「青い空流れる雲」18年続く隠れ家ベジカフェで、スローな癒し時間を【円山公園・札幌】

更新日:2019/02/02 公開日:2018/06/10

オーガニック・マクロビオティックという言葉を知っている人が少ない18年前。「青い空流れる雲」がオープンしたのはそんな時でした。

知る人ぞ知るおしゃれなお店は、いるだけで心地よい空間。

野菜嫌いな子も食べた、野菜の美味しさをじんわり味わえるお料理をいただくことができます。

移りゆくベジを取り巻く社会を見つめていた、オーナーの富永岳洋(とみながたけひろ)さんにお話をお伺いしました。

青い空流れる雲の場所や詳細な情報はこちら

道外からもお客様がくる知る人ぞ知るスローカフェ。


札幌市営地下鉄東西線・円山公園駅から徒歩8分。青い空流れる雲は東京のビーガングルメ祭りにも出店した知る人ぞ知るお店です。


木のぬくもりを感じる温かみのある店内は、入った瞬間にホッとします。


ライターがこちらのお店を知ったのはオープン当初。

おしゃれなカフェができたよ!と耳にしたのですが、ヴィーガン・マクロビオティックカフェという話は伝わってきませんでした。それほどその言葉が浸透していない時代から続いているお店なのです。

野菜嫌いの子がもりもり食べた、素材の美味しさ。


青い空流れる雲では、新鮮なオーガニック野菜を使用、添加物は使わずに安心・安全な食事を味わうことができます。

この日は前日予約でいただける、ディナーのスペシャルメニューをオーダー。ノンベジさんのファミリーと一緒にいただきました。


ノンベジさんファミリーにとっては未知のお料理。雑穀を使った料理も初めてです。

「何でできてるのー!?全部美味しい!」と絶賛したメニューの数々をご紹介します。

上の写真は「車麩の角煮風」・「そばの実と大豆ミートのハンバーグ」。

そばの実のもっちり柔らかい食感がソースと絡まり、噛めば噛むほどくせになります。


「トーフと長芋のオムレツ風」・「大麦とサツマイモのコロッケ」


いらしたお子さんは野菜が嫌いですが、パクパク全部完食。

レタスは人生で1度しか食べたことがなかったそうですが、この日は自分から口に運んでモリモリ食べていました!

お子さんは大人より素材の味に敏感なので、野菜の美味しさの違いがわかったんですね。


「天然酵母ひえフィッシュバーガーSET」

とっても大きなハンバーガー!持つ手が重いほどです。デリ・サラダ・スープがつきます。


魚の皮も再現するほどのクオリティの高さです。普段なじみの少ないひえも、魚のたんぱくさをうまく表現しています。


ランチにはご紹介した美味しいデリが食べられる「青い空ベジごはん」がおすすめです!


「アプリコットとドライフィグのタルト」


グルテンフリー・ヴィーガンスイーツやオリジナル豆乳アイスもあるので、ティータイムにゆっくりするのもおすすめです。

ゆっくり、地味にやってます。美味しさは心のゆとりから生まれていた。


“人に使われずに生きて行くのはどうしたらいいのか”、20代後半からそう思っていたオーナーの富永岳洋(とみながたけひろ)さん。(写真)

飲食店なら…と思っていた時に、生まれてきたお子さんの乳製品アレルギーがわかったそうです。

乳製品の他に卵・砂糖もやめる生活を家族で続けたところ、富永さんが7年悩んでいた掌蹠膿疱症(皮膚病の一つ)が3ヶ月で治ってしまったのだとか。

食べるものがいかに自分の体に影響を与えるかを、身を以て知ることとなったのです。


食生活を変えると共に、食事のことを調べていく中で、マクロビティックや総合医療の第1人者アンドルー・ワイルと出会った富永さん。

かねてから考えていた飲食店のオープンを、当時札幌では1件しかなかったマクロビオティック・ヴィーガンカフェにしたのです。

「自分が食べる・食べないは別にして、動物性を使わない方が”気持ちがいい”のではないかと思います。

お店で言えば生ゴミの片付けも楽だし、植物性の油なので、洗剤を使わなくてもお湯で流れてしまいます。」(富永さん)


需要に対応するように、テイクアウトメニューも用意している青い空流れる雲。年末にはヴィーガンおせちも販売します。

社会の移り変わり、ベジの捉えられ方をずっと見てきた18年間を振り返り、

「次々とベジのお店がなくなっていく中、命がけで意地でも続けてやる!という感じでした。うっかり続けちゃいましたね。笑

当初はなにかを伝えたいという熱い思いでやっていました。

こういう食事を必要している人がいる、食べ物の大切さや、食べ物を選択することがその人にどんな影響を与えるか、ここに来ることで知ってほしいと思っていました。

今はそこまでではないかな?地味にやっていきたいです。

お客様からも『ゆるい感じいいですね。スローでいいですね。』と言っていただけます。ビジネスライクではなくこれでよかったのかなと思ってます。」(富永さん)


「まともなことやって、ちゃんとした食材を使うと言うことはどれだけ大変なことか、飲食を知っている人ならわかると思います。

原価を3割超えたら1ヶ月、4割超えたら1週間で潰れると言われる中、ベジのお店はこれを超えてるところが多いでしょう。周りにはすぐやめた方がいいと言われますよね。

商売と思ってできるものではありません。

続けてこれたのは、お客様の笑顔があるからですね。そういう面ではお客様に恵まれて、人に助けられていました。

ドイツの選挙集会の炊き出しは、全部ヴィーガン仕様なんですよ。誰でも食べられるからです。

ヴィーガンはもともと『食のスタンダードな料理』なんですよね。新しくお店を始める人達には、このことを伝えていってほしいな。」(富永さん)


50を過ぎたあたりから、自分のこれからの生き方をさらに見つめ直すようになり、今は食材を自身でつくり、自給できる暮らしにも関心があるそう。

「果樹園で研修したり、今も自然栽培で田んぼをやっています。食べ物を作るのはやっぱり好きなので、自分で作った食材を自分で加工したりしていきたいですね。」(富永さん)

札幌のベジを支え続けている青い空流れる雲の第2章が始まるのでしょうか。変わっていく白い雲のように、みんなの心を癒してくれることには変わりないですね。

今日行きたいなぁ、とふらっと立ち寄りたくなる心に残るお店です。

※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。

店舗情報

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岩田 絵弥曄 / Emika Iwata

岩田 絵弥曄 / Emika Iwata

ヴィーガンフードアナリスト®︎
ベジタリアン・ビーガン・グルテンフリーなどヘルシーな食のフードライターとして活動。 保育士経験から子供たちの未来を守るため、オーガニックや自然栽培など食の安全にも取り組む。インバウンド対策やアレルギー・環境問題から、ヴィーガンに関するセミナー等も開催。自身も10年以上のヴィーガン。 メディア出演:The Japan Times、日テレ「人生が変わる1分間の深イイ話」、チバテレビ「ジャルっと爆ハリ」等。