こまきしょくどう【精進料理・秋葉原】 後編 〜食から文化と産業を守る〜
更新日:2019/02/01 公開日:2017/05/10
料理を作る側から食品産業に思いを馳せる
<前編>こまきしょくどう〜受け入れ、対応していく心を伝えていく〜
こまきしょくどうで徹底しているのが調味料選び。調味料は決めたところでしか購入しないそうです。
こまきしょくどうでは素材を活かしたシンプルな調理方法になるため、調味料が変わってしまうと味が大きく変わってしまう、という理由もありますが、小牧さんの中にはもっと大きな思いがあるようです。
それは、作り手を守る、ということです。素材にも製造にもこだわった調味料は生産ロットが少ないものです。作り手の技術も必要な機械も大量生産のものとは全くちがうものが求められます。そしてどちらも一度失われてしまうと再生が難しいとても貴重なものです。
食べる人が居なければ文化も産業も消えて行く
同じ事は乾物など他の食材でもいえます。
車麩は中でも分かりやすい事例ですが、東北中心に生産される地域も限定されています。あまり麩になじみのない関東の人間であっても、たまに麩を消費することによって北陸の経済を支える活動に貢献する事になります。車麩、高野豆腐の注文量はそれはすごい量だとか。
「東京の人には消費する責任がある」とおっしゃる小牧さんの言葉には、生産者への熱い思いが感じられました。生産する人がいなくなれば、その食文化は滅びて行く。
東京に店を持つ人として、細々と誠実に作られ続けている食材を積極的に使用することの意味はとても大きいと感じていらっしゃるようです。
2009年に作成した発酵食品マップは、その思いを形にしたもののひとつです。発酵食品の歴史を日本地図に置き、人と文化の交流の軌跡を一目で分かるようにまとめたもの。
食の歴史は人の歴史。当たり前のことなのですが、マップを見ながら改めてなぞってみると感慨深いものがあります。
食を通じた先にある、様々な人や産業への思いを多様に描ける食を提供したい。少量生産のものは、辿って行くとすぐに作っている人々の顔に辿り着きます。それこそが「食を通じて考える」ということ。
店をもつことは城をもつこと
小牧さんが店を持つにあたっては「自分の城を持ったほうがいい」というアドバイスが大きく背中を押したようです。
しかし、自分の城を持つ事になったからこそ、ついてまわる苦労と喜びは両方必ずあります。「それでも、店を持ってよかった。この場があるからこそ産まれる物語がある」。
その物語を父である藤井宗哲さんと分かち合っているような気持ちで、毎日お店に立ち続ける小牧さんに是非会いに行ってみてください!
<お坊さんのハレの日料理である九椀菜(くわんさい)をコンセプトにした口福セット>
・大豆とジャガイモのインドいため(スパイスあり)
・切り干し大根の煮物・ライスコロッケ・車麩のフライ
・厚揚げの黒糖煮・押し麦のサラダ
・おからサラダ ・高野豆腐の煮物 ・精進カレー ・酵素玄米
<前編>こまきしょくどう〜受け入れ、対応していく心を伝えていく〜
※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。
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