自然食 根津の谷 ねづのや 〜創業1978年・東京下町で愛される自然食品店と玄米菜食レストラン〜
更新日:2019/02/01 公開日:2017/11/19
根津は、関東大震災と戦災を免れた古い街並が残る、観光客にも人気のエリア。
自然食品を取り扱う人気店 根津の谷(ねづのや)は、根津駅から徒歩1分の便利な場所にあります。昔ながらの商店といった風情のお店に入って、奥に進むとレストラン、という構造になっています。
まずはお店から見ていきました。
目次/Contents
必要なものが安心して買える幸せなお店
旬の野菜を中心に、米・調味料・加工品・生活雑貨など多彩かつ厳選された品揃えなので安心してお買い物できます。
特に目的がなくても、ここに来ると必ず何か見つけてしまう、というお店がありますよね。こちらはまさにそんなお店。
とにかく品数が多く、他ではあまり見たことのない商品がたくさんあるので、つい興味をそそられて買い物したくなります。
ご希望のお客様には商品の発送も受け付けています。
お弁当やおにぎりも販売していて、美味しそう!と思って見ていると、どんどん売れていきます。お弁当は、レストランの日替わり定食とほぼ同じ内容で、電話して取り置きしてもらうことも可能です。
子供達の健やかな成長を願って開業
オーナーの鳥居房枝さんは、昭和15年生まれ。昭和53年に「根津の谷」を始めました。
鳥居さんが、オーガニックや玄米菜食に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?
鳥居さん「私は若い頃から冷え性で、当時はそんなに自覚していませんでしたが、冬に体育の授業でブルマーなんか履くと脚が冷えて紫色になったりして。生理痛もひどかったのです。
大学生の時、森下敬一博士(現 お茶の水クリニック院長)の『玄米食のすすめ』を読んで、初めて食べ物が大事なのだと知り、それから興味を持ちました。
そして、当時渋谷・桜ヶ丘にあった自然食レストラン「天味」へ行って、そこで初めて玄米を食べたのです。ジョン・レノンも来日時には常連だったお店でした。
初めてなのに、玄米菜食がとても美味しいと思って。これからはもっと自然食を食べたいということで、そこでアルバイトを始めたのです。
そのうち店が食品卸業を始めたので、そのまま就職しました。そこでは仕入れや販売の仕事だけでなく、マクロビオティックについても学ばせていただきました」
独立してお店の経営を根津で始めたのはどうしてですか?
鳥居さん「当時、兄に7人の子供がおりまして、その子達に安心安全なものを食べてもらいたいと思ったのです。
この場所に決めたのは、元々ここが自分と家族の家だったからです。今は谷根千といって観光客に人気ですが、当時は普通の商店街で、空き地も多かった。外で子供たちが羽根つきや凧揚げをするようなのどかな光景がありました。
それに、マクロビオティックとかオーガニックは全くと言っていいほど知られていなかったので、受け入れられるかどうか自分でも予想はできませんでした。特に下町は、古いお付き合いがあるので気を使いました」
先ほどお店の前で外国人に「ここ美味しいよ」と声をかけられました。外国人のお客様は多いですか?
鳥居さん「最近は外国人のお客様も増えてきました。この辺にゲストハウスが増えてきたせいかもしれません。だから夜の営業の要望も多いのですが、昼も夜も営業となると仕込みが大変なので、難しいです」
掘り出し物が見つかる!ユニークなセレクト
食品から生活雑貨まで幅広い品揃えですよね。
鳥居さん「お客様の要望に応えていったら、お店の商品がどんどん増えて今のような状態になりました。
昔からとり扱っている商品でもメディアの影響でその商品がブームになると品切れになってしまうこともあるので、量や種類を増やしたり。
大変ですが、できるだけ対応したいと思っています。でも、昔ながらのいいものも続けて仕入れたいので、商品は増える一方ですね」
お店では興味深いもの、いいものがたくさんありますが、特にライターは玄米の「いかごはん」を発見して興奮!北海道出身のライターですが、初めて見ました。
使用している食材や調味料が全てオーガニックで、しかも中に詰まっている米が玄米のいかごはんなんて、通常のおみやげ屋さんでは見たことがありません。
その他、サンマの「大人の蒲焼」やオーガニックなスナック菓子など、手に入りにくくておいしそうなものをいろいろ見つけて、たくさん購入してしまいました。買い物が目的ではないのですが、ついつい。
心と体にしみる…丁寧な料理
さて、お買い物を楽しんだ後はレストランです。
レストランのメニューや料理を作っているのは、オーナーの鳥居さんではなく、元は和食の料理人だったという料理長。
肉や魚がなくても満足してもらえる、ボリューム感あるメイン料理を日々考えているそうです。定食は日替わりで楽しめるので、常連さんも多いです。
お店の壁にはお店のこだわりポイントが掲示してありました。
「当店のこだわり
1,もちもち食感の玄米ごはん
1,食材は国産を優先し、できるだけ有機栽培のものを使用
1,動物性食材(肉、魚、乳製品、卵)、白砂糖、化学調味料、の不使用
1,素材の味を生かす調理
季節気候に合わせた食材を選び、お客様の心と身体に優しいお料理を提供できるよう丁寧に調理しております」
こういうこだわりが明確に表示されていると、さらに安心できますね。
マクロビオティック料理研究家の大森一慧先生や、故・大森英櫻先生、日本CI協会の故・勝又会長などマクロビオティック界の重鎮たちも顧客でした。
ランチメニューは日替わり定食1200円(税込)、季節の野菜カレーセット 1100円、おにぎりセット800円の三種類。その他、手作りスイーツ450円〜と穀物コーヒー・紅茶などがあって、カフェタイムもゆっくり過ごせます。
この日の日替わり定食は、玄米ビーフンと野菜の春巻、南瓜のごまみそ和え、小松菜の海苔和え。これに玄米ご飯と汁物、漬物、フルーツ、日替わり健康茶が付きます。
シンプルな味付けながら、素材が良いのでどれもしっかりした味で美味しく、食べ飽きません。
特に柔らかめに炊いた玄米ご飯が、もちもちして甘くて美味しい!初めて玄米を食べる方に配慮して、柔らかめにしているそうです。
鳥居さんは言います。
「いろいろな健康食ブームがあったけれど、皆さん長続きしないのよね。でも、もし玄米を食べるなら3ヶ月は続けてみて欲しいですね。
今の人は粉食(小麦粉を使用した食品)が好きだけど、やはり日本人には米と野菜と麹がからだに合っていると思います。
給食によく出る、パンと牛乳という食事は本当に見直してほしい。そういう食品はどうしても輸入に頼っているから、ポストハーベストや遺伝子組替え食品の可能性が高くて心配なのです。
この辺は、東大も近くて学校のレベルが結構高いのですが、子供達に勉強ばかりさせる前に、まずはきちんとした食事をさせてほしいと思いますね」
今後の展望を伺うと、「これまで通り、多くの方々に喜んでいただければそれでいいです」と謙虚に答える鳥居さん。
玄米菜食が今よりもっとマイナーだった時代から自然体でお店を広げてこられました。これからも安心安全で本物の食材を求める方々を優しい笑顔で迎えてくださることでしょう。
鳥居房枝さん、お忙しいところありがとうございました。
※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。
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