土用の時期:胃の不調、逆流性食道炎について〜しあわせこよみごはん〜

栗や松茸・新米・薩摩芋・新蕎麦など、美味しい食べ物が巷にあふれる実りの秋がやってきました。ついつい食べ過ぎてしまい、翌朝、胃が重たいと感じることもあるのではないでしょうか。

また、ここ最近では朝晩の冷え込みも日々強くなり、体調を崩す方も多くいらっしゃいます。

季節の変わり目である土用の時期には、あらゆるものが腐敗しやすいと古来よりいわれています。そして体温調節などにエネルギーを消費するため、内臓の働きも低下しやすく消化力が弱まってしまうことも考えられます。

美味しいものを沢山いただくのは楽しみでもありますが、体内が腐敗しやすい状態で消化力も低下すると、胃腸への負担はさらに大きくなりますよね。

そこで今回は、食べたものが最も先にたどり着く「胃」に焦点を当ててみたいと思います。

「胃」の不調のサインを見逃さない


胃の不調は、食欲がない、胃がキリキリと痛む、胃が重くムカムカするなどの症状だけではなく、身体の別の部分からサインが発せられていることがあります。

上唇が荒れている
胃の疲れがあらわれた症状。動物性食品や塩気の強いものを摂り過ぎて胃酸過多になっているか、もしくは甘いものやフルーツ、お酒や添加物の多い加工食品などが多く、胃の働きが鈍くなっています。

爪に縦線が出る
甘いものや冷たいもの・フルーツ・お酒・水分などを多く取りすぎてしまうと、胃や消化器官が疲れて爪に縦線が出てきます。上記のような、体を冷やす陰性のものを好んで摂取した暑い夏の終わりは要注意です。

足の人差し指が長い
足の人差し指が長い人は元々胃が弱いといわれています。アトピーの人にも多いそうです。

他にも、口角が切れやすく荒れていたり、口内炎ができるなどの症状は、食べ過ぎが原因であるとよく言われます。

これも身体が「胃」や他の内臓を休ませるために、食べると痛みを感じる症状を出して食べ過ぎの状態を防ごうとしているのです。

基本的な「胃」の働きとは

食べたものを一旦蓄えるため、空腹時に萎んでいた胃は拡張します。その大きさは大人で1.5〜2Lのサイズになるそうです。

食べ物が入ると胃の入口である噴門が閉じて、胃液である胃酸や消化酵素が分泌、蠕動運動によって食べ物が消化され、少しずつ十二指腸に送られていきます。

また、同時に、胃粘膜が胃粘液を分泌して全体を覆うことで、強力な胃酸から胃を保護し、食物の移動をスムーズに行うサポートもしているのです。

さらに、胃には食べ物と一緒に入ってくる病原菌を殺菌するという大切な働きもあります。

胃酸と胃粘液のバランスが崩れたり、何らかの不調で噴門が上手く閉じない場合、胃潰瘍や胃炎、逆流性食道炎などの症状を引き起こす原因となります。

陰陽で考える「胃」の不調とお手当てドリンク


すべての人はそれぞれ陰性さと陽性さを兼ね備えておりますが、ご自身がどちらに偏っているか簡単に判断する基準となればと思い、下記のように記載しております。胃の不調を解消する参考にしてみてくださいね。

陽性タイプ
肉や魚、卵などの動物性食品を好んでよく食される方、味付けがしっかりしたものが多い方は、陽性の胃の不調かもしれません。

胃酸の分泌が刺激されて胃酸過多の状態となり、粘膜を保護するための胃粘膜が充分でなく、胃壁がただれてしまうことがあります。

こうした症状には、しっかり煮出した熱々の三年番茶200cc(番茶に含まれるアルカリ成分が有効)に、醤油小さじ1〜大さじ1程度を入れて飲んでみてください。

また食べ過ぎで胃がもたれている場合には、大根おろしやおろしりんごもオススメです。

陰性タイプ
甘いものや果物・お酒・アイスクリーム・添加物の多い加工品を多食している方は、陰性の胃の不調と考えられます。

実は胃の働きと自律神経は深く関わっています。こうした陰性のものを沢山食べると、交感神経が刺激され胃粘液の分泌が激減し、胃がもたれ働きが鈍くなってしまいます。

こちらのタイプの方には、梅醤番茶がオススメです。湯飲み茶碗などに梅干しを1つ(中サイズ)入れて箸などで梅肉をよく潰したら、醤油小さじ1〜2と生姜汁2〜3滴を入れ、熱々の三年番茶を150〜200cc注ぎ入れます。

(注意)両方当てはまる方は、今回に限らず、必ず最初に陰性タイプのお手当てドリンクを試して様子をみてください。その後、症状が改善しなければ、時間をおいてから陽性タイプのお手当てを試すようにしてください。

「胃」の働きを整えるために


① 咀嚼の回数を増やす
最近の若い方は、咀嚼の回数がとても少ないといわれています。昔の人は液体である飲み物までよく噛んで、飲み込んでいました。

実は、噛む事で唾液が分泌されて、アミラーゼなどの消化酵素が働き、でんぷん質がマルトース(麦芽糖)へと分解されます。

たんぱく質の分解酵素は唾液には含まれていませんが、よく咀嚼することで食べ物が細かく液体状となり、胃への負担も大きく軽減されます。

また、咀嚼は脳へ刺激を送り、胃酸や胃粘液の分泌をあらかじめ促す効果もあります。

胃がもたれるとお粥のような柔らかいものを食べられる方が多いのですが、しっかりと炊いたご飯を100回噛んで柔らかくしたものを食べる方が、胃への負担は少ないといわれています。それほど咀嚼の力は大きいのです。

まず初めのひと口だけでも良いので、親指の先ほどの量のご飯を口に入れて、50回ほど噛んでみましょう。もし玄米でしたら、ぜひ100回以上噛んでみてください。

驚くほど唾液がたくさん出て、お米が次第に甘く感じられ、頭の中がスッキリしてくるような感じになります。

ふた口目からは、30回を目指し意識して咀嚼してみてください。噛む回数が増えると必然的に満足感も促されて、自然と食べる量も減ってきます。

② 少食にする/半断食をしてみる
①の最後でお伝えしましたが、咀嚼回数を増やすと食事の量もいつもより少なめで満足することができます。

まずは良く噛んで食べると、物理的に時間がかかるため満足感を得やすい。そして咀嚼によって脳へ信号が送られて、満腹中枢も刺激される。

入ってくるものが少ないので胃への負担も減少し、よく噛んだ食べ物は、消化に必要な時間も少なくて良いのです。

断食は内臓を休める上では良い方法です。ただ、何日も断食する場合は、きちんとした指導者と一緒に学びつつ実践しないと、逆に身体へ負担がかかり危険なこともあります。

ですから胃の調子が優れない時には、たった一食(夕飯)だけ抜いてみる、もしくは玄米甘酒などに置き換えてみてはいかがでしょうか。一食だけ抜く半断食なら簡単ですし、身体を休ませるという面でも効果的です。

③ 胃の働きに良い食べ物・生活習慣
冒頭でもお伝えしましたが、土用は腐敗しやすい時期です。そこで、腐敗の反対である発酵をキーワードに発酵食品を体内に取り入れることが、消化をサポートし、胃の働きも助けてくれます。

自然醸造の味噌やお醤油・甘酒・漬物などは、日本人の腸内環境に適しているので、特にオススメです。

但しスーパーなどで販売されている調味料のほとんどは既に発酵が止められているか、短期間で発酵させるために添加されたものも多く、元来の発酵食品と同じような効果は期待できません。

できれば自家製のものを使用するか、自然食品店などで昔ながらの製法のものを探してみてください。

胃壁を保護するという面では、ネバネバ食品も胃に良いといわれています。納豆やオクラ、メカブなどの海藻も良いのですが、山芋や里芋、蓮根などは、旬の物ですし手に入りやすく美味しいので、積極的に取り入れてください。

土用の時期は動物性食品の量を控えることも、身体にとって良い方法です。動物性食品は穀物や野菜と比較すると消化までの時間がかなり長く、土用の時期には体内での腐敗が進んでしまう可能性があります。

また、肉には木の子類やリンゴ・ジャガイモ・ネギなど、魚には大根おろしやわさび・生姜・柑橘類など、付け合わせで消化を助けるものを一緒に取り入れるように心がけましょう。

食後に甘いものが欲しくなる方は、胃が弱く血糖値が上がりにくいので、甘酒などを少し(50ml程度)摂ると落ち着くかもしれません。

生活習慣としては、質の良い睡眠がとても大切な時期です。

就寝前にパソコンや携帯などを見ていると交感神経優位となり、寝つきも悪く浅い睡眠となってしまいます。

また胃の中に食べ物が残った状態で横になると、胃への負担はもとより、消化活動にエネルギーが使われ睡眠の質も低下します。

よく言われることですが、就寝3時間前までには食事は終わらせておきましょう。

逆流性食道炎について


最近よくメディアでも取り上げられる逆流性食道炎ですが、他の生活習慣病と同様に食生活や生活様式の変化が大きく関わっているようです。

もともとは欧米に多く、1980年代までの日本での疾患率は、成人の2〜3%程度でした。しかし1990年以降でその数は急激に増加し、今では成人のおよそ10%が逆流性食道炎といわれています。

症状としては、胸やけ・吐き気・喉の痛み・呑酸(酸っぱいものが上がってくる)などがあります。

本来は食道部分を傷つけないように、その下部分にある括約筋が閉じられ、強力な胃液が上がってこないような構造になっています。

食べ物を胃に送るときだけ括約筋が緩むのですが、何らかの理由でそれ以外でも括約筋が緩み、胃酸が逆流してしまうのです。

括約筋が緩み胃液が上がるということを考えると、確かに陰性の食べ物が多すぎるような気がいたします。

しかし、胃酸が上がってくるという胃酸過多という観点では、陽性の原因も考えられ、特に動物性食品の多食や、食事の量が多過ぎる、早食いなども考えられます。

胃はデリケートな臓器ですので、ストレスからの影響もたくさん受けているかもしれません。理由は人によって様々ですから、自分の食事の嗜好や生活スタイルを、まず思い返してみてください。

そして上記でお伝えした①~③の項目を合わせて実践していただければ、症状が軽いうちでしたらすぐ良くなることでしょう。

秋の玄米炊き込みご飯~木の子・牛蒡・甘栗入り~


今回は圧力鍋でしっかりと火入れした、玄米の炊き込みご飯をご紹介します。

秋の恵みである木の子、アルカリ性で胃酸過多を抑え身体を温める牛蒡と、優しい甘味の栗を使い、満足感のあるご飯に仕上げています。

玄米ですのでしっかりと良く噛んでお米の甘みを味わいながら、これに汁物とお漬物を加えれば、胃にも優しい秋の実りを楽しめる食事になると思います。

【材料(3〜4人分)】

  • 玄米(または分づき米) 2合(玄米の場合は一晩浸水しておく)
  • しめじ(長さ3cmにカット) 100g
  • えのき茸(長さ3cmにカット) 100g
  • 牛蒡(千切りか笹掻き) 50g
  • 甘栗(4等分にしておく) 10粒
  • 油揚げ(湯抜きして2cmの細切り) 1/2枚
  • 醤油 大さじ2.5
  • みりん 大さじ2
  • 塩 少々
  • 胡麻油 大さじ1.5
  • 昆布出汁 420ml
  • 白胡麻 適量
  • 小葱(小口切り) 適量

【作り方】
① 浸水した水を捨て、玄米を圧力鍋に入れて昆布出汁を注ぎ、蓋を開けたままごく弱火で火にかける。

② フライパンに胡麻油を入れて熱したら、牛蒡を入れて香りが甘くなるまで炒めて取り出す。

③ ②のフライパンにしめじを入れてある程度火が入ったら、えのき茸を入れて塩を少々ふりしんなりするまで火を通す。油揚げと2の牛蒡を入れてさっと炒めて、醤油大さじ1とみりん大さじ1/2を入れて軽く炒める。

④ ①の圧力鍋の玄米の上に、③の具材を入れて甘栗と残りの調味料(醤油・みりん 各大さじ1.5)を静かに回し入れて蓋をし、中強火にかける。

⑤ 圧がしっかりかかったら数分そのままにして、あればガスマットを鍋の下に敷き、弱火にして30分じっくり炊く。この間、圧力が下がらないよう気をつける。ガスマットがない場合は、フライパンを敷いても良い。

⑥ 30分経ったら、コンロから降ろして圧力が自然に抜けるまで待つ。圧が抜けたら鍋底から全体を混ぜて10分ほど蒸らす。

⑦ 御飯茶碗に盛り付けたら、お好みで小葱や胡麻を散らす。

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大槻広子

大槻広子

KIJ(クシマクロビオティック)公認インストラクター
リマクッキングスクール師範科修了
JAMHA認定 ハーバルセラピスト

都内や横浜のマクロビオティックレストランやオーガニックカフェで経験を積み、現在は自宅サロン「Tsukinoki」で料理教室やイベントの開催したり、個人でパーソナルシェフとして活動中。地域に根づいた自然に寄り添う暮らしを目指しながら、日本の文化を見直すきっかけを「食」を通じて紹介している。