マクロビオティックにみる季節の食べ方・季節の変わり目「土用」~しあわせこよみごはん~
収穫の秋。木々たちは黄金色に色を変え、ぐっと日が落ちるのも早くなりましたね。
暑い暑いと言っていた夏が遠い昔に思われるように朝晩は涼しくなり、身体は徐々に冬の寒さに耐えるため脂肪をつけようと、”蓄える”時期に入ってきています。
秋は、胃・膵臓・脾臓が活性化し、いつもよりエネルギーが高く甘いものを欲する季節です。
四季のある日本では、春・夏・秋・冬それぞれの節目で、気温や気の流れの変化に心身の養生を心掛けるよう促されます。
季節のお便りにも「季節の変わり目ですので、くれぐれもご自愛ください」といった労いの言葉を添えてきました。
その節目に当たるのが「土用」。土用とは立春・立夏・立秋・立冬の前それぞれ約18日間のことを言い、来る次の季節へ心身を順応させる期間です。
土用は、「しあわせこよみごはん」の推奨する”ケのごはん”がもっとも適する季節でもあります。
土は母なる大地、全ての中心でありearthを意味するものです。
どっしりとした安定や調和、中庸のバランスのとれた状態であることを意識して過ごすことが大切です。
土用の期間には、万物が腐敗しやすいと言われ、昔から土用の時期には引っ越しや転職など大きな変化を起こさない、また土いじり(野良仕事)をするな、と言われています。これは、足腰を冷やしたり過度な疲労で体調を崩しやすくなるからです。
この期間はライフスタイルも「安定」がキーワード。”ほどほど”に、穏やかに過ごすことがポイントです。
季節の終わりの変化に順応し、快適に過ごすには、内臓、特に身体の中心にある臓器の胃・脾臓・膵臓に負担の少ない基本食(ご飯・味噌汁・漬物)をベースにした食事を、よく噛んでいただきましょう。
”自分の主治医は自分自身” 日々の食養生でケアをしていきたいですね。
季節の節目の土用を快適に過ごすために~土用の食べ方~
華美な外食やごちそうは控えた、シンプルな家ごはん。中庸なお米を中心にした食事が、土用の食事の基本です。
土のエネルギーに共鳴するのは、黄色・ナチュラルな甘味です。旬の野菜や、秋に収穫される穀物のやさしい甘さが、胃・脾臓・膵臓を養います。
土用こそ、噛むほどに甘くなる穀物をいただきましょう。
唾液に含まれる消化酵素のアミラーゼが、炭水化物のでん粉を分解し麦芽糖に変えるため、よく噛むほどに甘さを感じられ、吸収も穏やかになり、満腹中枢を満たし、食べ過ぎを防ぐことができます。
また、少食や断食などで消化器官を休めてあげることも有効です。
血液の浄化や毛細血管の循環を司る脾臓。脾臓を労わることで血管の95%を占めると言われる毛細血管を強くし、巡りをよくすることで冷えやむくみなどを防ぐことができます。
膵臓は血糖値やホルモンバランスをコントロール。炭水化物・たんぱく質・脂質を消化する役割を担っています。膵臓が元氣であれば感情も穏やかに、集中力が継続して物事に取り組むことができます。
胃は消化だけでなく自律神経にも大きく関連するため、消化器系が弱ることはメンタルにも影響します。自己肯定が出来ず、いつもだるいといったことになりがちです。
胃を強化すると、精神的にも安定して過ごせるようになります。
<土用の期間>
年四回、季節の節目にあたる、立夏・立秋・立冬・立春の前日までの約18日間のこと
- <春の土用>4月18日頃~立夏の5月5日頃まで
- <夏の土用>7月21日頃~立秋の8月7日頃まで
- <秋の土用>10月21日頃~立冬の11月7日頃まで
- <冬の土用>1月17日頃~立春の2月3日頃まで
<土用の時期に起こりやすいトラブル、ダメージを受けやすい臓器>
胃・膵臓・脾臓など。季節の変わり目に当たるこの時期はもっとも体調を崩しやすい時期となる。
胃の状態は上唇や口内に表れる。
<土用におすすめの食材>
- かぼちゃ・たまねぎ・キャベツ・かぶ・カリフラワーなど丸く自然の甘味のある野菜
- 海草はあらめ
- 雑穀はあわ・ひえ・もちきび・玄米もち米・とうもろこし
- 豆は黄レンズ豆・ひよこ豆
- 果物はなし・柿・プラム・栗
- 玄米甘酒・葛
<土用に控えたほうがよい食材>
- 白砂糖を使った甘いスイーツ
- アルコール
- 精白されたパンや焼き菓子
- 鶏肉・甲殻類・チーズ・卵・魚卵
- スパイス
- トロピカルフルーツ
<土用におすすめの調理法>
野菜の本来もつ甘味を生かす。蒸す、煮る、とろみをつけるなど、水分をたっぷり含ませ、素材の甘さを引き出す調理法。土鍋などでことこと煮るなどの胃に負担をかけないあたたかく消化のよい料理。
今年の秋の土用は
2018年の秋の土用は、10月20日から11月6日までとなります。
土用が明けると立冬。暦の上では冬の始まりです。
今年は酷暑の夏に、秋からは度重なる台風など過激な気象が続いたため、体調もバランスを崩しがちで、安定へのシフトが難しいと思います。
こんな時ほど、玄米や全粒穀物、雑穀類を口の中で甘味を感じるまでしっかりと噛んで食べて免疫を上げ、これから来る寒い冬、忙しい年末に備えていきたいですね。
季節感を大切に
地球温暖化などによる気候の変化やライフスタイルの欧米化で、薄れている季節(=こよみ)と寄り添う暮らし。
日本人として原点に立ち返り、四季の豊かさ、美しさを大切にする心や、旬の食材の恵みに感謝して美味しくいただくことを、改めて見直していきたいものです。
旬の食材は、私たち人間を含め自然界に生きる動物にとって、何よりの薬となります。
また、自然を愛でる季節行事を見直し、季節の移ろいを楽しむと、今よりきっと豊かな生活になり、たくさんの気づきが得られるはずです。
これから順次下記の内容でコラムとレシピをお届けいたします。
◎「低血糖症・糖尿病について」~Rika
【メニュー】
膵臓をいたわる丸い野菜を使ったメニュー
◎「胃の不調、逆流性食道炎について」~Hiroko
【メニュー】
胃を癒すメニュー
◎「季節の変わり目の免疫について」~Miyumi
【メニュー】
脾臓を養うメニュー
※しあわせこよみごはんメンバーの運営する月島のカフェ「Manu ku(マヌクー)」では、季節に合わせたごはんが頂けます。
Manu kuの取材記事はこちら
アットホームな大人の空間で、ゆったりとマクロビオティックベースのベジごはんを。Manu ku(マヌクー)【月島】
「こよみにあわせた食材(旬のもの)には力強い生命力があり、美しく、何より美味しいです。
まごころを込めて調理するあたたかな気持ちは、食材にも食べる人にも伝わります。
こよみに寄り添って、人に寄り添って、自分の心に寄り添って。
いのちをつくる日々のごはんが、皆様の穏やかさと健やかさとなりますように。
そして楽しく幸せな日々をおくれますように。」
~しあわせこよみごはん~
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