自然の恵みと関わる人のマリアージュ。ヴィーガンワインが楽しめる酒美土場(しゅびどゅば)【築地】
築地市場を散策した際にふらっと立ち寄って、オーガニックワインやヴィーガンワインを飲んでみてはいかがでしょうか?
「酒美土場(しゅびどゅば)」は、朝10時から角打呑みできる、築地市場にあるお店。金曜日の夜はwine barとしてもお酒を楽しむことができます。
築地市場で買ったものを持ち込んで一杯飲んでもよし、店内で買ったものをその場で食べながら一杯飲んでもよし。
お酒と人が自然と溶け合う、一杯飲んで、買い物をして元気になる。そんな極上の大人の時間を演出する店主の岩井さんにインタビュー。
「酒美土場」に込めた思いと、ヘルシーな商品を提供するにいたった経緯をお伺いしました。
目利きが集まる場所であえて挑戦!
さまざまな物や人々が行き交い、人と物とが出会う、築地市場。
日本の食を支え、世界に向けた観光地となった今でも、昔からの伝統を守りつつ、新しいものにチャレンジをしていく。そんなダイナミックで目利きが集まる場所が、築地市場です。
そこに、ワイン・日本酒と、干し野菜等のオーガニック食材を販売するお店を開いたのが2016年11月。自然の恵みと関わる人が創造する素晴らしさを改めて感じさせる、モダンで素敵なお店が「酒美土場」です。
酒美土場では、ナチュラルワイン・日本酒と、無添加・無農薬の自然栽培の食材・商品を販売しています。
岩井さんは、オーストリアワイン大使を務めるソムリエです。
するすると飲めて体に負担のかからない、ナチュラルワインを提供するワインショップがやりたいと思っていた矢先に、オーガニックマーケットのお手伝いをしていた時に出会った廣田有希さんとのご縁で、お店を開くことにしたそうです。
一緒に酒美土場を営む廣田有希さんは、干し野菜の専門家です。漬物も、自然栽培にこだわった野菜を使い、添加物等を一切使用しない、昔ながらの製法のものを販売しています。
「世界中の人、そして食のプロが集まる築地で、日本の食の伝統の魅力や本物の魅力を国内外に伝えたい。」と語る岩井さん。あえて築地市場にこだわってお店を開いた意気込みをお話してくれました。
「酒美土場」屋号に秘めた思い
「酒美土場」という名前にも岩井さんの食に対する思いが含まれています。
- 「酒(しゅ)」とは、お酒、種(しゅ)のこと。種(在来種・固定種)からこだわった食材を使うという意味が込められています。
- 「美(び)」とは、美味しい、微(び)生物、発酵食品ということ。微生物が活発でいられるということは、自然な環境が整っていて素材の力を感じる、地球上の生き物が元気でいられる、という意味が込められています。
食の好みに関わらず、皆でワイワイと食卓を囲むと、自然と笑顔が増えて幸せな気持ちになると思います。
「酒美土場」という言葉には、気軽に人が集まる場所で、集まった人がワインを飲んだり、素材の力を感じる食べ物をつまんだりして、幸せな気分になれる場所、という意味も含まれているそうです。
「発酵食品をお店のテーマにしていて、こだわりの商品を揃えています。例えば、ピクルス・漬物・酒粕を使った商品。本物の酒粕はえぐみや酒臭さはありません。
また、アミノ酸等の添加物で、漬物風の味で漬けたたくあんは、とても甘く感じますが、昔ながらの製法で作ったたくあんは酸味が強いです。そして「たくあんの色は黄色」と多くの人は連想すると思います。しかしそれは人工的に着色された色です。
ワインに関しては、フランス・オーストリアのワインから東欧やアフリカ等のワインも置いているので、飲んでいていただければ新しい発見があると思います。
日本酒は寺田本家、天然酵母は生酛、野菜は岐阜の自然農法で作られたもの。全て自然の恵を感じる食材で、食材の力を感じることができる商品を揃えています。
自然栽培で作られた野菜を天日干しにすると、野菜の甘味と太陽のエネルギーを感じることができ、自然の甘味と、微生物による発酵食の酸味のマリアージュを楽しむことができます。
本物は体に優しいだけでなく、自然の恵みをダイレクトに感じることができるんです。」
と語る岩井さん。岩井さんが微生物の力について語っている時のいきいきした顔が印象的でした。
取材をした日はどんよりとした曇り空。「蒸し暑い日に飲んでほしいワイン」・「新しい発見ができるワイン」という要望に岩井さんが選んでくださったのが、これらのワイン。
その中でもジョージアのオレンジワインと、ソービニヨンブランがお勧めということでいただきました。
ジョージアのオレンジワインは、生産地で8000年前から伝わる製法で作ったワイン。オレンジワインといっても、オレンジで作られたワインではないそうで、スパイスと酸味がきいたワインでした。
一方、ソービニヨンブランは、ソービニヨンブランのイメージとは全く異なるワインです。天然酵母の力強さを感じる飲みやすいワイン。八丁味噌につけた豆腐との相性が抜群でした。
ヴィーガンの方でも安心してワインが飲めます
ワインはぶどうから造られているもの。ヴィーガンの方でも気にしないで飲めるワインとはどのようなワインなのでしょうか?「ヴィーガンワインとは何か?」について岩井さんにお伺いしました。
「ヴィーガンワインとは、ワインを造る工程の『清澄』で、動物性由来の清澄剤を使用していないワインを言います。
ワインの製造には、ワインがクリアな外観になるために、遊物等を排除する過程があります。この醸造過程で必要なものが清澄剤です。原料は動物由来のゼラチン(白ワインに)や、卵白(赤ワインに)など。
ヴィーガンワインである為には、これらの清澄剤を避けて、鉱物由来のベントナイト(粘土)や珪藻土で代替えする、あるいは無清澄(ノンコラージュ)でワインを生産します。
健康志向である自然派の生産者は、クオリティーの観点からノンコラージュで生産をする傾向にあります。
最近では、ヴィーガンワインを扱っているショップも多くなっており、ボトルの裏ラベルにヴィーガン表記があるものもありますが、ラベル表記が任意であることから、ヴィーガンであってもその表記がないこともあります。
清澄剤に何を使っているかは生産者に聞いてみないとわからないことがほとんどです。
酒美土場で扱っているワインは、ほとんどがヴィーガンワインです。
また、ワインを一定の品質に保つために、通常は酸化防止剤等を使用していますが、ここではナチュラルワイン、つまり酸化防止剤等の添加物を一切使わない・若しくは極力使わないワインを販売しています。
ここにあるワインがヴィーガンワインか否かが心配な場合は、気軽に聞いていただければお答えします。酸化防止剤等が入っていないワインは体に優しく、するするっと入っていきますし、二日酔いはしません。」
ワインの生産工程で動物性由来の清澄剤を使用しているものがあることや、ナチュラルワインの魅力についてお話を聞くことができました。
ワインの楽しみ方など、ソムリエの資格を持つ岩井さんならではのお話を聞けるのも、酒美土場ならではかもしれません。
「築地市場が移転しても、築地で築かれた歴史や食文化は変わりません。市場が移転してもこの場に残り、本物の魅力を伝え続けていきたい。」
この場所や本物にこだわり続けて、極上のひと時を一人でも多くの人に提供して行きたいという、岩井さんの強い気持ちを感じました。
築地だからこそ、新しい食の形と昔ながらの食の形を味合うことができ、自然の恵みと関わる人のマリアージュを楽しむことができます。今後の展開が今から楽しみです。
【酒美土場HP】
https://www.shubiduba-tsukiji.com/
※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。
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