食物繊維と腸について~しあわせこよみごはん~

更新日:2019/09/30 公開日:2019/10/02

過ごしやすい気候になってきました。スポーツや行楽など、外に出て活発に過ごされている人も多いのではないでしょうか。

まだ日中は暖かいし、動いて暑くなると冷たいものをつい摂りたくなりますが、、、ちょっと待って!

暦の上では、11月になると立冬(2017年は11月8日)を迎え、もう冬が始まります。

よって、今は、夏の間にたまった冷えや老廃物をしっかり排出し、身体の中に暖を蓄えて冬に備える時期なのです。

そこで、老廃物を便として排出し、温めることで動きが活発になる大腸は、秋にケアしたい臓器の一つです。

今回は大腸にスポットを当てて、マクロビオティックの観点も交えて腸の健康について考えてみたいと思います。

腸内細菌を増やすには食物繊維!


大腸は「腸活」とか「腸内フローラ」などがよく話題に上るようになり、健康や美容のカギを握る臓器として注目を浴びていますね。

しかし、大腸は消化吸収の働きだけでなく、

  • 免疫系
  • 神経系
  • ホルモン系

の働きとも密接な関係を持っています。肥満やコレステロールの抑制にも関わっているのです。

その大腸の働きを左右するのが腸内細菌。

よく聞く「腸内バランスを整える」とは、

  1. 乳酸菌が代表選手の善玉菌
  2. 悪玉菌
  3. 腸内環境によって良くも悪くも働く日和見菌

この3つの働きをする菌の数のバランスを整えるということです。

ちなみに体内には1000種類1000兆個にも上る細菌が存在し、重さはなんと一キロにもなるそうです!

そしてその腸内細菌のエサとなるのが食物繊維です。

老廃物のお掃除にも食物繊維


夏の間に冷たいものやスパイスの効いたものを食べすぎると、腸は緩んで伸びきってしまい、収縮ができない状態になっています。

お肉やチーズなどの動物性食品をたくさん食べた人は、腸壁に脂が付着して固くなり、腸の動きを鈍くしています。

緩んでいても固く締まっていても、このまま放置しておくと毒素がたまり、身体に不調をきたすことに。

マクロビオティックでは身体と心は繋がっていると考え、身体が不調だと心の状態も不安定になります。

秋に身体が不調だと、出てくる感情は「悲しみ」。

ため息が出がちで気分が落ち込んだり、肚に活力がわかないので集中力が散漫になります。

精神を安定させ心を中庸に保つ神経伝達物質「セロトニン」はその90~95%が腸で生成されているのですが、腸が不調だとうまく生成されません。

うつ病を患っている人は、同時に胃腸のトラブルも抱えていて、セロトニンが欠乏している人が多いというデータもあります。

腸の動きを活発にするには、腸壁にこびりついた老廃物を剥がし、排出し、収縮力のあるぜん動運動をとりもどすことが必要です。

老廃物のお掃除でも活躍するのは食物繊維!

秋に旬を迎える(玄)米、大根やごぼうやニンジンなどの根菜、キノコ、大豆には食物繊維が豊富です。

つまり、秋が旬の食べ物を摂るようにすると、秋のエネルギーがアップするということですね。また、根菜は身体を温める作用もあります。

乱れた食生活を変えずにサプリや機能性食品で乳酸菌を摂っていても、エサとなる食物繊維が不足していては腸内細菌は増えません。

私たちは食べ物を食べて、そのエネルギーを自分の糧としています。健やかに過ごすために、毎日少しずつでも自然のエネルギーをたっぷり含んだ旬の食材を摂りたいものですね。

さて、では旬の食材をどのように食べたらさらに効果的なのでしょうか。

代表料理があります!

秋のおすすレシピ「きんぴらごぼう」

なーんだ、と思われるかもしれませんね。しかし、マクロビオティックではきんぴらごぼうは基本のおかずであり、日々少量ずついただく常備菜です。

お醤油しか使っていないのに驚くほど甘い、、この野菜の甘さは、寒さや緊張でこわばった身体をホッと緩める作用があります。

野菜の甘さを引き出すコツもお伝えしますので、ぜひ作り方をマスターしてください。

【材料(4人分)】

  • ごぼう 90g
  • 人参 40g
  • 蓮根 50g
  • ごま油 小さじ2
  • 醤油 適量

【作り方】

① 野菜を洗う。ごぼう、人参は皮をむかずにたわしか古布で表面の土を取る程度。蓮根も同様で、節がある場合はその部分も捨てずに使う。


② ごぼう、人参は斜め千切りに切る。蓮根は薄いいちょう切り。

③ 鍋(あれば土鍋で)を中火にかけ、温まったらごま油を入れ、はじめにごぼうを入れて炒める。ごぼうのツンとした匂いがなくなったら人参を入れる。続いて蓮根も炒め、火が入ったら水(分量外)を野菜が半分ぐらい浸る程度に入れ、蓋をして煮る。

ここで弱火にすると野菜の旨味が外にでてしまうので、炎の先端が鍋底につく程度の中火を保つ。水がなくなってきたら足しながら、柔らかくなるまで煮る。(出来上がった時には汁気はない方が良いので水の足しすぎには注意。)


④ ごぼうが指で切れるほど柔らかくなればOK。静かにしょうゆを回しいれる。加える量は自分がおいしいと思う量で。野菜を混ぜるのは最低限にし、極力いじらない。

⑤ 弱火にしてさらに蓋をして5分ほど煮て味を浸透させる。途中で野菜を混ぜたりしない。

⑥ 汁気が多く残っていたら蓋を取り火を少し強めて煮詰める。火を止めて、ガス台からおろし、蓋をしたまま粗熱がとれるまで置く。ここでも野菜をいじらない。

⑦ 熱が落ち着いたら軽くひと混ぜして盛り付ける。

展開メニュー「きんぴらビビンバ丼」


地味なおかずがカラフルなカフェ風メニューに変身!

【材料(4人分)】

  • きんぴら 上記の量
  • ごはん 適量
  • もやし 1/2袋
  • 小松菜 2株(青菜なら何でも)
  • 赤パプリカ 1/3個
  • すりごま白 適量
  • 塩 適量

【作り方】

① もやしは水洗いする。小松菜はさっとゆで、3㎝幅に切る。赤パプリカは千切りにする。

② それぞれ別々にフライパンで少量のごま油で炒め、塩、すりごま、好みでおろしにんにくで味付けする。

③ どんぶりにごはん、具材を盛り付け、好みでコチュジャンをあしらっていただく。

季節に応じた調理方法を


このシリーズでは、こよみに合わせた食べ方をご紹介していきますが、食べ方とは、食材だけでなく、煮る・焼く・揚げる・蒸すなどの調理方法と、調理にかける時間なども含まれます。

秋から冬の寒い時期には、長く煮たりオーブンで焼くなどの料理や、漬け物など時間をかけて作るものがおすすめです(時間をかけて作る料理は身体を温める力を持っています)。

反対に、春や夏は、さっと蒸したり短時間炒めるなど、短時間の調理がおすすめ。

寒〜い日には煮込んだおでんやシチューが食べたくなりますよね。

これは、無意識のうちに私たちの身体が冷えた身体を温めてバランスを取ろうとしている行為であり、そのバランスに合ったものを食べた時には、まさに身体が喜ぶ感覚を味わうことでしょう。

食材だけでなく調理の仕方も日々のごはんを作る際に、ぜひ取り入れてみてください。

合わせて読みたい!応用レシピ「人参と玄米のポタージュ」はこちら。
食物繊維で腸の動きを活発に。身体もポカポカ温まる、人参と玄米のポタージュ~しあわせこよみごはん~

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岡野則子

岡野則子

クシマクロビオティックスクールレベル3修了
リマクッキングスクール師範科修了
マクロビオティックパーソナルシェフ
JSAワインエキスパート
NPO法人ブレイブサークル運営委員会アドバイザー(大腸癌撲滅キャンペーン)

仕事が多忙な40歳の時に大腸がんステージ3になったことがきっかけでマクロビオティックと出会う。実践していく中で体調が改善し、健康は自然に寄り添った日々の食事と生活から作られるもの、ということを身をもって体験。以後がんの再発・転移無し。
大腸がんは女性に多く、一人でも自分のような人を減らしたい、という思いからおもに同世代の女性に向けて食の大切さをイベントやワークショップなどを通じて伝える活動をライフワークとしている。