里山と大自然に囲まれて、Farm to Table なベジランチを。鴨川自然王国・Café En(カフェ・エン)【千葉県鴨川市】

更新日:2019/02/02 公開日:2018/10/10

とくに海が美しいことで知られ、最近は世界中のサーファーや観光客が訪れる、千葉県鴨川市。でも実は、里山の風景も捨てがたいということは、皆さんあまりイメージにないかもしれません。

青々となだらかに連なる山々、稲がそよぐ美しい棚田、それはまさに日本の田舎らしい原風景…。こちらは、「日本の棚田百選」にも選ばれた大山千枚田。


そんな最高の環境に囲まれて、とびきり新鮮で美味しいベジランチが食べられるのが、鴨川自然王国にあるCafé En(カフェ・エン)です。

Café Enの場所や詳細な情報はこちら

カフェ・エンへの行き方


都内からは、鴨川まで車で約2時間。

町の中心部から、大山千枚田を目指してさらに20分ほど走り、いくつかの看板を頼りにクネクネ山道を登れば、なんとも気持ちのよい解放感あふれる景色が広がっています。

思いっきり深呼吸すれば、フレッシュでクリアな空気が、身体の中まで浄化してくれそう。


カフェ・エンは、まさにその豊かな自然に溶け込むようにして佇んでいました。


手作り感のある素敵な看板に、思わず期待が高まります。

お米も野菜も王国産!Farm to Table な絶品ベジランチ

鴨川自然王国の「カフェ・エン」のコンセプトは、Farm to Table(ファーム・トゥー・テーブル)。

お米や大豆、野菜など、カフェで使用する食材のほとんどはそばにある田畑で育てられたもの。収穫したてなので、なんといってもとびきり新鮮です。自給率は、なんと9割以上にもなるそう!

もちろん無農薬有機栽培で、旬の野菜だけを贅沢に使っており、季節の移り変わりを感じることができるのも嬉しいですね。

カフェで腕をふるうシェフは、日によって異なります。以前は鴨川で「シュガーソルトカフェ」を運営していたという戸村一郎さん担当のある日は、パスタのランチセット。


トマトソースパスタ(サラダと味噌汁かスープ付きで、税込1,200円)。

フルーツトマトで作った自家製ソースは、絶妙な甘酸っぱさで、夏野菜がゴロゴロ入っていて食べ応えバツグンです。田舎らしく、気前よく大盛りなのも嬉しいところ。


バジルソースパスタ(サラダと味噌汁かスープ付きで、税込1,200円)。

クルミと松の実が入った、自家製バジルソースのパスタ。ほどよくニンニクのコクがあり、こちらもたっぷりの野菜とよく絡んで、美味しかったです。

パスタには通常はチキンが入りますが、−100円でチキン抜きのヴィーガン仕様にしてもらえるので、安心ですね!


テーブルには、王国産の唐辛子を使った「レッドペッパーソース」が置いてあり、少し加えるとピリッとしていいアクセントに。こちらは店頭で販売されているので、お土産にもいいですね。


ちょうど天日干し中だった、収穫したての赤唐辛子。目にも色鮮やかなレッド!

また日によっては、野草を使った食養料理家の吉度ちはるさんがシェフを務め、ヴィーガン仕様の「食養プレート」を食べることができます。

外食ではなかなかお目にかかれない、身体の陰陽バランスをしっかり調えてくれる献立になっています。


この日の「食養プレート」は2種類から選べ、こちらはメインが、車麩とねぎの煮物。ほかにパスタサラダ、きゅうりの梅酢漬け、みょうが味噌、昆布の佃煮、きゅうりと玉ねぎの味噌汁、ごはんがつきます(税込1,200円)。

味のよく染みた車麩とねぎの煮物は、ごはんがどんどん進む味わい。季節野菜や、王国内にふんだんに生えている野草を使ったおかずたちは、身体が喜ぶ美味しさです。


もう1種類の「食養プレート」は、なすの生姜焼きがメイン。それ以外の副菜などは、上のメニューと同じです(税込1,000円)。


ごはんは土鍋で炊いており、この日は夏季限定の押し麦入り五分づき米です。王国の田んぼで育ったお米は、しっかりと噛みしめたくなる味わい深さ。


こんなにも身体に優しく染み込んでいくような内容のごはんは、まさに唯一無二…!

四季折々の野草がどんな風にいただけるのかも、楽しみになりますね。


この日のヴィーガン対応スイーツは、王国産かぼちゃのういろう(税込350円)。もっちりとした弾力があり、かぼちゃの甘みが優しい、どこか懐かしいおやつです。

食後に「笹茶」をオーダーすると、笹を取りに行くところからやってくれるというので、同行させてもらうことに!


ちょうどよさそうな笹をとる、ちはるさん。


笹の葉をあぶって煮出した、笹茶(税込400円)です。香ばしさとさわやかさが一緒に口の中に広がり、不思議なほどに後味さっぱり。

ドリンクはほかにも、鴨川産のはちみつと王国産の生姜で作った、自家製ハニージンジャー(税込500円)をはじめ、コーヒー・紅茶・季節のハーブティーなどが揃っています。

のどかな自然に囲まれたカフェ・エンで、癒しのひとときを


新鮮で美味しいごはんが魅力のカフェ・エンですが、同じくらい素晴らしいのは、なんといってもその絶好のロケーション。

普段都会で過ごしている人がここを訪れると、まずはあまりの静けさに驚くのではないでしょうか。カフェは人里離れた山の上にあるので、車の騒音などが全くありません。

そっと耳をすませば、聞こえてくるのは、小鳥たちのさえずり、カエルや虫の鳴き声、田んぼに流れる水の音、木々の葉ずれのサラサラとした音だけ…。身を任せていると、日頃の疲れも自然と癒されていくようです。


客席は店内かテラス、お好きな場所を選べますが、天気がよければぜひ外で食べてみて!


チラチラと揺れる木漏れ日の下でランチを頂けば、頬をなでるそよ風が心地よく、まるでピクニック気分。澄み切ったきれいな空気と相まって、ごはんもより一層美味しく感じられます。


庭にはハンモックやブランコがあるので、時間を忘れてリラックスできます。裸足になって、直に土を踏みしめるのも気持ちがいいもの。ドッグランも併設されているので、ペット連れでも楽しめますね。


こちらは、手作りのアースオーブン。イベントのときに、ピザ作りなどで活躍するそうです。


店内も陽の光がたっぷりと差し込み、ナチュラルで開放的な雰囲気。


目に優しい木々の緑を眺めながら、ゆっくりくつろげそうです。


鴨川自然王国の創始者、藤本敏夫さんの記念館内に、カフェ・エンはあります。これまでの王国の成り立ちが書かれた興味深い資料や、田舎暮らし関連の文献などが充実し、自由に手にとって読むことができます。


物販コーナーには、王国産のお米を使った「王国せんべい」も。王国手造りの醤油の風味が香ばしく、食べはじめるとつい後を引いて止まりません。焼きせんべいと揚げせんべい、どちらもおすすめ!

収穫がたくさんあったときには、自家栽培の野菜を販売していることもあるとか。

スタッフの皆さんに聞く、鴨川自然王国とは

歌手の加藤登紀子さんの夫であり、大地を守る会の初代会長でもある藤本敏夫さんが、大自然に恵まれた鴨川の地に惚れ込み、1981年に農園をスタートしたのが、鴨川自然王国のはじまりです。

以来、田植えや稲刈り、収穫祭などの農作業イベントを通して、農ある豊かな暮らしを発信し続けています。

現在の代表は、歌手のYaeさん(加藤登紀子さんの娘)の夫でもある、藤本ミツヲさん。もともとはこちらに農業研修へ訪れたのが、鴨川自然王国との出会いだったそうです。


「今は、いつ当たり前なものがなくなるかわからないような、不透明な時代。これからどんな時代に向かいたいか、一人一人が真剣に考えていかないといけない。

そんな中、里山で暮らすことの良さをますます感じています。自給自足の生活は、エネルギー資源も自然のものを活用するので、災害などが起こっても対応できる面が多い。

日々の暮らしを研ぎ澄ませることの大切さを、伝えていきたいですね」

でも、農業や田舎暮らしに興味がある人は、まだまだ少数派。

「都会からも気軽に遊びに来てもらって、田舎を体験してみてほしい」という思いから、10年前にカフェをオープンするに至ったそうです。

「日頃疲れている人が癒され、ホッとできる場所になれば」と、ミツヲさん。

カフェでシェフを務める戸村一郎さんも、農業研修先を探していて、鴨川自然王国にたどり着いたといいます。


「ちょうど子どもができた頃に、食品の産地偽装などの事件が相次ぎ、安全安心な食事を提供したいと思うようになりました。それにはやはり自分で野菜を作るのが理想だと思い、色々調べていたんです。

すると、これから農業をしたい人のための研修がこちらであると知り、都内から通うことに。その後、王国の会員だった方がタイミングよく空き家を紹介してくださって、鴨川に移住し、縁あってカフェも手伝うようになりました」

野草料理家の「若杉ばあちゃん」こと若杉友子さんや、大森一慧先生、岡部賢二先生など、マクロビオティックや自然食の著書を多数手がけられている、編集者の吉度ちはるさん。

今年8月より、カフェ・エンで王国の野菜や野草を使った「食養プレート」を提供しています。


「こちらでは野草の料理教室を開催させていただいたりと、何かとお世話になっています。

イベントや合宿も開催できる、こんなに素敵な場所があったとは、と最初は驚きました。

なにしろ、ここは本当に野草の宝庫! 別名、鴨川野草王国とお呼びしたいぐらいです(笑)」

王国に生える野草は、よもぎ、ふきのとう、ゆきのした、ハコベ、葛の芽、ミョウガなど、四季を通して実にさまざま。身体を元気にしてくれて、デトックス効果もある野草の良さを、美味しく味わいながら体感できそうですね。

これからの鴨川自然王国とカフェ・エン

「人と人とのご縁が繋がっていきますように」との思いで名付けられた、カフェ・エン。今後は農業体験以外にも、親子連れで参加できる自然保育など、さまざまなイベントを充実させていきたいと考えているそうです。

直近では、毎年行っている「秋の大収穫祭」が10月20日(土)に開催されます。

加藤登紀子さんやYaeさんをはじめとするアーティストの歌と演奏、地元の美味しいものが集まる屋台や雑貨屋などなど、盛りだくさんの内容です。この機会にぜひ!


終始和やかで感じよく取材に応じてくださった、スタッフの皆さん。

鴨川自然王国とカフェ・エンの最新情報は、公式facebookページにて発信しています。季節ごとに楽しいイベントを開催しているので、お見逃しなく!

たまには都会の喧騒から離れて、里山へ週末トリップはいかがでしょうか。美味しいごはんと自然に癒され、帰る頃にはすっかりリフレッシュできるはず。きっとこれからの暮らし方を見つめ直す、いいきっかけにもなるに違いありません。

※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。

店舗情報

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大国 沙織|Saori Ohkuni

大国 沙織|Saori Ohkuni

平成元年生まれのフリーライター、ヴィーガン料理家。
約15年前から、マクロビオティック、菜食中心のライフスタイルを送る。
京都で学生時代を過ごし、東京で雑誌の編集を経て、自然豊かな千葉県鴨川市にUターン。
四季折々の野の草や、色鮮やかな野菜たちと戯れることが喜び。
あちこち住んだからこそ感じる田舎暮らしの魅力、サスティナブルな旅の楽しみ方も発信中。

正食クッキングスクール師範科コース修了
インナービューティープランナー®

運営ブログ「おいしい人生のつくりかた」:http://delicious-life.com/