もとは紙の人形?ひな祭りの由来、食べ物の意味、知っていましたか?【ひな祭りヴィーガンレシピ付き!】
公開日:2020/03/03
ひな祭りと言えば、やっぱり食べ物も楽しみの一つ。ひなあられ、ちらし寿司など、色とりどりの可愛らしい食べ物は、女の子には特に嬉しいものですよね。
しかし、ひな祭りの食べ物は、ただ可愛らしく、美味しいだけではありません。それぞれに意味が込められているんです!
また、ひな祭り=女の子のお祭り、というのは誰もが知っているところですが、このお祭り、もともとはどのような行事だったのか、ご存じですか?
今回は、ひな祭りの食べ物や、行事の由来について、詳しくご紹介していきます。ちらし寿司や桜餅は、嬉しいヴィーガンレシピも合わせてチェック!
可愛く美味しいだけじゃない!ひな祭りの食べ物の意味とは?
年に一度のひな祭り。ひな祭りならではの食事やお菓子が沢山並ぶ様は、大人も子供もウキウキするものです。
今年はせっかくなので、それぞれの食べ物の「意味」も考えながら、行事を楽しんでみませんか?
菱餅
菱餅は、ピンク・白・緑の順に重なった菱形のお餅。ひな祭りを代表する食べ物ですね。
菱餅の色と重ねる順番には、きちんと意味があるのをご存じでしたか?
菱餅の色と順番には、雪(白)の下には春になると土から顔を出す草木(緑)、雪の上には草木が育って咲く花(ピンク)がある、という意味が込められていると言われています。また、よもぎ(緑)の上に、縁起が良い紅白餅が乗っている、という説もあるようです。
ちなみに、よもぎには造血作用があると言われており、ピンクの色をつける「クチナシ」には解毒作用があると言われています。原料にも女性の体への気遣いが表れていますね。
餅が菱形である理由には、女性を象徴する形である、邪気を払うための矢じりを表している、心臓を模っている、など、様々な説があります。
お餅ということで、ベジタリアン・ヴィーガンの方など、様々な人が一緒に楽しめるお菓子ですね。
ひなあられ
淡い可愛らしい色と、コロコロした形で、女の子に喜ばれるひなあられ。このお菓子は、江戸時代の女子へは質素倹約、明治時代の女子には情操教育の教えに使われたという説があります。
お米が原料のひなあられは、お釜に残ったお米を一粒も無駄にせず、干して炒って残さず食べたところに由来があると言われています。また、ひなあられの色も菱餅と同じ、ピンク・白・緑が入っており、女の子の健康を願う気持ちが込められています。
昔ながらのひなあられは、基本的にはベジタリアン、ヴィーガンの方も美味しく食べられるものが多いですが、現在はエビやチョコレートなどを使用したものもあるようです。
ちらし寿司
ひな祭りのメインディッシュ!見た目にも楽しく華やかなちらし寿司です。ちらし寿司の具材には、陰陽五行の五色の食材が使われています。
「白」はすし飯、「赤」は紅ショウガ、「黄」は錦糸卵、「青」は絹さや、「黒」は海苔や椎茸が主な組み合わせ。これ以外に「見通しが良い」との縁起を担いで穴が開いたレンコンを使ったり、「腰が曲がるまで長生きできる」という意味を込めて海老を乗せることもあります。
卵や海老を別の食材に置き換えるなど、具材の組み合わせ次第では、ベジタリアンやヴィーガンの方でも十分美味しくいただける食事です。
Vegewelで連載していた「しあわせこよみごはん」では、春のレシピとしてちらし寿司をご紹介しています。五色の食材とレンコンが使われた、ひな祭りにもぴったりのヴィーガンレシピです。合わせてご覧ください!
さっぱりさわやか!押し麦入りの彩りちらし寿司~しあわせこよみごはん~
はまぐりのお吸い物
ひな祭りのお吸い物には、はまぐりなどの貝が入っています。実はこれにも意味があるのです。はまぐりは、二枚の貝がちょうつがいで繋がっていますが、ぴったり組み合わせることができるのは、もともと繋がっていた貝同士のみ。
このことから、一生同じ人と添い遂げる、女性の貞操を守る、という意味が込められ、ひな祭りで使われるようになったと言われています。
白酒、桃花酒
ひな祭りは子供のお祭りというイメージが強いですが、白酒や桃花酒と、お酒を用意するのが習わし。これは、もともとひな祭りが穢れを祓うための行事であり、子供だけのものではなかったことが関係しています。
白酒は、昔大蛇をみごもってしまった女性が白酒を飲んだところ、大蛇を退治することができた、という逸話があり、厄払いの意味で飲まれていました。
桃花酒も縁起の良いお酒。中国では、桃は「兆しをもつ木」として、未来を予知し、魔=悪いものを防ぐことができると信じられてきました。ひな祭りで桃の花が飾られるのも、これに由来しています。
ちなみに、ひな祭りでは子供もお酒を飲みますが、これは「甘酒」。アルコールが入っていない、米麹から作られるお酒です。
今は、ひな祭りの時期に合わせて甘酒コーナーを設置するスーパーがあったりと、ひな祭りで甘酒を飲む風習も一般的になりつつあります。
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ひちぎり
京都では、ひな祭りに「ひちぎり」という和菓子が食べられています。餅をちぎって丸め、その上に餡などを乗せて食べるお餅です。子供の成長を祝い、願う気持ちが込められ、平安時代の宮中の儀式で食べられていたものと言われています。
人手が足りず、餅をひきちぎって作っていたので「ひちぎり」と名前がついた、「契り」がなまって「ひちぎり」になったなど、名前の由来は諸説あります。
桜餅
今は、ひな祭りと言えば一番に思い浮かぶのがこの「桜餅」ではないでしょうか。一番古くからありそうで、何か面白い由来がありそうなこの桜餅ですが、実はひな祭りに食べられることの意味はあまりありません。
もともとお茶菓子として存在していた桜餅ですが、ピンク色の見た目がひな祭りとマッチしたためその時期に食べられるようになった、という説や、端午の節句の柏餅と対をなす意味合いで食べられるようになった、という説などがあるようです。
いずれにしても、ひな祭りのお菓子として一般に広まっていたのは、昭和以降のことです。
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ひな祭りの由来は?
ひな祭りは、3月3日に行われる、女の子が健康に成長することをお祈りする行事。ひな人形を飾り、菱餅やちらし寿司などを食べるのが一般的です。
ひな祭りの由来にはいくつかの説があり、今のひな祭りの形は、これらの由来が合わさって確立されたと言われています。
中国の上巳(じょうし)の行事
三月初めの巳(み)の日に、川辺で青草を踏み、川の流れで身を清める行事。神様へお供えものをし、神様と共に食事をする(=神人共食)ことで穢れを祓ったと言われています。ひな祭りは「上巳の節句」とも言われますね。ひな人形は出てこないものの、この行事が由来となっているのは間違いなさそうです。
日本の穢れを祓う行事、流し雛
「人形(ひとがた)」と言われる紙で作った人形を、海や川に流して穢れを祓う行事で、「流し雛」と言われます。人形を身代わりにして、穢れを人から取り払っていたんですね。まだ生存率が低かった乳幼児が健康に育つようにと願いを込めて行うことも多かったようです。
もともとお守りのような役割だった人形(ひとがた)が、着物を着せられたり、玩具の役割を果たすようになり、飾る人形(にんぎょう)へと変遷していき、それがひな人形に繋がっている、と言われています。
ひゐな遊び
平安時代の貴族の子女達のままごと遊び。「ひゐな」とは、雛鳥のように、小さく可愛いものの意味。平安時代の貴族の子女達は、紙や藁などでできた「ひゐな=玩具」で遊んでいたと言われています。「流し雛」は、ひゐなと結びつき、飾る人形へと姿を変えていったという説もあります。
農村の山遊び、漁村の磯遊び
3月は、農村の人達にとっては仕事が忙しくなる直前であり、仕事が落ち着いている最後の時期。そして、春を前に、一年で最も自然界に「気」が充電されている時期でもあります。農村の人達は、これから始まるハードな日々を前に、自然からエネルギーをもらうために、山の中で飲食をし、縁起を担いだと言われています。これが「山遊び」です。
漁村ではこれが「磯遊び」に変わります。意味合いは山遊びと一緒です。また、磯遊びは、海に人形(ひとがた)を流し穢れを祓う、人形流しの行事から発展して生まれた、とも言われています。ちなみに、昔は「雛の国見せ」と言って、ひな人形を山遊びや磯遊びに連れて行ったのだとか。
不思議なもので、これらの由来は、何かしらのキーワードで繋がっていきます。「水(海や川、磯遊び)」「人形(ひとがた、ひゐな)」「穢れを祓う」「3月」「子供(乳幼児、貴族の子女)」…。
いずれにせよ、春を前に、祈りを込めて行われた行事であることは間違いありません。
ひな祭りはもともと女の子のお祭りではなかった
ここまで読んで既におわかりの通り、ひな祭りはもともと女の子のためのお祭り、というわけではありません。
もとは男女に関わらず、穢れを祓うため、成長を祈るための行事だったものから、「ひゐな遊び」という女の子の遊びの要素が加わり、部屋に飾られる人形が誕生します。その後、江戸時代になり、3月3日が正式に「上巳の節句」と定められます。
そして、5月5日の「端午の節句」が男の子の節句であることから、3月3日を女の子の節句とするようになり、広く一般に普及していくことになったのです。
女の子のお祭りとしてのひな祭りは、意外と歴史が浅いんですね。
今年のひな祭りは、いつも以上に、家族や近しい人の健康・成長を祈る気持ちを込めて、楽しんでみてくださいね。
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