春は木のエネルギー・体を目覚めさせるための芽吹く食材〜しあわせこよみごはん~
冷たく、縮こまって過ごしていた冬が終わり、芽吹きの春の到来です!
毎朝の散歩で訪れる公園でも、クローバーが徐々に茂りだし、桜の花のつぼみが日ごとに膨らんで、咲き始めるそのときを静かに待っているようです。
自然界で植物が新しい芽を出し、着々と成長をはじめているのを見ると、人間も新たな気持ちになりますね。引っ越し・新年度・新学期など、新しい生活にチャレンジする人も多い季節です。
目次/Contents
春先に不調になる原因は?
今、風邪や頭痛・目やに・肩こり・イライラして気分が不安定、、、などに悩まされている人も多いのでは?
本格的な春が訪れる前の今の時期は、三寒四温という言葉の通り不安定な天気が続いています。
「天の気」の乱れは、地上にいる私たちにも不安定さをもたらし、体調も崩す人も多い時期なのです。
これらは、春になり身体の新陳代謝が活発になってきたものの、冬の間に摂った油や砂糖・動物性食品などが体に溜まったままで、うまく排出できていないアンバランスさから生じるもの。
春の食材はデトックスが得意!
上手に取り入れて溜まったものを排出し、巡りのよいさわやかな体を目指しましょう。
芽吹く食材でデトックス
春に芽吹く食材というと、山菜や菜花・そら豆・もやしなど、葉物や発芽するもの。
さっと湯がいてそのまま食べてもおいしい。
春におすすめの調理法はノンオイル、味は酸味です。
酢の物やお浸しなどさっぱりした味付けでたっぷり食べましょう。
冬の間に油の分解でたくさん働いてくれた肝臓が喜びます。
春の訪れに出てくる、芽吹く食材といえばやはり山菜・野草でしょう。
山菜・野草といえば、強い苦みのあるものが多いですね。
山菜・野草は芽を出して成長していくための栄養がたっぷり入っていますが、その分鳥や動物たちに食べられてしまう危険性が高く、それを防ぐために苦みがあるのだとか。
この苦味は、毒素を排出し、血液を浄化してくれる力に優れています。
マクロビオティックの陰陽の考えで見ると、苦みは陽性なのですが、この場合の苦みは最も強い陰性が極まって陽性に転じたもの。
山菜は陰性である灰汁も多いことから、陰性の強い食材です。なので山菜の場合は油を使った料理で苦みをとばし、陰性を中和させます。
スーパーなどでは栽培された山菜が売られていますが、出来ればエネルギーに満ちた自生の山菜をいただきたいですね。
最近は街中でもオーガニックマルシェがあちこちで開催されていますし、各都道府県のアンテナショップには地物の野菜が並んでいます。野草を摘みに行くイベントなどに参加するのも楽しそうです。
山菜・野草を使ったメニュー
今回は、定番のふきのとう味噌とせりの常備菜をご紹介します。
ふきのとう味噌
【材料】
- ふきのとう 作りたいだけ 写真は80g
- 麦味噌 ふきのとうと同じくらいの量
- ごま油 少量
【作り方】
① ふきのとうを数時間水に浸け、土とアクを取る。
② 炒める鍋と油、木べらを用意しておく。ふきのとうをやさしく流水で洗いながら汚れた袴を取り、5㎜角位に細かく刻む。刻んだ先から茶色く変色してくるので手早くするが、あせらなくてよい。頃合いを見て鍋に火をつける。
③ 鍋が温まったらごま油を入れ、刻んだふきのとうを炒める。
④ ツンとする匂いが無くなったら味噌を入れ、火を弱め、練り上げる。
おかゆに入れました。ふろ吹き大根につけても美味しい。
せりの常備菜
今回は、田せりで作っていますが、普通のせりやクレソンでも美味しいです。
【材料】
- せり 一把(100g)
- ごま油 小さじ1
- 醤油 小さじ2くらい
- 黒ごま 小さじ2
【作り方】
① せりをゆがく。たっぷりの熱湯に多めの塩を入れて箸で押さえながら10秒ほどゆがいたら、水を入れたボウルに入れてアク抜きをする。クレソンの場合は水に浸けなくてよい。
② 水から引き揚げ絞り、しょうゆ洗いをする(お椀型に丸めた手の中に分量外の醤油を小さじ1ほど入れ、せりにトントンと軽く手を当てながら指の間から醤油を落とす)。
③ ②を2㎝ほどに刻み、水気を絞り、温めたフライパンにごま油を入れ、セリを炒める。
④ 醤油を回し入れ、味見をして好みの味なら黒ごまを入れ、ひと混ぜして火を止める。
アレンジメニュー
・せりごはん
炊きあがったご飯に混ぜると、せりご飯に。
・セリ・ペペロンチーノ
にんにくと鷹の爪でペペロンチーノをつくり、せりの常備菜を混ぜ、黒ごまを追加し、大根おろしをたっぷりと入れました。
ふだんの生活を送りながら、からだの感覚を目覚めさせるワーク
これまでの「しあわせこよみごはん」では、春夏秋冬と土用の、各季節ごとにおすすめの食材、食べ方をお知らせしてきました。
不特定多数の方が対象のインターネットというツールを通じてお伝えしているため、概要のみになってしまいますが、決してこれを食べなければいけない、とかこれを食べていれば大丈夫、ということではありません。
マクロビオティックでは、知識よりも
「やってみる」
「やってみたとき、どう感じるか」
「やったあと、どう変わったか」
というプロセスを大切にしています。
健康とは、病気になっていない状態ではなく、心身のバランスが取れて、決して疲れすぎず、感謝して楽しく毎日が暮らせていること。「しあわせ」を感じること。
しあわせこよみごはんの「しあわせ」もここからきています。
それぞれに違う体質・体調・ライフスタイルを持っている人たちが健康になるには、厳密に言うとひとりひとりに違うメニューが必要なのです。
自分の感覚を鋭くし、食べたときにどう感じるか、食べてみて自分の体調がどうなったか、ということまで感じてみると、みなさんひとりひとりの健康により早く到達できるのではないでしょうか。
おりしも春、浄化の季節。新陳代謝が高まり巡りのよくなった体で、感じる力を目覚めさせるワークはいかがでしょうか。
1.外に出て、空を見る
意識してみると、空も季節ごとに全く違った表情があります。雲の形・太陽の角度・風の向きに匂いや湿り気、、、毎日気にしていると変化の様子が分かり、そこから季節を感じることが出来ます。
2.月のリズムを、感じてみよう
新月に願い事を書いたり、と月のリズムを気にしている方も多いので、いまさら、かもしれません。
新月から満月にかけては吸収力が高まり、食欲が増したり休養したりする時期。満月から新月にかけては、排出力が高まり、デトックスや断捨離に向いている時期。
これも、頭で考えて実践するだけでなく、自分がそのときにどう感じているかどうか、を意識してみることが大切です。
自分自身のバランスがとれている場合、月のリズムと同じように体のリズムも回っています。
満月期には家でおとなしくしていたくなり、新月期には色々なところへ出かけたくなる方がいたら、素晴らしいです。
私の場合、満月期に限らず食欲があるので、、、まだまだです。
しかしそうでなくてはいけないという訳ではありませんので、無理やりあてはめないように。自然に、が大切です。
3.レシピにとらわれず、食材に向き合う
料理の際、とくに野菜を扱う前にちょっと見る。もとい、じっと見てみる。
そうしてこの野菜が蒸してほしいのか焼いてほしいのかを感じたら、メニューや作り方は変更してみましょう。きっとその方がおいしいはず。
料理する前にちょっと味見してみる。
思ったより甘い人参や、つんとした辛味の大根。その野菜の個性に合わせて味付けしてみる。
塩だけで甘い人参には、レシピに書いてあったとしてもみりんは必要ないかもしれません。
15分煮る、と書いてあっても、もっと早く柔らかくなるかも。
適当にする、ということではなくて、野菜を見て、感じて、変更してみる。
美味しかったら大成功です。
上記でご紹介したふきのとう味噌も、お持ちの味噌はそれぞれ違う味でしょうから、大体の量でお知らせしています。ご自身の美味しいと思う味を見つけてください。
4.数字でなく、感覚でくらす
〇月〇日気温〇℃と認識するよりも、例えば
二十四節気: 啓蟄・虫が春の光に誘われて地上に這い出して来る時期
七十二候: 桃初笑・桃が咲きだす時期
と自然のリズムで季節をとらえてみませんか。都会で暮らしていても自然を身近に感じることが出来ますし、心がわくわくして豊かになってきませんか。1.の季節の変化もより感じやすくなるでしょう。
カレンダーや手帳に記載されているものがありますから、使ってみてはいかがでしょうか。
5.自分が何を食べたいのかを自覚する
やめられなくて慢性的に食べてしまうもの以外は、自分が食べたいものは、自分に足りていなくて体が欲しているものです。または、食べ過ぎたものを中和するためのものです。
同じものを作っても自分や家族の箸が進むときとそうでないときがある、ということはないでしょうか。日によって体の状態が違うからです。
この材料が残っているからこれを作る、という日もあるでしょうが、体の声を聴いて家族もよく観察して、何を作るか決めてみましょう。体に必要なものは美味しいと感じ、家族も箸が進みます。
6.食べる量、飲み物の量、トイレの回数を把握する
自分の状態を知るために必要です。
腎が冷えているとお小水の回数が多かったりします。緑茶やコーヒーを飲みすぎていませんか。食べすぎはよく噛んでいないことが多く、代謝が鈍る原因になります。
これらが把握できていると、原因が分かり、体調を整えやすくなります。
すべてやるとなるといつも意識しなければならなくて疲れそうですが、一度この感覚でとらえる癖がつくと、逆にとても楽になります。
マクロビオティックを学んでいたスクールで、最後にやったワークは、「直感料理」。
材料と作ってほしいメニューだけ提示され、あとは感覚だけで1人1品を最後まで調理します。
レシピも、時計も見ない、計量もしない。
ごはんの水加減も、炊く時間も、すべて自分の感覚で決めます。
煮物の味付けも感覚で。なんと味見もしません。
限られた状況で自分の直感を信じ、感覚で作った料理は、自分を含め、クラスメイトの作った料理全部がとてもおいしかったです。
直感が育つと判断力が増し、自分に必要なものが見えてきます。
思い込みではなく、思考がクリアになるので因果関係もわかるようになり、不調の原因も探りやすくなります。
頭ではなく、心と体で感じて作った料理で皆さまが健康になりますように。
数日後に公開する応用編レシピでは、送血作用や血行促進効果があり、春だけでなく一年中食べたいよもぎを使ったデザート、いちごと小豆餡のよもぎクレープをご紹介します。
難しそうなクレープですが、びっくりするほど簡単な材料ですぐ出来る、嬉しいレシピ。
あんにちょっとした秘密があります。
【大好評のベジレシピ一覧はこちら】
https://vegewel.com/ja/style/categories/recipe
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