【医師監修】グルテンフリーを分かりやすく解説!パンや小麦を食べないダイエット方法?

更新日:2024/02/19 公開日:2018/06/08

グルテンフリーとは、小麦などに含まれるグルテンを摂取しない食事や食品のことです。もとはアレルギー症状の出る人向けの食事でしたが、最近では広く健康志向の方も取り入れるようになりました。

そんなグルテンフリーについて、分かりやすくご紹介!健康効果や、気をつけるべき食品など、明日から実践するための知識をお伝えします。

監修医師
五反田みやざき内科クリニック
院⻑ 宮崎裕子医師
医師プロフィール

日本糖尿病学会専門医、日本内科学会総合内科専門医。地域の基幹病院に在籍しながら、内分泌、甲状腺や糖尿病を始めとした様々な疾患の診断、治療に携わる。また、肥満症外来・腎臓内科・整形外科病院での内科担当など、幅広く実務を経験。2022年より五反田みやざき内科クリニック院長として、専門性を活かしながら地域に根ざした医療の提供を行っている。

グルテンフリーとは

グルテンが含まれる小麦やパン
2000年ほど前からお米を食べていた私たち日本人の食文化は、戦後から欧米化され、朝食にパンを食べる家庭が半数を占めるようになりました。

しかし、昔から小麦を大量生産・輸出してきたアメリカでは、グルテンフリーを意識して小麦商品の摂取を控えることがブームになっているのてす。

「グルテンフリー」とはグルテンを摂取しない食事方法、もしくはグルテンを含まない食品のことです。

そもそもグルテンフリーは、グルテンの入ったものを口にするとアレルギー症状の出る人たちの体質改善が目的の食事療法でした。

しかし、海外のアスリートやモデル達がグルテンフリーの食生活を実践したところ、健康になり成績が上がった、美しく痩せたと話題になったことから、グルテンにアレルギーのない人たちにも拡がりました。モデルのミランダ・カーやテニスのノバク・ジョコビッチが有名ですね。

食事療法から食事方法となり、欧米ではグルテンフリーのレストランがオープンするなど一般に定着しつつあります。

グルテンって何?

グルテンの粉
ラテン語のglue(接着)が語源のグルテン(gluten)は、「小麦」「大麦」「ライ麦」などの穀物の表皮の中にある、胚芽と胚乳の部分から生成されるタンパク質の一種です。

穀物のタンパク質の中で大半を占める「グリアジン」と「グリテニン」が水を加えることで結びつき、グルテンになります。うどんのコシや、パンやお菓子などを作るときに生地がまとまるのはグルテンの作用です。

グルテンは日本語で「麩質」と表され、乾燥したものはお味噌汁の具材、生のものは麩まんじゅうなど、私たちの身近でよく目にしていますよね。

また、食品以外でも歯磨き粉や整髪料などの増粘剤としても使用されています。

日本でグルテンフリーは定着している?

ベジタリアン、ヴィーガン、グルテンフリーなど食の志向の割合
Vegewelが2023年1月に実施した「第4回日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査」では、グルテンフリーの食生活に取り組んでいる日本人は4.3%となりました。

過去の推移を見ると、2017年2.0%→2019年3.8%→2021年3.8%→2023年4.5%となり、5年余りで倍増しています。

増加傾向にあるとはいえ、日本においてはグルテンフリーに取り組む人はまだ一部です。しかし、市販商品の中には米粉や大豆粉など非小麦系の商品も増えてきており、グルテンフリーの食生活が徐々に浸透してきているのも感じます。

なお、上記のグルテンフリー人口の結果を含む調査の詳細は下記からご覧いただけます。
https://vegewel.com/ja/style/statistics3

グルテンフリーの効果

グルテンを含まない、グルテンフリーの食事に切り替えたところ、腹痛、便秘、下痢、頭痛、不眠、めまい、生理痛、生理不順、疲労感、肌荒れなどが改善されたという声があります。

体質が変わり体重が減少するなど、ダイエット効果があったという人も。

しかし、そもそもグルテンにアレルギーがない人に対して、グルテンフリーの食生活が健康に与える影響は、まだ医学的には証明されていないようです。

グルテンフリーではない食品

小麦が使われているパン
グルテンフリーと聞くと、「パンを食べないでおこう」と考える人が多いのではないでしょうか?しかし、パン以外にもグルテンを含む穀物は多くの食品に使われています。

一例として、

  • パン
  • パスタ
  • うどん
  • ラーメン
  • 餃子、ワンタン、中華まんの皮
  • お好み焼き、たこ焼き
  • ピザ
  • 揚げ物の衣
  • シリアル
  • カレーやシチューのルー
  • ケーキなどお菓子類
  • 麦焼酎、ビール、発泡酒

上記以外にも、グルテンフリーを実践する上で注意が必要な食材があります。

  • 十割蕎麦以外の蕎麦
  • 麦味噌、あわせ味噌
  • 醸造酢

他にも様々なものに使われている場合があるので、アレルギーの方は常に原材料をチェックしてください。

なお、醤油については、厚生労働科学研究班の「食物アレルギーの栄養指導の手引き2011」で以下のように記載されています。

「醤油の原材料に利用される小麦は、醤油を作る過程で小麦のタンパク質が完全に分解され、完成した醤油には残存していない。このため、原材料に小麦の表示があっても、醤油を除去する必要は基本的にない。」

それでも気になる方は、たまり醤油などの原材料に小麦を使用していないタイプを選ぶと、安心してグルテンフリーの食事ができますね。

もしかしたらグルテンアレルギーかも?

食事をする子供
グルテンアレルギーの症状は多岐にわたるため、実はアレルギーを持っている人でも自覚がないことが多いようです。

「グルテンを含む食品を食べると体調が悪い」といった場合はもちろんですが、「不定期に体調不良になる」「最近不調が多い」という方は2週間グルテンフリーの食事を試してみることで不快な症状が改善されるかもしれません。

また、グルテンアレルギーだけでなく、一般的なアレルギー(花粉症やアトピー性皮膚炎なども含む疾患としてのアレルギー)は腸内フローラと関連があるとされています。腸内細菌が食物繊維から作る酪酸(短鎖脂肪酸の1つ)がアレルギーを抑えるタイプのT細胞を増加させることから、アレルギー改善には食物繊維を豊富に摂取することが重要とされています。

「食べられない」ではなく、グルテンフリーに置き換える!

米粉で作ったクッキー
最近では小麦の代わりに米粉を使用したパスタやパンなど、グルテンフリーをうたう代替商品も増えてきました。

また、代替商品ではなく、身近なもので置き換えることも可能です。

例えば、ラーメン・焼きそば・パスタなどは、フォー・ビーフン・しらたきへ。朝食には米粉パンやお餅を焼いてみたり、おやつには和菓子、お煎餅、ゼリーなど。

ぜひ皆さんも色々なグルテンフリー食材を試してみてくださいね。

グルテンフリーの生活は、今まで糖質過多な生活を送っていた方にとって、食バランスを向上させる手段になる可能性があります。

ただし、グルテン摂取量を減らすことが、長期的な健康に利益をもたらすとするエビデンスは得られていません。グルテンを含む穀物には、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの微量栄養素が多く含まれています。

ですから、グルテン不耐症でない方が、医師の指導なしにタイトな制限をすると、本来必要な栄養素が不足するおそれがあります。

ご自身の体調に合わせて、食事法のひとつとして、楽しみながら試してみると良いでしょう。

監修医師
五反田みやざき内科クリニック
院⻑ 宮崎裕子医師

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Vegewel編集部

Vegewel編集部

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