消化がよくほっこり温まる 「ほうとう」 を手作りしよう~しあわせこよみごはん~そして・・・エピローグ

更新日:2021/01/13 公開日:2018/11/04

好評連載中の「しあわせこよみごはん」の応用編レシピ。まずはこちらの記事をチェック!

風邪に負けない身体づくり・・・脾臓を養い免疫を上げて季節の変わり目を元気に~しあわせこよみごはん~

甲州名物「ほうとう」。

山梨出身の私にとって、郷土料理のほうとうは、秋から冬にかけての風物詩として馴染み深く、夏の桃に並んで飽きることのないふるさとの味です。

山岳部の多い山梨県では、お米はとても貴重なものであったため、地産の小麦粉を使って家庭で太麺を打ち、食べる習慣がありました。中でもほうとうは、各家庭仕込みの味噌で味付けする家庭料理の代表でした。

山間部や盆地の厳しい寒さの冬に頂く暖かいほうとうは、身体を温める養生食として作り継がれてきました。

戦国武将の武田信玄公の陣中食で、甲州軍の健康維持のために普及したとも言われるほうとう。

地元では「うまいもんだよ、かぼちゃのほうとう」ということわざがあり、何か事が上手くいったときに使われるように、縁起ものの食べ物でもあります。

他にも、山梨には「おざら」と言う、手打ちしたうどんを釜揚げし、あたたかい醤油味のつゆでいただくものもあります。

ほうとうは、かぼちゃを入れるのが特徴で、その甘味が溶け込んだ優しい味わいです。

収穫の秋に採れるきのこや里芋などを中心に、旬の野菜をたっぷり入れて味噌で煮込んだ麺なので、栄養は満点。消化がよく胃腸にやさしいため、土用の時期にも最適で、老若男女問わずおすすめの料理です。

生めんを煮込むため、とろみがついていて冷めにくいのも特長です。

病み上がりや、内臓が疲れている時、断食後の回復食など、マクロビオティックでも推奨されています。

材料を切って煮込むだけという、シンプルな行程で作ることができるほうとうは、実は忙しい現代の人たちにとっても最適なお料理なんです。

冬になると私の作るほうとうが食べたい!と友人たちからも人気の、見た目は地味だけれど、やさしく美味しい本場仕込みの人気レシピをご紹介します。

是非作ってみてくださいね。

材料(4人分)

  • ほうとう麺材料
    地粉(中力粉) 1.5カップ
    ぬるま湯 1/2カップ
    塩 少々
    ※打ち粉(地粉または小麦粉) 大さじ4~5程度
  • かぼちゃ(3~4cm角に切る) 1/8個程度
  • 里芋(皮を剥いて1cm程の厚さに輪切り) 3個
  • 白菜(3cmほどのざく切り) 3枚
  • きのこ(しめじ、しいたけ、山なめこなど。石づきをとって適当な大きさに裂く。) 適量
  • 人参(5㎜程度の厚さにいちょう切り) 1/3本
  • 大根(5㎜程度の厚さにいちょう切り) 5cm程度
  • 油揚げ(熱湯で3分ほど茹でて油抜きし、絞って1枚を8等分に切る) 1枚
  • 長ネギ(斜め切り) 1/2本
  • 味噌 大さじ3程度(味見をしてお好みで加減は調整)
  • 干し椎茸 3個
  • 昆布 10cm
  • 水 6カップ
  • 醤油 少々

※飾りと薬味に茹でたいんげん・スナップえんどう・ねぎ等 適宜

作り方

① ほうとうの麺を作る。ボウルに地粉と塩を菜箸で混ぜ合わせ、人肌程度のぬるま湯をすこしずつ入れて指先で混ぜる。少しずつ生地をまとめながら振り粉をし、手で押し付けよくこねて耳たぶ程度の固さにする。

ぬれぶきんをかけて1時間ほど寝かせる。

② 土鍋または大きめの鍋に水と干し椎茸、昆布を入れておく。

③ まな板の上に打ち粉をしっかり振ってなじませ、その上に①の寝かせた生地を乗せ、上からも打ち粉をして、綿棒で3㎜~5㎜程度の厚さに伸ばす。上からもう一度打ち粉をして手で伸ばし、適当に折りたたんで1cm幅程度に切り、広げて伸ばす。

④ ②の土鍋を中強火にかけ、沸騰する直前に昆布を取り出す。干し椎茸を取り出し食べやすい大きさに切り土鍋に戻す。

⑤ ④にかぼちゃ以外の野菜ときのこを入れて、沸騰したら弱火にして10分程煮る。油揚げとかぼちゃを加え醤油少々を回し入れる。

再度沸騰したら②の麺を入れ、麺がくっつかないように菜箸でそっとほぐす。麺が柔らかくなり、かぼちゃが煮えたら火を止める。

⑥ 小さなすり鉢に味噌を入れ、③からつゆを少しとって入れて味噌をすりこぎで当たり(または小鉢で箸などで味噌を溶かす)、鍋に入れる。(この一行程で味噌の風味がより立ち美味しさが増します)

⑦ 丼に分け入れ、茹でたいんげんや青ネギなどの青いものを散らす。

【参考】

  • 作り立ても美味しいですが、翌朝食べる煮詰まったほうとうと、なべ底のおこげもまた格別です。
  • 味噌の種類で塩分や味はかわりますので、お好みで加減してください。米味噌と麦みそを混ぜたり、お手持ちの味噌をいくつか混ぜて使うと、より旨味の奥行きがでます。
  • 暖かい季節にはトマトや無調整豆乳を入れて少し軽め・洋風な味にしたり、ラクトベジタリアン(乳製品OK)の方には、バターを入れて食べて頂くのもおすすめです。
  • 薬味には七味・ゆずこしょう・すりごまがおすすめです。
  • 野菜は他にも、ごぼうや玉ねぎ、じゃがいもなど、お好みのものやストック野菜を活用してください。
  • ほうとう麺は写真のような手軽に使える市販のものもあります。麺を手打ちする時間のない時等、なるべく無添加のものを探して買ってみてくださいね。(冷凍保存もできるので便利です)

「しあわせこよみごはん」エピローグ


しあわせこよみごはんでは、日本の伝統食・郷土料理を大切に、手作りする愛を次世代に繋ぐこともテーマにしています。

郷土料理は、その土地の気候風土に合ったもので、先人たちの知恵の賜物です。

島国である日本では、交通や流通も今のように発達していなかった時代には、その土地で採れる恵みを生かし、その食材を農閑期のために保存食にすることで、一年を通じて栄養のバランスを考え、食卓を豊かにすることを考えてきました。

旬の食材や乾物でおかずやみそ汁、お漬物を作り、ご飯を炊いていただく。ケのごはん、それは究極のエコロジーでサスティナブルなアクションです。

「いただきます」「ごちそうさま」という感謝の気持ち・季節に寄り添い暮らす知恵。そして豊かな食文化と伝統を守り、季節の移ろいを五感で感じながら毎日を大切に積み重ねていきたいですね。

一年に亘り、季節や木・火・土・金・水の陰陽五行論に沿った食べ方や過ごし方、そして関連する臓器を労わる方法やレシピ等をお伝えしてきたしあわせこよみごはんシリーズ。

巡りくる季節ごとに、皆様の生活のお役に立てたら嬉しく思います。


どうぞ健やかで笑顔に満ちた日々を。生きとし生けるものが幸せでありますように、、、、

しあわせこよみごはんメンバー(五十嵐有希 / 大槻紘子 / 岡野則子 / 清野利佳 / 千葉芽弓)

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千葉芽弓/Miyumi Chiba

千葉芽弓/Miyumi Chiba

千葉芽弓(Miyumi Chiba)
ベジフードプロデューサー
Vegewel プロデューサー
Tokyo Smile Veggies 主宰

日本に根付いた伝統食を生かしたベジ・ヴィーガン食から健康や環境保護などの社会問題の解決や、ダイバーシティとしての真のおもてなしを目指し、メニューコンサルタント・製品開発・食育を行う。