ミネラル豊富でお腹にやさしいと言われるてんさい糖(甜菜糖)ってどんな砂糖?
健康ブームの中、スーパーマーケットには様々な種類の甘味料が揃っています。
砂糖の代名詞と言える上白糖、自然由来の色みのキビ糖・黒糖・てんさい糖(甜菜糖)・和三盆から、メープルシロップ・パームシュガーに人工甘味料まで、種類が豊富で何を選べばいいのか迷ったことはありませんか?
今回はマクロビ甘味料として親しまれている「てんさい糖(甜菜糖)」にスポットをあて、ミネラル豊富でお腹にやさしいと言われるてんさい糖がどのような甘味料なのかご紹介します。
目次/Contents
てんさい糖(甜菜糖)とは
てんさい糖は、甜菜(てんさい)(サトウダイコン・ビート)という大根やカブのような見た目の植物から作られる甘味料です。
身近な商品の材料や、家庭でのお菓子作りの材料などに使用されており、ミネラルやオリゴ糖が含まれているなどの健康効果から注目されています。
マクロビオティックでは、暑いところで育った物は身体を冷やしやすく、寒いところで育った物は身体を温めやすいと考えられています。
寒さに強い甜菜は寒冷地で栽培されるため、熱帯で栽培されるサトウキビから作られる砂糖に比べ、甜菜で作られるてんさい糖は身体を温める作用があると考えられています。
てんさい糖の原料
甜菜は、大根ではなくホウレン草の仲間
甜菜は、根の形が丸大根に似ていることから、サトウダイコンとも呼ばれますが、ホウレン草と同じヒユ科の植物。
直径10~15cm、長さ約30cmの紡錘形で重さは500g~1kgほどに成長します。甜菜6kgから約1kgの砂糖を作ることができます。
北海道で栽培されており、3月中旬に種をまき、10〜11月頃に収穫したものが翌年の3月頃まで工場で製糖されます。
葉中で砂糖とデンプンを作って、葉脈を通して地下に伸びた根に糖分を蓄えます。その糖分から作られるのがてんさい糖です。
ちなみに大根はアブラナ科で、葉も根も食することができますが、甜菜の葉は灰汁が強く家庭で食することはできません。
てんさい糖の製造方法
- 収穫後に根と葉を切り離し製糖工場に運ぶ
- 根の部分を洗浄しスティック状にカットする
- 温水につけて糖分を抽出する
- ろ過して煮詰める
- 遠心分離器にかけて結晶と蜜分(液体)に分ける
- 蜜分からてんさい糖を、結晶から上白糖やビートグラニュー糖を作る
1で切り離した葉は家畜の飼料や堆肥や緑肥として畑の土作りに生かされ、砂糖を抽出した後の根(ビートパルプ)は、家畜の飼料として利用されます。
6で作られる「ビートグラニュー糖」は、甜菜から作られるグラニュー糖です。
グラニュー糖は上白糖よりも純度が高い砂糖で、さらさらとしてクセがないのが特徴。そのなかでも甜菜から作られるビートグラニュー糖は、さとうきびから作られるグラニュー糖に比べて甘味があっさりとしています。
「サトウキビ」と「サトウダイコン(てんさい糖)」
一般的な砂糖の原料は「サトウキビ」と「サトウダイコン(甜菜)」です。
現在、全世界の砂糖の生産はサトウキビが約60%、甜菜が約40%という割合になっています。
フランスやドイツなどのヨーロッパでは、砂糖と言えば「てんさい糖」というくらいポピュラーなものです。
てんさい糖のメリット(上白糖と比べた場合)
- 身体を温める効果がある
- 未精製なものは、ミネラルなどの栄養が残っている
- 腸内環境を整える天然のオリゴ糖が含まれている
- 血糖値の上昇が緩やか(てんさい糖のGI値65に対して上白糖はGI値109)
糖蜜を乾燥させて作るてんさい糖には腸内環境を整えるオリゴ糖が含まれるため、お腹にやさしいと言われます。
オリゴ糖の甘味は薄いため、てんさい糖がさっぱりとした甘さと表現されるのはこのためです。
白い砂糖(上白糖やグラニュー糖など)と茶色い砂糖(てんさい糖・黒砂糖など)の違い
白色の砂糖は、原料から不純物やミネラルなどを取り除いたもので、99%が炭水化物になります。
上白糖やグラニュー糖の主成分である「ショ糖」は光の反射で白く見えていますが、無色透明の結晶です。
茶色の砂糖は、蜜を含んだまま高温で乾燥させた天然の色で、カリウム・カルシウム・リンなどの自然のミネラル分を残した状態になります。
てんさい糖・黒砂糖・きび砂糖などがこれにあたります。
甜菜から作られる結晶(ショ糖)とは
グラニュー糖は、細かい粒状に結晶させた精製糖の一種で、英語のgranulated(粒状)が訛って付いた名称です。
結晶から作られる「甜菜(てんさい)グラニュー糖(ビートグラニュー糖)」は、砂糖の主成分のショ糖が99.9%と高純度で、ミネラル分は残っていません。そして、サトウキビから作ったグラニュー糖と化学式は同じになります。
ショ糖とは、ブドウ糖と果糖が合体した結晶の事で、結晶を大きくしたものが氷砂糖です。
てんさい糖は身体に悪い?てんさい糖のデメリットも知っておこう
てんさい糖が身体に悪いという話を聞いたことがある方もいるかもしれません。その真偽を確認していきましょう。
てんさい糖にはボツリヌス菌が含まれている?
てんさい糖にボツリヌス菌が含まれているのではないかという話も出回っているようです。
ボツリヌス菌とは、海、湖、川などの土壌に分布している菌で、食品中でボツリヌス菌が増えたときに産生されたボツリヌス毒素を摂取してしまうと、ボツリヌス食中毒や乳児ボツリヌス症等を発症する恐れがあります。
乳児に蜂蜜を食べさせてはいけないということをご存じの方は多いと思いますが、これは蜂蜜にボツリヌス菌の生存リスクが確認されているためで、厚生労働省から通達が出されています。
しかし、てんさい糖についてはそのような通達が出されておらず、過去にてんさい糖を原因とするボツリヌス症の発症事例も確認されていません。
てんさい糖を摂ると糖尿病になりやすい?
また、てんさい糖の摂取により糖尿病になりやすいと言われることがありますが、信憑性はなく、公的機関からもそのような情報は公表されていません。
ただし、どの甘味料も摂りすぎは身体に有害です。てんさい糖であっても、過剰摂取すれば糖尿病や肥満などの原因になるので、食事の栄養バランスを考えて適量を摂取するようにしましょう。
自分に合った選択を!
白砂糖や人工甘味料などを含む糖類は、加工食品や飲料の中に含まれ、知らず知らずのうちに過剰に摂取して健康を阻害している場合があります。
健康のためにと「カロリーオフ」や「カロリーゼロ」の商品に安易に手を伸ばしていたりしていませんか?
リスクはないか?自分に必要なものか?
「私たちの身体は食べたものでできています。」
そして、その判断は個人に委ねられているのです。
てんさい糖に限らず、普段口にしているものの産地や製造方法にも目を向け、使い方や選択に無自覚にならずにいたいものですね。
合わせて読みたい!甘味料についての記事はこちら
Vegewelでレストラン検索
Vegewelは、ベジタリアン・オーガニック・グルテンフリーなど、あなたの食のライフスタイルに合わせてレストランを検索できるWebサイトです。
食の制限に関係なく、みんなで楽しく食事を囲める環境を日本に創るために、サービスを運営しています。
日本語と英語に対応、ヘルシーなレストランが1000店以上掲載されていますので、ぜひご利用ください!
cotta tomorrow(コッタ トゥモロー)
プラントベース・グルテンフリー・オーガニック食材のオンラインショップ。
厳選食材、おすすめレシピ、専門情報などcotta tomorrowなら全てが揃います!