現代人に不足しがちな栄養素の補給源に!?今話題の食品、亜麻仁(アマニ)を深掘り!

更新日:2024/11/22 公開日:2020/02/12

「亜麻仁(アマニ)」という食べ物、ご存知ですか?

古代ギリシャでは、西洋医学の父と呼ばれるヒポクラテスが「亜麻を食べると胃の調子がよくなる」として栽培を進めていたり。

800年代には、フランスのシャルルマーニ大帝が「国民は亜麻仁を摂るべし」と健康上の価値を認め、法令化していたそう。

このように、亜麻仁はヨーロッパでは昔から健康に良いとされてきました。

最近では日本でも、健康に良い食品としても耳にすることが多いのではないでしょうか。

古くから良いとされ、日本でも注目されている亜麻仁。

一体どんなものか?どのようにカラダに良いのか?どうやって摂り入れられるのか?気になりますね。

今回は、この亜麻仁について、ご紹介していきます!

亜麻仁(アマニ)・フラックスシードとは?


亜麻仁とは、亜麻(アマ)という植物の種(ニ=仁)です。見た目は小粒でゴマのよう。

亜麻仁は、種を挽きパウダー状にして食用にしたり、種子から取れる油は、食用油や絵の具、工業用油としても使用されています。

また、亜麻は種だけでなく、茎も利用され、茎の繊維からは麻布という布地が作られます。

この繊維は、インドやエジプトでは5000年以上前から衣服として利用されており、ヨーロッパでは、木綿が普及するまでの主要な素材として活用されていました。

亜麻の歴史は古く、人類が初めて栽培した植物の一つと言われています。

古くは、石器時代の遺跡から、繊維や種が利用されていたという痕跡が見つかっているそう。

また、紀元前5000年頃にはエジプトで栽培されており、ミイラを包む布地として利用されていたようです。

亜麻仁とフラックスシードの違いとは

結論からいうと、亜麻仁とフラックスシードは同じものを指します。

亜麻仁を英語に訳すと、flaxseed(フラックスシード)となり、どちらの名称であっても、同じものだと認識して問題ないでしょう。

亜麻仁の食品と栄養成分

亜麻仁を使用した食べ物は主に3つあります。


・亜麻仁油:亜麻の種から絞り出した油


・フラックスシード(亜麻仁):亜麻の種そのもの


・フラックスシードパウダー:亜麻仁を挽いてパウダー状にしたもの。

亜麻仁(いり)の栄養成分はこちら。

可食部100gあたり

  • タンパク質 21.8g
  • 脂質 43.3g
  • 炭水化物 30.4g
  • 灰分 3.7g
  • α-リノレン酸 24000mg
  • 食物繊維 23.8g
  • 水溶性食物繊維 9.1g
  • 不溶性食物繊維 14.7g

<良質な脂質α-リノレン酸が豊富>
α-リノレン酸は、多価不飽和脂肪酸の中で、オメガ3系脂肪酸に分類される脂肪酸です。人間の体内で生成できず、体に必要不可欠な必須脂肪酸であるため、積極的に食品から摂取する必要があります。

α-リノレン酸は、菜種油・くるみ・大豆油などの食品にも含まれていますが、中でも亜麻仁や亜麻仁油の含有量(100gあたり)はダントツに多いです。

亜麻仁油には、菜種油の約7.6倍のα-リノレン酸が含まれています。

α-リノレン酸は、体内に入るとドコサへキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)に変換されます。このDHAとEPAは青魚にも多く含まれます。

現代は、青魚の摂取量の減少から、オメガ3系脂肪酸が不足しがちなため、亜麻仁は良い補給源と言えます。

<バランスの良い食物繊維が豊富>
現代人に不足しがちな食物繊維は、積極的にとりたい栄養素。亜麻仁には食物繊維が、100gあたり23.8gと豊富に含まれています。これは、ごまと比較しても約2倍の量。

また、食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があり、2:1で摂るのが理想的とされていますが、亜麻仁(100gあたり)には、不溶性食物繊維が14.7g、水溶性食物繊維が9.1g含まれており、比較的良いバランスと言えます。

亜麻仁の摂取目安とは

亜麻仁を生活に取り入れていく上で、どれくらい摂取すればいいか悩んでいる方もいるかもしれません。

亜麻仁を今までの食生活に加える形で取り入れる場合は、1日あたり小さじ一杯分(4〜8g)程度を目安にしましょう。

ちなみに、オメガ3系脂肪酸の1日あたりの摂取目安は、成人で2g程度とされており、亜麻仁小さじ1杯分でこの量が摂取できます。

亜麻仁の期待される効果・効能

<アレルギー症状の緩和>

亜麻仁に豊富に含まれるα-リノレン酸などのオメガ3系脂肪酸は、炎症リスクを抑える作用があるとされ、花粉症などのアレルギー症状を緩和すると言われています。

<脳の活性化>

亜麻仁に含まれるα-リノレン酸は、体内に入るとDHAとEPAに変換されます。DHAは脳を活性化して集中力や処理能力、判断力を高める作用があると考えられています。

<便秘の改善>
亜麻仁は、不溶性と水溶性の食物繊維がバランスよく含まれています。食物繊維は便秘の改善に効果があります。また、腸の健康を作っている善玉菌を増やす作用があり、腸内環境を整えてくれます。

亜麻仁油の選び方

亜麻仁の選び方には、大きく分けて6つのポイントがあります。

・製法
・容器
・オーガニック認証
・含まれる栄養素
・値段
・量

それぞれの特徴について簡単に説明していきます。

亜麻仁油の選び方①製法で選ぶ

亜麻仁油の製法は、圧搾法と低温圧搾(コールドプレス製法)の2つに分かれます。

低温圧搾は、温度を調整することで身体に良いとされる成分を多量に含むことができ、最もおすすめです。他の油と違って、遠心分離法や薬品分離法は使用されていないようです。

亜麻仁油の選び方②容器で選ぶ

亜麻仁油は酸化しやすく、酸化することで体に悪影響を及ぼす危険性があるため、保存方法には特に注意が必要です。

また、購入の際は遮光性の高い瓶や容器のものを選ぶことをおすすめします。

亜麻仁油の選び方③オーガニック認証で選ぶ

亜麻仁油はオーガニック認証されているものと、認証されていないものがあります。オーガニック製品かどうかを重要視する方は、購入前に確認するようにするといいでしょう。

亜麻仁油の選び方④栄養素で選ぶ

亜麻仁油にはさまざまな栄養素が含まれています。ただし、製品によって栄養素の含有量は異なります。そのため、取り入れたいと考えている理由や、重視している栄養素がどのくらい含まれているかを考慮に入れて選ぶようにすると良いでしょう。

亜麻仁油の選び方⑤値段で選ぶ

亜麻仁油の値段はさまざまです。同じような量であっても8倍程度の価格差が出る高級品もあります。日常的に使用する場合は、継続しやすい値段のものを買うことをおすすめします。

亜麻仁油の選び方⑥量で選ぶ

酸化した亜麻仁油を身体に取り入れると、体に悪影響を及ぼす危険があります。保存方法や遮光性のある容器を選ぶことも重要ですが、記載されている期限の間に使い切れる量を買うことがおすすめです。

亜麻仁を摂取する上での注意・特徴と使い方

<亜麻仁油>

亜麻仁油は、繊細な油なので取扱に注意が必要です。以下の特徴を知って、効果的に取り入れてあげてください。

① 熱に弱い
熱が加わると性質が変化しやすいので、加熱調理には向きません。そのまま使うことがオススメです。

② 酸化しやすい
特に、光に当たると酸化が進みやすいので、光の当たらない冷暗所で保管しましょう。購入する際は、遮光瓶に入っているものや、箱に入っているものを選ぶことをお勧めします。開封後は、冷蔵庫で保管しましょう。

③ 劣化しやすい
劣化しやすいため、開封したら早めに使い切りましょう。できれば2~3週間で使い切れるような量を選ぶと良いです。酸化や劣化した油は、どんなに良い油でも体の酸化を進める有害物質が生じるので、摂取する上では十分に注意しましょう。

使い方:ドレッシング、スムージー・納豆に混ぜる、お豆腐・冷製パスタにかけるなど

熱に弱いので、熱い食品と一緒に使わないようにした方が良いでしょう。

亜麻仁油の一回の摂取量は、小さじ1杯程度がだいたいの目安になります。摂りすぎは、エネルギー過多になるので、気をつけましょう。

<フラックスシード>

① 殻が固い
フラックスシードは、頑丈な殻に覆われているので、よく噛み砕かないと、体内では消化・吸収しづらいです。

また、固い殻が油分をしっかり守ってくれ、亜麻仁油と違い、鮮度よく酸化防止してくれると言われています。保管の扱いに注意が必要な亜麻仁油より扱いやすいかもしれません。

② 水につけるとジェル化する
フラックスシードは、水につけるとジェル化する特性があります。そのため、ジェル化させて、卵や片栗粉の代わりに使われたりもします。

使い方:ご飯と一緒に炊く、パンやマフィン・パウンドケーキ・クラッカーなどの焼き菓子に混ぜる

<フラックスシードパウダー>
挽くことによって、固い殻が粉状になるので、よく噛むのが面倒な方には良いでしょう。

フラックスシードパウダーでも購入できますが、コーヒーミルやスパイスミルを使って、フラックスシードを挽くことも可能です。毎回使う量を挽く方が、鮮度もよく、酸化の心配もありません。

使い方:スムージー・ヨーグルト・和え物・ドレッシング・納豆に混ぜる

ゴマの代わりに使っても美味しいです。

いかがでしたでしょうか?

現代人に不足しがちな良い脂質や食物繊維を摂れる亜麻仁。

日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。

ご自身が、少しでもヘルシーとなるきっかけとなりますように。

参考資料
◼️「スーパーフード便利帳」/いとうゆき/二見書房/2013年
◼️日本食品標準成分表2015年版

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