しあわせこよみごはん 「黒い食材パワーで代謝UP~冷え性改善」
世は空前の温活ブーム。温活市場は2,000億円を突破したそうで、冷えによる健康面・美容面・メンタル面に”温める”ことの必要性の認知が高まっています。
冷えに悩む人たちが多くなっているのは、生活環境とライフスタイルだけでなく、食生活の変化が大きく影響しています。
腹巻・カイロ・湯たんぽ・温湿布・温熱機器・酵素風呂・よもぎ蒸しといった外からのケアに頼りがちですが、実は冷えは食習慣も大きな要素となっているのです。
目次/Contents
自分の体質にあうものを知り「温活」もからだの中から
乾いた空気に冷たい風、日照時間が一年で最も短い冬至を前に、ひなたではほっと心身がほころび心地よさを感じるものです。あっという間に日が暮れるこの頃、風邪やインフルエンザも流行りだしてきています。
「終わりよければすべてよし」というように、寒さやウィルスに負けない免疫力をつけて、忙しい師走を元気に乗り切り年越ししたいですよね。
冬になると夕方にはブーツがパンパンになりきつい!というのも、冷えに弱い臓器・腎臓の機能が滞り、水分代謝が落ち末端の血行が悪くなるから。
陰陽五行では立春までは「水」のエネルギーの季節となり、冷えにもっとも弱い臓器である腎臓が滞りがちとなります。
色体表の色でも冬は腎臓を労わり温める「黒い食材」、味は鹹味(しおからい)が良いとされます。(陰陽五行の色体表はこちらを参照ください)
冷えは万病のもと、体温が1℃下がると免疫力は30%下がると言われるように、身体を冷やさないことが大切です。
外から暖房やカイロで温めたり、厚着をしても、口に入れるものが自分の体質にあったものでなければなかなか冷えは改善されません。
“You are what you eat”~ 私たちは食べたものでできている。だからこそ食べ方ひとつで体調も変わります。
「しあわせこよみごはん」でおすすめしている、マクロビオティックのベースとなる“旬の野菜や穀物”を意識して食事に取り入れると、身体のバランスがとれるようになっていきます。
忘年会・クリスマスと酸化しやすいごちそうの食べ過ぎが多くなる時期なので、軸となる穀物(主食)を多めにすることを心がけるといいでしょう。
また、ストレスや緊張が多いと血流は悪くなり、心からくる冷えの影響も大きいものです。性格的に生真面目で頑張り屋さんは、知らず知らずのうちに交感神経が優位な緊張状態が続いています。
深い呼吸や気持ちをリラックスさせること、楽しむことやわくわくすること、笑うことも実は冷え性改善にはとても大切なんです。
かくいう私も毎年頑固な冷え性に悩まされ、その改善に試行錯誤してきました。
そんな経験をもとに、“冬は苦手”と自称する方や、つらく頑固な冷えやしもやけに悩まされている方に、自分の体質を知る方法、今年の冬を元気に乗り切るための食べ方と過ごし方をお伝えしていきます。
そして冬にぴったりな、穀物の中で最も身体を温める陽性な蕎麦と、黒ごまを使った簡単おやつをご紹介します。
あなたの冷えはどのタイプ?
(写真のような夏野菜を食べ過ぎていませんか?)
マクロビオティックにおいて、冷え性には2パターンあると考えられています。自分の傾向を知ることで根本的な改善方法が見つかりやすくなります。
現代の人たちは、「2」の「陽性の冷え性」が殆どだと言われています。動物性食+酸性食(特に白砂糖や乳製品をつかった甘いもの)の取りすぎが原因です。
1.「陰性の冷え性」
甘いもの、冷たいもの、マンゴーやバナナといった南国フルーツ、夏野菜(トマト・きゅうり・茄子・アボガドなど)、乳製品、コーヒー、アルコール、薬やサプリメントのとりすぎで、細胞やからだが緩んでいるタイプ。
血も薄くからだの芯から冷えを感じる。
2.「陽性の冷え性」
卵・肉・魚などの動物性食品、塩気の多いもの、クッキーやせんべいなど固く焼きしめたものが好き。過度な運動やストレスが多く身体が固く緊張しやすく、締まりすぎによる血行不良。
血液が酸化して粘っており、主に手足などの末端が冷え、血流やエネルギー循環が悪いタイプ。
自分の体質を知ろう!
マクロビオティックにおける「体質」は、大きく4種類に分類されます。体質によって冷えの原因や対処法も変わるため、自分がどのタイプなのかを観察して知ることで何が必要で、何が不必要かが見えてきます。
体質+そのときの体調や環境・コンディションを見て身体の声を聞く癖をつければ、バランスをとることができます。
A.「陰性の肥大タイプ」(陰性の水太りタイプ)
甘いお菓子や飲み物、果物が大好き、色白ぽっちゃりさん
B.「陰性の萎縮タイプ」(陰性の虚弱タイプ)
虚弱、貧血気味で痩せていて消化器系も弱く吸収がよくないタイプ。
C.「陽性の肥大タイプ」(陽性の固太りタイプ)
大食いで肉食も甘いものも大好き、味の濃いものや揚げ物も好む。エネルギッシュで筋肉質
D.「陽性の萎縮タイプ」(陽性の締まりすぎタイプ)
焼きしめたもの、塩辛いものなどを好んで食続けたり、長年に亘りスポーツをして筋肉や関節が固くしまりすぎている。
【陰性の冷え解消の食べ方】
- 甘いもの、熱帯の果物、夏野菜、ヨーグルトや牛乳を控える
- 冷たいもの(氷の入った飲み物・ジュース・アイスクリームなど)を控える
- 梅しょう番茶や梅醤葛などを飲む
- 根菜類・玄米などの穀類・干し野菜や乾物・暖かい煮込んだものを食べる
【陽性の冷え解消の食べ方】
- 動物性食品、塩気の多い干物や魚卵、甲殻類などは控える
- チーズは控える
- オーブンなどで固く焼きしめた粉もの(パン、クッキー、せんべいなど)は控える
- 切り干し大根や大根をつかったのスープ、料理をいただく(体内に蓄積した脂肪やコレステロールの代謝を助ける)
- 24時間~2日の無塩食をする(動物性脂肪やたんぱく質を抱き込んでたまっている古塩を溶かす)※無塩食については専門家の指導のもとで行ってください
- 人肌にあたためたストレートりんごジュース、葛入りりんごジュースなどを飲む
冷え性改善のナチュラルケアで相乗効果を!
・まずは湯舟にゆっくりつかる
お風呂で熱すぎない温度の湯舟にゆっくり浸かることは、芯から温まるだけでなく、リラックス効果。ストレスで日中優位になっている交感神経を鎮め、副交感神経を優位にすることができます。
ゆったりとしたお風呂タイムを。
・「首」のつくところを暖かく
太い動脈の走る首回りを冷やさないようにすることがとても効果的です。
寝るときに首に天然素材の柔らかいタオルを巻いたり、外出時はマフラーで外気をシャットアウト。他にも足首や手首を冷やさない工夫を。
足首にレッグウォーマーをつけたり、足湯や手湯なども全身の血行をよくしてくれるのでおすすめです。
また、下着類は綿や麻やシルクなどのナチュラル素材で締め付けないものがおすすめです。
・しょうがの足湯
洗面器などに熱めの湯(45℃前後)を張り、さらし布の袋や排水溝フィルターなどに入れた生姜のすりおろしを入れて足を浸ける。
ぬるくなったら差し湯ができるよう用意しておき、15分~30分身体が熱くなるまで温める。
・しもやけにしょうが油のマッサージ
生姜のすりおろしをごま油にいれるしょうが油。生姜の殺菌作用と血行促進作用で血管を広げて、ごま油の抗酸化力で消炎効果、痛みやかゆみを抑える。
※頭にすり込めば、脱毛・はげ・白髪など、冷えと同じく腎臓に関係する髪のトラブルにも効くと言われています 。
・腎臓にこんにゃく湿布
背中のウエストのくびれの上あたりに位置する腎臓を、熱くしたこんにゃくであたたためることで、冷えに弱い腎臓を手軽にケアする方法です。
たっぷりのお湯にこんにゃく(あく抜きしていない、生芋こんにゃくがおすすめ)と塩小さじ1程度を入れてぐらぐらと20分~30分煮て、厚手のタオル2枚でくるんで背中に乗せて温めます。
血液を集めて機能を高め、こんにゃくのアルカリが酸性の毒素や痛みなどを取ってくれると言われています。
・冷えに効くツボ
足の内くるぶしの上に指を横にして3本分上の「三陰交(さんいんこう)」というツボ、膝の内側の上「血海(けっかい)」という血流をよくするツボ、足の裏の湧泉というツボを押したり、せんねん灸などをする。
・席を立って歩く、深呼吸、肩甲骨回し
座りっぱなしは血液やリンパ液の流れが滞るため、意識して席を立ち歩いたり、おなかをつかって深呼吸しましょう。
また、肩甲骨回しは広背筋や僧帽筋などの大きな筋肉を動かし、リンパ管の排水溝と言われる鎖骨の上の流れをよくしてくれます。
パソコン仕事で固まった肩回りの筋肉を動かすことで肩こりの予防にもなります。
・ヨガで冷え性改善
腎臓経絡を刺激する前屈または開脚前屈のポーズ、腎臓を刺激し下腹部の血行をよくする弓のポーズがおすすめです。
・ボディスクラブ、乾布摩擦で表皮と血管を刺激
乾布摩擦、ホットタオルもしくは自分の手でからだをこする。簡単で即効性のある血液循環をよくする方法です。
・耳をマッサージ
腎臓の関連部位と言われる耳。耳の形は腎臓の形に類似しています。
耳をこする、引っ張る、揉み解すだけでからだがポカポカしてくるので、どこでも簡単にできる腎臓刺激として、お仕事の合間や電車の中などにお試しください。
冬にはあたためる黒!砂糖不使用の蕎麦、黒ごまを使ったおやつ
砂糖や甘いもを冬に多く摂取すると身体を冷やし、冷えを司る腎臓にもっともダメージを与えます。
冬におすすめの身体を温めてくれる食材の蕎麦やごまと腎臓によいと言われるくるみ、そして冬に不足しがちなビタミンやミネラルが豊富な麹の自然な甘味の玄米甘酒を砂糖がわりに使った簡単おやつと、ごまを使ったアレンジ総菜をご紹介します。
【冬におすすめの身体を温めてくれる食材】
蕎麦は穀物の中でもっとも陽性でたんぱく質が豊富。身体を温めてくれます。
強アルカリ性で、穀類の中でも蕎麦にしかないルチンが豊富。毛細血管を強くし、高血圧・動脈硬化・糖尿病の予防にもよいと言われています。ポリフェノールによる抗酸化作用もあり、悪玉コレステロールの増殖を抑えてくれます。
黒ごまはビタミンEやB1・鉄分・マグネシウム・カルシウムが豊富な優れものです。腎臓と肝臓を養い、ポリフェノールによるアンチエイジング効果も期待できます。
腎臓は髪の毛も司るため、腎臓によく、毛細血管を強くする黒ごまは、薄毛や白髪に悩む方にもおすすめです。
レントゲンや麻酔を受けねばならないときには、ごま塩を飲む「ごま塩頓服」が陰性な放射線や薬の影響を和らげてくれると言われています。
葛粉は葛根湯のもとになり、身体を温め整腸作用が高いため、風邪予防や免疫力UPにもおすすめ食材です。
ごまだれ/甘酒くるみ味噌/みたらしあんの三色の蕎麦団子
【材料(4人分)】
■蕎麦がき団子材料
- 蕎麦粉 100g
- 葛粉 大さじ2
- 水 200cc
■ごまだれ
- 黒すりごま 大さじ3
- 塩 小さじ1/2
- 切りごま(金または白) 適宜
- 玄米甘酒 大さじ3
- 醤油(たまり醤油がおすすめ) 小さじ1
■甘酒くるみ味噌
- くるみ 大さじ2
- 味噌 小さじ1弱(網または魚焼きグリルで軽く焼くと香ばしくなる)
- 玄米甘酒 大さじ3
- 柚子皮(トッピング) 少々
■みたらしあん
- ストレートりんごジュース 180g
- 本みりん 大さじ1
- 醤油 大さじ1弱
- 葛粉 大さじ1(同量の水で溶いて混ぜる)
【作り方】
① 小鍋に蕎麦粉、水で溶いた葛粉を入れ、泡だて器でよく混ぜ合わせながら中火にかける
② ①がもったりとしたとろみがついて固まってきたら木べらに変えて焦げつかないように少し火を弱め、よく練りながらプチプチという音がしてきたら火を止める
③ 少し温度がさがったら、軽く水で手を濡らし一口大に丸める
④ ごまだれの材料を小鉢で混ぜ合わせる
⑤ 甘酒くるみ味噌を作る。くるみはフライパンで軽く炒り、手で適当な大きさに砕いですり鉢で少し当たる。味噌・玄米甘酒をいれて混ぜ合わせる
⑥ みたらしあんを作る。ストレートりんごジュースを小鍋で1/3量になるまで煮詰め、みりん、醤油をいれてさらに煮立たせ、水溶き葛粉を入れてまぜてとろみがついて白濁がなくなるまで混ぜる
⑦ 蕎麦がき団子を竹串などに刺し、3種類のたれを乗せる
春菊のごま和え【ごまだれのアレンジ】
・・・・・・・さっと箸休めの一品に。
春菊は茹でるとカロチンが生の二倍にもなります。食べ疲れた胃腸を養い、冷え性にもおすすめの食材です。春菊を鍋物に入れるのが苦手な方でもおいしく食べられます。
ポイントは茹ですぎないこと!
冬場に不足しがちな青菜をおいしく食べるおすすめのレシピです。今の時期ならではの甘いちぢみほうれん草で作るのもおすすめ。
上記の蕎麦団子の、ごまだれの甘酒の量を少な目にするだけのアレンジレシピです。
【材料(4人分)】
■春菊 1束
■醤油 少々
■ごまだれ
- 黒すりごま 大さじ3
- 塩 小さじ1/2
- 切りごま(金または白) 適宜
- 玄米甘酒 大さじ2
- 醤油(たまり醤油がおすすめ) 小さじ1強
【作り方】
① 大きめの鍋にお湯をたっぷり沸かし、春菊をさっと茹でてざるに上げ広げる(春菊の色がきれいな緑に変わるのが目安)
② 醤油少々をかけて水気を絞る
③ ごまだれ材料を混ぜ合わせたものと和えて器に盛り付ける。
注意:蕎麦はアレルギーの心配のある方や幼児期の摂取は配慮ください。アレルギーの心配のある方は、蕎麦粉のかわりに白玉粉や雑穀粉や、炊いたごはんを半搗きした五平餅風にしてアレンジしてみてください。
巡りよく代謝がよければつらい冷えもなく、冬太りも防ぐことができます。
冬至を過ぎれば徐々に日は長くなりますが、寒さはまだまだこれからが本番。
冷たいもの・暑い時期や場所で採れる食材・白砂糖・精白したもの・乳製品などは控え、黒いパワー(黒ごま・蕎麦の他にも黒豆・黒米・昆布・ひじきなど)をいただいたり、セルフケアで冷え性を軽減させてくださいね。
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黒米の色に秘められたパワー
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