小さな子連れのファミリーに優しいカフェ。Linus&Co.Veggy(ライナス アンド コー ベジー)【福岡県宗像市・東郷駅】
小さな子どもを連れて外食するのは大変です。飲み物をひっくり返したり、騒いだり、席を離れたり…。お母さんは周りに気をつかって、自分の食事どころではありません。
そんな子育て中のお母さんに優しい完全ビーガンのお店が、宗像市にあります。
目次/Contents
友だちの家のリビングみたいにくつろげるカフェ
JR東郷駅から鐘崎(かねざき)行きのバスに乗り、「池田」で降りると、交差点のところに青と黄色の建物が見えてきます。
ここが、「Linus&Co.Veggy(ライナス アンド コー ベジー)」。
お店には、靴を脱いで上がります。足に心地いい木の床を踏むと、まるで、友だちの家に遊びに来たような気分です。
オーナーの吉武麻子(よしたけあさこ)さん。手際よく開店の準備をしながら、お話を聞かせてくれました。
吉武さんは、2人の男の子のお母さんです。ふたりともアレルギー体質で、小さい時はごはんやおやつの準備が大変で、かなりのストレスを感じていました。
アレルギーのある子もない子も一緒に、同じものを食べることができたらいいな。
家事に育児に大変なお母さんたちに、たまにはおやつの時間を楽しんでもらえたらいいな。
そう考えた吉武さんは、『おやつ屋 風樹(ふうじゅ)』という、アレルギー対応の焼き菓子屋さんを開業しました。
その風樹が時とともに形を変えていき、ライナスというビーガンカフェになったのです。
ランチもスイーツも、安心するお母さんの味
楽しくおしゃべりしているうちに甘い香りがしてきて、今日のケーキが焼きあがりました。バナナ入りの米粉のケーキです。上には、ナッツがたっぷり。大人気のケーキだそうです。
私も娘へのお土産として買って帰りましたが、あっという間になくなってしまいました。
ランチは月替わりで「パスタランチ」「ホットサンドランチ」「スープランチ」の3種類があります。
ライナスではグルテンフリーにも対応していますが、私はあえて小麦粉のホットサンドをいただくことにしました。
サンドの中身はおかず系が多いそうですが、今月はさつまいもとレーズン。ホットサンドの具としては珍しいですよね。
でも、野菜たっぷりのスープやサラダによく合います。
今日はソラマメが安かったの!と、吉武さんはうれしそう。
「遠くからオーガニックのものを取り寄せるより、完全無農薬じゃなくても地元の野菜を使いたい」というのも、こだわりのひとつ。
ライナスの料理に使う調味料は、「自然海塩・こしょう・天然醸造の醤油・なたね油」のみ。野菜そのものの味が楽しめます。
食べていて、ほっとする味です。
こういう、良い意味での「普通の料理」が食べられるお店って、なかなかないんですよね。
特別な材料は使っていないので、家に帰ってまねできるような、「普通のお母さんの料理」です。
「でも何か違うんですよね…ここで作ったほうが、なぜかおいしくなるんです」
と、スタッフの方は首をかしげます。おいしくなる魔法にでもかかるのでしょうか?
魔法といえば、メニューには「魔法のハーブティー」というものもあります。ライナスのオリジナルブレンドで、癖がなく飲みやすいお茶です。
子どもは自由に遊び、大人はホッとくつろげるカフェ
この日は雨でしたが、暗く重たい気分にはなりませんでした。むしろ、しっとりと落ち着く感じ。
台所で見守ってくれている「お母さん」がいて、コンロでお湯がわく音、鍋のコトコトいう音が優しいBGMになっているからかもしれません。
毎日のように通っているという常連さんが、ケーキを買いに来ました。子どもの話に、二人で大笑い。
小さい子どもを連れて食事に行くと、騒いだり走り回ったりして、大人は落ち着いて食べるどころではありません。
「でも、2歳の子に『行儀』なんてないですよね?おにぎりを持ってテーブルの上に立ち上がって踊ったり、走り回って食べ物をこぼしたりするのが2歳なんだから。
お母さんは、『すみません』を連発する。こぼしたら『すみません』、暴れたら『すみません』…。
『すみません』を試しに暗いところで10回言ってみてください。ダメージを受けて、卑屈になるでしょう?
自分の声は自分が一番聞いているから、呪いのような言葉を自分に聞かせることになるんです。
だから、ここでは『すみません』は使用禁止なんですよ」
「子どもたちには、ここではマナーを気にせずにのびのびと遊んでほしい。
家で子どもと二人きりで煮詰まっているお母さんには、ここにきてホッとしてもらいたい。相談にも乗るし。子育て中のお母さんたちの応援がしたいんです。
ただし、アレルギーの子が来るので、お持ち込みだけは禁止しています。
クッキーを食べた子がなめたものを、アレルギーの子がなめたら、それだけで発症することがあるから」
店内には、どこか懐かしさを感じさせるような雑貨がいっぱい。
『ユニバーサルフードプラス』を発信していきたい
お店の案内に、「ユニバーサルフードプラス」という言葉がありました。聞き覚えのない言葉だと思ったら、それもそのはず、吉武さんの造語だそうです。
「アレルギー対応食品には『卵を使っていません』『牛乳を使っていません』って表示されていますよね。
『アレルギー系のものはおいしくないイメージがあるけど、最近の卵不使用のものって、意外とおいしいものもあるよね』という印象を持っていませんか?
それは、入ってて当然と思っているからですよね。昔は卵は貴重なもので、何にでも入っているものじゃなかった。
牛乳にしてもそう。不自然に大量生産して何にでも牛乳を入れる必要はないですよね。
入っていないことが当然であれば、『今日は力をつけたいから卵入りのを買おうかな』とか、『今日はミルキーなものが食べたいから、クリーム入りを買おうかな』とか、そんな買い方ができる。
プラス表記で書いて、それを食べたいときに選ぶ。
卵を食べたいときには卵入りのものを買うけど、普段は入っていないのが当たり前になったらいいなと思います」
みんなに優しいユニバーサルな食べ物で、プラス表記をしていこうという意味で「ユニバーサルフードプラス」という言葉が生まれました。
「今、このユニバーサルフードプラスという考え方と言葉を、商標登録に申請しているところなんです。
これが通れば、『ユニバーサルフードプラス』というロゴを作ってシールにするつもりです。
お店にそのシールが貼ってあったら『このお店はアレルギーっ子にも配慮してくれているお店だな』とわかる。
アレルギーじゃなくても、そのときの体調で『今日は乳製品は重いな』っていう時がありますよね。そういう人も歓迎だよってわかるといいなと思います。
お店のホームページにも『ユニバーサルフードプラスのお店です』ってあれば、このお店は安心だなとわかって行きやすくなる。
全部がアレルギー対応のものじゃなくても、配慮してもらえる、理解してもらえるというだけでも行きやすさは全然違ってきます」
除去食、つまりマイナスではなくて、プラスというのが面白いですね。
「卵や乳製品が悪いわけじゃないんですよね。食べたいときには食べたいもん。普段は食べないけど、今日はソフトクリーム食べたい!っていう日がある。
そんなときには食べればいい。マクロビオティックしているのにごめんなさい…みたいな気持ちで食べていたら、食べ物に対しても失礼だし、食べている本人も消化に悪い。
食べたいときには食べて、やったあ、おいしいって食べる。でも毎日はちょっとやめとこう、みたいなのが当たり前になったらいいなと思います」
今後は、この「ユニバーサルフードプラス」の考え方を発信していきたいそうです。
「協会のようなものを作って、アレルギーっ子が肩身の狭い思いをしなくてすむような仕組み作りができたらいいな」。
吉武さんのもうひとつの顔は、「グランジュール」の主催者です。グランジュールは、いわば「無店舗のカルチャースクール」。
ライナスに併設している部屋でもほぼ毎日、講座やワークショップを開催していますが、「私の店でもやってみたい」という人、講座を開きたい人も随時募集しています。
誰かを応援するのが好き、と、吉武さん。
やがて取材を終えて帰る時間になりました。
「今ならバスに間に合うかも。間に合わなかったらまた戻ってきてくださいね」
バスには間に合いましたが、戻ってゆっくりするのも良かったかも、と残念に思ってしまうくらい、居心地のいいお店でした。
Vegewel特典
Linus&Co.Veggyから、素敵な特典をいただきました。
お会計時に「Vegewelを見た」とお伝えいただくと、ポイント2倍のサービスが!
この機会に是非、Linus&Co.Veggyへお越しください。
※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。
店舗情報
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