フランス料理で精進?! この道17年を誇る日本初の精進フレンチ「Le Paysan(ル・ペイザン)」【Vegewel特典】

更新日:2024/11/22 公開日:2017/10/26

香川県にある、日本初の「精進フレンチ」のお店「Le Paysan(ル・ペイザン)」。

お肉・お魚を使うイメージが強いフレンチで、完全ビーガンを実現しているこちらのお店は、親子二代で17年もの間、地元で愛され続けています。

今回、オーナーシェフの小瀧裕己氏が、東京で料理教室を開催するとの情報が!

是非、小瀧シェフにお会いしたい!と、Vegewelライターが料理教室に参加。

小瀧シェフに、「精進フレンチ」というオリジナル料理を生み出すに至った経緯や、香川のお店について、たっぷりとお話を伺いました。

ル ペイザンの場所や詳細な情報はこちら

空海が遺した八十八ヶ所のお寺がある四国に精進料理を!

弘法大師ゆかりの総本山善通寺にほど近い場所にある一軒家レストラン「精進フレンチ ル・ペイザン」。

素材を生かし、野菜の美味しさや自然の恵み、命の尊さを食を通して伝えたいと、「精進フレンチ」を17年に亘り提供している名店です。

精進フレンチとは、日本の精進料理と中国の素食の技法を取り入れた、ル・ペイザンのオリジナル料理。

フランス料理にもかかわらず、肉・魚などの動物性食材はもちろんのこと、五葷(ごくん)(ねぎ・ニラ・らっきょう・にんにく・玉ねぎ)も取り入れないフランス料理とは驚きです。

五葷とは、ネギ属などに分類される臭いの強い野菜のこと。精進料理の思想から、動物性の食材に加えて五葷も食べないビーガンは、「オリエンタルビーガン=東洋のビーガン」と呼ばれます。

つまり、精進フレンチは、ベジタリアン・ビーガン・マクロビオティック・ハラールといった世界中の食のポリシー、そしてアレルギーに対応しています。

もともとはステーキも出す本格フレンチの店だったル・ペイザン。そこからテイストをがらっと変え、精進フレンチを始めました。

それにあたり、家族全員オリエンタルベジタリアンに。動物性食材も五葷も一切取るのをやめたという潔さと覚悟こそが、今の成功への道を築いたのでしょう。

今はご子息が店を継ぎ、二代にわたって精進フレンチレストランを営んでいます。

飲食店は流行り廃りがあり、長く運営するのは難しいと言われる現代、香川という決して人口も多くない地で、突出した精進フレンチを根付かせた小瀧シェフに一度お会いしたい…。

そんな小瀧シェフが東京での料理教室を開催されるという噂を聞きつけ、参加させていただきました。

秋の食材を使った、一般家庭で作れる精進ベジフレンチ


☆当日のメニューは

ソイルのシガレット カレー風味


「ソイル」とは、小瀧シェフ流のソイミートの呼び方。

ソイルフレークの素揚げと、玉ねぎのかわりに白菜の芯で食感とうま味をだし、ほんのりカレー味をきかせた揚げないヘルシーな焼き春巻きです。

ポイントは、ごぼうやにんじんが鍋の中で汗をかく(シュエと言う)こと。「シュエ」が、野菜のうま味がでてきている証拠です。

サラダの上にのっているのは椎茸の軸を細かく裂いて素揚げしたもの。うま味が凝縮した森のさきいかです。

人参のポタージュスープ


人参と野菜ブイヨンとハーブのみで作るのに、クリーミーで奥深いおいしさのポタージュスープ。

コツは、臭みのある人参の芯の部分を外して作ること。そして、煮込んだ人参をフードプロセッサーで乳化させるようゆっくりと時間をかけてまわすこと。

これにより、空気を含んでため息が出るほどのおいしさと滑らかさがでるのです。

きのこと栗のフリカッセ


セルクルにいれて型抜きしたきのこ・まこもだけ・栗・玄米ごはんの軽い煮込み。

豆乳マヨネーズにオレンジを絞ったドレッシングと、オレンジのトッピングが絶妙でおしゃれな一皿に…。

簡単でありながら一工夫のコツは、さすがのプロならではの知恵ですね。

サイドを彩るサラダの葉物は”千切る”。千切るとむしるは違い、ちぎるとは葉先をスライドさせながらちぎり絵のように裏から千切っていく。

葉物は空気をいれて空間を作ることがポイントというレクチャーや、オレンジのカット方法も丁寧にデモンストレーション。

豆腐のチーズケーキ


クリーミーで豆腐と思えない濃厚さなのに、軽いおいしさのビーガンチーズケーキ。臭みをとるために、豆腐は水に10分ほど漬けてきれいにすることがコツ。

お皿やナプキン、クロスは全て、香川のル・ペイザンから持参したもの。本格的な精進フレンチレストランディナーを一般家庭で再現できるようなレッスンでした。

料理の後は、テーブルマナーのプチ講座も入れ、楽しい食事タイムです。

シンプルな工程でありながら、どれも目にも美しく味わい深く、大満足のお料理でした。

五味、五感に訴えるお料理構成もさすが熟練の技です。

特に、ブイヨンも使わず、水と昆布の粉末のみで作った人参のスープの美味しさに、ただ圧巻でした。

春巻きに入れた薄切りのベジミートも新境地。

メニューは全て、参加者の皆さんそれぞれが持ち帰り、家庭で再現できるよう考えられたものです。

【小瀧裕己オーナーシェフプロフィール】
大阪の有名和食店で3年、その後フランス料理に転向し、大阪・名古屋・東京の一流ホテルレストランで修業後、香川に帰郷。

1990年にフレンチレストラン「ル ペイザン」を開業。

1999年にフランス、スペイン、モナコ、ドイツ等に渡り再修行、日本の伝統食のすばらしさを再認識し、帰国後日本初のジャパニーズ精進フレンチとして2002年より展開。テレビや雑誌等で紹介される。

現在は、各地で講演、学校などで教育の一環として食育や料理教室などに精力的に取り組むほか、有名百貨店や企業などに料理(オリジナル製品)を卸している。

ゼロから作れば為せぬものはない


笑顔が素敵で、カメラを向けるとポーズを取ってくれる、サービス精神も旺盛な楽しく明るい小瀧シェフ。

会のあと、お話をお聞きしました。

小瀧シェフがフレンチレストランから精進フレンチに転向したきっかけは何だったのですか?

「息子が高校受験に受かったら行く予定だったご褒美の中国旅行が、受験に失敗したため中止に。素食料理に興味があったので代わりに私が行くことになったのがそもそものきっかけです。

素食を学ぶなら治安のよい台湾をと勧められ、現地で台湾素食(ベジタリアン食)の第一人者を紹介いただきました。

五行、五葷について学ぶ中、中国には素食、欧州にはベジタリアン食があるのに日本の精進文化、精進料理はなぜ影をひそめているのだろう、フレンチで精進料理ができるのではないかと考え、1年かけて形を作りました。

1200年前に空海が中国に渡り学んだ精進の世界、そんな空海の遺す四国八十八ヶ所のお寺のある地に精進料理のお店がないのはおかしいと思い、自分でやろうと思ったんです。」

フレンチといえば生クリームや動物性食品をたっぷり使うイメージですよね。そこから精進料理に180度舵を切るのはかなり大変だったのではありませんか?

「肉や魚などを抜く、という発想から作るとマイナスでしかありません。”ある”ものを変えていくのは難しい。なのでわたしはゼロからスタートしたんです。

『無=ないもの』からプラスしていけばできないことはない。そう、できないはずはないんです。」

東京はようやくビーガンのお店もちらほら増えてきていますが、地方ではまだ知らない人も多いのでは?

「海外ではセレブたちはみなベジタリアンです。それは肉食で失敗をしてきているから…。

日本ではまだまだ知名度は低いですが、ビーガン・ベジタリアンという市場は必ずこれから広がっていくでしょう。」

小瀧シェフのお料理のコツを教えてください。

「私の料理は”菌と吸収力”の料理です。基本は地産の有機野菜を使いますが、日本で100%有機野菜で料理するのは難しいです。なので野菜はEM菌※で洗います。

調味料は伝統的製法で作る無添加のものを使います。砂糖は本来椰子殻で精製するものですが、今は牛の骨で精製しているものがほとんどなので使用しません。甘味はてんさい糖を使います。

砂糖大根からできるてんさい糖はGI値が低く、根のものなのでからだを冷やしません。

人間のからだの中は陰なので、陽のものを入れることでバランスがとれるようになっているのに、陰(冷やすもの)を入れるからショートして病気になるんです。

野菜は脂質がなく、良質の油をたくさん入れることで”うま味”がつくられるので、たっぷりと使います。」

(※EM菌とは乳酸菌・酵母菌などの有用微生物群で、悪玉菌を抑える効果から様々な生活シーンで環境改善に使われたり、農業ではEM農法と言われ土壌の改善や無農薬栽培に使われている。

また、野菜を洗うと農薬や雑菌などを除去してくれる。)

料理はすべて理にかなっている


インタビューではマクロビオティックに通ずる陰陽のお話も出てきたり、小瀧シェフが色々なことを学ばれてきたことがうかがえます。

料理デモの間のお話も小気味よく、興味深いことを惜しげもなく教えてくださいます。

私の心に刺さった名言をこちらでシェアさせていただきます。

・料理の理=「ことわり」
だからこそ料理は理にかなっており、料理から自然の摂理を学ぶことができる。

・料理は「3」
混ぜるのも3回に分けて、洗うのも3回、ゆがくのも3回


最後に、小瀧シェフの今後の活動、目標は?

「夢は全国に菜食の店を千店舗作ること、そしてフランスで日本人初の精進フレンチレストランを作り、ミシュランをとることです。

また、来年東京に出店の話が出ていますのでそちらも楽しみにしていてください。」

小瀧シェフが壮大ですてきな夢を実現されることを、Vegewelも応援しております!


八十八ヶ所巡りがてら、香川の「ル・ペイザン」にも伺って、ご子息のお料理もいただいてみたいです。

小瀧シェフ、ありがとうございました。

*Vegewelでも来年から小瀧シェフをお迎えしての料理教室を企画しています。
追って詳細お知らせをさせていただきますので乞うご期待!

Vegewel特典

この度、Vegewelだけの特典をいただきました。

「Vegewelを見た!」で、3,500円以上のコースをオーダーの方に、ドリンク1杯プレゼント!

この機会に是非、精進フレンチ「ル・ペイザン」にお越しください!

※記事の内容は取材時点のものであり、変更される可能性があります。来店時には、あらかじめお店にお問い合わせいただくことをお勧めします。

店舗情報

ル ペイザンの場所や詳細な情報はこちら

Vegewelでレストラン検索


Vegewelは、ベジタリアン・オーガニック・グルテンフリーなど、あなたの食のライフスタイルに合わせてレストランを検索できるWebサイトです。

食の制限に関係なく、みんなで楽しく食事を囲める環境を日本に創るために、サービスを運営しています。

日本語と英語に対応、ヘルシーなレストランが1000店以上掲載されていますので、ぜひご利用ください!

こちらもチェック!

cotta tomorrow(コッタ トゥモロー)

プラントベース・グルテンフリー・オーガニック食材のオンラインショップ。

厳選食材、おすすめレシピ、専門情報などcotta tomorrowなら全てが揃います!

Vegewel編集部

Vegewel編集部

日本初のプラントベース・ポータルサイトVegewelの編集部です!Vegewelはプラントベース(植物性/ヴィーガン)の情報に特化したWebサービスで、2016年10月から運営しています。観光庁発行の「飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド」では日本サービスとして唯一掲載され、飲食店に対して登録が推奨されています。