美味しいものを食べていれば、笑っていられる。カフェむぎわらい【三ノ輪】≪後編≫

更新日:2019/02/01 公開日:2017/05/07

天然酵母のパンを始め、店内で食べられるヘルシーメニューや店内で販売しているヘルシー食材も大人気の「カフェむぎわらい」。

オーナーの中川さんに様々なお話を伺っているインタビューも今回が最終回です。

後編は、店名「むぎわらい」の意味や、中川さんの天然酵母パンとの出会い、パンや食事への想いの変化について紹介していきます。

≪前編≫天然酵母パンと、パンに合うヘルシーメニューを楽しめる!カフェむぎわらい

≪中編≫パンに魅せられ、ひたすら焼き続けること28年!カフェむぎわらい

カフェむぎわらいの場所や詳細な情報はこちらから。

お店の名前「むぎわらい」の意味とは?


お店の名前「むぎわらい」。どんな意味があるのでしょうか?

「お店の名前を考える時に、誰が見てもわかる名前にしたい、と思いました。漢字かひらがな、どちらにしようか?と考えていた時、パンの教室の先生が話していた「美味しいものを食べていると笑っていられる」という言葉を思い出し、「わらい」という言葉を入れたいな、と。さらに、パンには麦(むぎ)を使うよね、と思い、2つの言葉を合わせて「むぎわらい」にしました。」

ちなみに、むぎわらいを漢字で書くと「麦笑」。ばくしょう、とも読めますよね!楽しい名前が完成しました。

天然酵母パンとの出会い。


中川さんが初めてパンを学んだのは、20代前半のことでした。もともと料理が好きで料理教室にはよく通っていた中川さんですが、パン教室に行き、その楽しさに取り付かれます。

「自分でパンを焼けることに感動し、そこからパン作りにはまりました。ある時、友人が天然酵母のパンを教えてくれたんですが、その存在を知ってすごくショックを受けて。「私が今まで作っていたパンは何だったんだろう…」と思いました。その時、国産小麦やオーガニックのことも知り、身体に良いパン作りにはまっていったんです。」


当時は、天然酵母でパンを作る先生が少なく、調べて知ったあらゆる教室に顔を出した中川さん。そこで、今も通う、20年以上のお付き合いになるパン教室の先生に出会います。

「累計4,000人以上の生徒さんがいるパン教室でした。その先生の作るパンが自分に合っていると感じ、そこからずっと通い続けています。」

中編で紹介したパンを卸す仕事は、この先生からいただいた仕事だったそう。

毎日毎日パンを焼き、焼いたパンを両手に抱え、電車やタクシーで様々なところに納品。そのうち通販も手掛けるようになり、パンを作る場所が手狭になったため、今のむぎわらいの建物の2階を工房にします。

せっかくパンを焼いているのだから、と1階で始めたのが「カフェむぎわらい」です。

「美味しいと思えるものを食べていれば、身体にも良いの。」


パン作りにすっかりはまった中川さん。パンを学ぶ中で、新たな出会いがありました。マクロビオティックとの出会いです。

「ある時、雑穀の料理教室に行って、マクロビオティックを知ったんです。マクロビの世界ではパンをあまり食べない、というのを知って、またショックを受けました。どうして食べないの…?と。」

マクロビオティックの世界を知り、自身の食生活は変わっていきました。そしてその考え方は、パン作りにも影響を与えます。

「マクロビを知り、ご飯の代わりになるパンを焼いてみたい、と思いました。雑穀を使ってパンを作ってみたんです。雑穀を使うと、モチモチして、バランスの良いパンを作ることができました。」

マクロビオティックにはまった中川さん。その頃から自身は卵やバターを口にしないようになります。

ある日、パン教室の先生の前で、卵やバターを残していたら、こんな言葉をかけられます。

「身体に良いものだけじゃ、人間生きていけないのよ。美味しいと思えるものを食べていれば、身体に良いの。」

身体に良いものを食べたい、でも我慢はしたくない!


この言葉が、中川さんの考え方を変えていきます。確かに、あまりに我慢するのは良くない。でも身体も大切だし…。

「折り合いをつけたいな、と思いました。自分だったら、なるべく身体に良くて美味しくて、元気になれるものを作りたい!と思ったんです。」

マクロビオティックの人も、そうではない人も、普通に同じテーブルで食べたいものを美味しく食べられる場がほしい。むぎわらいに卵や乳製品を使ったメニューがあるのはそのためです。ただし、素材は安心して食べられるものを厳選。可能な限り身体に良いものを使っています。

「食べるものを無理強いしてはいけないんですよね。「美味しい!」と思えるものを食べれば、免疫力はあがるものです!」

先生の言葉によって、バランスが取れた、誰でも美味しい食事を楽しめるお店の形ができあがりました。

ちなみに、今はお肉や乳製品などはほとんど食べなくなった中川さん。マクロビオティックの食事法は自分に合っていたようで、どんなに忙しくても体調が悪くなることは全くないそうです。

中川さんのピカピカなお肌(とってもキレイです!)や穏やかな物腰は、自分にあった、美味しいと思える食事の賜物なんですね。

みんなに喜んでもらいたい。その一心でパンを焼いています。


「基本的に、褒められたい、人に喜ばれたい、というのがモチベーションでパンを焼いています。」と笑う中川さん。

前にむぎわらいで定休日を作った時に、常連さんからがっかりされてしまい、それからは年中無休を貫いているんだそう。

「もし自分が、楽しみに行ったお店がお休みだったらがっかりするな、と思って。そういう思いをお客様にしてほしくないんです。がっかりされて、自分が傷つくのが嫌なのかも(笑)お互い大切な時間を使って出会っているので、出会った人皆さんに満足して欲しいんです。」


むぎわらいのパンは、日々の食事用に買って行く地元の人達はもちろん、土日は遠くからわざわざ買いに来る人も多く、大人気。

メディアでの露出も多いのでは?

「最初はこっそりとお店を始めて(笑)。取材の話もお断りしていたんです。でも、ある時ケーブルテレビの取材をお受けしたら、地元のお客様たちがすごく喜んでくれて。それからは少しずつ取材をお受けするようになりました。」

地元のお客様に大切にされないと、お店は絶対続きません、と話す中川さん。では、これから新たに来て欲しいお客様は?と質問したところ、決まったターゲットは特にないとのこと。

「縁があって来てくれる人がいればそれで良いと思っています。来てくれた方には、「来て良かった」と思ってもらいたい。遠方から来る方は、どうしてもそれっきりになってしまうこともありますが、それでも1度来て、良かった、と思ってもらえたなら嬉しく思います。」

中川さんは、来る人みんなに満足してもらえるように、これからもストイックにパンを焼き続けます。

パンを愛し、パンに愛された中川さんのパンは、遠くから食べに行く価値あり!とにかくパンを焼いているのが楽しいというその想いは、むぎわらいのパンを食べれば伝わるはずです。

※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。

≪前編≫天然酵母パンと、パンに合うヘルシーメニューを楽しめる!カフェむぎわらい

≪中編≫パンに魅せられ、ひたすら焼き続けること28年!カフェむぎわらい

店舗情報

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AYA OKUDA

AYA OKUDA

フードコーディネーター
食育インストラクター
食空間コーディネーター
フードライター
食の美味しさ、楽しさ、大切さを発信すべく、地道に活動、勉強中。
得意分野は、日本の伝統行事食、食の日本史・世界史、テーブルコーディネート。
好きな分野は、カレー、ビール。