しあわせこよみごはん 〜海藻・漂う水のエネルギー/昆布はすごい!〜
「お寒うございます」、とつい言ってしまうくらい、寒さが身に応えますね。
二十四節気の小寒から大寒(1月7日から2月3日ごろ)の期間を「寒」と呼び、この時期に仕込む味噌は寒仕込み・武道の鍛錬は寒稽古、寒中見舞いを交わしおたがいを気遣い合う、、と日本では昔から寒さの中に特別な意味を見出して過ごしてきました。
寒が明けるとやってくるのは春(2月4日の立春)。春を朝と例えるならば、今の時期は
すべてのものが寝静まる真夜中
といった感じでしょうか。また陰陽五行の中でいうと「水」にあてはまり、
浮遊・漂うエネルギー
を持っています。
この時期に積極的に摂りたい食材は、
- 黒い色のもの
- 小さくてかたいもの
- 寒い地方でとれるもの
- 長い時間をかけて作られるもの
具体的な食材でいうと、
- 根菜類、そば(そばの実)
- 黒豆、小豆、
- 昆布、海藻類
- 高野豆腐や切り干し大根などの乾物類
- 漬物
など。
今回はその中で海藻、特に昆布についてご紹介します。
寒い地方の海中でゆらゆらと漂っている、黒くて厚い昆布は水のエネルギーをたっぷり含んでいます。
身近な食材ですが、出汁以外にあまり活用していない方も多いのでは?
改めて調べてみたら、冬に起こりがちな不調を解決してくれる素晴らしい食材です。
他の食材とのコラボも得意。出汁だけじゃない、他にもまだまだ活用方法あります!
目次/Contents
昆布の効能いろいろ
最初に、昆布の栄養面を見てみましょう。
まず、昆布はアルカリ性食品であり、砂糖や肉、加工食品などで酸性に傾きがちな現代人にとって、有難い食材と言えるでしょう。
また、昆布はミネラルが豊富、というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
事実、カルシウムやカリウム、ナトリウムなど人体に必要な必須ミネラル16種類中15種類を含んでいるほか、鉄や亜鉛、ヨウ素などの微量ミネラルも含んでいます。
カルシウムは骨を強くする働きがあるので成長期の子供、出産や授乳でカルシウムを多く消費する妊婦やママにとっても積極的に摂りたい栄養素です。昆布には牛乳やヨーグルトの約7倍のカルシウムが含まれています。
ヨウ素は、放射能対策で注目を集めましたが、体の新陳代謝を促す働きもあります。
昆布はカリウムを多く含んでいます。カリウムには、摂りすぎると血圧を上げるナトリウムを体外に排出する働きがあることから、血圧を下げるといわれています。
昆布出汁の旨味はグルタミン酸ナトリウムという成分で、この旨味成分は塩味が薄くても味覚に満足感を与えます。
筆者も以前、無塩食をした際に出汁の旨味のおかげで塩を加えない料理も美味しくいただけました。
そして忘れてはならないのが、食物繊維。
昆布をはじめとする海藻類には水溶性食物繊維が含まれていますが、この水溶性食物繊維は腸内細菌のエサとなり、腸内フローラの活性化にとても役立っています。
大妻女子大学の青江誠一郎教授の研究結果によると、心血管疾患・メタボリックシンドローム・糖尿病患者にそれぞれ一定量の海藻類数種を摂取させたところ、血糖値低下・中性脂肪低下・体重減少などの効果が出ています。
(注意点として、一度にたくさん摂取するのではなく、毎日コツコツ摂ること・全粒穀物と一緒に摂ることを提唱されています)
特に、出汁を引いた後やおでんに入っている柔らかく煮た昆布には食物繊維が豊富で、なんと昆布100g中30gも入っています。
しかも青江教授によると、海藻に含まれる食物繊維を消化できるのは、昔から海藻を食べてきた日本人だけだそうです!
出汁がら昆布、捨ててはもったいないですね。
出汁がら昆布の活用法
出汁がら昆布は水分を含んでいて腐敗しやすいので、すぐに使わないときはそのままジッパー付き袋に入れて冷凍してしまうのがおすすめ。
ある程度量がたまったら佃煮にしてみてはいかがでしょう。
<出汁がら昆布と人参の佃煮>
昆布だけの佃煮も良いですが、冷蔵庫にあるものを加えるだけで一品料理に。
昆布・人参・醤油が持つ陽性さが、生姜を加えることによって体の中に巡りやすくなります。
しっかりした味付けにすれば、お弁当のおかずにもおすすめです。
【材料(作りやすい分量)】
- 出汁がら昆布(細切り) 100g ※冷凍の場合、少し室温に置いておくと解凍される
- 人参(細切り) 100g
- 醤油 大さじ1と1/2~2
- 生姜絞り汁 小さじ2
【作り方】
① 昆布を鍋に入れ、醤油の約半量をからめてから火をつける。
② 醤油の水分が無くなったら人参を入れ、人参が少ししんなりしたらひたひたの水(分量外)を入れ、蓋をして 弱火で昆布が柔らかくなるまで煮る(15分ほど)。
③ 蓋を開け、残りの醤油を回し入れ、水分が無くなるまで煮る。蓋をしてじっくり火を通すことによって人参の甘みが出て、水分を煮切ると綺麗なつやが出る。
④ 仕上げに生姜の絞り汁を加え、ひと混ぜして火を止める。
好みでいりごま(分量外)をかけても美味しい。
<お味噌汁や煮物の具に>
汁物や煮物のために引いた出汁の昆布は、刻んで鍋に入れてそのまま具として食べてしまいます。
朝食に発酵食品の味噌と食物繊維たっぷりの出汁がら昆布が入ったお味噌汁をいただけば、腸活・ダイエットに理想的な一日のスタートが切れそうですね。
<オーブンで焼いてスナックに>
ひと口大にカットして180℃のオーブンで15分~カリッとするぐらいに焼きます。
マクロビオティックから見た昆布の活用法はまだまだあります。
<豆を煮るときに入れて>
里で採れる豆と海で採れる海藻は、お互いを補い合う相性の良い食品です。タンパク質や脂肪が豊富な豆とミネラルが豊富な海藻を組み合わせて料理をすると栄養バランスもよくなります。
なので豆を煮るときに、切手サイズに切った昆布を入れてみましょう。早く柔らかくなり、消化をよくします。
<足をくじいたときや関節が痛むときの湿布として>
水で戻した昆布を2枚重ねて患部に直接貼ります。炎症という陰性の症状を昆布の陽性さが鎮めます。
おすすめレシピ~野菜の昆布締め~
立春を迎え、暦の上では冬から春に。冬野菜の根菜類やキャベツと、春を感じる菜の花を合わせて昆布締めにしてみました。ロール仕立てで切り口も色鮮やかな一品で、食卓に春がやってくる華やぎを演出。
【材料(太巻き用巻きす1本分)】
- 昆布(巻きすの幅の長さ) 2枚
- 大根(1㎝角のスティック) 巻きすの幅の2倍の長さ分
- 人参(1㎝角のスティック) 巻きすの幅の長さ分
- 赤かぶ(1㎝角のスティック)巻きすの幅の長さ分
- キャベツ 大4枚くらい
- 椎茸 4本
- 菜の花 一束
- 酢 少々
- 塩 適量
- 太巻き用巻きす 1本
野菜スティック1本の長さは自由。合わせて必要分の長さがあればよいです。
【作り方】
① 菜の花以外の野菜はあらかじめカットし、それぞれ別々に塩を入れた熱湯でさっと湯がいて冷ましておく。茎キャベツの芯は薄く削ぐ。昆布は、乾いた布に酢を付けたもので2枚とも拭いて軽く湿らせる。
② ラップの上に昆布を敷き、椎茸をランダムに並べる。塩を振る。
③ その上に、キャベツをまんべんなく2枚重ねに敷く。塩を振る。キャベツの上に、・菜の花・大根・人参・菜の花・大根・赤かぶ・菜の花と交互に並べる。塩を振る。
④ もう1枚の昆布を上からかぶせ、ラップをして1キロぐらいの重石をする。まな板や大きなバットの上に500mlのペットボトルを2本寝かせて置くのが簡単です。そのまま3,4時間~一晩置く。野菜に適度な塩分と昆布の旨味が移ったら重石を外す。
⑤ 2枚重ねにしたキャベツの下の方だけ残してめくり、キャベツの下に置いた椎茸をキャベツの上にまっすぐに2列並べる。下の昆布とラップを外す。めくった野菜を静かに戻す。上の昆布とラップを外す。
⑥ 巻きすできつめに巻き、5分程度おく。
⑦ 巻きすを外し、8から10等分にカットする。
~摂取の注意点~
先に記した通り、栄養面でもマクロビオティックの陰陽の観点からも優れた食材である昆布。
ですが、食べ過ぎると身体が締まりすぎて甘いものが欲しくなってしまいます。
心臓疾患、脳障害などにも効果がありますが、食べ過ぎると逆効果になります。
この場合、病気のお手当食として適切に料理されたものをほんの少しずついただくのが大前提です。
健康な人でも、海藻類の摂取量の目安は食事量全体の5%程度に留めましょう。
最後に、とってもかんたんな冬のおやつをご紹介。
~旬のみかんのホットジュース~
作り方はとても簡単。
みかんジュース、または生のみかんを絞って塩をほんのひとつまみ加えて温めます。
温めたことと塩を加えたことで、酸味がやわらぎより甘さを感じるようになります。
フルーツは体を冷やしてしまうので摂りすぎはお勧めできませんが、冷たくして飲むことが多いジュースを温めてみたら、「ホッと」する美味しさに「オッ」と驚くかも?
会員制コミュニティ「Vegewel Club」では、「黒豆と野菜の磯辺かき揚げ」をご紹介します。
今回おすすめした昆布と同じ海藻のあおさ(青のり)と、今の時期に摂りたい黒い食材の黒豆の組み合わせ。豆をたっぷり入れたレシピなのでメインのおかずになる一品です。
サクサクした野菜とホクホクしたお豆の食感の違いも楽しいです。
【大好評のベジレシピ一覧はこちら】
https://vegewel.com/ja/style/categories/recipe
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