日本のグルテンフリーの先駆者、陣田靖子先生が語る「米粉マイスター」誕生から今まで。米粉マイスター10周年【前編】
更新日:2019/02/01 公開日:2017/11/25
近年日本でグルテンフリーが話題になる中、10年以上前から米粉と向き合ってきた米粉のプロ、米粉マイスター。
小麦粉と違い、扱い方が難しいと言われる米粉の特徴から美味しいメニューの作り方を伝え、日本の米粉の普及に努めています。
今回は、10月28日に行われた記念すべき米粉マイスター10周年のパーティーの模様をお伝えします。
前編では、代表の陣田靖子(じんだやすこ)さん(写真)、佐藤蓬(さとうよもぎ)さんに米粉マイスターの成り立ちをお伺いします。
米粉を使い、バリエーションに富んだ目にも楽しいメニューの数々もお楽しみに!
≪後編≫日本のソウルフード・米粉を使って、グルテンフリーの未来について考える。「ピタゴラスイーツ」のスイーツも登場!米粉マイスター10周年
目次/Contents
日本ならではのお米を使い、グルテンフリーにいち早く注目した米粉マイスター。
ベジミートパンとハーブパン(東紀子先生)
10月後半に入ってから、米粉を使ったスイーツのレシピ本が続々と発売され、空前の米粉ブームの日本。
数年前からグルテンフリーという言葉が日本で有名になりました。様々あるグルテンフリー食材。その中で米粉が主に使われるのは、日本の伝統食だからであることは間違いありません。
参考記事
グルテンフリーの意味や健康効果について
米粉マイスターは、現在の米粉ブーム前から米粉に着目し、10年前から米粉の良さを伝えてきました。
甘栗のモンブラン(潟山公美先生)金箔があしらわれたチョコでドレスアップ
米粉マイスターとは、小麦粉と米粉の違いや、米粉の種類別の特徴を学びながら、米粉を使った料理やスイーツ・パンの作り方を学ぶ講座です。
講座を受け米粉マイスターに認定された方々が、米粉のプロとして、米粉を使ったレッスン・レシピ考案・町ぐるみでの米粉普及などで活躍しています。
どんな方にも美味しい米粉メニューを食べてもらいたいという想いから、米粉マイスター講座では乳製品や卵などの動物性食品は使いません。
(米粉マイスター講座をレッスンできる米粉マイスターインストラクターを養成する専門講座では、動物性食品を使用したものとの焼き比べがあります。)
米粉クッキーと米粉シュークリーム(潟山公美先生)
現在では、600人以上が米粉マイスターに認定されています。受講者数は、その倍。米粉マイスターインストラクター約20名が米粉マイスター講座を開き、全国で活躍されています。
パーティー当日は、全国で活躍されるインストラクターの先生方がバリエーションに富んだ米粉のメニューを披露して下さいました。
写真右から潟山公美(がたやまくみ)先生、水野優子(みずのゆうこ)先生、東紀子(あずまのりこ)先生。(先生方のレッスンは下記参照)
どうして米粉は扱いが難しいのか?その特徴を知ることで、生活の中に取り入れる。
ふわふわのベジ肉まん(水野優子先生)
そもそも米粉だけでここまで研究・試作を重ねるのはなぜでしょうか?米粉を使ってお菓子を作ろうとすると、「ういろう」や「餅」になってしまうこともしばしばで扱いが苦手という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
米粉ケークサレ 切り干し大根とひじき 滝田美智子先生(今回はあいにくご欠席でした)
そこには米粉の「種類」と「使い方」による扱いの難しさがあります。小麦粉の代わりとして、同量でレシピの置き換えがしにくいのです。
一口にお米といっても、、
コシヒカリやゆめぴりかに、もち米など、品種や産地によって違いがあります。お米を粉にする米粉も同様です。
さらに、その年の収穫状態によって、同じブランドでも品質・水分量が変わってしまうこともあります。
また、米粉には小麦粉に含まれるグルテンがないため、パンやお菓子にした時に材料同士が生地として結びつきにくいのが特徴です。
例えば、米粉生地は固まらないので、型を使わずに成形する丸めるパンや、生地をまとめて形を作るクッキーは、作るのが難しいということです。
米粉それぞれの特徴をつかむことができるようになり、米粉のパンやお菓子を作れるようになる、そしてその米粉にあった調理法を見出すのが、米粉マイスターです。
トルティーヤチップス カレー風味( 水野優子先生)
米粉マイスターの成り立ち。体に良いものの本質を次世代につたえていく。
米粉マイスターの理事講師を務める陣田先生は、米粉のパイオニアとして、10年以上前から米粉のパンやスイーツの本を10冊近く出してきました。
元々、マクロビオティックの講師だった陣田先生。いらっしゃる生徒さんに小麦アレルギー増えてきたのは12年くらい前のこと。
陣田先生:「マクロビオティックではお米の良さを伝えてくれるのに、当時は米粉のレシピがどこにもなかったんですよね!それなら私が作ろうって。」
仁井田本家のマイグルトを使用したブランマンジェ(水野優子先生)
ところが、先生が米粉のメニューを次々と世に出していく中で、困ったことが!
日々変わる米粉の世界。新しい米粉製品が次々出始めたことで、本を読んでも作れなかったという声が出てきたのです。
そこで、陣田先生はそこで、米粉の違いやレシピを作る上での使い方の理論を教えようと思ったのですが、ここで問題が。料理教室をやっていたものの、陣田先生は人前で話すことが苦手だったのです。
そんな時、陣田先生と佐藤さん(写真)がイタリアで出会います。米粉の話で意気投合!
佐藤さんは当時お店を営んでいたため生産者とのつながりが深く、どうやってその想いや安心・安全な物の良さが広まるかを考えていました。
「豆腐に関わることがあった際、材料と作り方の両方がわかった上で、初めて美味しいものができると感じたんですよね。米粉もそうだと感じました。米粉の違い、使い方がわからないと世に広がらない。
陣田さんが米粉の種類や特性、理論をとてもよく理解していたので、そのことを私がわかりやすく伝えいくことで世に広がるのであれば、やってみようかと思ったんです。」
そして、お二人は米粉マイスターを立ち上げたのです。
陣田先生は今、講習だけでなく企業と共に米粉の普及に努めています。
米粉のシュークリーム(潟山公美先生)
10年を振り返り、陣田先生は米粉について改めてこう語ります。
「米粉マイスターがもともと米粉に特化したのは、小麦を否定するわけではなくて、日本全国米どころだからです。日本はお米中心に文化が成り立ってますよね。それを絶やしたくないんです。
食生活が豊かになっている今、3食お米を粒の形で食べるのは難しいじゃないですか。パンやパスタの形で食べたいですよね。今、小麦で作られているメニューが米粉で作れたらいいなって。
米粉はソウルフード、魂の糧です。本質的に良いものを、次世代に繋げていきたいし、日本全体で米粉を盛り上げていきたいです。」
今回のパーティーでは同じ日本の伝統食であるお米を使った発酵食ということで、経堂の「つきや酒店」がお米で作ったヨーグルト、「仁井田本家の米グルト」を紹介していました。麹のみでつくるチョコ、「こうじチョコ」も!
甘栗のモンブラン 潟山公美先生
後編では、米粉マイスターが担う米粉のこれからについてをお伝えします。そして、米粉マイスターとしても活躍する、ベジフェスでも人気のマクロビオティックスイーツ、「ピタゴラスイーツ」の山崎友紀先生にお話をお伺いします。
【米粉マイスター】
http://www.komekomeister.com/
【米粉マイスターインストラクターの方々】
●東紀子先生
グルテンフリー工房warmth
https://www.gfwarmth.com
●潟山公美先生
studio海の風
https://www.facebook.com/uminokaze.0522/
●水野裕子先生
米粉マイスター講座・米粉パンコース 詳細は米粉マイスターのホームページをご覧下さい。
●滝田美智子先生
http://d.hatena.ne.jp/htn0915/touch
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