栄養満点ライスミルクや、酒粕のアイスクリームに化粧品まで!日本が世界に誇る「米」の可能性とは?獺祭ストア銀座
更新日:2019/02/01 公開日:2017/09/27
日本酒の中でトップクラスの人気を誇る「獺祭(だっさい)」。普段日本酒を飲まない方でも、一度はこの名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
日本酒の原材料は「米」。獺祭の製造元である旭酒造では、お酒以外にも米を使った様々な製品を開発、販売しています。
2016年11月に銀座にオープンした「獺祭ストア銀座」には、これらの「米」製品が大集合。米の可能性をリアルに感じることができますよ!
今回は、獺祭ストア銀座にお邪魔してインタビューを決行!旭酒造株式会社会長の桜井博志(さくらいひろし)さん、食品事業部長の寺田好文(てらだよしふみ)さんにお話を伺うことができました。
日本人の食生活を語る上で欠かすことのできない米は、食の新たな可能性を見出す食材・素材として、再び注目が集まっているのです。
目次/Contents
お酒だけじゃない!日本酒「獺祭」直営店は、米製品の宝庫。
獺祭ストア銀座は、銀座駅・東銀座駅から徒歩圏内。「晴海通り」という大通り沿いに位置し、観光地としても有名な「歌舞伎座」もすぐ近く。アクセスしやすいため、都内に住んでいる人達はもちろん、観光客も多く訪れる人気スポットです。
店内は、お米を彷彿とさせるクリーム色で統一。明るく清潔感があり、落ち着きます。
看板日本酒「獺祭」は500円で試飲が可能。店内はもちろん、外にもお酒を楽しめる席があり、外国の方が日本酒を楽しんでいる姿が目立ちます。
獺祭の焼酎も!焼酎があるのを知らなかったVegewelスタッフは興奮(笑)
このように、お酒をじっくり選べるのはもちろんですが、獺祭ストアの魅力はそれだけではありません。お酒を作る際に出る「酒粕」や「米粉」を使った製品が、数多く販売されているのです。
ライスミルクや酒粕でできたヘルシー食品!
寺田さんがまず紹介してくれたのは、「ライスミルク」。海外では普及が進んでいますが、日本ではまだ珍しい製品です。
「獺祭のライスミルクは、獺祭で使用しているお米『山田錦』の米粉と水だけで作られています。添加物も一切入っておりません。牛乳アレルギーの方からの需要はもちろん、業務用でパティシエからの問い合わせも多い製品です。
これを使って、乳製品不使用のケーキやゼリーをメニューで出している飲食店さんもあるんですよ。」
原材料が何ともシンプルなので、安心して飲むことができますね!添加物不使用ながら、賞味期限は製造日から約1年。かなり長持ちする製品です。
獺祭のライスミルクは、玄米とほとんど同じ成分割合でできています。赤ぬか、中ぬか、白ぬか、上ぬかをバランス良く配合しており、栄養分もバッチリ!
※「ぬか」とは、玄米を精米する際に出る粉末のこと。玄米の皮に近い部分から順に、赤ぬか、中ぬか、白ぬか、上ぬかと名付けられています。つまり、これらがバランス良く入っているということは、玄米に近い栄養分が含まれている、ということになるのです。
こちらは獺祭の製造過程で出た酒粕で作ったアイスクリーム。乳製品も使用されていますが、食べてみるとほんのり日本酒の風味が。本当にほんのりなので、お酒が苦手な方でも美味しくいただける、上品なアイスです。
「酒粕は、乳製品との相性が良いんです。是非、幅広い層のお客様に試していただきたい一品です。これからも、米を使って美味しく健康になるものを作っていきたいと思っています。」
他に、煎餅など、お米を使った定番お菓子もありますよ!
お米で美肌!スキンケア製品も充実。
獺祭ストア銀座で展開している米製品は、食べ物だけではありません。ここからは、女性が気になる製品を。
こちらは、酒粕を使った石鹸。こちらも添加物不使用。
なんと、化粧品もあるんです!落ち着いた素敵なデザインのパッケージには、「獺祭」の文字が。日本酒からできた化粧品。何だかお肌がしっとりキレイになりそう…。
「化粧品は、東京女子医大の教授にレシピを作っていただきました。米粉や酒粕は、身体の内側からだけではなく、外側からの『キレイ』にも役立つものなんです。
ちなみに、獺祭で使っている『山田錦』の米粉や米のとぎ汁から抽出したエキスは、化粧品を製造されている企業様にも提供させていただいております。先方とこちらのニーズが一致する場合は、是非幅広く米の素材を使っていただきたいと思っております。」
米ぬか同様、米のとぎ汁も栄養たっぷり。本来は「獺祭」という日本酒を作る上での副産物ですが、上手に活用すれば、その良さを生かした上質な製品を作ることができます。米のとぎ汁や米ぬかは、日本で昔から美容アイテムとして重宝されていたもの。今また、人々の注目が「古き良きもの」に戻ってきていると言えるかもしれません。
年間5,000トン!良質な米粉を有効活用するための、幅広いビジネス展開。
ここまで紹介してきた旭酒造の米製品は、日本酒「獺祭」を作る過程で出る米粉や酒粕を原料にして作られています。しかし、こんなに多くの製品で展開できるほど、米粉や酒粕はできるものなのでしょうか?
「獺祭を作るために使われる山田錦は、年間で7,000トン以上。そこからできる米粉は、なんと5,000トンにものぼります。米粉を除いた2,000トン以上の原料を使い、獺祭が作られますが、そこから1,200トンが酒粕になります。
この量の山田錦を使うのは、酒を美味しくする上で譲れない条件です。ただ、酒以外の副産物も無駄にしたくない。そんな想いから、酒以外の製品の開発や、他企業への原料の提供を始めました。」と、桜井会長。
獺祭を作るのに使われている「山田錦」は、主に日本酒製造に使われる高品質米です。そこからできる副産物ももちろん高品質。あらゆる製品の原料として、他企業からの相談も多いそう。
「米粉は、小麦アレルギーのお客様向けのメニューのために、あらゆる飲食店で使っていただいています。米粉には糖質が含まれているため、天然の甘味料としての可能性もありますね。また、弊社で作っている煎餅は、割れたお米を使って作っています。この割れたお米を他の料理にも使えないかも、現在模索中です。
食べ物以外でも、化粧品の原料を作る企業から素材提供の相談をいただいており、素材提供のビジネスも今後益々広がっていくと思います。皆さんの健康のためになる良質な製品を作るために、色々な知恵をお借りしながら幅広いコラボレーションを実施していきたいと思っています。」
普段日本酒を飲まない人も手を伸ばす。「獺祭」ヒットの背景とは?
様々な米製品を生み出すきっかけになった日本酒、獺祭。近年の日本酒ブームには、この獺祭のヒットも大きく関係していると言えるでしょう。
もともと、旭酒造の看板商品だったのは、「旭富士」という別の日本酒でした。獺祭が誕生したのは、桜井会長が三代目社長になってから。米は100%「山田錦」、純米大吟醸の最高級日本酒です。
※純米大吟醸とは、米と米麹だけで作られており、かつ精米歩合が50%以下、低温製法の日本酒。純粋に米だけを使っており、精米や製法にも手間と時間がかかります。
「獺祭の特徴は、女性のお客様・若いお客様・外国人のお客様に強いこと。この3つのお客様の共通点は、ある意味日本酒をよく知らない方達が多い、ということです。日本酒をよく知らないということは、日本の日本酒に対する先入観や思いいれがない。
これらのお客様にとって何より大切なのは『美味しい』ということです。これは、獺祭の『美味しいお酒でなければならない』というポリシーと重なります。」
従来の日本酒は、古くからの慣習や考え方に倣って作られるものがほとんど。地元の米を使い、昔ながらの製法を変えずに、毎年決まったものを作っていく。
獺祭は、慣習ではなく、とにかく「美味しい酒」を作ることを一番に考え、新しい日本酒の形を作り出しました。地元山口県の米ではなく、純粋に味だけを追求した結果の「山田錦」へのこだわり、手間も時間もかかる純米大吟醸酒へのこだわりは、他の日本酒ではなかなか真似できるものではありません。
「どこの酒蔵でも、美味しいお酒を作りたいという想いは変わりません。ただ、獺祭に関しては美味しさの追いかけ方が違います。慣習などは関係ない、なりふり構わない、美味しいお酒を作るためなら魂を売ってもいい。ただひたすらに美味しさだけを追いかけています。『美味しいかどうか』だけが判断基準です。」
獺祭は今も右肩上がりで売上を伸ばしています。そこには、ただ美味しさだけを追い求める、ブレない想いがあったんですね。
海外展開も右肩上がりの「獺祭」。米の可能性は世界へと!
日本国内での獺祭のヒットは、東京市場の開拓から始まりました。東京という日本で最大の市場で、ニーズが合うところの売上を少しもらう。決して日本全国大ヒットを狙ったわけではないこの戦略が、結果として獺祭の大ヒットにつながった、と桜井会長は話してくれました。
「小さな市場で大きなシェアを取ろうとして、今まで成功した覚えがありません。大きな市場でちょっとの売上をもらう。ニーズが合うお客様に確実に長く獺祭を飲んでいただく土壌ができれば良いと思っています。」
その想いは、東京市場から海外へと広がります。
「世界中に出ていき、広いところで『獺祭が好き。獺祭が飲みたい』という少数のお客様を作っていき、長く飲んでいただく。そうやって、世界でも獺祭のファンを増やしていけたら。」
現在、海外へ輸出する日本酒のうち、7%のシェアを占めるのが獺祭。今まではアメリカが多かったのが、今年はついに中国への輸出がアメリカを上回る結果になったそう。獺祭は、欧米、アジアと着実にその人気を拡大しています。
また、フランスでも新たな展開が!2017年11月に、パリに獺祭が飲める日本酒レストランがオープン予定。しかも、共同プロデュースは、かの有名なフランスのシェフ「ジョエル・ロブション」氏!世界最多のミシュランシェフであるロブション氏が、獺祭の味に魅了され、今回のスペシャルコラボが実現したのです。
「私達からしても、ロブション氏から声がかかるなんて、もの凄い話。『自分が作ったフレンチは獺祭に合う』という嬉しい言葉をいただきました。」
海外の一流シェフからも注目が集まる獺祭。そして、ライスミルクや酒粕などの米から作られる食品も、既に海外から大きな注目を集めています。
まだまだあらゆる可能性を秘めている日本のソウルフード、「米」。獺祭のように、日本のみならず、世界を席巻する日も近いかもしれません!
※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。
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