素材の味が命、日本伝統の湯豆腐と精進料理(京都)
湯豆腐は、京都府の南禅寺周辺で発祥したとされている鍋料理です。
そのルーツは精進料理と言われており、南禅寺周辺以外でも京都には多くの湯豆腐の名店が存在しています。京都名物の食事といえば「湯豆腐」を思い浮かべる観光客も多いのではないでしょうか。
目次/Contents
湯豆腐の特徴
湯豆腐の材料は豆腐、水、昆布だけととてもシンプル。ゆえに調理方法よりも、素材の質が料理の味を大きく左右します。ちなみに豆腐の成分は80~90%が水。水の良し悪しは特に、湯豆腐の出来に大きく関わってくると言えますね。
京都は昔から水が美味しいところとして有名です。地下水が豊富でその性質は軟水。ミネラルが少なく料理に使っても雑味が出ないのが特徴です。この地下水で作られた京都の豆腐はやわらかく、とても美味しく仕上がります。
ちなみに、豆腐をミネラル分の多い硬質で煮ると堅くなってしまいます。これは水の中のミネラルが「にがり」の働きをしてしまうためです。ミネラルが少ない京都の水は、豆腐を作るのにはもちろん、豆腐をやわらかくつるんと煮るのにも最適な水だったんですね。
また、湯豆腐に入っている昆布は、豆腐にうまみを与えるとともに、豆腐を強い火から守り、やわらかく仕上げる役割も担っています。
昆布以外にも、豆腐をやわらかく仕上げるには塩や大根を入れると良いともいわれており、お店によってはそのような湯豆腐を提供しているところもあります。
食べごろになった豆腐は、しょうゆや出汁、薬味などをつけて食べるのが一般的です。出汁については今は鰹や煮干しの出汁をつかっているところもあるので、外で湯豆腐を食べる際は確認してみると良いでしょう。
湯豆腐の歴史
湯豆腐がいつ誕生したか、正式な記録は残っていないようですが、その起源は南禅寺周辺の精進料理と言われています。
寺の僧侶は、殺生はよくないこととする仏教の戒律に従い、動物の肉などは食べずに生活をしていました。ゆえに、人間に必要なたんぱく質のほとんどを大豆料理から摂取しており、特に豆腐は欠かせない食材でした。
湯豆腐という豆腐の味を最大限に堪能できる料理が誕生したのは、戒律を守りながらも美味しいものを食べようという僧侶の努力や工夫があったからなのかもしれませんね。
ちなみに鰹など魚の出汁が使われないのもこの戒律があったがゆえ。昆布を使うことでやわらかい湯豆腐が実現するわけなので、まさに精進料理だからこそできた料理と言えますね。
湯豆腐の原点「精進料理」
湯豆腐の原点ともいえる「精進料理」とはどのようなものなのでしょうか?
精進料理は、鎌倉時代に禅宗の僧侶の間で作られ始めたと言われています。平安時代末期に中国に修行に行った僧達によって広まったもので、中国仏教の「肉食忌避」の思想に基づいているため、植物性の食材のみで作られているのが特徴です。
肉を食べないといいつつも、できれば美味しいものを食べたいのが人間です。僧侶達も植物性の食材を肉に近づけ、濃い味を出すために様々な工夫を凝らして調理をしていました。実はこの精進料理の創意工夫が、その後の日本の料理技術の向上に大きく関係していたと言われています。
精進料理により高い調理技術を身につけた僧侶は調菜人と呼ばれ、やがてその調理技術は広く一般にも広まっていくことになりますが、それは鎌倉時代以降の話となります。
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