【旬の食材シリーズ:冬】昔はシワシワ今はツヤツヤ!お正月の定番といえば丹波黒豆(兵庫)

更新日:2019/02/01 公開日:2017/01/22

丹波黒豆は、兵庫県の丹波篠山地区が発祥の黒豆です。「丹波黒」「丹波黒大豆」などの名称もあります。

同じ丹波黒豆という名前では、京都の丹波で作られているものもあり、こちらも有名です。どちらの黒豆も品質はとても良いものですが、丹波黒豆の発祥の地としては、丹波篠山地区の説が有力なようです。

丹波黒豆の特徴


丹波篠山地区は盆地で気温の寒暖差が激しく、土は粘土質で栄養分が豊富です。このような独特な気候や土壌を利用し、この地区では丹波黒豆以外にも栗や山の芋など様々な農作物が育てられています。

丹波黒豆は、この肥沃な土地の恩恵を受け、粒がとても大きいのが特徴です。また、その形は綺麗な丸形でつやがあり、黒豆の中でも最上級の品質と言われています。

表面には「ろう粉」と言われる白い粉がついていますが、これは黒豆を新鮮に保ってくれる大切なもの。鮮度の良いぶどうなどにも良くついていますね。ろう粉がついているのは良い品質の証なのです。

収穫時期は12月頭から。日本ではお正月の黒豆の煮豆に使われるため、冬の食材としての認知は高いかもしれませんね。

丹波黒豆の歴史


丹波地方の黒豆は、1685年編纂の「篠山封譚誌」という書物や、1797年の「丹波国大絵図」という書物にも記載があり、かなり古くから栽培されていたと思われます。

1918年に発行された「多紀郡誌」という書物には、1750年頃、黒大豆の原産地である現在の篠山市川北の一部において、当時の領主が栽培を推奨、その一部が幕府に献上されていた、という記録が残されています。

また、江戸時代後期から明治時代にかけ、現在の篠山市日置の豪農大庄屋である波部六兵衛たちにより、品質の良い黒大豆の種が作られ、「波部黒」と名付けられたと言われています。

昭和に入り、これら「川北黒大豆」と「波部黒大豆」の名称が「丹波黒大豆」と統一され、その後1941年に、兵庫県の奨励品種として「丹波黒」という品種名が正式に誕生しました。

お正月の定番「黒豆の煮豆」


お正月のおせち料理に必ず入っている黒豆の煮豆。日本人には非常になじみの深いものですね。

この黒豆の煮豆は、年の初めの縁起を担ぐ料理です。おせち料理の黒豆には、「くろいまめ(黒い豆)」というのにかけて、「黒く日焼けし、しわがよるまで長くまめに働く」という願いが込められています。

昔は、おせち料理の黒豆はあえてしわしわに煮ていました。これには「しわがよるまで~」という長寿の願いがこめられていたのですね。今はつやつやにしわが寄らないように煮るのが良いとされていますが、このつやつやの黒豆の煮豆は、まだまだ歴史が浅いものです。

ちなみに、黒豆の煮豆は、古い鉄くぎを入れたり鉄鍋で煮ると良いとされていますが、これは黒豆の黒さを保つため。黒豆にはアントシアニンという色素成分が含まれており、これが鉄分と結合することで鮮やかな黒色を発してくれるのです。

自宅で作る時、どうしても色がうまく出ないという方は是非試してみてくださいね。

黒豆の嬉しい効能

古くから民間療法に使われてきた黒豆。黒豆療法とも言われ、様々な効能があります。

黒豆の煮汁は風邪で喉が痛む時や、声枯れを癒してくれるため、昔から歌手に愛飲されてきました。産後数日後に飲むと子宮内をきれいにして産後回復も早いとも言われています。また煮汁で髪を洗うとツヤがでます。

他にも、黒豆と昆布を一緒に煮て醤油のみで味付けした黒豆昆布は膀胱炎に効き、婦人科系の病気予防にもなりますし、胃潰瘍には黒豆とシソの葉を煎じて飲むと効くと言われています。

丹波黒豆の美味しい食べ方

お正月の煮豆が有名な黒豆ですが、それ以外でも美味しい食べ方はたくさんあります。

さつまいもや栗、かぼちゃなどと一緒に煮ても美味しくいただけますし、お菓子だと、蒸しパンの具材としてもぴったり。黒豆の煮汁を利用すれば、豆乳プリンや豆乳ホットドリンクなど、豆乳レシピのアレンジも可能です。

また、煮た黒豆を砂糖などと混ぜてつぶしたり、フードプロセッサーにかけて「あんこ」のようにして、お餅や白玉と一緒にいただくのも美味しいですよ。

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AYA OKUDA

AYA OKUDA

フードコーディネーター
食育インストラクター
食空間コーディネーター
フードライター
食の美味しさ、楽しさ、大切さを発信すべく、地道に活動、勉強中。
得意分野は、日本の伝統行事食、食の日本史・世界史、テーブルコーディネート。
好きな分野は、カレー、ビール。