところにあるのでしょうか?

山田:「デーツクラウン」は、UAE政府が運営する国営の関連企業です。この企業は、UAE中の農園で作られたデーツのうち、規定のクオリティー以上のものを毎年一定の価格で買い取っています。

農家の収入が保証されることによって、農園の生産者は毎年安心してデーツ栽培を続けることが出来ます。「デーツクラウン」は、中東地域が大切にしてきたデーツの食文化と、デーツの生産者を守りながら、発展させようとしているんです。

さらに「デーツクラウン」の工場では、海外の最新鋭の製造装置を導入してデーツを加工し、海外の優秀なデザイナーが作るパッケージに入れて商品価値を高め、世界各国へデーツを届けています。UAE産のデーツと、その美味しさを広めて行くために最大限の努力をしているわけです。品質の高さはもちろんのこと、そんな素晴らしい仕組みに感銘を受けたことも「デーツクラウン」と取引をしたいと思った大きな理由のひとつです。

播:なるほど。先ほど「デーツは中東地域の歴史的な食文化」というお話がありましたが、現地でのデーツの位置づけはどのようなものなのですか?

山田:UAEを例にお話ししますね。ドバイに代表されるように、今でこそ高層ビルがたくさん建っているイメージのある地域ですが、40〜50年前まではそんな立派なビルはひとつもありませんでした。


紀元前8000年から栽培されているといわれるデーツ。高温下での保存性にも優れ、砂漠の民の生命を支えてきた

山田:当時は砂漠があって、その周りを海が取り囲んでいて、そこで獲った魚のほか、ラクダのミルクや肉を、遊牧民と呼ばれる人々は食べて暮らしていたんです。そんな自然環境では野菜が育ちにくいため、自生しているデーツ(ナツメヤシの木の実)を、貴重な栄養補給元、日常食として食べていました。

今でも遊牧民の皆さんは、ポケットの中にデーツを5、6粒入れた状態でラクダを引いて歩いていて、汗をかいたり小腹がすいたりすると食べます。デーツには夏バテに有効だと云われるミネラルが豊富に含まれているんですが、そのことを彼らは昔から経験として知っていたんです。

さらに、古くはクレオパトラが美容のために好んで食べていたとか。中東諸国がヨーロッパと海上で戦争をした際に、ヨーロッパ海軍は船上で食料が高温で腐敗して栄養失調に苦しんだのに、中東諸国側は暑い中でも長期保存がきくデーツを食べて元気だったため、戦いに勝利したなんていうエピソードもあります。

播:へぇ面白い。デーツにはそんな歴史があったんですね!

山田:デーツは日中の気温が50〜60度近くにもなる砂漠の過酷な環境で生き抜かなくてはいけなかった中東の人々の生活になくてはならないもの、単なる嗜好品以上の食べ物なんです。

イスラム教の聖典『コーラン』にも、デーツは「(体に良いから)毎日食べなさい」と書かれているほどで、現地では”神の与えた果実“と呼ばれたりもしています。

ある意味で、宗教的な尊敬の念を一身に集めているような存在です。イスラム教の寺院であるモスクの柱にはナツメヤシの葉がデザインされていますし、デーツの形をした高層ビルもあります。現地通貨ディルハムの紙幣にはデーツがたわわに実ったナツメヤシの柄が印刷されたりしているんですよ。


モスクの柱に豪華に装飾されたデーツの木

播:まさに、現地の文化・社会の一部となっているフルーツなんですね!

ダイエット中もOK!デーツの2大人気品種とは?


アーモンドやクルミなどのナッツとの相性も抜群のデーツ

播:デーツには数百も品種があるそうですが、サステナブルマートで販売している「クナイジ種」と「カラース種」には、それぞれどのような違いがあるのかを教えて頂けますか?


黒くて光沢のある「クナイジ種」のデーツは高級感もたっぷり

山田:まず「クナイジ種」ですが、これは「デーツクラウン」が扱っている品種の中で一番人気の品種です。酸味が少なく、黒糖や黒蜜のような味わいが特長です。食感はふっくらと柔らかく、皮が口に残りにくいのでどなたでも召し上がりやすいかと思います。

現地では、コーヒーや紅茶のお供にとても良く食べられています。また、日本の緑茶やほうじ茶などのお茶請けとして、デザート感覚で召し上がって頂くのがおすすめです。


UAEのホテルなどでは、スパイスの利いたアラビックコーヒーと一緒に供されることもあるデーツ

山田:運動前後の効率的な栄養補給としてや、GI値が低めということもあってダイエット中の甘味に召し上がる方もよくいらっしゃいます。

播:こんなに甘みが濃いのに、ダイエット中に食べてもいいんですか!?

山田:そうなんです!一粒わずか19〜20kcal程度なので、仮に2〜3粒食べてもトータル60kcalにしかならないので安心です。ダイエット中は時折甘いものがすごく欲しくなるものですが、甘みが濃厚なデーツなら数粒でも十分満足できます。しかも、ミネラル、食物繊維、ビタミン、タンパク質といった栄養素も一緒に摂れるのがメリットです。

播:もうひとつの「カラース種」はいかがでしょうか?


「カラース種」は現地で最も良く食べられている品種

山田:「カラース種」はクナイジ種より粒が大きめで色も茶色です。味わいはクナイジ種よりもマイルドで、現地ではキャラメルのような味とよく言われます。「カラース」はアラビア語で「もう終わり、皆(=もう十分)」という意味です。これは「カラース種のデーツを食べればそれ以上は何も食べなくてよいくらい美味しい」ことからのネーミングで、現地ではクナイジ種に並ぶ人気の品種です。

調味料としても優秀なデーツ


デーツのシロップ。ハチミツ代わりに使え、お子様も安心して食べられる

播:日本ではドライフルーツとしてのイメージが強いデーツですが、「シロップ」や「ペースト」もありますよね。それぞれのおすすめの食べ方や使い方について伺えますか?

山田:「シロップ」はハチミツやメープルシロップのように、パンケーキやヨーグルトにかけて召し上がる方が多いですね。

ハチミツと違って植物性なので、プラントベースの食生活を好む方にも安心して使って頂けます。ハチミツやメープルシロップよりも総合的な栄養価の高さが特長です。

あとは料理の際にうま味調味料やみりん代わりに使って頂くのもおすすめです。ソースやたれの甘味、旨み出しに最適ですし、和食の煮物にもよく合います。料理が一味もの足りない時の調整役として活躍してくれますよ。


デーツのペースト。スプーン等ですくってそのまま手軽に使える

山田:「ペースト」は、お菓子づくりのつなぎ代わりや甘味、旨み出しに練り込んで使うのに便利です。自家製のグラノーラとか、プロテインバー、和菓子の材料にしたり、「月餅」など中華菓子の餡として使ったりも出来ます。

デーツから種とヘタを取り除いてすりつぶしているだけなので栄養価が高く、カレーやシチュー、パスタのソース、スムージーなどにも幅広く使えます。

播:今日はデーツについて今まで知らなかったことをたくさん伺えてとても面白かったです!最後に、山田さんの今後の展望やビジョンをお話し頂けますか?

山田:天然の甘みと栄養で健康にもしっかり役立てられる。デーツは世界的に見ても数少ない、希少なパーフェクト・スイーツだと思います。日本の方の味覚にもマッチしたデーツをこの先10年、50年、100年と長く食べていけるように、デーツを食べる文化や習慣を日本に根付かせる活動を続けていけたらと思います。

播:本日は貴重なお話を本当にありがとうございました。ますますデーツにハマりそうです(笑)。

山田:それは本当に良かったです!こちらこそ、どうもありがとうございました。

USOUQ(ユースーク)の商品

こちらの商品はVegewelがユーグレナと共同で運営するサステナブルマートで販売中です。

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