暑い夏をスパイスで乗り切る!香辛料の効果と活用術【生姜】

更新日:2019/02/01 公開日:2017/08/11

暑い日が続いていますね。

食欲がなく、だるさを訴える人が多いこの季節。いつもの食事に香辛料を加えると不思議と食欲が湧いてくる!そんな経験ありませんか?

今月は、暑い夏をスパイスで乗り切る!香辛料の効果と活用術をお届けします。

生姜

第1回は、爽やかな辛さが魅力の「生姜」です!

気温と湿度の高い屋外と、エアコンの効いた室内との温度差が激しい現代の夏。自律神経が乱れると、体温調節システムがエラーを起こし毛細血管の調節ができなくなってしまいます。

血管が暑さによって拡大せず収縮したままだと、血液が身体の隅々まで運ばれず血行不良となり体の冷えが起こります。

ほとんどの病気や体調不良は、体の冷えと免疫力の低下が原因と言われています。エアコンの効いた室内や冷たい物の食べ過ぎ、飲み過ぎが体を冷やし、夏バテへと繋がっていきます。


そこで取り入れたいのが生姜の体を温める作用です。

生姜=冬というイメージが強いですが、汗をかかないタイプの辛味を持つ生姜は夏こそ積極的に摂取したい食材です。

生姜の旬は9月から11月ですが、赤い茎の部分が付いている新生姜は、5月下旬から8月頃の今が旬です。収穫したてのフレッシュな生姜は、柔らかく辛味がまろやかで生食が可能です。

日本では、料理の下味や薬味として欠かせない生姜ですが、海外では薬のように使用されハーブと同じように扱われています。インドの伝承医学書の中では、生姜は「偉大な薬」。中国の薬学書『本草綱目』には「生姜は百邪を防御する」と記されています。

世界各地で栽培されている生姜。その多くは食用とされますが,各地の伝統医学で薬用として広く活用されています。調味料として使われ始めたのは中世以降になってからだそうです。

生姜の種類

生姜は、根茎の部分を食用としますが、種から育てるのではなく、種生姜となる地下茎から分かれて増えていきます。そのため元々は同じ生姜なのに、収穫や出荷の時期を変えることで呼び名が変わってきます。

【老成生姜/古根生姜(ひねしょうが)・囲い生姜】
前年に収穫した根槐の部分を2ヶ月以上貯蔵し随時出荷されるもので、繊維質で食感は固く、辛みが強いのが特徴。

【新生姜】
植付けに使った古根生姜の上の部分にできた新しい根の部分。老成生姜に比べ辛味が穏やかで、収穫してすぐに出荷されるのでたっぷりと水分を含み、シャキシャキとした食感です。

【葉生姜】
新生姜が育ち始めて2〜3cmになった時に葉をつけたまま出荷される物。江戸のブランド野菜「谷中生姜」も葉生姜の一種。

お盆の時期に出荷され、谷中の寺院や神社などがお中元の贈答品としたことから名前が広く知れ渡ったと言います。

【矢生姜(芽生姜)】
葉生姜よりさらに早採りで、陽に当てずに茎を白く柔らかく育て、出荷直前にわずかに陽を当てることで、茎元が紅色を帯びます。

魚料理などに添えられる、矢生姜を酢漬けにした「はじかみ」は、最後に食べることで口の中をさっぱりとさせる口直しの役目をしています。

生姜の効果

生姜の効果は身体を温めるだけでなく、次のような沢山の効果があります。

  • 発汗作用
  • 解熱作用
  • 解毒作用
  • 殺菌作用
  • 健胃作用
  • 食欲増進
  • 血流促進
  • 消化促進
  • 咳止め
  • 嘔吐止め
  • 夜尿止め
  • むくみの改善
  • 美肌効果
  • 免疫力アップ

生姜の主な成分

【ジンゲロール】
生の生姜に多く含まれている辛味成分のひとつ。

酸化しやすく、空気に触れた約3分後には減少するので、食べる直前にすり下ろして熱を加えずに摂取します。殺菌作用、抗炎症作用に加え免疫細胞を活性化し、発汗を促すためデトックス作用に優れています。

血流を良くして熱を手先、足先に運ぶことで、結果として体の深部にある熱を奪い体を冷やすことから、夏バテの症状を改善するのに役立ちます。加熱、乾燥させるとその一部がショウガオールへと変化します。

【ショウガオール】
ジンゲロールに比べ、体を温める作用が強く、脂肪や糖質を燃焼して体温を上げます。体の深部から熱を作り出して温めるので、冷え性の改善に効果があります。

体脂肪を分解、消費するのでダイエットにも効果的です!

家庭の薬箱として

生姜は、昔から様々な家庭療法に用いられてきました。風邪の引き始めに生姜の入った葛湯を飲んだことはありませんか?生姜湯は咳や発熱などの風邪の症状に効果があると言われます。

家庭でできるお手当て法として、生姜湿布があります。

生姜湯が毛穴を開き毒素を引き出すため、デトックス効果が高く、様々な体の不調に有効的な手当て法です。血流を良くして血管や細胞組織を活性化させます。

【用意するもの】

  • 生姜150g(古根生姜)
  • お湯 3L
  • 木綿の袋または布巾 1枚
  • 厚手のゴム手袋 1組
  • 軍手 1組
  • フェイスタオル 3枚
  • バスタオルまたはブランケット 1枚
  • 大きめのビニール袋(ゴミ袋など) 1枚

【やり方】

  1. 生姜を皮ごとすり下ろし木綿の袋に入れ口を閉じます。
  2. 沸騰直前のお湯(70度くらい)に1の生姜と絞り汁を入れ5分ほど煮出します。
  3. 軍手の上にゴム手袋をはめ、フェイスタオルを1枚ずつ2に浸し、程よく水分が残る程度に絞ります。(熱いので火傷に注意)
  4. 3のタオルを1枚ずつ患部に重ねていき、その上にビニール袋、バスタオルを乗せ保温します。
  5. 1番下のタオルが冷めたら外し、また2と3を繰り返して患部の1番上に乗せ、ビニール袋とバスタオルで保温を繰り返します。
  6. 患部が赤くなったら終了です。

【注意点】

  • お湯を沸騰させず冷めないように保温する
  • 最初に患部にタオルを置く時は、火傷をしない為に一気に置かず、少し触れて離すを2、3回繰り返す
  • 患部にタオルを押し付けない
  • 患部は1箇所だけにする
  • 長くても30分くらいまで
  • 湿布の前後はお風呂に入らない

生姜を毎日の生活にプラスする!

色々な加工品にも多く使われる生姜ですが、代表的なものとして、生姜湯、生姜飴、生姜糖、生姜味噌、紅生姜、ガリ、ジンジャーティ、ジンジャーブレッド、ジンジャークッキー、ジンジャーエールなどがあります。

あれもこれもと常備するのは大変ですが、万能調味料として話題の酢生姜があるとアレンジの幅が広がり便利です。

生姜の様々な効果に加え、酢のクエン酸やアミノ酸には血液中の中性脂肪やコレステロールを抑える効果があり、血液をサラサラにします。

また、腸内の善玉菌を増やして活性化させる為、便秘やダイエット効果が期待できます。

【材料】

  • 生姜 100g
  • 酢 100cc
  • はちみつ 20g

【作り方】
生姜を皮ごとをみじん切りにして、あらかじめ煮沸しておいた保存用のビンの中に入れ、酢とはちみつも加えて混ぜ、蓋をして冷蔵庫で1日漬けたら完成!

皮の近くに健康成分が多く含まれているので皮ごと使います。保存の目安は冷蔵庫で約1週間。

お酢はビタミンやミネラルが豊富な黒酢をチョイスすれば、さらなる代謝アップが期待できます。

【食べる量の目安】
1日の酢生姜の食べる量の目安は、30g(大さじ山盛り1杯分)です。体調によって、生姜の辛みと酢の酸味が刺激となり胃の粘膜を傷つける恐れがあるので、美味しすぎても食べ過ぎには注意が必要です。

食べると体がポカポカしますが持続効果は短いので、代謝アップの相乗効果を期待して、食事に加えたりお風呂に入る前に飲み物に加えたりするのがオススメです!

酢生姜のつけ汁で簡単アレンジ

【混ぜるだけ!ビーガンマヨネーズ】

  • つけ汁 30g
  • 豆腐 30g
  • 塩 ひとつまみ

フードプロセッサーなどで混ぜるだけ!胡椒やマスタード(10g)を入れると大人の味に、白味噌(10g)を加えるとコクがアップします。

【混ぜるだけ!ジンジャーエール】

  • つけ汁 15cc
  • ハチミツ 15cc

つけ汁とハチミツを1:1の割合で入れ、熱湯または冷水を注ぎ混ぜるだけ!お好みでレモンをギュッと絞っても美味しいです。ハチミツはビタミンやミネラルが豊富で、糖分の吸収が良い食品です。

そして、強力な疲労回復力を持っているので夏バテ解消にぴったり! 冷水の代わりに炭酸水を使えばミネラルがさらにUPします。

生姜は、季節や体の症状によって使い分けることで私たちの身体を優しくサポートしてくれる食材です。

夏バテを感じている人は「生の生姜」のパワーを毎日の食卓に加えてみてはいかがですか?

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kiki

kiki

静岡生まれ
元ソロバックパッカー。行きあたりばったりで30ヶ国以上を現地の人のように旅をし、多くの人生経験を積む。野菜全般を口にしない超偏食から食べられることの有り難さを旅を通して学び好き嫌いのない人生へ好転する。鼻を頼りに美味しい物を探すのが得意。
海より山、肉より野菜、撮られるより撮るのが好き。

子どもの頃の夢だった〈幼稚園の先生〉を調理師として〈幼稚園の‘給食’の先生〉となり叶え、大好きな子どもたちの成長を間近で見守っている。
安全・安心はもとより、誰でも楽しく食べられるバリアフリーな給食の提供が目標。
ヨガインストラクター・ライター
夫と子どもの3人暮らし