北海道・札幌近郊の田園に立つマクロビオティックカフェ・グローサリー。 ワカバコーヒー/ナガヌマ町ハナレ【長沼町】
札幌近郊の、かつては地味な農園地帯だった長沼町が今アツい!という噂は少し前から聞いておりました。
道民の間では長沼町といえば「長沼ジンギスカン」が有名です。
しかしそこにベジタリアンやビーガンも喜ぶカフェがある、と聞き及び取材に行ってきました。
目次/Contents
マクロビオティックをベースにした料理とおいしいコーヒー
札幌駅から車で約45分、のびやかな田園風景の真ん中にそのカフェ「ナガヌマ町ハナレ」はあります。
木々に囲まれていて、しかも大きな看板など出していないので、うっかり通り過ぎてしまいそう。
小麦畑の脇道にそろそろと入ると、パッチワークのトタン屋根がかわいい昭和な古民家が現れます。
大きなワンコ達と出迎えてくれたのは、オーナーの吉田勝宏(よしだかつひろ)さんと奥様の香奈子(かなこ)さん。一目で感度の高さが伺えるステキなご夫妻です。
実は長沼町は今、このような方々が増えているのですが…その話はまた後ほど。
食事のメニューはマクロビオティック*をベースにした料理で、基本的に動物性食品は使用していません。その中でもこちらでは「車ふのカツバーガー」や「こんにゃくとおからのフィッシュバーガー」といった、もどき料理が人気です。
もどき料理とは、植物性の食材を使って見た目や食感を動物性に似せた料理のこと。
普段から動物性食品を食べ慣れている方でも違和感なく食べられ、「これ肉じゃないの!?」という驚きもあって楽しく食事ができます。
*マクロビオティックについてはこちら
今さら聞けない、マクロビオティックって?
今後は野菜寿司をメニューに入れたいと考えているそうです。今のところ野菜寿司はイベントや予約の時のみ提供していますが、お客様に好評です。
現在の定番メニューは、車ふのカツバーガー(税別1,000円)、こんにゃくとおからのフィッシュバーガー(税別1,000円)、玄米プレート(税別1,100円)、れんこんのガトーショコラ(税別550円)、豆腐のチーズケーキ(税別550円)など。
季節によって変わります。
ある日の玄米プレート 税別1,100円
無農薬玄米・和風ラタトゥイユ・切干大根と豆のサラダ・夏野菜のサブジ・ソイミートのタコライス
れんこんのガトーショコラ 税別550円
豆腐のチーズケーキ 税別550円
イチゴのトーフクリームケーキ ホール 税別3,200円
イチゴのマフィン 税別380円
スチームピーチ 税別550円
食べているもので思考は変わる
元々は公的機関の職員だった吉田勝宏さん。しかし全てを一から自分で作る生活がしたくて仕事を辞め、調理師専門学校へ行って独立開業。
札幌でカフェを始めました。それからコーヒーの移動販売「ワカバコーヒー」を始め、やがて長沼町に拠点を移して古民家でマクロビオティックをベースとしたカフェをオープンします。
どうしてそのようなライフスタイルにたどり着いたのでしょうか。
吉田さん「元々私はそんなにナチュラルな生活をしていたわけではありませんでした。でもある時、仕事もプライベートもうまくいかないという時期があって。
体調も崩していたので健康関連の本をいろいろ読んでいたのですが、健康って体の健康だけで成り立つものではないので、そのうち精神世界とか思考の本も読むようになりました。
そういう本もほとんど、食べているもので思考は変わっていくということを言っていて、結局全てが食べ物のことにたどり着いたのです。
そして勉強するうち、マクロビオティックにつながっていきました。
マクロビオティックって単なる食事法ではなく包括的なライフスタイル全般、生き方ですよね。
学ぶほどに、ナチュラルな生活や生き方がそのまま仕事になるような形で生きていきたいと思って、この長沼町に引っ越してきました」
絶妙なバランス感覚を持ち、肩の力を抜きながらも緻密な仕事ぶりの吉田さん。
そしていつも明るい笑顔でくるくると働く香奈子さん。
とにかくユニークでユーモアたっぷりのこのご夫婦。見ているだけで飽きません。
個性的なセレクトのグローサリー
ナガヌマ町ハナレは、玄関を入るとまずグローサリー(食品・雑貨店)となっています。オーナー厳選のおいしい食品と、素朴でありながら機能的な雑貨を集めた楽しいセレクトショップです。
特に目を引くのは地元の農家さんプロデュースの、美しい瓶詰めたち。
手作りジャムの「HIROKA JAM」や、韓国風調味料の「米麹甘酒 ヤンニョンジャン」は、どちらも長沼町の農家さんが、自分たちの育てた農作物を使って丁寧に作ったものです。
おいしくて安全なので人気ですが、少量生産で取扱店も長沼近郊に限られている希少品。他ではなかなか買えないので良いお土産になります。
ワカバコーヒーとして移動販売
ナガヌマ町ハナレは、時々「ワカバコーヒー」としてエスプレッソマシーンを乗せたキッチンカーで移動販売しています。
特に夏の北海道は様々な野外イベントやお祭りがあるので、そこに出店するのも大事な仕事です。
毎年恒例となった札幌近郊の夏フェス「ライジングサンロックフェスティバル」に、今年も出店しました。今回はコーヒーだけでなく「自家製コーラ」なるヘルシーなコーラを出されたようです。味見してみたいですね。
次回の参加イベントは白老町の「飛生芸術祭 トビウキャンプ(9/8~16)」。
森と、その中にある木造校舎(廃校になった)を舞台にアーティストやミュージシャンが集まって展示会をします。
ビジネスとはあまり関係ないけど…楽しいイベント主催
ナガヌマ町ハナレでは、不定期にマルシェや映画上映会なども開催しています。
マルシェは「16区デパートメント」というイベント。16区とは町内会の名称です。
商品に特に決まりはなく、出店は誰でもできて、個人の小さなお店や手作り品などかわいいお店が並びます。田園の中でおいしいものを食べ、ここにしかないモノを手にとって、心和む休日を過ごせそうです。
また店内にスクリーンを設置して行う映画上映会では、平和・環境・食をテーマにしたメッセージ性の強い作品を中心に上映。ライフスタイルや食への向き合い方を改めて考える、良い機会を提供しています。
素晴らしい環境で受けられるレッスン
今後はもっと料理教室やレッスンに力を入れていきたいと語る吉田さん。
吉田さんはKushiのプログラムを終了し、マクロビオティックの公認インストラクターの資格をお持ちです。
その資格を生かして、Kushi認定校KMA(久司マクロビオティックアカデミー)を開校し、久司マクロビオティックが学べ資格が得られるコース(レベル1)を開校しています。
このプログラムでは食や調理の学びだけでなく、マクロビオティックのライフスタイルやものの見方・考え方を学ぶことができます。
修了すると、東京・代々木のKMS(久司マクロビオティックスクール)にて、さらに深い学びのプログラムレベル2への編入資格も得られるものです。
また、単発のマクロビオティッククッキング(春夏秋冬)も不定期に開催しています。
いろいろな経験と趣味を持ち、話題豊富な吉田さんのレッスンは、きっと興味深いものと推察されます。
手作りトレーラー(移動販売車)の前の吉田夫妻。
なぜ長沼町なのか
吉田ご夫妻は二人とも北海道出身ではありますが、長沼町には特に縁がありません。
それでも長沼町を選んだ理由は、何かと「程よい」から。
札幌の都市圏から程よい距離で、大自然というより里山あるいは田園という、程よい自然に囲まれた場所なのです。
地元や周辺の人は見落としがちですが、その程よい点が注目され、いま長沼町は北海道各地のみならず、北海道外からも移住者が増えています。
飲食店や雑貨店、宿泊施設をオープンする人、別荘を建てて滞在する人など、吉田夫妻のような若くておしゃれな人たちが増えてきたのです。
また、陶芸・彫刻・ガラス工芸など、様々な分野のアーティストも数多くアトリエを構えて移住しています
長沼町も移住政策に力を入れ、空き家バンクなどを提供しています。
ただ、この町には鉄道が無く、バスか車で行くしかありません。札幌の通学・通勤圏としては不利な条件です。
しかし、このように都会から近いのに不便なところが、この絶妙な環境を作った一因なのかもしれません。
現在はランチとカフェのみ(11:00~17:00)の営業ですが、予約すればディナーも対応してくれます。不定休なのでぜひホームページやFacebookで事前に確認してください。
イベント準備でお忙しい中、取材を快く受けてくださった吉田ご夫妻、ありがとうございました。
※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。
店舗情報
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