マリンフードが手がける『ヴィーガンシリーズ』とは?国内製造のヴィーガンチーズやパンケーキを実食レビュー、商品開発にかける想いも取材しました!

コロナ禍を機に高まった人々の健康意識。その中で「食事」は、健康作りの上でとても重要な役割を果たしています。

日々の食生活を無理なく楽しみながら、さらに健康にも役立てられたら素晴らしいことですよね。

一方で、「菜食」を始めとした食のスタイルの多様化や「食物アレルギー」の問題など、私たちが食に求めることも複雑になってきています。

これまでVegewel編集部では、そんな今の“食”を取り巻く状況やニーズに応えられる商品をご紹介してきました。

そして今回、「これは!」と思えるヴィーガン対応の商品を新しく発見しました。それがマリンフード株式会社の『ヴィーガンシリーズ』です。

「ヴィーガンソフト(ヴィーガンマーガリン)」「ヴィーガンシュレッドチーズ」「ヴィーガンホットケーキ」の3つを取り寄せ、実際に試食してみました!

とことんヘルシーなヴィーガンフードシリーズ

製造販売元のマリンフード株式会社によるYouTube動画『アレルゲンが気になるご家族に!植物由来のヴィーガンシリーズ』より

試食レポートの前に、まずは「ヴィーガンソフト(ヴィーガンマーガリン)」「ヴィーガンシュレッドチーズ」「ヴィーガンホットケーキ」それぞれの特長をご紹介します。

「ヴィーガンソフト(商品名:私のおいしいヴィーガンソフト)」の特長


内容量は160gで365円(税込)。要冷蔵で賞味期限は製造日を含む240日

①動物性原料不使用
②食物アレルギー28品目不使用
③コレステロール0
④カロリー60%オフ(ソフトタイプマーガリンと比較)
⑤食物繊維(難消化性デキストリン)配合

「ヴィーガンシュレッドチーズ(商品名:私のヴィーガン植物シュレッド)」の特長


内容量は200gで390円(税込)。要冷蔵で賞味期限は製造日を含む120日

①動物性原料不使用
②食物アレルギー28品目不使用
③コレステロール99%以上カット(ゴーダチーズと比較)

「ヴィーガンホットケーキ(商品名:ヴィーガンホットケーキ)」の特長


内容量は200g(50g×4枚)、メープル入りシロップ・マーガリン各2個つきで425円(税込)。要冷凍で賞味期限は製造日を含む365日

①動物性原料不使用
②米粉使用、食物アレルギー28品目不使用
③アルミフリーのベーキングパウダー使用

どれも健康や安心・安全に配慮して作られており、現代の食生活事情にもマッチする商品であるとわかります。

マリンフード株式会社HP

各商品の詳細については、マリンフード株式会社のHPをご覧ください。
https://www.marinfood.co.jp/lp/vegan/

「こんなヴィーガン食材があったの!?」試食中は驚きの連続


ここからは実際に試食したレポートをお届けします!

「ヴィーガンソフト」は米粉パンのトーストに塗っていただきました。

冷蔵庫から出したばかりの状態でも意外なほど柔らかく滑らか。パンの上に塗り広げやすいことに驚きました。


クリームのようなほのかに甘く優しいテイストで、パン自体の味わいもしっかり楽しめます。

これほど満足感のある食べ応えなのに「コレステロール0」「(市販のソフトマーガリンと比べて)カロリー60%オフ」とはビックリ。

「ヴィーガンホットケーキ」はオーブントースターか電子レンジで加熱していただきます。加熱時間はトースターなら枚数に関係なく約1分半、レンジの場合は2枚で約1分半、4枚で約2分半です。

温め終わってトースターの扉を開けると、焼き立てのような甘い香りが鼻をくすぐって期待が高まりました。


食感はモチモチでフワッフワ。シロップとマーガリン(どちらも植物性100%)が付いていて便利です。

パンケーキ自体にも甘みとうま味があるので、まずはそのまま食べてみるのがおすすめ。今回はイチゴと一緒に食べたのですが、特に酸味のあるフルーツとの相性は抜群だと思います。

言われなければ、動物性原料不使用とは分からないほど、完成度の高いホットケーキでした。

一枚の直径は10㎝弱、約50gと小ぶりサイズです。お子さんでも簡単に食べきれますし、おなかのすき具合に合わせて枚数を調整しやすいのもいいですね。

「ヴィーガンシュレッドチーズ」では野菜のグラタンを作ってみました。

野菜に合わせる豆乳グラタンソースには同じマリンフードの「植物バター」を使い、白味噌もプラスしてコク深い味に仕上げました。

そして、こちらが焼き上がりの様子です。


表面にたっぷりのせた「ヴィーガンシュレッドチーズ」がトロリと溶けて、こんがりとした焦げ目もしっかりつきます。

従来のヴィーガンチーズにはない香ばしさとクリスプ感がとても好みでした。シュレッドチーズをただ焼いただけでも、おやつやおつまみとして楽しめそうです。

クセがない味わいなので他の食材と合わせやすく、いろいろな料理に活用できそうなポテンシャルを感じます。

さらに3商品ともにリーズナブルな価格設定なので、普段使いしやすいのではないでしょうか。

誰にも喜ばれる「美味しさ」を追及!オンリーワンの商品作りを目指して

前身となるミルクマリン株式会社の創立から2022年で66年。マリンフード株式会社の製造工場は現在、全国4か所にある

これほど魅力あふれるヴィーガン食品は、どのようにして生み出されたのか。ここからはマリンフードの開発担当の皆さんのインタビューをお届けします。

取材では、それぞれ御担当の課長さんや係長さんからお話を伺うことができました。

Vegewel編集部(以下、編集部):本日はありがとうございます。早速ですが、御社でヴィーガン対応の「ソフト」「シュレッドチーズ」「ホットケーキ」の開発が始まった経緯をお聞かせいただけますか?

担当課長:ヴィーガン対応の「ソフト」と「シュレッドチーズ」は2016年、「ホットケーキ」は2018年に発売しました。(動物性原料を使用した通常の)ソフト、シュレッドチーズ、ホットケーキはいずれも当社の主力商品です。

2020年の東京オリンピックに向けて、それらのヴィーガン対応版を発売したいと開発が始まりました。


オンラインでお話を聞かせてくださった「ソフト」担当課長の岡田さん(左)と「シュレッドチーズ」担当係長の柄崎さん(右)

編集部:東京オリンピックの際は、大会に参加する海外選手をはじめ、訪日外国人の皆さんの「菜食」対応への必要性が話題になっていたのを思い出しました。

担当課長:そうですね。当社は海外での食の動向にも注目しており、そういった中でより国際的な商品を生み出していこうとスタートしたのが『ヴィーガンシリーズ』プロジェクトです。

編集部:ヴィーガン食品の開発では、限られた素材を使って味の良さも実現することがとても難しいと聞いています。完成までにはご苦労があったのではないでしょうか?

担当課長:はい。たとえば私が担当する「ソフト」は、従来のマーガリンから「油脂分を抜く」という大掛かりな技術に取り組んだ商品でした。

「動物性原料不使用」「食物アレルギー28品目不使用」「コレステロール0」「カロリー60%オフ」「難消化性デキストリン配合」など、それぞれの単体でも商品化する価値がある特長を同時に盛り込むという、ある意味で欲張りな商品作りだったのも難しい挑戦でした。

編集部:「難消化性デキストリン」はとうもろこしなどのでんぷんから作られる食物繊維ですよね。トクホ(特定保健用食品)などでよく目にします。

商品の味わいや食感の特徴についても教えていただけますか?

担当課長:この商品では、通常のマーガリンのように油脂と水をミックスする代わりに、糖分を活用して製品の核になる部分を作っています。

その結果、クリームのような軽いテクスチャーで、ほんのりと甘い味わいに仕上がりました。これがお子さんにも塗りやすく、食べやすいと好評です。クリームと同じように、料理やお菓子のトッピングにもお使いいただけるんですよ。

編集部:「クリームのような」というのはまさに試食して感じたことでした。同じスプレッド系の商品で、動物性原料不使用の「植物バター」という商品もありますね。こちらはソフトとどのような違いがありますか?


パンに塗るだけでなく、お菓子や豆乳と合わせてパスタ用のクリームソースなども作れる「植物バター」は160g入りで335円(税込)

担当課長:「植物バター」はソフトよりもしっかりとした食べ応えをお求めになる方向けに、乳製品のバターよりも濃厚なうま味と味わいを目指した商品です。

乳製品のバターと比べてコレステロールを98%カットし、ココナッツペーストで自然な甘みも出しました。炒め物などの加熱調理に使っていただける点もソフトにはない特長です。

編集部:ありがとうございます。続いて「シュレッドチーズ」について担当の係長さんに伺いたいのですが、開発ではどのような点が難しかったでしょうか?

担当係長:本物のチーズらしさと、家庭のトースターでもしっかりとろける溶け感を出すのが大変でした。

どんな方にもチーズらしさを納得いただけるように試行錯誤を続けた商品です。海外の参考商品をかき集めるところから始めて、完成までに約1年半かかりました。

お客様のお声を受けて、今年(2022年)11月には風味と溶け感をさらにアップさせたリニューアル品を発売したばかりです。

編集部:原材料に「ひよこ豆」が使われているのも珍しいですね。

担当係長:実は発売当初はひよこ豆ではなく、アーモンドミルクを使用していました。

しかし、2019年にアーモンドがアレルギーの特定原材料に準じる食品に追加され、原材料を切り替える必要性が生じました。「食物アレルギーの方でも安心して召し上がっていただける」というコンセプトはどうしても守りたかったんです。

商品の原材料を途中で変更するのは簡単ではありませんでしたが、ひよこ豆に変えたことで従来品より風味がよくなる効果もあったんですよ。

編集部:そのほかにご家庭で使われる上でのメリットはありますか?

担当係長:「冷めてもやわらかい」ことはぜひお伝えしたいポイントです。

編集部:それはいいですね。家庭ではアツアツの状態で食事をとることが難しい場面もありますし、小さなお子さんにはやけどのリスクもあります。お弁当やパーティーフードなどにも重宝しそうです。

担当係長:ぜひさまざまなシーンでご活用いただけたら嬉しいです。

編集部:最後に、「ホットケーキ」の開発で大変だったことについても、担当の課長さんからお話しいただけますでしょうか?

担当課長:皆さんがイメージするようなホットケーキを「ヴィーガン対応」と「アレルゲン不使用」で作るため、乳・小麦粉・卵をはじめ、従来品の原材料の大半を変更する必要があり、それが最初の難関でした。

編集部:小麦粉を代替する原材料の候補として、当初は「ホワイトソルガム」「キャッサバ」「米」の3つがあったそうですね。その中から米粉を選んだのはなぜですか?

担当課長:原材料に「ホワイトソルガム」や「キャッサバ」と書かれていたら、食品に詳しい方でない限り「?」となってしまうので、誰でもわかりやすい米粉を使うことにしました。

米粉であることが、商品の特長である“もちもち食感”を生み出すことにも繋がっています。


白砂糖不使用のホットケーキは本記事で紹介している「ソフト」との相性がよい。付属の100%植物性のメープル入りシロップはカラメル色素不使用のもの

編集部:そのほかにも開発でこだわった点はありますか?

担当課長:美味しさはもちろんのこと、見た目の良さも大切にしました。ホットケーキの魅力であるこんがりとした焼き色を出したり、卵の代わりにニンジンジュースを使って黄色い断面を実現したり。

「ヴィーガン対応だから」「アレルゲン不使用だから」と妥協せず、理想のホットケーキを作ろうと心掛けました。私のホットケーキのイメージは、お母さんが子どもに作ってあげる食べ物です。

わが子に安心して食べさせることができて、小麦粉・卵・乳使用の通常のホットケーキと変わらない商品を作りたかったんです。

編集部:確かに。実際に食べてみて、「一般的なホットケーキとどこが違っていた?」と聞かれても、「美味しかった」以外のことを言える気がしません(笑)

担当課長:ヴィーガンかどうかや、食物アレルギーのあるなしに関わらず、どんな人にも楽しんでいただけることを目指したホットケーキです。

ヴィーガン料理に特化しているわけでない喫茶店で、「味やモチモチ食感が良い」と評価されてメニューに採用いただいたという話を聞いた時はとても嬉しかったですね。

編集部:それはスゴイ! 御社のホームページには「オーソドックスでありながら他社にはないオンリーワンの商品を作ること」、「美味しさこそが絶対条件」という商品開発の理念が書かれています。

「ホットケーキ」に限らず、「ソフト」「シュレッドチーズ」も、その理念をしっかりとカタチにしたものだということがよく分かりました。本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

担当課長・担当係長:こちらこそ、ありがとうございました!

日本の豊かな食卓づくりをサポートする『ヴィーガンシリーズ』


「ヴィーガンシュレッドチーズ」で作った‟しいたけのボロネーゼパスタ”。レシピはマリンフード株式会社のウェブサイトに掲載されている

今回取材したマリンフードの『ヴィーガンシリーズ』。シリーズ開発プロジェクトで中心的な役割を果たしている同社の吉村厚美専務にも後日お話を伺いました。

編集部:食品メーカーとしてシリーズに込めた想いについてお伺いできますか?

吉村厚美専務(以下、専務):『ヴィーガンシリーズ』の開発に関しては、その前身となった「スティリーノ」の説明が欠かせません。

「スティリーノ」は、弊社が開発した植物油脂が主原料のチーズ代替食材です。


「スティリーノ」を使用した商品にはシュレッド、スライス、ダイスなど多くのタイプがあり、さまざまな料理に使える

編集部:「スティリーノ」とはどんな意味なんですか?

専務:ギリシャ語の「ステノ(未来、先進))と「ティリ(チーズ)」という言葉を組み合わせた造語で、「‟未来のチーズ”を生み出したい」という我々の想いが込められています。2007年に発売を開始しました。

編集部:「ヴィーガンシュレッドチーズ」より9年も前に生まれた商品なんですね。

専務:はい。当時は原料価格の高騰で、メーカー各社がチーズ関連商品の値上げに踏み切らざるをえない状況でした。当社はその苦境を脱するため、「スティリーノ」の開発に着手しました。

代替チーズの研究をそれまで40年以上続けていたことが功を奏し、試行錯誤を重ねながらも商品化を実現できました。

編集部:昨今、食品価格の高騰が私たちの台所を直撃しています。そんな中で、購入しやすい価格帯の「スティリーノ」が改めて注目されていると伺いました。

専務:そうなんです。乳脂肪の代わりに植物油脂を使用し、「ナチュラルチーズに比べてコレステロールを最大98%カット」というヘルシーさや、「従来のチーズに遜色がないほど風味がよい」「冷めてもやわらかい」などの特性も支持されている理由だと思います。

そして、「スティリーノ」は弊社の改良と進化の歴史を象徴する代表的商品です。品質はもちろん、保存性や衛生面での課題、コストダウンなど無数のテーマに取り組み、その結果を具現化したものでもあります。

編集部:現在注目されている「SDGs」にもフィットする商品ですよね。

専務:「スティリーノ」はもともと、チーズの価格高騰対策として必要に迫られて開発した商品でした。それが16年経ったいま、コロナ禍における健康意識の高まりや、サスティナビリティというトレンドにも調和する商品に成長しました。

そこで、今後の菜食需要の高まりにも対応できる新商品をと、「スティリーノ」をさらに進化させたのが植物性原料100%の『ヴィーガンシリーズ』です。

「ヴィーガンソフト」「ヴィーガンシュレッドチーズ」「ヴィーガンホットケーキ」のすべてに弊社が長年培ってきたノウハウや技術が活かされています。

編集部:『ヴィーガンシリーズ』の特長でもあるヘルシー、美味しい、リーズナブルという3つのポイントは「スティリーノ」から受け継いだものだったのですね。実際、『ヴィーガンシリーズ』を食べた方の反応はいかがですか?

専務:ヴィーガンの方はもちろんですが、食物アレルギー28品目不使用であることから、食物アレルギーをお持ちの方々からも感謝のお声を多数お寄せいただいています。

弊社のホームページには商品を使ったレシピを多数掲載しています。皆様の食卓を素晴らしいものにしていただく一助としてご活用いただけたら、これほど嬉しいことはありません。

取材を終えて

インターネットの口コミでも高評価の『ヴィーガンシリーズ』。

その人気は、長い研究開発の歴史や無数の創意工夫、開発者の熱い想いによって実現していることがよくわかりました。そんなマリンフードの自信作、興味のある方はぜひお試しください。

豊かな‟未来の食”を支えるために進化を続けるマリンフードが次に生み出すヴィーガン商品が何なのか、今からとても楽しみです。

お話をお聞かせくださった吉村専務、開発担当の皆さん、本当にありがとうございました!

マリンフード株式会社HP

本記事で取り上げた各商品の詳細については、マリンフード株式会社のHPをご覧ください。
https://www.marinfood.co.jp/lp/vegan/

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