今さら聞けない、ローフードと他の食事スタイルとの違い
最近、乳製品や小麦粉を使わないスイーツが食べられるローフードカフェ、野菜やフルーツで作るスムージーが飲めるジューススタンドを見かけるようになりました。
海外では、生きた酵素やビタミンが効率よく摂れるということから、ローフードを実践されているセレブリティーは多くいます。日本でも一部の有名人が実践しているなど、ローフードが話題に上ることも増えてきました。
しかし、「ローフード」がどのような食事スタイルなのか、あまり知られていないのも現状です。そこで、「ローフードとはどのような食事スタイルなのか」また、「気軽にローフードを実践するには何から始めればよいのか」を詳しく紹介いたします。
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今さら聞けない、ローフードって?酵素との関係と効果は?
目次/Contents
ローフードとは、生きた食べ物を体内にとりいれること
ローフードとは、「生の食べ物」という意味です。
加工されていない自然の食材を生のままで丸ごと食べる、または、加熱する場合は48度以下で調理し、生きたビタミン・ミネラル・食物酵素を丸ごと体内に取り入れる食事スタイル(ローフーディズム)で、別名「リビングフード(living food)」とも言います。
ローフーディズムの背景には、「ナチュラル・ハイジーン」の哲学があります。
ナチュラル・ハイジーンは、19世紀初め、アメリカの医師たちによって提唱された、「生命の法則」に従って生きることの重要性を説く健康理論です。
その食事スタイルは、できるだけ多くの酵素・ビタミン・ミネラルを摂取する為に、加熱処理をしない等の調理方法を摂るもの。
このナチュラル・ハイジーンの根源は、古代ギリシャのヒポクラティス、ピタゴラスらの学者たちの教え「自然の法則に基づく原則と習慣に従って生き、食べていれば、誰でも肥満や病気を予防、改善でき、常に健康状態で生きていくことができる」というものです。
ちなみにピタゴラスは菜食主義者だったと言われています。
ローフーディズムは、生であれば肉や他の動物性食品を食べる人もいますが、植物性の食品のみを食べるロービーガンの人もいます。
また、食事全てを生で食べるという人もいますが、全てを生で食べるということがローフード実践者ということでもありません。摂取する大半(60%以上)がローフードであれば、ローフーディズムであると言えます。
ローフードとそれぞれの食事スタイルの違い
それでは、「ローフード」と他の食事スタイルとの違いはどのようなものなのでしょうか?
実は「ベジタリアン」という言葉は、ラテン語のvegetus(健全な、活力のある、生命力にあふれた、元気のある)から来ており、1847年にイギリスのベジタリアン協会が英語の野菜(vegetable)とかけて作ったものです。
19世紀には、卵や乳類は本人の選択により、主に穀物・野菜・豆類等を摂取する食生活が広まり、21世紀に入ると、宗教、栄養健康、動物愛護、環境保護等を理由に、菜食のライフスタイルを選択する人が増えていきました。
ベジタリアンと言っても、その分類は複数あり、主に
(1)ビーガン(純粋菜食)
(2)フルータリアン(果実食)
(3)ラクト・ベジタリアン(乳菜食)
(4)ラクト・オボ・ベジタリアン(乳卵菜食)
(5)パスコ・ベジタリアン(魚乳卵菜食)
に分類されます。
ローフードとベジタリアンの違いは、植物性の食材を食べるということは同じですが、生で食べるか否かでその違いがあります。
「マクロビオティック」・「スローフード」と「ローフード」を混同される人はいますが、違いは次の通りです。
「マクロビオティック」
無農薬・自然農法の穀物や野菜を中心とした食事を摂り、野菜は原則として、その土地の、その季節に摂れるものを食べるのが良いとされています。
その考え方の基礎に「身土不二」「一物全体」「陰陽調和」といった考え方があり、自然との調和や季節にあった陰陽のバランスをとるという考えの食事・ライフスタイルです。
「スローフード」
1986年にイタリアのカルロ・ペトリ―二によって提唱され、ファストフードへの反対をきっかけに、その土地の伝統的な食文化や食材を見直し、生活の質を見直す社会運動です。
ローフードの特徴その1「ナチュラル・ハイジーン」
前述の通り、「ローフーディズム」の考えのベースにナチュラル・ハイジーンがあります。
それは、“自然と調和して健康に生きる”ための食習慣を実践すること、そして1日24時間を3つの時間に区切り、体の働きに合わせて食べるものを選ぶことです。
具体的には、朝(4時から12時)を排泄の時間、昼(12時~20時)を摂取・消化の時間、夜(20時から4時)を吸収・利用の時間と区分して食べるものを選択します。具体的には次の通りです。
- 朝は、体内の毒素を排泄するする時間と捉え、野菜ジュースやフルーツを摂ることで排泄を促します。
- 昼は、体が活発に動いていることから体内の代謝を促す時間と捉え、酵素の多い野菜や発酵食等を中心に摂り体内の代謝を促します。
- 夜は、一日食べたものがゆっくり体に吸収される時間と捉え、体に負担がかからないように消化のよい軽い食事を摂り、しっかりと栄養を吸収し体がその栄養を利用できるように促します。
昼食や夕食に加熱したものを食べる場合は、70gぐらいの生野菜サラダを先に食べることで、効率よく酵素を摂ることができると考えられています。
ローフードの特徴その2「酵素栄養学」
栄養学は、従来のカロリー計算を重視する栄養学や食品中の栄養素を研究する食品管理栄養学・食品分析栄養学から、臨床栄養学・生理栄養学へ、時代の流れとともに重視するポイントが変わってきています。
臨床栄養学・整理栄養学は、代謝を進め、身体機能を高める微量栄養素に着目し、体内での栄養素の働きを研究する学問です。
酵素栄養学が提唱され始めたのは、1985年代。日本では、1999年に「キラーフード」として翻訳され広まりました。
アメリカの医学大学では、酵素栄養学は1990年代からカリキュラムとして取り入れられはじめ、2000年にはほとんどの医学大学の教科書に載っていたそうです。
ローフードがベースとする栄養学は、この酵素栄養学ベースになっています。
酵素には、体内酵素と体外酵素があり、体内酵素は、代謝酵素と消化酵素の2種類があります。
体外酵素は、生の食物に含まれる食物酵素のことで、外から体の中に取り入れる酵素を指します。
ローフードが考える酵素栄養学では、人間が1日に作る体内酵素の量は一定といわれており、代謝酵素と消化酵素のアンバランスがあらゆる不調の要因であると考えます。
例えば、ストレスやファストフード等を多く摂ることで、消化酵素を沢山使い、代謝に使える体内酵素は少なくなると考えられています。
一方、体外酵素を効率よく摂ることで、消化酵素をあまり使わずに食物を消化することができ、体内酵素の多くを代謝酵素として使えると考えられています。
それにより、体内中の毒素を排泄でき、体調が良くなっていくと考えられているのです。
ローフードを手軽に実践するには何から始めればよいのか
体は、食べものや飲んだものを一生懸命消化し、不必要なものを排泄しようとします。ローフードでは、「前の日に食べたものを翌日の午前中に『排泄』し体を整える」と考えられています。
まずは、起きたらコップ一杯の常温のお水や白湯を飲み、その後30分ほど経ってからフルーツやスムージーを摂ることから、手軽に始めてはいかがでしょうか?
特にスムージーやジュースは、フルーツをそのまま食べるより消化に時間がかからないため、体に負担をかけずに必要な酵素や栄養を摂りながら排泄を促すと考えられています。
また、加工食品は消化に時間がかかるだけでなく、消化しきれないものもあります。加工されていない食品やフレッシュな食材を摂ることで、無理なく体が食べたものを消化し、排泄することができるのです。
私たちにとって、食事から適切な量の五大栄養素(タンパク質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラル)を摂取することが重要です。
最近多くなっている生活習慣病は、タンパク質・炭水化物・脂質ばかり摂ることを重視して、ビタミンやミネラルが少なくなり、代謝がうまくいっていないことが原因と言われています。
ローフードは、野菜ばかり摂って、タンパク質等の五大栄養素を適切に摂れるのか?とよく聞きます。驚かれるかもしれませんが、タンパク質は、植物性だけで十分摂れることがわかっています。
例えば、とうもろこし、ロメインレタス、ズッキーニ、ケール、ニンジン、カリフラワー等は、必須アミノ酸を含む良質の野菜と言われています。
また、ナッツや種子類にはタンパク質やビタミンも豊富ですし、オリーブオイル・クルミ・チアシードなどからは不飽和脂肪酸(例えば、オメガ6脂肪酸・オメガ3脂肪酸・オレイン酸)を摂ることができます。
また、野菜やフルーツを積極的に摂ることで、体に必要なミネラルバランスのよい水分、「生きた水分」を摂ることができ、排泄が促されます。
ロースイーツは、乳製品や砂糖、小麦粉は一切使いません。バターの代わりにペースト状のナッツ、砂糖の代わりに天然アガベシロップなどを使用します。
よって、必要な栄養素を摂ることができるだけでなくカロリーも抑えられ、ダイエット中の方でも安心して食べられると思います。
ただし、ローフードを急に沢山摂取すると好転反応が出る可能性があります。
実践してみたい方は、無理せず少しずつ、朝食をスムージーやフルーツに置き換えることから始めてみてはいかがでしょうか?
また、サラダはレインボーカラーを意識して、多くの色の野菜を摂ると良いと思います。
ローフードの食事スタイルは、ローフードを食べるだけではなく、無理しないで体に良いものを意識的に選択して楽しく食べることなのです。
日本でローフードはどれくらい広まっている?
Vegewelが2023年1月に実施した「第4回日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査」では、ローフードの食生活に取り組んでいる日本人は3.1%となりました。
過去の推移で見ると、2017年2.1%→2019年2.9%→2021年2.7%→2023年3.1%です。ローフードの食生活に取り組んでいると自認する人は、日本においてはまだ一部のようです。
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