野菜がシートになっちゃった!現代食の救世主。自然由来の材料だけで作った「VEGHEET(ベジート)」とは?
更新日:2024/11/22 公開日:2018/03/30
「どうしても紹介したいすごい商品を見つけたから、是非一緒に取材に行ってほしい!」
こんなメッセージと共にVegewelのプロデューサーから送られてきたURLを開いて出てきたのが「ベジート」という商品でした。
海苔のようだけど、原料は野菜。確かに色は野菜のようだけど、野菜の形はどこにもない。
わかったのは「野菜を原料にした、シート状の商品」ということだけ。いくら考えても、どのような食感なのか、どんな味なのか、全く想像がつきません。
ベジート、気になりすぎる!
ということで、早速取材を決行したVegewelスタッフ。ベジートの生みの親である、株式会社アイル 代表取締役 早田圭介さんに、ベジートとは一体どんなものなのか、その正体をお伺いしました!
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目次/Contents
材料は野菜と寒天のみ!野菜(ベジ)+シートで「ベジート」。
ベジートの原料は、野菜と寒天のみ。調味料・添加物は使用していません。
取材時は、様々な種類のベジートを試食させていただきました。
最初は海苔のような感じなのかな?とぼんやり考えていましたが、これは大きく裏切られることに。
手触りは、海苔よりややしっかりしている印象。脆さは全くなく、安定したシート状になっています。
食感も海苔と比べてやや固め。海苔だと、最初のパリッと感がメインですが、ベジートは「噛んでる感」が多め。寒天も入っているし、これは思ったより腹持ちが良いのかも…。
そして、一番驚いたのが、その味!どの種類のベジートも、野菜の味がしっかり残っているんです。もちろん、調味料等は一切使用していないので、本来の野菜の味です。
特に甘味が際立ったのがこちらの人参味。色も鮮やかでキレイです。
ちなみに、ベジート1枚で使う人参の量は約36g。シート3枚で、約1本分の人参を摂取できる計算になります。
バジル味は、バジルそのもの!このまま細かくしてパスタに乗せても、バジル炒めに使っても良さそう。
他にも、パンプキンやトマト・レモンにラディッシュなど、様々な味が。
日本人には嬉しい梅干し味も。
早田さんは、試食用として、このようにベジートを小さく切って瓶に入れ持ち歩いているそう。梅干し味は、こんな風に持ち歩いて、疲れたら一切れ口に入れたい味わいです。
味はしっかり、種類も想像以上に豊富だったベジート。しかし、添加物も使っていないのに、一体どんな方法でこのように綺麗なシート状に加工されているのでしょうか?
ベジートの、気になる製法とは?常備食・保存食としても期待が。
ベジートの製造方法は、野菜のペーストと寒天を混ぜたものをシート状にして乾燥させるだけ。文章にすると何ともシンプルです。
ただし、シンプルな原料をシンプルにシート状にするためには、相当な技術が必要となります。
「ベジートを作る上で重要なのが特殊な加工技術です。これは特許を取ったオリジナルの製法。野菜の種類によって加工方法が異なりますが、それを最短で見つけることができるのは私だけです。」と早田さん。
かなり高度な技術のようですが、その方程式は早田さんの頭の中にだけ存在しているそう!
方程式はベジートの種類によって違うそうですが、その計算方法とは?
「野菜の成分分析表を見ると、だいたい方程式が浮かぶんです。それに当てはめれば後は微調整だけでOK。今ある種類は、全てこの方程式に当てはめ、1日~2日で開発できました。」
正直、Vegewelスタッフにはついていくのがやっとのお話(笑)。早田さんはもともと理系で、化学や数学が大好きなんだそう。
「ちなみに、皆さんが使っているシート状の海苔を作るには、1枚につき約1Lの水を撹拌し、水を落としてプレスします。そうすると、水の中にも旨味が出ていってしまう。
野菜で同じ製法を使うと、野菜の色や栄養分の多くが水と共に失われてしまうんです。ベジートは、特殊な加工方法により、野菜のペーストをそのまま全部シートの中に閉じ込めることができています。」
通常、海苔だと2~3時間はかかる乾燥時間も、ベジートは何と15分!水分が少なく菌もつきにくいので、保存食・常備食としてぴったりです。
「ベジートは、開封前のものであれば2年は持ちます。そのままの野菜と比べると、日持ちは圧倒的です。
また、栄養分に関してもほとんどのものがそのまま残ります。食物繊維も豊富です。シート状なので、自宅で保存する際に場所を取ることもありません。」
災害や野菜不足など、不安が多い今の世の中。このような野菜の保存食があれば安心ですよね。実際、ベジートは、自衛隊など非常食を必要とする人達からも大きな注目を集めています。
また、安全な食品であるため、 子供向けの食品としての活用にも大きな期待が寄せられています。
「キャラクターの形に型抜きしたものをスープとセットにしたり、食べられる着せ替えに使ったり。野菜でできているのでお子さんの野菜嫌い克服にも期待が持てます。」
エコでサスティナブルなベジートは現代食の救世主!
ベジートは、その商品自体の魅力以外にも、様々なメリットがあります。
「ベジートの野菜は、例えばブロッコリーであれば根っこの部分であったり、ほうれん草は規格外のものの芯や黄色い部分だったり、農家が売りに出せないものを使用しています。
野菜は、せっかく作っても販売ルートに乗せられなければ、産業廃棄物として扱われてしまう。それは農家にとっていたたまれないことです。
捨てざるを得ないけど、まだ食べられるものを引き取って商品を作ることで、食品ロス問題の改善にもつながります。」
また、使う野菜は国内産が中心。このような商品が増えると国内自給率のアップにもつながります。
さらに、ベジートは場所を取らないシート状なので、輸送コストも低い上、フードマイレージの観点からも非常に優秀な商品です。ベジート、いいことだらけ!
早田さんは長崎県出身。今も長崎県を拠点にビジネスを展開しており、ベジートも長崎県を拠点に生産・配送を行っています。
「今は九州にある野菜のみでベジートを生産しています。以前は収穫時期に合わせて他の地域の野菜を取りよせていましたが、そうすると原料を取りよせるのに物流コストがかかってしまう。それでは意味がありません。
技術面を改善し、賞味期限を伸ばすことで、1年を通して九州の野菜だけであらゆる種類のベジートを提供することができるようになりました。」
無駄なコストを徹底的に省き、地元の野菜を効率的に活用するベジート。まさに今の時代にぴったりなエコでサスティナブルな商品です。
また、ベジートは現在、直接小売りへの販売は行っていません。そこにはこんな理由が。
「うちの会社はあくまで業務用のみを販売。その先の小売り向けの販売やネット通販は、基本アウトソーシングで考えています。その方が、自社のコストを最小限に抑えられる上、他の企業様の利益も大きくなります。」
どこをとってもとにかくwin-win。素晴らしい。
元証券マン・バス会社社長がベジート開発に人生を捧げた理由。
早田さんは、元証券マン。その後、自身でバス会社を経営していたという異色の経歴の持ち主です。
「20年前、とある海苔会社の社長さんと知り合う機会があり、そこで野菜をシート化する事業を行っているのを知りました。すごい!と鳥肌が立ったのを覚えています。」
すぐにその事業に自身も出資し、販売担当を買ってでました。
「最初は海苔の機械を使ってシートを作っていましたが、なかなかうまくいきませんでした。水分調整が難しく、紙を食べているみたいだったり、柔らかすぎたり。
しばらくしてその会社はその事業から撤退してしまったんですが、最初に感じた衝撃を忘れられず、この商品は世に出さなければならないと思い、事業を引き継いだんです。」
衝撃の出会いがきっかけとなり、野菜シートを開発することになった早田さん。しかし、当時はまだバス会社の経営も行っていました。
「バス会社では、年会費を支払えば、何度でも乗ることができる会員制のバスを運行していました。九州の過疎に悩む町に都会からお客さんが来れば、地域活性につながります。
また、自力での移動が難しいお年寄りの方達も、バスが増えれば移動がしやすい。一路線一日二往復のスケジュールでしたが、乗車率は多い時で80%にも上りました。」
しかし、ほどなくバス会社はとある不本意な事件がきっかけで早田さんの手を離れてしまうことに。それでも、早田さんは前を向いてこう話します。
「いつか、バス会社もリベンジしたいんです。お客様にすごく喜んでいただける会社だった。
人間の身体でいうと、毛細血管がバスなんじゃないかと思うんです。人口が多い中心地では、交通機関が豊富で、太い血管が自然と流れている。でも、毛細血管にも栄養を送らないと、身体は成り立ちません。
皆さんが使いやすいバスを運行することで、九州全体に活力を持たせられたら。」
バス会社とベジート開発。一見全く違う事業のように見えますが、早田さんとお話していて、どちらにも共通する、常に根底にある想いに気が付きました。
それは、「地域のために、地域を元気に」という想い。ベジートも、地元九州の野菜を有効活用し、地元の企業が元気になるようなビジネスを展開しています。
みんなに喜んでもらえる、みんながハッピーになる事業。
「私は、お金を儲けるというより、『喜び』を儲けたいと思っているんです。どんな事業を行う時も、その気持ちを忘れずに。そうすると、ご縁がつながり、どんどん良い方向に話が進むようになるんです。」
今はベジートを通じて「喜び」を増やしている早田さん。戦略ありきではなく、想いが素晴らしい戦略を生むこともあるのです。
今後は世界での展開も。ベジートは世界を救う!
今は長崎で事業を行っている早田さんですが、今後は長崎発信で、全国に向けてベジートを発信していきたいと話します。長崎での仕事を増やしていくのも、早田さんの目標です。
「長崎全体が盛り上がるように、長崎県内で積極的にアウトソーシングしたいと考えているんです。
長崎は働き口も少なく、若い人が外に出てしまうため、人口がどんどん減っています。しかし、今の若い人は、実は地元志向の方も多いんです。
仕事がないので外に出ざるを得ない。だからこそ、長崎で仕事を作って、若い人と長崎を盛り上げていきたいんです。」
海外事業に関しても、長崎で貿易業をしている企業は早田さんのところだけ。日本国内はもちろん、海外事業も合わせて、若い人と盛り上げていきたいと早田さんは話します。
「既にフランスのケータリング会社で採用されたりと、ベジートは海外でも展開できる商品です。
ヨーロッパの野菜は質が良いと言われていますが、もちろん規格外のものも出てきます。日本同様、ヨーロッパではヨーロッパの食材を使って、ヨーロッパに工場を作り、パートナーシップを作りたいなと。」
ベジートは、農水省が主催する「フードアクションニッポンアワード2017」で、10,000を超える商品の中から10選に選ばれた実績があります。
それを経て、あらゆるメディアから取材依頼も増えているそう。
「ベジートの開発は、本当に大変だった。涙なくして語れません。しかし、多くのご縁やご協力があり、ここまで来られました。
世界へ展開する際も、日本が持つお互い様の精神を忘れずに、喜びを儲ける精神でやっていければと。」
日本でのブレイクに向けて、着実に実績を積んでいるベジート。日本から世界へ羽ばたく日もそう遠くないはず!
ベジートの購入について
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