発酵食品/身近な調味料で花粉症対策~しあわせこよみごはん~

【春、満喫していますか?】

3月も後半になり、春分を迎え、あちらこちらに春を感じますね。

冬の寒さから解放されて暖かくなり、植物が芽吹き花を咲かせ、心躍る季節。・・・と同時に花粉症のシーズン真っ只中。辛い症状に悩まされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

いまや4人に1人が花粉症や何らかのアレルギーを持つと言われています。

数年前までは私もその1人でした。心から春を楽しめるようになったのは、食事に気をつけるようになり体質が変わってから。

社会人になってしばらくしてから酷い花粉症に悩まされるようになり、せっかくの気持ちのいい陽気なのに外出が億劫になる時期が十年程ありました。

目の痒みや腫れ、くしゃみや鼻水、鼻づまり、喉のイガイガ、からだの怠さ…ついには耳の中まで痒くなるという症状まで発症しました。

その頃は外出先から帰宅すると玄関の外で花粉をふり落とし、洗面台へ直行して顔洗いと鼻うがい。

一時的には解放されますが、花粉の飛散が多い日やピーク時は、空気清浄器をつけた部屋の中でも鼻が詰まったり、目や喉が痒くて夜も眠れないこともありました。

もちろん薬を服用し、目薬や点鼻薬も手放せませんでした。しかし、薬を飲むと頭がぼーっとしたり眠くなったりする副作用があり、集中力が落ちてしまいます。

できれば薬に頼らないようにと思い、世間で効果があると言われている食品・お茶・サプリメント等を試しましたが、あまり効果を感じられずにいました。

花粉症は治らないものと半ば諦めていた時期もありましたが、当時が嘘のように今は症状が出ません。

アレルギー検査では杉やヒノキなどのアレルギー反応が検出されるので、アレルギー体質ではあるのだと思います。

私の場合は食事に気をつけるようになったことで症状が出なくなりましたので、食がその鍵を握っていると実感しています。

いまや国民病とも言われる花粉症。悩まれている方が、食事に気をつけることで辛い症状が少しでも和らぐことにつながればと思っています。

上昇するエネルギーと花粉症


陰陽五行では、春は上昇するエネルギーの季節。植物が芽吹くように、人間の心や体からも春の陽気とともに色々なものが湧き上がってきます。

春は、一年分、時にはそれ以上に体に溜まったものを浄化する時期です。

溜め込んだ程度により、体においては花粉症のようなアレルギー症状だったり、心においてはイライラ・怒りといったような感情で排出されていきます。

一般的に言われている花粉症のメカニズムは、抗原抗体反応によるものです。 私たちの体は花粉という異物の侵入を有害とみなすと、この抗原と反応する物質、抗体をつくります。

抗体ができた後で再び花粉が体内に入ると、鼻や目の粘膜の肥満細胞の表面にある抗体と結合します。

その結果、肥満細胞からヒスタミン等が分泌されてヒスタミン受容体と結合し、涙・くしゃみ・鼻水・鼻づまり等のアレルギー反応を起こすという仕組みです。

マクロビオティックによる陰陽の視点では、花粉は軽く舞い上がり飛散するという陰性の性質を持っているため、同じ陰性さを持った食品に反応すると考えます。

体内に過剰の水分や糖分がある陰性な状態が花粉と反応し、肥満細胞からヒスタミン等の炎症物質を増加させ、炎症反応を引き起こすのです。

よって、原因は普段の清涼飲料水などの水分やアルコール、糖分の過剰摂取と食べ過ぎと考えます。

体は、涙・鼻水・くしゃみで余分な水を吐き出そうとしますが、風邪とは違いサラサラの陰性の鼻水が出るのが特徴です。

辛く不快な排出現象ですが、薬で抑えようとすると排出が後回しにされてしまいます。

春の浄化の時期に体から出ようとしているものを押さえつけるようにすると、老廃物を体の中にしまい込み、この後の季節に持ち越して不調の原因になってしまいます。

そればかりか、今あるアレルギー症状を根本的に治したことにはなっておらず、問題をさらに深く大きくしかねません。

春におすすめの食材や調理法は、体内のクリーニングを促進します。先にご紹介していますので、出来ることから取り入れてみていただければと思います。

マクロビオティックにみる季節の食べ方「春」~しあわせこよみごはん 〜

日々の食事で花粉症対策


体内の浄化と共に、花粉症やアレルギー症状に効果のある食事を取り入れて体質を改善していくことで、薬に頼らない体に整えていくことができます。

お勧めしたいのは、腸内環境を整え免疫力を高める作用のある発酵食品です。

腸は、食べ物を消化吸収する器官であると同時に、体の中で最も大きな免疫器官でもあります。

免疫とは、外から侵入する病原菌やウイルスを常に見張って撃退してくれる、いうなれば病気から体を守る仕組み。

最近の研究によると、免疫細胞の70%が腸に存在し、腸内細菌と免疫細胞とがお互いに影響し合っていることがわかってきました。

免疫力が下がると疲れたり不調を起こしたり、風邪などの感染症にかかりやすくなり、ガンなどの深刻な病気のリスクも高くなってしまいます。

腸内は善玉菌と悪玉菌、善玉にも悪玉にもなる日和見菌がいて、勢力争いが絶えません。そこで、発酵菌が多くいる発酵食品を摂ると腸内の善玉菌が優勢になり、腸内環境がよくなります。

発酵食品というと、納豆・チーズ・ヨーグルト・キムチ・ピクルス…と様々に思い浮かぶかと思いますが、おすすめは、普段使う調味料に発酵食品を取り入れることです。

例えば、味噌・醤油・みりん・お酢等。日々ご使用になる身近な調味料かと思います。「毎日使っている」「何をいまさら」と思われるかもしれません。

着目していただきたいのが、きちんと発酵しているもの、昔ながらの伝統製法により天然醸造されたものを選ぶということです。

少量でも「塵も積もれば山となる」で、きちんと発酵されたものを日々取り入れるのとそうでない場合の身体への影響は、大きく差があるでしょう。

発酵調味料の選び方


市販されている調味料には、人工的に短期間で発酵させて量産する目的のために、本来は必要ないものが添加されているものが多くあります。

例えば、醸造アルコール・酵母エキス・アミノ酸・砂糖・カラメル色素等。天然醸造法により長い期間熟成されたものと違い、このような人工的な調味料に発酵の力は弱く、健康効果はあまり期待できません。

そればかりか、添加物を取り入れることになってしまいます。普段お使いの発酵調味料をご確認いただき、天然醸造法のものをお求めいただきたいと思います。

厳選された安全な材料で、手間を惜しむことなく年月をかけて作られていますので、多少割高に感じるかもしれません。

しかし、微量栄養素やミネラルが含まれているので旨味や風味にあふれ、体になじむ自然の力があります。

私の場合は、他の余分な調味料が不要になり、旨味があるので使う量も少なくなり、かえって節約できています。伝統製法のものは以下のような表記ですので、選ばれるときの参考になさってください。

味噌:米(米麹)、大豆、塩(米味噌の場合) 
麹の種類によって、米味噌・麦味噌・豆味噌と大きく3つにわかれ、発酵時間に違いがあります。おおよそ8ヶ月から3年かかります。

醤油:大豆、小麦、塩
昔ながらの製法で、杉樽で1-3年天然醸造されたものがおすすめです。

みりん:もち米、米麹、焼酎
本来のみりんはお酒のように飲めるもので、お正月のお屠蘇は元々みりんに薬草を漬け込んだものです。

酢:米(米酢の場合)
使用する材料によって米酢・穀物酢・果実酢がありますので、原材料名のみのものを選びましょう。これらとは別に、梅干しを作るときにできる梅酢をマクロビオティックではよく使用します。

マクロビオティック的おすすめの発酵食品


日本各地には、その土地の風土や食文化に根ざした発酵食品がたくさんあります。

その土地の微生物が作り出す発酵食品は、マクロビオティックの基本である「身土不二」という考えからも大切にしたいもの。日常的に取り入れたいものをいくつかご紹介します。

1.甘酒

米粥を麹菌で発酵させたもの。

米のでんぷん質が分解されてブドウ糖になり甘くなります。米に含まれるタンパク質が分解されてアミノ酸に変わり、発酵によりビタミンB群が増え、点滴に似た成分になるため「飲む点滴」とも呼ばれるほどです。

甘味料として利用できます。ご家庭でも、ご飯と麹があれば炊飯器を使って作ることができます。

酒粕を水で溶いて砂糖で甘みが加えられた甘酒も売られていますが、別物です。酒粕にアルコール成分が含まれているため、お子様や妊婦の方には麹甘酒が安心かと思います。

今さら聞けない甘酒〜酒粕と米麹(糀)から作られる甘酒の違い〜

2.塩麹

麹と塩と水を混ぜて発酵させたもの。

数年前に万能調味料としてブームになりました。まろやかなコクがあり、麹による酵素の働きが食材の旨味を引き出します。

麹の旨味によって、塩を使うより減塩効果がはかれるのも嬉しいところです。材料を混ぜて寝かせるだけで簡単に作ることができます。

3. 黒酢

白米から造られる米酢に対し、黒酢は玄米が原材料です。有名な産地は鹿児島県で製法も独特。

かめ壺に蒸した玄米・米麹・天然の地下水を入れ、屋外で発酵に約半年、熟成に1~3年かけて熟成されます。

ひとつの容器の中で糖化・アルコール発酵・酢酸発酵の全工程が進行するという造り方は、原材料が無駄なく酢となり栄養分を逃がさないのが特徴。

たんぱく質を構成している20種類のアミノ酸のうち、黒酢には17種類のアミノ酸が含まれます。

独特の香りやうま味、コクがあり、他の酢と比べて酸味が少ないため、料理はもちろん、希釈したり他の飲み物とブレンドしたり、飲み物としても美味しくいただくことができます。

体内浄化と免疫力を高める手軽な春のレシピ

今回は発酵調味料と春に取り入れたい酸味を合わせた、体内浄化と免疫力を高める簡単なレシピをふたつご紹介します。

梅干しとふのりのお吸い物


【材料(2人分)】

・梅干し 大きめ1つ
・ふのり ふたつまみ
・出汁 300cc
・醤油 適宜

【作り方】
① お椀に種を外してつぶした梅干し半個と、さっと洗い水けを切ったふのりを入れ、温めた出汁を注ぐ。醤油を二、三滴垂らしていただく。

※ふのりの代わりにとろろ昆布でも。

黒酢味噌だれ


【材料(作りやすい分量) 】
・麦味噌 大さじ1
・黒酢 大さじ1/2
・甘酒 大さじ1/2

【作り方】
① すり鉢に麦味噌を入れてすり、なめらかになったら、甘酒、黒酢を加えてさらにすり混ぜ合わせる。

※すり鉢がない場合は、すべての材料をよく混ぜ合わせてください。

蒸し野菜や蒸し豆腐につけたり、すり胡麻や練り胡麻を加えて麺類にからめたり、ごま油を加えてサラダのドレッシングにしたり…アレンジして普段のメニューに取り入れてみてください。


応用レシピでは、大豆発酵食品のテンペを使ったベジバーガーをご紹介します。

〜最後に〜取らないという提案

花粉症対策に取り入れたい食品についてお伝えさせていただきました。最後に「取らない」ということについても考えていただければと思います。

本文で、マクロビオティックの陰陽の視点では、花粉症は陰性のものに反応して起こると申し上げました。ですので、陰性のものを控えることが予防につながります。

具体的には、乳製品全般(牛乳・バター・チーズ・ヨーグルト・アイスクリーム)・ジュースやアルコールなどの水分・白砂糖を含む甘いお菓子や菓子パンを極力減らすことです。

そして、血液を弱アルカリ性に保ってくれる良質の発酵調味料を使ってみていただきたいと思います。

今はすでにスギ花粉のシーズンですので、予防の時期としては遅いかもしれませんが、秋の花粉や翌年の春先に向け辛い花粉症から卒業できる身体作りに役立てていただけたら幸いです。

【大好評のベジレシピ一覧はこちら】
https://vegewel.com/ja/style/categories/recipe

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五十嵐有希

五十嵐有希

リマクッキングスクール師範科修了
KIJ レベル1修了
一般社団法人内臓マッサージ協会認定セルフチネイザン講師、チネイザンマスターコース修了、カッサセラピスト
全米ヨガアライアンス200時間修了
Under the light認定ヨガインストラクター
経絡YOGA指導者

ヨガを通してマクロビオティックに出会う。食が体だけでなく心もつくることを実感し自然に寄り添う生き方や日本の伝統的な文化を大切にしたいと思うようになる。脱ステロイドによる皮膚炎を克服し、マクロビオティックを学ぶ中でチネイザン(氣内臓)に出会い、内臓へのアプローチで心身の安定や人生の巡りが良くなることを実感。対個人のチネイザン施術やセルフチネイザンを伝えるワークショップを通して幸腹(こうふく)を分かち合う活動を行っている。ヨガの指導、マクロビオティック普及を目的としたResetプロジェクトのメンバーとしても活動中。