今さら聞けない、マクロビオティックって?
更新日:2023/01/13 公開日:2017/05/02
今日はマクロビオティックの基礎について、KIJ認定マクロビオティックアドバイザーの千葉芽弓さんの監修でお届けします。
マクロビオティック=「玄米菜食」のように思われがちですが、生き方(ライフスタイル)そのものを指します。
自然の流れや秩序に沿って生きることで、健全で平和的に過ごすことができるというのがマクロビオティックの教えです。
その思想に基づいた食べ方がマクロビオティックの食事法となります。
私たち人間も自然の一部、住む土地でとれたものを、季節、環境、体調に合わせて、できるだけ自然のまま素材を丸ごと頂くことでバランスが取れると言われます。
目次/Contents
マクロビオティックの意味は?
マクロビオティック(Macrobiotic)は、古代ギリシャ語で大きい、長い、と言う意味を持つ「マクロ」、生命「ビオ(バイオ)」、術「ティック」が合わさり、大いなる生命の術と言う意味です。
マクロビオティックは日本生まれ!
マドンナやトム・クルーズが実践していることで有名なマクロビオティックですが、実は日本が発祥です。
明治時代に食医と呼ばれた石塚左玄(1851-1909)が考案した食養生。これに感銘を受けた桜沢如一(1893-1966)が、中国の「易」の陰陽の要素を加え、玄米菜食を基本とする「正食」を確立しました。
そして、欧米名をマクロビオティックと名付け、世界に広められ逆輸入のような形で日本にも浸透してきています。
マクロビオティックは、玄米などの穀物を中心に、旬の野菜、海藻、豆などを環境に合わせバランス良く食べる食事法、食事療法です。
日本の伝統的な食べ方に沿って、肉、魚、卵、乳製品などの動物性タンパク質や精製された食材はなるべく控え、季節に収穫されたものを余すことなく丸ごと食べるのが特徴です。
マクロビオティックのキーワード「身土不二」「一物全体」「陰陽調和」
「身土不二」
仏教用語の身土不二をマクロビオティックでは、「身体と住むところは切り離すことができない。住んでいる土地のものを食べることで、土地に適した身体になり健康を保てる」と解釈しています。
日本では禁止されていますが、輸入食品には鮮度を保つためにポストハーベスト農薬(殺菌剤、防カビ剤)が使われており残留農薬も気になるところ。
できるだけ近くで収穫された食材を選ぶことは、フードマイレージを減らすことにもなり、自然環境にも健康にもプラスになる。身土不二の考え方は地球環境の保全にも適していると言えます。
「一物全体」
一物全体とは、食材を丸ごと使用するという意味です。
食べ物を丸ごと食べることで、バランスが取れエネルギーを自分の身体に生かす、命をいただくことになります。野菜ならば皮や根、魚は頭から尻尾、骨や内臓まで調理します。
カロリーではなく生命力を重視し、全体を食べることからも、無農薬、無化学肥料で栽培されたものが選ばれています。
「陰陽調和」
陰陽とは東洋の伝統的な思想で、宇宙の万物は陰と陽の2つのエネルギーがら構成されているというものです。
食べ物で見ると、体を冷やす陰性の食べ物と、暖める陽性の食べ物があり、陰は遠心的なエネルギー、陽は求心的なエネルギーですが、相対するものによって陰と陽は変わってきます。
例えば、根菜は葉野菜より「陽性」です。その根菜の中でも、人参と比べた場合、白くてみずみずしい大根は「陰性」にという立ち位置になります。また、人参一本で比べると、地上に伸びる緑の葉の部分は「陰性」、地中に伸びるオレンジの根の部分は「陽性」です。比べる対象物によって陰が陽になり、陽が陰になるのです。
暑い夏には体を冷やすトマトやキュウリなどの夏野菜や、スイカのような陰性のものが食べたくなり、冬にはごぼうや大根など根菜類の煮物や温かい陽性の鍋料理が食べたくなるのは、体の自然な反応なのです。
日本でマクロビオティックに取り組む人はどれくらい?
Vegewelが2023年1月に実施した「第4回日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査」では、マクロビオティックの食生活に取り組んでいる日本人は2.4%となりました。
過去の推移で見ると、2017年1.4%→2019年2.3%→2021年2.5%→2023年2.4%です。マクロビオティックの食生活に取り組んでいる人はまだ一部ですが、少しずつ浸透してきていることがうかがえます。
調査の詳細に関心のある方は、下記のリンクからご覧ください。
https://vegewel.com/ja/style/statistics3
人間の歯とマクロビオティックの食事法
人間の歯は、穀物をすり潰すための臼歯が20本、野菜や果物を切るための門歯が8本、肉や魚を噛み切るための犬歯が4本あります。
この構成から、穀物を主食として野菜を副菜に、動物性食品を少量食べる、マクロビオティックの食事法は人間の歯から見て最適と言えるのかもしれません。
玄米をよく噛んで食べる
マクロビオティックでは、体質改善やデトックス効果、栄養の面から玄米を食べる人が数多くいます。
玄米は、稲の果実である籾(もみ)から籾殻(もみがら)だけを取り除いた状態で、播けば芽の出るお米であり、生命エネルギーが詰まっています。ビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養素が豊富に含まれている完全栄養食品と言われています。
また、一口30回以上噛んで食べることで、食べ過ぎを控え、消化吸収をスムーズに行い胃腸への負担を軽くしたり、唾液の分泌により口腔内のトラブルを防ぐ効果が期待できます。
今日からマクロビアン!
ストイックな印象のマクロビオティックですが、一汁三菜のシンプルな旬菜をとりいれたものが基本となります。
ベジタリアンやビーガン(ヴィーガン)のように食べてはいけないものはなく、「今の自分に必要なもの」をバランスよく食べることが大切です。
「私たちの体と心は食べたものでできている」
食べるものに意識を向け、大切にすることは私たちの健康だけでなく、環境にもやさしいものです。
難しく考えないで、まずはおむすび、味噌汁、漬物の朝食でモーニングマクロビアン!
皆さんも一度試してみませんか?
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