大豆の食べ過ぎはよくない?食べ過ぎによる影響と摂取量の目安

「大豆を食事に取り入れたいけど、食べ過ぎると体に悪いの?」「大豆の適切な量はどのくらい?」と疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。

たんぱく質や食物繊維など、栄養素を豊富に含む大豆ですが、食べ過ぎには気をつけて食生活に取り入れる必要があります。

この記事では、大豆の1日の摂取量や食べ過ぎによる影響、栄養成分などを解説しています。大豆を食生活に取り入れたい方は、ぜひ参考にしてください。

日本人の食卓に欠かせない大豆

木綿豆腐と納豆、お味噌の写真
豆腐・味噌・醤油などの原料として日本人の食卓に欠かせない大豆は、弥生時代に中国から日本へ渡来しました。奈良時代になると、味噌や醤油の元である「穀醤(こくびしお)」の原料として利用され始めます。

大豆は、日本独特の行事である節分でもおなじみです。豆をまくのは、「魔よけ=魔を滅する」ということから、「魔滅(まめ)」の語呂合わせが由来といわれています。また、太陽を思わせる丸い豆は、魂が宿る食材「五穀」の一つとして、日本では昔から大切にされていました。これも、豆をまく由来の一説です。

節分のほか、悪霊がきそうなところに大豆の茎や葉の灰をまいたり、いろりの灰で焼いた大豆で天候を占ったり、日本各地には大豆にまつわる儀式がいくつも存在します。

日本では、大豆を使った発酵食品として納豆が有名ですが、世界でも、インドネシアのテンペ、タイのトゥアナオなど、発酵食品の原料として大豆が使われています。テンペはバナナの葉の菌を用いて作られ、蒸したり焼いたりスープの具にしたり、さまざまな方法で食べられています。

参考:農林水産省

大豆に含まれる主な栄養成分

麻の袋と大豆の写真
「畑の肉」といわれる大豆は、たんぱく質をはじめ、栄養素が豊富です。
この章では、大豆に含まれる次の6つの栄養成分について解説します。

・たんぱく質
・サポニン
・食物繊維
・大豆オリゴ糖
・ビタミンB群
・大豆イソフラボン

たんぱく質

大豆100g中に含まれるたんぱく質は33.8gで、牛肉(かた脂身)の21.3gを上回っています。植物性たんぱく質には少ないリジンなど、体内で作ることのできない必須アミノ酸を含む、強力なたんぱく源です。

たんぱく質は、筋肉・臓器・ホルモンなどの細胞を構成する重要な成分で、生命維持に欠かせません。

出典:日本食品標準成分表2020年版(改訂版)
参考:厚生労働省e-ヘルスネット

サポニン

サポニンは、植物が産生する健康機能性成分です。大豆をはじめとする豆科植物には、サポニンが特に多く含まれています

サポニンは、抗酸化作用・免疫力向上・肥満予防・血流改善など、さまざまな効果が期待できます。

食物繊維

大豆100g中に含まれる食物繊維は21.5gで、ごぼうの約4倍です。大豆に含まれる食物繊維の多くは、水に溶けない不溶性食物繊維です。

不溶性食物繊維は、便のかさを増やし、大腸内の環境を改善する腸内細菌のエサとなり、便秘の予防に役立つとされています。

出典:
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
日本食品標準成分表2020年版(八訂)

大豆オリゴ糖

大豆オリゴ糖とは、大豆に含まれるオリゴ糖のことです。大豆オリゴ糖は、胃や小腸では消化・吸収されにくい難消化性オリゴ糖で、血糖値や中性脂肪値の上昇に影響しないといわれています。

胃で消化されなかったオリゴ糖は、大腸に運ばれ善玉菌のえさとなることで、腸内環境を整えます。

ビタミンB群

大豆は、人体の機能を正常に保つために必要なビタミンB1・B2・B6などのビタミンB群を豊富に含んでいます。ビタミンは体内でほとんど合成できません。

大豆には白米の約35倍のビタミンB1が含まれています。ビタミンB1は、炭水化物(糖質)の代謝を促進する役割を持っています。大豆を摂ることで糖質を効率的にエネルギーとして利用でき、疲れにくい体づくりに役立つでしょう。

出典:
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
日本食品標準成分表2020年版(八訂)

大豆イソフラボン

大豆には多くのイソフラボンが含まれています。イソフラボンは、豆類に多く含まれるポリフェノールで、女性ホルモンであるエストロゲンと似た作用を示すといわれています。

のぼせやほてりなどの更年期障害による症状の緩和、骨粗しょう鬆症予防、生活習慣病の予防や改善などへの効果が期待できます。

大豆を食べ過ぎるとどうなる?

大豆の写真
栄養豊富な大豆ですが、食べ過ぎには注意が必要です。

大豆には食物繊維が含まれているため、適量を摂取すれば、腸内環境を整えて便通の改善につながります。とはいえ、食べ過ぎによって下痢や腹痛を招く恐れがあるので注意が必要です。

また、大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンと似た作用があり、特定保健用食品による過剰摂取には注意が必要です。

内閣府食品安全委員会の安全性評価結果に基づき、大豆イソフラボンの摂取目安は1日上限70〜75g(アグリコン換算値)とされています。そのうち、特定保健用食品として上乗せ摂取できる量は、1日上限30mg(アグリコン換算値)です。

とはいえ、大豆食品中のイソフラボン含有量にはばらつきがあり、正確に計算するのは難しいため、あくまで目安の数値です。

参考:農林水産省

大豆の食べ過ぎは太る?

大豆と豆乳の写真
植物性食品である大豆は体に良いイメージがありますが、食べ過ぎはカロリーの過剰摂取につながり、太る可能性があります

大豆の可食部100gのエネルギーは372kcalです。たくさん食べると、カロリーはもちろん、タンパク質や脂質の摂取量も多くなり、結果として太る原因につながります。

比較的カロリーの低い豆腐でも、木綿豆腐で73kcal、絹ごし豆腐で56kcalのエネルギーです。カロリー摂取を控えるために、豆腐でも1日100gまでに摂取量を抑えておくと良いでしょう。

出典:
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
日本食品標準成分表2020年版(八訂)

いり大豆・蒸し大豆を食べ過ぎた場合

いり大豆はカロリーが高く、食べ過ぎると太る原因になります。一方、蒸し大豆は、いり大豆に比べてカロリーが低いため、一度に多く食べたい場合は、蒸し大豆を選択すると良いでしょう。

いり大豆・蒸し大豆100gあたりのカロリーは以下の通りです。

・いり大豆(黄大豆):429kcal
・蒸し大豆(黄大豆):186kcal

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

青大豆・発芽大豆を食べ過ぎた場合

青大豆と黄大豆は、100gあたりのカロリーやたんぱく質の量がほぼ同等です。そのため、青大豆も食べ過ぎると太る原因につながってしまうでしょう。

発芽大豆は、通常の大豆の何倍もの栄養を持っています。カロリーは蒸し大豆と変わらず100gあたり188kcal程度ですが、大豆イソフラボンの含有量が多いため、食べ過ぎには注意しましょう。

参考:オーサワジャパン

大豆製品を食べ過ぎた場合

大豆製品には、豆腐・納豆・豆乳・おから・高野豆腐・生揚げなどがあります。特に、乾物であるおからや高野豆腐はカロリーが高いため、食べ過ぎは太る原因になるでしょう。

それぞれのカロリーは以下の通りです。

・豆腐(木綿):73kcal
・豆腐(絹ごし):56kcal
・納豆:190kcal
・豆乳:44kcal
・おから(乾燥):333kcal
・高野豆腐(乾燥):496kcal
・生揚げ:143kcal

出典:
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
日本食品標準成分表2020年版(八訂)

大豆の1日の摂取量目安

画面いっぱいの大豆の写真
厚生労働省が推進している「21世紀における国民健康づくり運動」では、大豆を含む豆類を1日100g摂取することを目標としています。

しかし、大豆イソフラボンの含有量は、原料大豆の種類や製造方法などにより異なるため、1日100g摂取することをためらう方もいるかもしれません。かといって、大豆イソフラボンによる影響を心配しすぎて、食べるのを極端に控えてしまうのも良くありません。

重要なのは、適量の大豆や大豆製品を、他の食品と合わせてバランスよく食べることです。

参考:健康日本21企画検討会

おわりに

カゴの中の大豆の写真
「畑の肉」と言われ、たんぱく質の重要な供給源となる大豆について解説しました。

日本人の伝統的な大豆食品である豆腐・納豆・味噌などを日常的に摂取し、大豆製品をバランスよく取り入れてみましょう。

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