食物繊維が多い食べ物とは?効果とおすすめの摂取方法を紹介

更新日:2024/07/03 公開日:2024/07/01

便秘の改善やダイエットに役立つなど、健康や美容へのメリットが多いことで知られている「食物繊維」。

では、食物繊維とは具体的にどのようなもので、どんな食べ物にどのくらい含まれているのでしょうか?

この記事では、期待できる効果や摂取量の目安といった食物繊維の基本情報をはじめ、食物繊維を多く含んでいる食べ物と、それらを食生活に上手に取り入れる方法のほか、食物繊維のサプリメントについても解説します。

食物繊維とは?

食物繊維は穀物(穀類)、野菜、いも類、果物などの植物性食品に豊富に含まれている物質です。

他の栄養素と違って人の消化酵素では分解できず、小腸で消化や吸収もされません。そのまま大腸に届いて、整腸作用や生活習慣病の予防・改善など、身体に良い働きをすることから、”第6の栄養素”と呼ばれることもあります。

そのような食物繊維には多くの種類がありますが、水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」のふたつに分けられ、それぞれ異なる特性を持っています。

そして、「不溶性」「水溶性」を問わず、現在、日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にあるため積極的な摂取が必要で、特に不足しがちなのは水溶性の食物繊維です。

不溶性食物繊維

野菜や穀物(穀類)、豆類などに含まれ、セルロース・ヘミセルロース・リグニン・キチンなどが代表的なものです。

胃や腸で水分を吸収して膨らみ、腸内を刺激して便通を促進し、大腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌などが増えて腸内の環境を整えるほか、有害物質を吸着して便とともに排出して大腸がんのリスクを減らします。

水溶性食物繊維

海藻や果物、根菜類などに含まれ、ペクチン・グルコマンナン・アルギン酸などが代表的なものです。

整腸効果のほか、胃腸の内部をゆるやかに移動して満腹感を持続させ、食べ過ぎを防ぎます。

また、糖質の吸収をおだやかにして食後の急速な血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールを吸着して体外に排出する働きも持つ食物繊維です。

一日の適正摂取量は?

生活習慣病を予防するため、成人は一日24g以上、可能であれば食事1,000kcalあたり14g以上の食物繊維を摂取することが望ましいとされています。

また『日本人の食事摂取基準』では、18〜64歳の男性なら一日21g以上、女性は一日18g以上が目標とすべき摂取量です。

食物繊維が多い食材

穀物(穀類)

食物繊維が豊富な穀物(100gあたり)は次の通りです。

食材名 食物繊維量
ライ麦粉 12.9g
オートミール 9.4g
ポップコーン 9.3g
大麦(押麦)/乾燥 7.9g
赤米(水稲穀粒) 6.5g
即席中華めん/油で揚げていないもの/乾燥 6.5g
キヌア 6.2g
ライ麦パン 5.6g
全粒粉パン 4.5g
干しそば 3.7g

一般的に穀物の食物繊維は「不溶性」が主体ですが、大麦や全粒小麦には水溶性食物繊維も豊富です。また、穀物の食物繊維は野菜のものより糖尿病予防効果に優れているとされています。なお、麺類の汁は一般的に食塩を多く含むため、塩分の摂り過ぎには気をつけてください。

野菜

食物繊維が豊富な野菜(100gあたり)は次の通りです。

食材名 食物繊維量
唐辛子(果実)/乾燥 46.4g
ドライトマト 21.7g
切り干し大根/乾燥 21.3g
らっきょう/生 20.7g
グリーンピース/冷凍/茹で 10.3g
おろし生姜(皮なし)/生 7.4g
しそ(葉)/生 7.3g
パセリ(葉)/生 6.8g
にんにく/生 6.2g
スイートコーン/冷凍/茹で 6.2g
ごぼう/茹で 6.1g
モロヘイヤ/生 5.9g
芽キャベツ/生 5.5g
ブロッコリー/生 5.1g
大根おろし(皮なし)/生 5.1g
オクラ/生 5.0g
枝豆/生 5.0g
西洋かぼちゃ/生 3.5g
ゆでたけのこ 3.3g
水菜/生 3.0g

野菜類は不溶性食物繊維に加えてビタミン・ミネラルの優秀な供給源であり、皮ごとなら栄養価がさらに高まります。ちなみに、不溶性と水溶性、両方の食物繊維がバランスよく含まれているのはゴボウやオクラです。なお、不溶性食物繊維には便秘悪化の恐れがあります。

いも類

食物繊維が豊富ないも類(100gあたり)は次の通りです。

食材名 食物繊維量
こんにゃく/精粉 79.9g
凍みこんにゃく/乾燥 71.3g
凍みこんにゃく/ゆで 15.5g
じゃがいも/皮付き/生 9.8g
じゃがいも/皮なし/生 8.9g
さといも/冷凍 8.7g
乾燥マッシュポテト 6.6g
さつまいも/皮なし/焼き 4.5g
フライドポテト/皮付き(生を揚げたもの) 4.3g
じゃがいも/皮付き/電子レンジ調理 3.9g
フライドポテト/皮なし(生を揚げたもの) 3.9g

いも類には不溶性食物繊維が多く、ビタミンCやカリウムなども豊富に含みます。さといもは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のバランスがよく、こんにゃくは低カロリーでダイエットにおすすめ。なお、血糖値をあげる炭水化物が多いジャガイモやサツマイモは過食に注意しましょう。

果物

食物繊維が豊富な果物(100gあたり)は次の通りです。

食材名 食物繊維量
ブルーベリー/乾燥 17.6g
干し柿 14.0g
ドライいちじく 10.7g
ドライあんず 9.8g
ドライプルーン 7.1g
ドライバナナ 7.0g
ドライマンゴー 6.4g
アボカド/生 5.6g
干しブドウ 4.1g
ブルーベリー/生 3.3g

果物の多くは不溶性と水溶性両方の食物繊維をバランスよく含んでいて、調理不要の手軽さが魅力です。なお、生の果物をジュースにすると食物繊維が減る一方で、糖質は増えてしまいます。そして、それらの糖質の中では、特に、肥満などを引き起こす「果糖」に注意が必要です。

きのこ類

食物繊維が豊富なきのこ類(100gあたり)は次の通りです。

食材名 食物繊維量
きくらげ/乾燥 57.4g
干ししいたけ 46.7g
まつたけ/生 4.7g
生しいたけ(菌床栽培) 4.6g
えのきたけ/生 3.9g
ぶなしめじ/生 3.5g
まいたけ/生 3.5g
エリンギ/生 3.4g
なめこ(株採り)/生 3.4g
マッシュルーム/生 2.0g
本しめじ/生 1.9g

きのこ類の食物繊維は全般的に不溶性が多めです。また野菜同様にビタミンやミネラルも豊富に含み、乾燥させると生よりも栄養価やうま味がアップするのが特徴です。低カロリーで腹持ちが良いきのこ類は、ダイエット時の食事に意識的に取り入れるとよいでしょう。

豆類

食物繊維が豊富な豆類(100gあたり)は次の通りです。

食材名 食物繊維量
いんげんまめ(全粒)/乾燥 19.6g
ささげ(全粒)/乾燥 18.4g
きなこ(黄大豆、全粒) 18.1g
大豆(国産、全粒)/乾燥 17.9g
えんどう(青えんどう、全粒)

/乾燥

17.4g
レンズまめ(全粒)/乾燥 16.7g
ひよこまめ(全粒)/乾燥 16.3g
あずき(全粒)/乾燥 15.3g

豆類には不溶性食物繊維が豊富で、タンパク質や糖質、ビタミン、ミネラルなども含まれています。食事に取り入れやすい大豆製品のうち、きなこやおから、納豆には食物繊維が多い一方、豆腐や豆乳では微量です。なお、豆類は脂質が多いため、過剰摂取は避けましょう。

海藻類

食物繊維が豊富な海藻類(100gあたり)は次の通りです。

食材名 食物繊維量
粉寒天 79.0g
干しひじき(ステンレス釜) 51.8g
刻み昆布 39.1g
焼きのり 36.0g
カットわかめ/乾燥 35.4g
青のり(素干し) 35.2g
ま昆布/乾燥(素干し) 27.1g
味付海苔 25.2g

サラダでも食べられる海藻類ですが、野菜と比べると、不溶性より水溶性の食物繊維が多いのが特徴です。ただし、一部の海藻には不溶性食物繊維が多いものもあります。また、ミネラルが豊富で、ヨウ素や鉄、カルシウムなどの成分も含まれています。なお、ヨウ素の摂り過ぎには健康リスクの可能性が指摘されており、要注意です。

種実類

食物繊維が豊富な種実類(100gあたり)は次の通りです。

食材名 食物繊維量
チアシード/乾燥 36.9g
いりごま 12.6g
アーモンド/煎り無塩 11.0g
ピスタチオ/煎り味付 9.2g
甘栗(中国栗) 8.5g
くるみ/煎り 7.5g
らっかせい(大粒種)/煎り 7.1g
カシューナッツ/フライ味付 6.7g

種実類は、たんぱく質、脂質、糖質、ビタミンやミネラルも豊富ですが、脂質の摂り過ぎには注意しましょう。なお、「チアシード」は硬い殻に包まれているため、よく噛んで食べ、乾燥したものは水分と一緒に摂取すると栄養素が消化、吸収されやすくなります。

取り入れやすい食材は?

ここまでにご紹介したさまざまな食材の食物繊維量は可食部100gあたりの数値であり、中には、1度あるいは1日の食事だと100gの摂取が難しいものもあります。そこで、現実の食生活で容易に入手でき、十分な量の食物繊維を摂取しやすい食べ物の例を以下にまとめてみました。

1、切り干し大根

2、らっきょう

3、干し柿

4、生おから

5、冷凍ゆでグリンピース

6、ドライあんず

7、オートミール

8、納豆

9、アボカド

10、ブロッコリー

効果的に摂取するコツと食材の選び方

食物繊維が多い食べ物のメリットを効果的に取り入れるための方法と、食品の選び方のポイントは次の通りです。

食事への取り入れ方

既に説明した通り、水溶性と不溶性の食物繊維では期待できる健康メリットが違います。そのため、両方の食物繊維を同時にしっかり摂れるような食材の組み合わせを選ぶことが大切です。また和食は洋食と比べて、食物繊維を摂取しやすい食事だといえます。

調理の仕方

たとえば野菜なら、生よりも煮たり、蒸したりと加熱をすれば、カサが減って多くの量を食べられ、食物繊維を効率よく摂取できます。また、ダイコンやイチジクなどの一部の食材は、生より乾燥させたものに食物繊維が多く含まれるため、ぜひ活用してみてください。

間食の選び方

間食には、食物繊維の手軽な摂取に適したドライフルーツや皮付きの生のフルーツなどが、まずおすすめです。また、食物繊維が豊富な小豆を使ってつくられた和菓子のほか、糖質・脂質の量に注意が必要なものの、アーモンド入りのチョコレートもよいでしょう。

飲み物の選び方

食物繊維が豊富な飲み物といえば、野菜が原料の「青汁」が代表的です。同じ理由から野菜ジュースやスムージーもおすすめですが、市販品にはカロリーや糖質が多いものがありますので注意してください。また、手に入りやすいココアや豆乳などもよいでしょう。

外食の選び方

外食の際は野菜たっぷりのメニューを意識的に選ぶことが大切です。そして、洋食より和食を、白米より五穀米や麦入りご飯、うどんより蕎麦を選ぶとよいでしょう。また、サラダや副菜によって野菜の摂取量を増やせる、サラダバーやバイキングの利用もおすすめします。

サプリメントから摂取

ごぼうなどに多く含まれる水溶性食物繊維「イヌリン」を含んだサプリメントは、食事で足りない食物繊維を補うのに便利な商品です。適正摂取量は特にありませんが、1日約2〜3gから始めるとよいでしょう。なお、イヌリンにはアレルギーの例がわずかにあるようです。

食物繊維を摂取する上での注意点

現代の食生活では、食物繊維の過剰摂取はほぼ起こりません。ただ、もし仮にサプリメント等で摂取し過ぎてしまうと、軟便や下痢などが起きたり、カルシウムや鉄、亜鉛などのミネラルをはじめ、他の栄養素の吸収を阻害してしまったりするリスクはあります。

ポイントを押さえて食物繊維を役立てよう!

今回は、私たちの身体に欠かすことができない“第6の栄養素“、食物繊維について詳しくご紹介しました。

さまざまな食べ物に含まれている食物繊維ですが、なかには食べ方が難しいものもあり、効果的な摂取のためには工夫も必要です。

それらのコツをしっかり押さえながらも、毎日の食事に無理なく、手軽に、また美味しく食物繊維を取り入れることで、健康的で充実した暮らしの実現に役立ててみてはいかがでしょうか?

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