【旬の食材シリーズ:冬】生産量わずか1%?幻の三浦大根(神奈川)

更新日:2019/02/01 公開日:2017/01/22

三浦大根は、三浦半島の先端、神奈川県三浦市で作られている大根です。

三浦市は日本の大根の産地としては非常に有名で、その生産量は日本一。冬になると、三浦市の海岸などでは沢庵用の大根を日干しする光景が良く見られます。三浦市で生産される大根の中でも、三浦大根は古くから栽培されている伝統ある大根です。

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三浦大根の特徴


三浦大根は、白首系で真っ白の見た目の美しい大根です。長さは平均60cm、重さは平均3kg程度、中には8kgになるものもあり一般的な青首大根と比べて大きめなのも特徴です。

形は下に向かって太くなっていく「中ぶくら」と言われる形。水分を非常に多く含んでおりみずみずしい一方、みっちりと身が詰まっており荷崩れしづらいため煮物などに重宝されます。冬が旬の三浦大根ですが、現在は残念なことに市場に出回るのは年末の決まった数日間のみ。それ以外の時期は三浦市や近郊の直売所で購入することが可能のようです。

三浦大根の歴史


三浦半島における大根栽培は江戸時代初期からと言われており、「相模風土記」という書物にもその記録が残っています。大正時代には「高円坊大根」という三浦産の大根と「練馬大根」を掛け合わせた「三浦大根」が誕生。長きに渡り三浦の代表的な大根としての地位を確立してきました。

しかし1979年、三浦大根は悲劇に見舞われます。強い勢力の台風20号によって、大根畑が壊滅的な被害を受けてしまったのです。この台風被害後、三浦大根の代替として、時期的にまき直しが可能だった「青首大根」が栽培されます。その栽培の容易さ、収穫量の多さや手に取りやすい大きさから、青首大根は翌年以降も多く栽培されるようになりました。

結局台風がきっかけとなり、その後数年で三浦大根は、主役の座を青首大根に明け渡す形となってしまったのです。もし台風の被害がなければ、三浦大根は現在もまだ多く栽培されていたかもしれませんね。

三浦大根の生産量は、現在は三浦市全体の大根生産量のわずか1%以下とのこと。しかし、その独特な味わいを支持する人は今でも多く、直売所にわざわざ三浦大根を買いに来る人もいるようです。

三浦で生産されているその他の大根

青首大根


先ほど紹介したように、三浦市で現在主に栽培されているのは青首大根。三浦大根からポジションを奪ったような印象を持ってしまった方もいるかもしれませんが、こちらはこちらでとても美味しい大根です。

そもそも、三浦の土壌はとても優れています。地形の関係で日光が非常に当たりやすく、半島で海と隣り合っているため海水の栄養分が風に乗って畑に届きます。土壌も、火山灰が多く水はけが良い性質のため、大根の栽培にとても適した環境です。

そのような条件下で育った秋冬の青首大根は、甘くてジューシー。おすすめの料理はやはり煮物です。味も染みやすく、みずみずしい食感を楽しめますよ。

レディーサラダ


三浦市では1977年から大根の品種改良が始まりました。日本の食卓の変化などにより大根の消費が減少しており、時代に適した大根を栽培し大根の消費を拡大していくことが品種改良の目的でした。

その結果、開発されたのが「レディーサラダ」。1本300g台と小型で食べきれるサイズで、一人暮らしの方や大根をそこまで大量消費しない家庭でも気軽に手に取ることができます。

レディーサラダの外側は、内部の白とは対照的にな鮮やかなピンク色で、皮ごと食べられるのも大きな特徴です。皮にはアントシアニンという成分が多く含まれており、疲れ目に効果があると言われています。名前の通りサラダにも適していますし、マリネにしても色鮮やかで食欲をそそりますね。

三浦大根の美味しい食べ方



三浦大根は、煮崩れしづらいその特徴から、ふろふき大根やおでんの具など、煮物に適しています。洋風のスープの具にしても美味しくいただけますし、あんかけの具にしてもそのジューシーさを味わえて良いですね。

また、三浦大根が年末に市場に出回るのは、おせち料理の「なます」に使用されるため。身が密に詰まっており、シャキシャキとした食感がなますに適しているんですね。同じ理由で刺身の「つま」としても良く使われています。

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AYA OKUDA

AYA OKUDA

フードコーディネーター
食育インストラクター
食空間コーディネーター
フードライター
食の美味しさ、楽しさ、大切さを発信すべく、地道に活動、勉強中。
得意分野は、日本の伝統行事食、食の日本史・世界史、テーブルコーディネート。
好きな分野は、カレー、ビール。