協同開発で「腸が喜ぶ乳酸発酵おやつ」誕生 〜 発酵の「COBOウエダ家」と焼菓子の「練馬かすたねっと」〜

更新日:2019/02/01 公開日:2017/11/29

このたび、自然発酵乳酸菌を使った、100%植物性のおやつの発表記念パーティーを、Vegewelスタッフが取材しました。

「COBOウエダ家」は日本古来の乳酸発酵を家族で研究し、独自製法した自然発酵乳酸菌のフリーズドライパウダーを販売している企業として有名です。

現在の発酵ブームの先駆者であり、発酵食品研究・発酵教室・出版物などを通して「菌と共生する生活」の提案をしています。

この自然発酵乳酸菌を使って、「練馬かすたねっと」が素材の甘みを引き出した、砂糖を使わないおやつを製造することになりました。

コンセプトは「腸が喜ぶ3時のごはん=おやつ」。

今回発表されたのはおこめチーズ・海藻の発酵・玉ねぎのうまみの三種類のクラッカー。そしてセミドライりんごです。

乳酸発酵クラッカーの詳細とお味は


*おこめチーズ 3本入り
原料:国産小麦粉・有機紅花油・国産塩・有機バジル・有機オレガノ・自然発酵乳酸菌

米の自然発酵により発生した乳酸菌を使用していて、これが本当にチーズのような味を出しています。忙しい朝など、おこめチーズと飲み物だけでもかなり満足感が得られそう。

*海藻の発酵 6枚入り
原料:有機全粒粉・真昆布・有機紅花油・海苔・国産塩・一味唐辛子・自然発酵乳酸菌

昆布酵母を使用。磯の香りと程よい塩味でお酒のお供にも良さそうです。

*玉ねぎのうまみ 6枚入り
原料:有機全粒粉・有機玉ねぎ・有機オリーブオイル・ブラッククミンシード・国産塩・自然発酵乳酸菌

玉ねぎの甘みとコクが効いていて、噛めば噛むほどおいしい。

甘いものや、添加物使用のおやつをたくさん食べるのは罪悪感がありますが、クラッカーはどれも安心してお腹を満たすことができます。おいしくて体に良いおやつは本当にありがたいですね。

*乳酸発酵ドライフルーツ セミドライりんご
原料:国産りんご、有機紅花油・自然発酵乳酸菌

セミドライりんごはそのまま試食してもおいしかったのですが、これを練りこんだパンがまたおいしい。

しっとりして、パン生地の甘みとセミドライりんごの甘み・酸味が絡み合っていくらでも食べられそうです。パンだけでなく、いろいろなお菓子や料理に応用できそうです。

全て、砂糖・乳成分・トランス脂肪酸・ベーキングパウダー・アミノ酸調味料は不使用です。

自然発酵乳酸菌を使うことで砂糖を減らせる


試食してみると、全ての商品に、砂糖を使っていないのに優しい甘みが感じられます。セミドライりんごは、特に強い甘みを感じて驚きました。

乳酸発酵は甘みを引き出す作用があるのです。

「ウエダ家の自然発酵乳酸菌」は無農薬米自然発酵パウダーとして市販もされています。ライターも愛用していますが、専ら豆乳を発酵させてヨーグルトを作る時だけ使用しておりました。

しかしウエダ家さんに使い方を聞くと、ジャムや小豆あんを作る時も、これを使うとしっかり甘くなるので、砂糖をかなり減らせるということです。

「腸が喜ぶ3時のごはん=おやつ」は作り手も食べ手もハッピーに


そして、自然発酵乳酸菌のこの働きを活用して、今回の創造的なお菓子を作ったのが、手作り焼菓子店「練馬かすたねっと」。ハンディキャップを持つ方が多く働いている施設です。

練馬の商店街におしゃれな工房とお店があり、30年間、質の高い焼菓子を製造販売しています。もともと添加物を使わず、できるかぎりいい材料を使ってシンプルに作るという方針でやってきました。

レモンケーキ・アップルパイ・クッキー・プリンやカヌレ。どれも甘さ控えめで質のいいバターの香りが美味しい。

施設長の矢吹さんは、スタッフ全員が自分らしく生き生きと、喜びを持って働く場所でありたいという想いを持っています。

商品を通して人の健康や幸福に貢献する2社の姿勢と、優秀な菓子職人の職人魂によって「腸が喜ぶ3時のごはん=おやつ」が開発されたのです。

自然の摂理に従って


上の画像はウエダ家の皆さん。ウエダ家が植物性の発酵食品に着目し続け、自然発酵乳酸菌のフリーズドライパウダーを生み出した経緯をご紹介いたします。

「ウエダ家の自然発酵乳酸菌」の製造元は、COBO株式会社。

代表の植田夏雄さんは元々グラフィックデザイナーです。

天然酵母パンの本をデザインする仕事をしたとき、パンよりもそこで出会った自家製酵母に「魅入られた」と著書の中で語っています。

そして発酵食の研究を重ねて「COBO Lab」自然発酵食品研究所をオープンし、市販の種菌や糖分を添加せず、素材の糖分と素材由来の自主微生物を活用するパンや料理を研究。

そのうちに、自然発酵をより簡単に安全に、誰でも扱えるようにするには、ウエダ家で培養した菌をフリーズドライにして供給するのが一番確実だと気づきます。

実はウエダ家で培養した天然酵母の菌叢(きんそう=多様な細菌の集まり)を調べてみると、そこは酵母菌だけの集まりではなく、酵母菌と乳酸菌が2:3の割合で共生している状態でした。

この絶妙なバランスが果物・野菜・穀物の自然発酵について、非加熱で雑菌不検出の結果を導いたのです。これは歴史的な快挙なのだそうで、特許出願中です。

なぜ非加熱で雑菌が繁殖しないのか。

それはウエダ家の自然発酵乳酸菌は、1種類の菌だけでなく、酵母菌と乳酸菌が共生している「菌叢」だから、ということです。

自然の摂理の過程を何一つ省かず、余計な手も入れずに育てる菌叢は大変元気で強く、雑菌を抑制するだけでなく、アルコール消毒などにも負けないというのです。単体の酵母菌、乳酸菌ならこうはいきません。


またウエダ家の自然発酵乳酸菌は添加物を一切を使っていません。

これも実はすごいことなのです。

一般に食品のフリーズドライを製造するとき、「デキストリン」という添加物を加えます。これがないとサラサラにならないというのです。

しかしウエダ家の商品はサラサラ。

その理由は、ウエダ家の乳酸菌が「乳酸球菌」という種類の連鎖球菌だからなのです。

これは天然のデキストリン(多糖類)を作るのだとか。

しかも、連鎖球菌はササニシキという種類の米を原料としないと育たないのです。

現代日本で作られる米はコシヒカリ系が主流ですが、ウエダ家では発酵を研究し始めた当初から、ササニシキを使う方が発酵がうまくいくと気づいていました。

ドライパウダーを思いつく前からササニシキを使っていたわけです。ササニシキこそが添加物不使用の鍵になるとも知らずに。製造業者もびっくりしていたそうです。

人基準ではなく、「微生物基準=微生物にとって最適な環境」を常に見つめてきた、ウエダ家の皆さんのユニークな活動が、これからどんな商品を生み出してくれるのか、ますます目が離せません。

発酵の楽しさに目覚める商品発表会


商品発表会では、ウエダ家の人気商品「におわないぬか床」で漬けた野菜もありました。におわない上、酸味も優しい。実は乳酸菌をうまく発酵させれば、ぬか床もにおわないということです。

「ウエダ家の自然発酵乳酸菌」をぬかに混ぜると、乳酸菌がよく育ち、におい成分を発生させる雑菌を抑えるのです。

その特性を応用して、水に溶かした「ウエダ家の自然発酵乳酸菌」を、魚や肉に塗ってから料理すると、臭みがなくなってさらにおいしくなるそうです。

また「練馬かすたねっと」で普段販売している丁寧に作られたお菓子も提供されました。

どれもおいしいのですが、特にカヌレが大人気。こちらはビーガン仕様ではありませんが、優しい甘さときめの細やかさでいくつでも食べられそうです。

そのほかにも、ウエダ家の自然発酵乳酸菌を活用したものが試食用として色々提供されていました。

豆乳ヨーグルト、アーモンドミルクヨーグルト、お米ヨーグルト。そしてそれらを使用した濃厚なクリームなど、植物性でも「乳酸発酵によって満足感が得られる」テーマの食品群。

乳酸発酵は雑菌を抑える作用と乳化作用があるので、それを生かしてバター・マーガリン・クリームに変わるペーストを開発中なのです。

濃厚でありながらさっぱりとした後味で、今回発売の3種のクラッカーとも大変相性が良かったです。

*商品の販売について
セミドライりんごは2018年1月から発売。3種のクラッカーは2月以降発売予定です。

お問い合わせはこちらまで。
COBO Lab
TEL/FAX 045-479-6259
info@cobo-net.com

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HANA

HANA

KIJ(クシインスティチュート オブ ジャパン) 公認マクロビオティック インストラクター、栄養士。
料理教室「Rainbow Kitchen 六本木」主宰。

1965年札幌生まれ。
自然と本物の食をこよなく愛す。
30歳の時に突然アレルギー発症して以来、マクロビオティックで心身の調整法を学ぶ。

レッスンは紹介制・単発制・デモンストレーション形式。
料理をしない方、野菜嫌いの方、男性の参加者にも好評。