夏のおすすめスイーツ、ヴィーガンプリン「チョコバレル」。開発秘話を作り手にインタビューしました!
カカオの芳醇な香りと濃厚な味わい、スッキリとした甘み、驚く程なめらかな口当たりで人気のヴィーガンプリン「チョコバレル」。
自然豊かな宮崎県・綾町(あやちょう)にある古民家カフェレストラン「カフェ山猫」のオリジナル商品で、冷やしておいしい、夏にぴったりのスイーツです。
そんなチョコバレルの生みの親である「カフェ山猫」のオーナー・あさみ智子さんって、いったいどんな方なのでしょうか。
Vegewel代表の播があさみさんに、お店やご自身のこと、チョコバレルの誕生エピソードや商品に込められた想いなどについてお話を伺いました。
カフェ山猫
あさみ智子(あさみともこ)
京都出身、1995年にオーガニックな環境を求めて宮崎県宮崎市へ移住。オーガニック関連店舗の立ち上げに関わり、ケータリングサービスや料理教室などを運営。2005年に玄米穀菜食.com(ウェブストア)を立ち上げ、「カフェ山猫」を始める。2012年に宮崎県綾町に転居。一男二女の母。
目次/Contents
大自然と有機農業の町を拠点にプラントベースを提案
緑が美しい宮崎県綾町からオンラインでインタビューに答えてくれたあさみさん
播:本日はありがとうございます。早速ですが、まずはあさみさんご自身と「カフェ山猫」の簡単なご紹介をお願いします。
あさみ:プラントベースなライフスタイルを提案するオーガニック・カフェレストラン「カフェ山猫」を運営しています。20年ほど前に小さな「食」のアトリエとしてスタートし、今では飲食店の運営のほか、個人向けの食育教室や食生活指導、生産者や飲食店の商品開発のサポートなども行っています。
古民家をリノベーション、地元の木材も活用して造られた「カフェ山猫」の店内
播:かなり幅広い活動をされているんですね。プラントベースやオーガニックには様々な提案の仕方があると思いますが、あさみさんが特に大切にされているのはどんなことになりますか?
あさみ:「カフェ山猫」がある宮崎県・綾町は日本最大級の照葉樹林があって、半世紀にわたってシイやカシの森林を守り、自然と人が共生する地域づくりを進めてきた場所です。全国に先駆けて町全体で有機農業に取り組んできた地域でもあります。
そこで「カフェ山猫」では、お出しする食事の材料は、なるべく地元の自然農法の農家さんから仕入れるようにしています。また、店のインテリアも地元の林業の方にご協力いただくなど、綾町ならではの地の利を出来る限り活かし、地域の中での循環を大切にした店づくりをしています。
仕込み中のトマトは、とてもみずみずしく、色鮮やかに輝きを放つ
あさみ:そして、皆さんのココロとカラダ、環境にも優しい暮らしの在り方を様々な形でおすすめしています。たとえば「アレルギーで食べられないものがあっても、こんな食事法ならアレルギーが出にくいですよ」とか「もしお肉が食べられなくても、代わりにこんな美味しいものがありますよ」とかをお子様を持つ親御さんに指導させていただいたりもしているんですよ。
大地の恵みを最大限に活かしてあさみさんが生み出す料理の数々
播:そうなんですね。そんな中、あさみさんの活動の軸ともいえる「カフェ山猫」にはどのようなお客様が多いのですか?
あさみ:様々なお客様がお見えになりますが、化学物質過敏症やアレルギーをお持ちの方、お肉やお酒が召し上がれない方も多くいらっしゃいます。
最近ですと、ガンの治療後でステージ4というおじい様が、ひ孫の赤ちゃんを含む4世代家族全員で貸し切りをして食事されるということがありました。病後などで食事に制限がある方とそうでない方がひとつのテーブルで同じように食事をお楽しみいただき、とても喜んでいただけました。
伝統的な和の植物性素材が私の食生活を支えてきてくれた
知人宅で調理中のあさみさん
播:ところで、今の「カフェ山猫」に繋がるような食生活をあさみさんが知ったきっかけはどのようなことだったのでしょうか?
あさみ:私の親は海や川など自然の中で過ごすのが好きな人たちでした。この親の影響で環境問題をはじめ、テーブルに乗っている食べ物がどんな材料を使い、どのような人が関わって出来ているのかに強い興味を持つようになりました。その流れで、料理やお菓子作りがとても好きな子どもに育ったんです。
その後、中学生になって思春期が始まりました。病気ではないですがニキビや吹き出物など体の不調に悩んだ時、試しに動物性の食べ物をやめてみたら、肌の不調がなくなるなど、カラダがとても楽になるという体験をしました。これが最初の大きなきっかけです。
動物性食品・卵・乳製品不使用が「カフェ山猫」のメニューの特長
あさみ:高校生の頃にはかなりプラントベースな食生活になりました。そうすると、どこか外に食事にいっても食べられるものがサラダぐらいしかない、食べるものがないという不自由さを感じるようにもなっていきました。
でも幸いなことに料理が得意だったので、生まれ育った京都伝統の和菓子や精進料理をベースに、自分が食べられるものをどんどん手作りするようになっていって、それが今の仕事にも繋がっています。
そんな食生活の中で、和菓子や精進料理でよく使われる葛や寒天は私をとても助けてくれた食材で、私どものヴィーガンプリンにも使っています。というのも、プリンは子供の時からとても好きだったのですが、私の場合は動物性のゼラチンなどが入っていると蕁麻疹が出てしまうということがあったんです。
手軽で便利、楽しいプラントベースを広めていきたい
あさみさんが講師を務めた料理イベントでの一コマ
播:なるほど、あさみさんのヴィーガンプリンにはそんなルーツがあったんですね。私たちが取り扱っているプラントベースの食品の中でもプリンは数が少なく珍しい商品です。そんな、ある意味でニッチな商品を作ろうと思った理由はどんなところにあったのですか?
あさみ:いろいろな事情から動物性の食べ物を苦手とする方がいらっしゃいます。そんな皆さんにプラントベースという豊かな食のチョイスがあることを知っていただくきっかけとなるような商品が作りたかったんです。
駅の売店とかコンビニで気軽に手に取れ、常温保存できて賞味期限も長く、使い勝手が良い商品。フルーツなどを盛り付けるだけでかわいいデザートの一品になってデコレーションも楽しめる、そんなスイーツを作りたいと開発しました。プリンという身近な洋菓子を、私自身が長年お世話になってきた葛や寒天という日本伝統の食材で作ることにもこだわりました。
もともと植物性の食品をたくさん食べていた日本人の体質にあっていて、地球環境に優しいといわれている、プラントベースな日本の食文化。これを、敷居を低く、ポップに紹介していけたらいいなと思っています。それこそ、学校給食とか幼稚園のアフタースクールのおやつにも出てくるようなものが作りたかったんです。
素晴らしい食材との出会いが「チョコバレル」を生み出した
サーフィンをするカカオのキャラクターが愛らしい「チョコバレル」のパッケージ
播:「カフェ山猫」さんはチョコバレル・ヴィーガンチョコプリン・ヴィーガン柚子プリンの3種類を販売していますよね。一番最初に開発したのはどの商品でしょうか?
あさみ:初めに作ったのはチョコバレルです。こちらには、アフリカ南東部沖に浮かぶ島国、マダガスカル共和国産の野生種のクーベルチュールカカオを使っています。
マダガスカルという場所は、働き口がない、上下水道が普及していない、病院も学校も不足しているという中で、フランス大統領夫人を始め、各国のNGOが経済や産業の支援を行っている地域です。NGOの協力によって、もともとマダガスカルにあった野生種のカカオの木を保全し、国内で収穫から製品化までを行う仕組みが作られ、マダガスカル産カカオは今では世界的に高い評価を得るまでになりました。
マダガスカルの経済的な自立と発展、現地の環境保護にもつながるこのカカオとの出会いが最大のきっかけになって、チョコバレルは生まれました。
播:チョコバレルだけでなくプリンは3種類全て添加物不使用ですが、開発にはご苦労もあったそうですね。
あさみ:そうなんです。「添加物を使わずに作りたい」と相談をした工場には最初、「(添加物不使用では)無理だ」と全て断られました。でも私には寒天や葛を使って無添加のプリンを手作りしていた経験があったので「作れへんわけがないやん」と無理をお願いしたんです。
何度も失敗を重ねた末に納得のいく完成度のプリンが出来上がったんですが、その時一番びっくりしていたのが、その工場の社長さんでした(笑)。「添加物を使わずに、葛と寒天だけでこんなにも口当たりなめらかに仕上がるの!?」と。
材料費をなるべく安く抑えようとしたら、添加物を使えば「安かろう、うまかろう」で量産はできるんでしょうが、私が本当にやりたかった無添加には最後までこだわりましたね。
日本各地の優れた農産品が世界へと羽ばたくお手伝いを
農家や飲食店、食品メーカーまで、あさみさんのお仕事ネットワークは幅広い
播:ここで素朴な質問をひとつさせてください。「チョコバレル」と「ヴィーガンチョコプリン」は見た目がよく似ていますが、味わいにはどんな違いがあるのでしょうか?
野性味あふれるカカオの旨みを満喫できる「ヴィーガンチョコプリン」
あさみ:どちらも同じチョコレート風味のプリンですが、一番の違いは材料のカカオです。チョコバレルのカカオは芳しく純粋でミルキーな味わい、もうひとつのヴィ―ガンチョコプリンはがっつりしたチョコ風味が特長です。それぞれの個性をぜひ食べ比べて楽しんでいただけたら、と思います。
また、これは少し難しい話になるかもしれませんが(笑)、チョコバレルのカカオには生産者のポリシーで有機認証(オーガニック認証)がありません。とはいえ、天然の野生のカカオの木から収穫されたものですので、認証こそありませんがオーガニックであることに間違いはありません。ヴィーガンチョコプリンのカカオは日本のオーガニック認証である有機JASのカカオです。
播:なるほど。もうひとつの商品、口いっぱいに広がる爽やかな柚子の風味と自然な甘酸っぱさがおいしい「ヴィーガン柚子プリン」の柚子もオーガニックのものでしたね。
天然柑橘の香りにほっこりと癒される「柚子ぷりん」
あさみ:はい。顔の見える地元・宮崎産の有機JASの柚子を使っています。実は試作段階ではまだ有機JASの認証がなかったんですが、とても有難いことに柚子の生産農家さんが3年かけて認証を取得してくださったんです。
有機認証のメリットは販路が広がることです。そうやって商品が世界に出ていけば、日本の地方や農業の活性化に繋がる効果も期待できると思います。そのお手伝いをさせていただけることは私のやりがいのひとつです。
播:本日はたくさんお話をお伺いできて楽しかったです!最後に、この記事を読まれている方々にメッセージをお願いできますか?
あさみ:チョコバレル・ヴィーガンチョコプリン・ヴィーガン柚子プリン、どれも蒸し暑くなるこれからの季節におすすめの自信作です。無添加で植物性の素材と岩塩だけで作りました。ぜひこれらをお手元に、この夏を元気に乗り切っていただけたらとてもうれしいです!
カフェ山猫の商品
最後に、ヴィーガンプリン「チョコバレル」の詳細や購入は下記のURLでご覧いただけます。
カフェ山猫のホームページはこちら
https://www.cafe-yamaneko.com/
商品のご購入はこちら
https://www.cafe-yamaneko.com/shop
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