CHIKYU FARM TO TABLE〜地球の恵みを海の近くでいただく豊かさ〜【鵠沼海岸】
観光客で賑わう湘南の中にあって、マイペースで生活する人の街という印象の鵠沼海岸。海風が吹きわたる商店街の外れに「CHIKYU FARM TO TABLE/地球・ファーム・トゥー・テーブル」という小さなビストロがあります。
地元の新鮮なオーガニック野菜を積極的に使い、食制限のある人もない人も楽しめるメニュー構成。外装にもインテリアにも印象的なブルーを使ったお店です。
今回は、ブランドディレクターのエドワード・ヘイムス氏(以下エディさん)にお話を伺ってきました。
CHIKYU FARM TO TABLEの場所や詳細な情報はこちら
目次/Contents
地球の恵みを美味しくいただく
※スパイスマーケット 大豆ミートとカラフル野菜のキーマカレー(ビーガンの方は卵なしのオーダーが可能)
CHIKYUのメニューを見ると、料理写真はどれも野菜たっぷりでカラフル。
ギリシャ風、トルコ風、インド風、カリフォルニア風…とジャンルは多岐にわたり、珍しい料理も多いので、どんな味なのかしら!?とワクワクします。
「お料理のジャンルは多国籍料理ということでよろしいでしょうか」とエディさんに問うと、「あえて言うなら地球料理ですね」とお答えが返ってきました。
エディさんが世界中を旅して学んだ美味しいものを、レシピ作りに生かしているのです。
「どこの料理というより、とにかく地球からの恵みを一番美味しい食べ方で提供したいんです」
シーフードやお肉のメインもありますが、ビーガン向きのメニューもたくさんあります。
オーガニックを使うことで地球環境にも配慮したい
「CHIKYU」で使用する野菜は、できる限りオーガニック。
エディさんが直接いろいろな畑に行き、生産者とコミュニケーションをとって決めました。
例えば、神奈川県藤沢市の「にこにこ農園」や大和市の「マイクローブファーム」。
こちらは在来種の栽培にも力を入れています。
また京都大原の「アラヤファーム」からは、「鉄ミネラル野菜」という特別な野菜を仕入れています。
しかし、オーガニックな農法は特に天候に左右されやすく安定的な仕入れが難しいもの。それでも美味しさや健康を追求するだけでなく、環境を守る為にもオーガニック農家さんを支えたいという気持ちがあるのです。
パンはご近所の天然酵母を使用したパン屋さん「チコパン」から仕入れ、コーヒーはエチオピアの古代種などを使ったオーガニックブレンド、ワインもビオワイン中心と、全てに神経が行き届いています。
素材の個性を引き出す料理
エディさんの料理への考え方をよく表しているメニューの一つに「京野菜と湘南野菜のよくばりディップ」という美しい一品があります。
一見すると野菜を彩りよく並べただけのように見えますが、実は種類ごとに的確な方法で調理しています。それぞれの美味しさが一番引き立つようにしているので、それぞれに驚きがあり、飽きることがありません。
さらにディップがまたユニーク。
ロメスコ・ヨーグルトミント・味噌バーニャ・ブラックオリーブアリオリと、4種類のディップを組み合わせることで、さらにバラエティに富んだ味わいを楽しめます。
確かによくばりな一品ですね。
この日の野菜は、赤玉ねぎ・人参・ズッキーニ・インゲン・コリンキー・カリフラワー・ビーツ・ミニトマト。
玉ねぎ・人参・ビーツはロースト、インゲンは軽く茹でてあり、カリフラワーはピクルス、その他は生のままで、という風に。
また季節ごとに内容が変わるわけですから、野菜好きにはたまらない一品です。
世界中を旅して出会った「本物」たち
エディさんは実は写真家でもあります。
以前はカメラマンとして世界中を巡り、特にフランスの一流レストランには取材を通して深く関わりました。
ミシュランで星を持っている店のシェフにインタビューし、厨房で試食し、サービスの細かいところまで観察してきたのです。
ちょうど伝統的なフランス料理にヌーベルキュイジーヌの波が押し寄せ、やがてフュージョンが盛り上がってきた時代。
フランスでもバターやクリームの使用は控えられ、世界の独創的な調理法が取り入れられて、特にワサビ・山椒・海藻など日本料理の要素を取り入れることが流行しました。
どこの国の料理なのか、境界線が曖昧になっていきます。
「そういう変化の時期に世界のレストランを巡ったのは素晴らしい経験でした。その経験を通して料理に興味を持つようになったのです」
エディさんは料理人として働くようになり、カリフォルニアでは8年間シェフを勤めました。
「カメラマン時代の経験はとても勉強になりました。料理において、自分自身では三つ星レストランのような表現をしようと思いませんが、活かせたらいいなと思っています」
偶然の重なりがこの場所でのオープンにつながった
ところで、どうしてこの「鵠沼海岸」という場所を選んだのでしょうか。
実はこの「CHIKYU」は、著名な書道家 武田双雲氏のプロデュースのもとにオープンしたお店なのです。
「ここでレストランをしようなんて全然計画していなかったんです。本当にたまたま、偶然が重なって」と笑うエディさん。
エディさんがカメラマンとして世界中を飛び回っていた時に、たまたま乗った飛行機の機内誌で武田氏の記事を見て、個展を依頼したのが親交のきっかけ。
その後、エディさんが大好きなカリフォルニアのオーハイ(ロサンゼルスの北に位置する小さな町)へ、武田氏の家族と共に何度も旅行することになります。
オーハイでは食のみならず生活の全てがオーガニック。
地元の新鮮な野菜や果物のスムージー、ジュースなどがとにかく美味しくて「日本でもこういうものが食べたいよね」などと話しているうちに、当時小学生だった武田氏の息子さんが現在の物件をたまたまインターネットで見つけて、トントン拍子に話がまとまっていったとか。
「まさかこうなるとは思っていなかった。アメリカではなく、ずっと日本で仕事することになるとは思っていなかったですね」
偶然が鵠沼海岸というすばらしい場所へ導いてくれたとは…驚きです。
今後の目標
今後の目標についてエディさんにお聞きしました。
エディさんは長年スパイスの研究も続けています。カメラマン時代は中東やインド各地も巡って、現地のスパイスやハーブ使いを学んできました。
インドの地方ごと・家庭ごとのスパイスブレンド、ムガール帝国の宮廷料理など、とてつもなく奥深い世界を学んできたエディさん。
今後は、スパイスやハーブを生かした料理をさらに研究していきたいという希望があるそうです。
さらに、野菜料理研究家とのコラボイベントをもっと積極的にやっていく方針。
「いろいろな料理研究家が提案する、野菜の美味しい食べ方をもっと広げたい。それに、ベジタリアンをもう少し増やしたいですね。
今の日本の状態ではちょっと選択肢がなさすぎて寂しいと思います。大々的に広告するというより、人との繋がりとかネットワークで、野菜のおいしさを広げていきたい」
2020年オリンピックには、大勢の訪日客が湘南にも訪れると予想されます。
その中でもヘルシー志向の人たち、ベジタリアンの人たちに「CHIKYU」の存在をアピールしたら、喜んでくれる人がたくさんいることでしょう。
「CHIKYU」では週末に「Edy’s Night エディズナイト」としてオリジナル料理のコースを予約することもできます。
ベジタリアンやビーガンなどのご希望も受けてくれます。
昼間はビーチで遊び、日没を見届けてから「CHIKYU」でディナー、なんてのんびりした休日を過ごしたいものですね。
※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。
店舗情報
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