ちょっとマイナー?千枚漬け・しば漬けと並ぶ「京都の三大漬物」すぐき漬け
すぐき漬けは、京野菜の「すぐき菜」を使った漬物です。「千枚漬け」、「しば漬け」と合わせて「京都の三大漬物」と言われています。
すぐき漬けの特徴
すぐき漬けの材料は、すぐき菜と塩のみ。材料はシンプルながら、乳酸菌発酵作用による独特の酸味が特徴的な、日本でも珍しい漬物です。
材料となっている「すぐき菜」はカブの一種で、大根を短くしたような形。京都の中でも、上賀茂地区を含めた一部の地域でしか栽培されない、貴重な野菜です。煮物などでも食べられるようですが、収穫されたもののほとんどが「すぐき漬け」の材料として使われます。
すぐき漬けの製法は、大きく分けると「荒漬け」、「本漬け~天秤押し」、「室入れ」の3工程。
まず、一昼夜の「荒漬け」と、一週間程度の「本漬け」で、しっかりと塩をなじませます。「本漬け」の際は「天秤押し」という伝統的な方法で重石をかけていきます。「天秤押し」は、てこの原理を利用した方法で、通常の重石の約10倍もの圧力がかかります。
その後、水分が抜けたすぐきを「室(むろ)」と呼ばれる暖かい部屋に入れ、1週間ほど発酵させます。この乳酸菌発酵が、すぐき漬け独特の酸味を生み出すのです。
ちなみに、すぐき漬けの味は、製造場所によりはっきりと違いが出るそうです。これは、すぐき漬けに含まれる乳酸菌と、もともと室や樽に住み着いている乳酸菌が混ざり合うため。 他では決して真似することができない味なのも頷けますね。
すぐき漬けに含まれる乳酸菌「ラブレ菌」
「ラブレ菌」は、すぐき漬けから発見された植物性乳酸菌です。酸に対して強く、生きたまま腸まで届くと言われており、免疫力向上が期待できます。最近では健康食品にラブレ菌が使われることが増えてきており、豆乳ヨーグルトなどでもラブレ菌入りのものが販売されています。
ラブレ菌が豊富に含まれているすぐき漬けは、伝統食としてはもちろん、健康食としても注目を集めているのです。
すぐき漬けの歴史
すぐき漬けは、桃山時代に誕生したと言われています。
上賀茂神社の境内ですぐき菜が栽培されたのが最初と言われていますが、賀茂川に自生していたものを持ち帰った説、御所から賜ったものを植えた説など諸説あるようです。
江戸時代末期から、近隣の農家でも栽培されるようになったようですが、村の外へ持ち出すことは許されておらず、「就御書口上書」という筆録には、「すぐきはたとえ一本といえども他村を持ち出すことを禁ず」と朱書きされていたそうです。上賀茂など一部の地域ですぐき漬けの製法が守られてきたのには、このような背景があったんですね。
ちなみに、すぐき漬けは、もともと公家などの上流階級の人々への贈答品としてわずかに作られていたもの。一般に普及していくのは明治以降になります。
すぐき漬けの美味しい食べ方
すぐき漬けは、そのまま食べても美味しいのはもちろん、ご飯と一緒に食べるのもおすすめです。白いご飯に合わせたり、細かく刻んでお茶漬けやチャーハンに入れても良いですね。
また、豆腐タルタルソースを作る時にピクルスの代わりにすぐき漬けのみじん切りを使えば、いつもと違う和テイストのタルタルソースが味わえます。
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