ビーガンもビーガン以外も大満足。 「EdiTion Koji Shimomuraエディション コウジ シモムラ」 ミシュランガイド7年連続二ツ星のシェフが作るビーガンフレンチ

更新日:2019/02/01 公開日:2017/12/05

最初におことわりしておきますが、「EdiTion Koji Shimomura」はベジタリアンレストランではありません。

いわゆるガストロノミックな(美食の、ごちそうのという意味)高級フレンチレストランです。メニューにはシーフードやお肉の素敵な料理名がずらり。

しかし事前に予約すれば、ベジタリアンでもビーガンでも対応していただけることを最近になって知り、さっそくビーガンコースを予約して行ってきました。

ビーガンへの深い理解と独創性にあふれる料理、そしてシェフ・下村浩司(しもむら こうじ)さんの哲学をご紹介します。

EdiTion Koji Shimomuraの場所や詳細な情報はこちら

下村シェフのポリシー「オリジナリティ」

今回下村シェフの料理をいただいて特に感動したことが、深く「素材を理解している」ということ。

一流の料理人なら当然と思われるかもしれませんが、単に素材を生かしているのではありません。素材の思いがけない個性を引き出しているのです。これが料理、特にビーガン料理にとってどれほど重要なことか。

下村シェフはあるインタビューでこう語っています。

「私は修業時代、いろいろな偉大なシェフ達の元で働いてきたのですが、一旦自分がシェフになった以上は自分の料理を提供したいのです。

ですから彼らはあくまでもベースです。外から入ってくるものよりも、自分の中からこみ上げてくるものを料理として作っていきたいんです。例えば素材を見たり、旅に出たりして自分からこみ上げるものを。

今は料理の情報もメディアにあふれていて、盛り付けにしても流行とか、ある一定の流れがあります。それも一応見ますけど、自分の料理は自分のオリジナリティを追求してく。常にそれを心がけています」

一つの素材の中に、他の人には見えないものを下村シェフは見出しているようです。

シェフのルール


フレンチのコースをビーガン向けに仕立てるのは簡単なことではありません。対応してくれる店自体、まだまだ少ないのが現状です。

しかも下村シェフが目指すのはビーガン・ベジタリアンも、そうじゃない人も満足できる料理。そのために大切にしているルールが11項目あります。

  1. 普段以上に素材感を重視
  2. 色彩を考慮する
  3.  塩味を効かせる
  4. 旨味を意識する
  5.  ほのかに辛味を効かせる
  6. 食感を考慮する
  7.  乳化でクリーミーに仕立てる
  8. ナッツ・穀物を使う
  9.  多種類の植物性油脂を活用
  10. フレッシュなハーブを使う
  11.  スパイスの香りを効かせる

このルールは、普段の食事作りにも取り入れたいところですね。

当然ながら今回いただいたコースの随所に生かされています。

心踊る美しい料理

今回いただいたコースの詳細をご紹介いたします。

まずは冷製オードブルから。

「インカのめざめと野菜のサラダ カリフラワーと春菊のソース」


花束のような一皿です。この一皿だけでも上記の11のルールが凝縮されています。

インカのめざめを使った甘くなめらかなマッシュポテトの上に、多種類の野菜・ハーブ類・豆類・ナッツ類、発酵豆乳チーズがあしらわれています。

一つ一つ口にすると、丁寧に処理された食材が全ておいしい。まとめて食べると多様な食感と香りが混ざり合ってうっとり。

例えばラデッシュは生のものとピクルスにしたものが入っていますし、レモンもジュースだけでなく塩漬レモンの皮などが入って味に奥行きが出ています。

さらに意表を突いたのは、ほのかに感じる唐辛子の香りと旨味。ペルー産の唐辛子が使われています。辛味を感じる直前の絶妙なさじ加減。これが全体を引き締めています。

温製オードブル 1

「万願寺唐辛子の詰め物 ネギのヴァリエーション 加賀蓮根 ブロッコリのクーリ」

真っ赤な甘い万願寺唐辛子に野菜、発酵豆乳チーズなどの詰め物ですが、ふわっと香るコブミカンが、全体を未知の食べ物のような不思議な味わいにしています。

軟白ネギは白い部分、緑の部分と違う料理法で食感と味にヴァリエーションを出しています。

温製オードブル 2

「ビーツシロップでキャラメリゼしたアンディーブ 極太アスパラガスのロースト じゃがいものニョッキ 根菜」

ソースはビーツ・アーモンドミルク・唐辛子。

元々苦味のあるアンディーブ。キャラメリゼして甘くトロリとした食感になりつつも、残った苦味がアクセントになっています。ワインが進みます(笑)。

メイン

「きのことグルテンフリーパスタ アーモンドミルクの煮込み 竹墨とそば粉の生地でサクッと揚げたマコモ茸」

スープは昆布だし・干し椎茸だし・アーモンドミルク。本当にこれだけ?旨味が深すぎます。後は企業秘密でしょうか(笑)。

思わずシェフに「動物性のだし使ってないですよね?」と再確認してしまったくらいです。

デザート

「熊本山江栗とカカオ パッションフルーツのコンヴィネゾン」

栗のペーストが、乳製品もアルコールも使っていないとは思えない芳香とクリーミーな食感です。栗自体が美味しいから、水と砂糖だけでとても濃厚になるのですね。

そしてお口直しにもなるパッションフルーツのムース。こちらも乳製品やゼラチンを使わず、エスプーマで泡立てただけの、ただの泡なのですが、スプーンですくうと意外と硬めの感触。でも口に入れたとたんに儚く消えてしまう…快感です。

ベジタリアンもそうでない人も同じテーブルで楽しんでほしい

下村シェフは、あるときから、あれが食べられない・これが食べられないというお客様が増えてきたことに気付きました。好みではなく食制限のある方が多くなってきたのです。

また常連客も年齢を重ねるごとに健康を重視するようになってきたことから、ベジタリアン料理の研究を始めました。

同じテーブルで一人だけ制限食というのも楽しくないから、皆が満足できるベジタリアン料理を目指しているのです。

今を生きる

また下村シェフは「今をいきる」ということも大切にしています。

新しい食材や技術は世の中にどんどん出てきます。特に現代の東京では情報やモノがあふれ、何でも手に入ってしまう。

しかし下村シェフは、それらを視野に入れながら時代の求める料理を先取りし、「オリジナリティ」は保ったまま、積極的に新しいもの・面白いことを探しに行く姿勢です。

シェフは創造力と集中力が常に必要とされる大変なポジションですが、スターシェフと言われる現在でも下村シェフは日夜厨房に立っています。

ビーガンでよかった!と心から思えるビーガンコース

そういうわけで、下村シェフが作るのは、ひたすらポジティブなビーガン料理。これまで「我慢する」ビーガン料理を食べて、自分には無理だと決めつけていた方は認識が大きく変わることでしょう。

今回一緒に行った友人は通常のランチコースを選び、そちらもスペシャリテの牡蠣料理やメインのイベリコ豚がすごく美味しそうでした。

もし自分がビーガンでなかったら、普通にそちらのコースを選んでいたことでしょう。

でも、そうすると今回のビーガンコースは味わえなかった。

そして外国人も含めたビーガン・ベジタリアン人口が現在ほど増えていなかったら、一流シェフがこれほど真剣にこの分野に取り組んではくれなかったでしょう。

そう考えると、今回の料理をいただけたのは本当に幸運なことです。

下村シェフ、ありがとうございました。

下村浩司さん プロフィール
「EdiTion Koji Shimomura  エディション コウジ シモムラ」オーナーシェフ
1986年に調理師専門学校卒業後、都内で修業し1990年に渡仏。三ツ星レストランを中心に8年間研鑽を重ねて30歳で帰国。
2007年六本木に「エディション コウジ シモムラ」をオープン。翌年ミシュランガイド東京版にて2ツ星獲得。以後、数々の企業との提携、プロデュース、商品開発にも携わる。
2010年にイタリア、ドイツ、イギリス、フランスのベジタリアンレストラン視察。ベジタリアン、ビーガンへの理解を深める。

※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。

店舗情報

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HANA

HANA

KIJ(クシインスティチュート オブ ジャパン) 公認マクロビオティック インストラクター、栄養士。
料理教室「Rainbow Kitchen 六本木」主宰。

1965年札幌生まれ。
自然と本物の食をこよなく愛す。
30歳の時に突然アレルギー発症して以来、マクロビオティックで心身の調整法を学ぶ。

レッスンは紹介制・単発制・デモンストレーション形式。
料理をしない方、野菜嫌いの方、男性の参加者にも好評。